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大岩監督はレスターのシェイクスピア監督型か

鹿島の電撃解任劇。「2つの仮説」と「これから」を考える


2017/06/04 22:00
Written by ロッシ
Image by Gettyimages


衝撃の一報だった。

2017年5月31日、鹿島アントラーズは石井正忠監督を解任することを発表した。前日にACL敗退が決まり、ショックが広がっている中でのニュースである。いち鹿島サポーターとしてまだ感情の整理がついている訳ではないが、「解任劇に対する2つの仮説」と「これからの鹿島」について筆を執りたい。

仮説①「ACL敗退がすべての引き金」

今季の鹿島は今まで以上にアジアでの戦いを重視していた。国内19冠を誇るクラブの歴史にアジア王者のタイトルを加えたいという熱い想いが、シーズン前からひしひしと感じられた。選手のコメント然り、大型補強然りである。

アジア王者への想いが強くなった背景には、昨年のクラブW杯での躍進がある。開催国代表として臨んだ世界の舞台で望外の準優勝。「来年はアジア王者としてこの場に出たい」という感情が新たなモチベーションとなっていた。

それだけに、早すぎる敗退は失望以外の何物でもない。タレント揃いの広州恒大に善戦したとはいえ、結果は結果である。更に言えば、ラウンド16での敗北は5回目だ。歴史は繰り返されるというが、またしても悲劇は起きてしまった。

ACL敗退の翌日に解任が発表されたという事実を踏まえると、「ラウンド16で敗退した場合は解任」という決定事項が首脳陣の中にあったのかもしれない。昨季の成功はもちろん評価に値するが、アジアで勝てなければ意味がないという考えだ。

ラウンド16は最大の鬼門であり、ここを突破できるかどうかが非常に重要だった。そこをクリアできなかった以上解任を決断せざるを得なかったということである。

仮説②「ACL敗退という大義名分を利用した」

しかし、ACL敗退がすべての引き金になったという仮説はどうも腑に落ちない。アジア王者の夢を絶たれたとはいえ、昨季は国内2冠及びクラブW杯2位に導いた指揮官である。確かに今季の戦いぶりは不安定な面もあったが、いささか見切りが早過ぎはしないか。

解任後に強化責任者の鈴木満常務は、「選手のポテンシャルを出し切れていない」「選手起用や調整法でズレがあった」と語ったという。このコメントから考えると、「以前から手腕に不満があり、ACL敗退という大義名分を利用して解任した」という仮説に行き着く。急に降って湧いた解任劇ではなく、以前から積もり積もった不満がこのタイミングで形になったという見方である。

思えば伏線はあった。昨年8月に起きた金崎夢生との衝突だ。この件もあって心身ともにダウンした石井監督は直後の試合を休養している。結果的に立ち直ってリーグ優勝・クラブW杯準優勝・天皇杯優勝という栄光を掴んだが、渦中の8月及びシーズン終了後に監督交代の可能性が報じられたように、懐疑論は燻っていたのだ。

「選手のポテンシャルを出し切れていない」という指摘は、どの監督にとっても屈辱的だろう。だが、そう言われても仕方がない側面はある。今季チームに加わったのは、クォン・スンテ、ペドロ・ジュニオール、レオ・シルバ、レアンドロ、三竿雄斗、金森健志といった実力者。この補強を受けた指揮官は、積極的なターンオーバーを慣行。チームの疲労を最小限に抑える策を取った。

しかし、その策が不安定な戦いぶりを生んでしまったのだから皮肉である。新戦力と既存戦力の連携が深まらず、あっさりと負けるゲームが目についた。いつしか粘り強さも影を潜め、負け試合を最低限のドローに持ち込むことができなかった。今季すべての試合で「引き分けゼロ」という事実は重い。

石井監督は決してカリスマ性があるタイプではない。緻密なスカウティングとそれに基づく選手起用で結果を残してきた。特に後半の選手交代で流れを変える術は素晴らしく、“石井マジック”が炸裂した試合は何度もあった。

そのカリスマ性でチームをまとめるジネディーヌ・ジダンではなく、緻密さが売りのマッシミリアーノ・アッレグリ型だといえる。後者のタイプは、実力者揃いのスカッドをマネジメントすることが難しい。

思えば昨年末の躍進は限られた戦力が一枚岩になったことによる産物だった。過酷なスケジュールの中、全員がハイになっていたと言うべきだろうか。充実のスカッドを一枚岩にまとめることができなかった―――。この実態こそクラブ幹部が指摘する“ズレ”につながったと推測する。

これからの鹿島の話をしよう

監督交代後の第14節サンフレッチェ広島戦を3-1で勝利し、まずは1勝を挙げた大岩新監督。



押し込まれた後半の戦いは課題だが、「球際の厳しさ」「ハードワーク」といった石井イズムは受け継がれていた。アシスタントコーチからの昇格ということを踏まえれば、継続路線は至極当然で、今後独自色を打ち出していくだろう。

アシスタントコーチから昇格し、チームを立て直した例としては、レスターのクレイグ・シェイクスピアがいる。内部昇格を機に原点に立ち返り、戦い方を整理するというのは最近のJリーグでもトレンドとなっている。まずは混乱を収束し、土台を固め直すというやり方だ。かくいう石井監督も内部昇格から戦い方を整理していた。

チームの土台は元々あるだけに、今後大岩監督に求められるのはチームマネジメントだ。

ACLがなくなった分、国内の戦いに集中することができる。ターンオーバーは不要となるだけに、充実のスカッドをどう生かすかという課題が残る。不満分子をうまくコントロールし、新戦力を早急にフィットさせることができるか。組織を再び一枚岩にすることができるか。今はただ、信じて見守るほかない。

2017/06/04 written by ロッシ


鹿島の監督解任劇について考察するQoly誌のロッシ氏である。
解任理由については推測の積み重ねであり、これまで表に出てきた報道を信じて仮説を立てただけであり、真実を全く語っておらぬ。
まあ、一般人の印象はこのようなものであろうということが伝わってくるのは良かろう。
ただ、この記事において、欧州の監督になぞらえておるのが面白い。
石井監督は、ユヴェントスのマッシミリアーノ・アッレグリ型と言う。
緻密なスカウティングとそれに基づく選手起用で結果を残してきた。
逆に巨大なカリスマ性で選手を束ねるジネディーヌ・ジダンではないというのは面白い。
ちょうど、欧州CLにてR・マドリーが圧倒的な個の力にてユーヴェの組織を破った直後であるだけに興味深い。
そして、大岩監督については、レスターのクレイグ・シェイクスピアを例に挙げる。
降格寸前まで落ちた15-16年シーズンのプレミア王者を立て直し、残留に導いた手腕は、チームの持っているポテンシャルを復活させたという意味で重ね合わせられるところも大きかろう。
また、途中就任でミッションをこなし、次なる大物監督に繋げるというところも、そうなるのかも注目するところ。
大岩監督は、まずは一勝し、仕事ぶりを証明した。
この中断期間にて、更に戦術を浸透させ、チームを浮上させるのだ。
期待しておる。

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7月の有り得ないアウェイ3連戦。ここが最大の山場。ここを乗りきれば日程的にそれほど厳しくなくなる。

海外サッカーはわからないのでピント来な
い記事でした。

個人的には浦和のブッフバルト監督が
ディフェンダーからの指揮官でどーゆーサッカーするのかなぁと思っていたらめちゃめちゃ攻撃的で楽しかった思いでがありやす。

大岩監督もDF出身

期待してます。
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