水戸戦レビュー
【 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸】レポート:チームの狙いを徹底した水戸が終盤に追いつき、9回目にして初めて鹿島から引き分けをもぎ取る!(13.02.25)
2月24日(日) 2013Jリーグプレシーズンマッチ
鹿島 2 - 2 水戸 (14:04/カシマ/9,576人)
得点者:17' ダヴィ(鹿島)、30' 橋本晃司(水戸)、41' 大迫勇也(鹿島)、83' 山村佑樹(水戸)
試合の位置づけの違いが結果を微妙に左右した。
「ボールを使ったメニューの回数を考えれば、チームが表現したものは妥当ではないかと思う」
そう言って、一定の評価を示したのは鹿島のトニーニョ セレーゾ監督だ。確かに、90分間すべての時間ではなかったが、選手たちはチームがやろうとするサッカーに前向きに取り組む姿勢を見せていた。試合前、「選手のリアクションを見たい」と話していたとおり、取り組んできた今季のサッカーがどれだけチームに浸透しているか、チェックすることが最大の目的だったことがうかがわれる。
それに対して、よりこの試合に重きを置いていたのが水戸の柱谷哲二監督である。
「もう一度、今日のゲームはやり直すんだ」
練習試合で結果が出なかったことを受け、そう選手にハッパをかけて臨んでいた。終盤、足が止まりかけたところで勝負を諦めることなく、同点に追いついた執念深さは、長く厳しい戦いが待つJ2のリーグ戦において、大きな自信となっただろう。
「選手たちはボールを追うことを止めず、しっかりとボールを奪って前に出て行く、それを90分間続けてやってくれたと思っています。我々にとってはすごく勉強になったゲームだったと思います」
試合後の会見で満足そうな表情を見せていたのも納得のゲーム内容だった。
試合は、攻める鹿島と守る水戸という構図で始まった。水戸はラインを高く設定し、なおかつ中央を固める。鹿島の2トップは大迫勇也とダヴィ。そこに野沢拓也が絡んでくることを考えれば、まず中央を固めるのは当然のことだ。鹿島の攻撃陣もディフェンスラインの裏に抜け出す動きを何度も繰り返したが、強風の影響もあり、なかなか裏のスペースに起点をつくることができない。
しかし、水戸も「選手は鹿島のすごさにびびっていたかな」と柱谷監督が述べたとおり、ボールを奪った後の精度が低かった。パスをつなぐ意識は低く、せっかく奪ってもまたすぐに相手にボールを献上してしまう。すると17分、帰ってきた野沢拓也の精度の高いCKにダヴィが頭で合わせて、鹿島があっさり先制点を奪うのだった。
だが、時間の経過とともに水戸のパスが繋がるようになる。それを引き出したのは古巣との対決となった鈴木隆行。始めは体を張ったポストプレーでボールを引き出し相手のファウルを誘っていたが、徐々にワンタッチではたく回数を上げ、スピーディな攻撃に一役買う。そして30分、大きな展開から橋本晃司の前にぽっかりとシュートコースが空く。少し距離はあったが思い切ってゴールを狙うと、曽ヶ端準が伸ばした手を弾いたボールはふわりとゴールに吸い込まれ、水戸が同点に追いつくことに成功する。
嫌な流れになりかけたが、そこで突き放すところが鹿島らしい。41分、カウンターから左サイドをジュニーニョが突破し、中央へクロスを送ると、ニアサイドに走り込んだ大迫が、本間幸司の鼻先で合わせてゴールに流し込む。前半のうちに水戸を突き放した。
前半は、お互いにシュートは3本ずつという静かな展開だったが、後半になると鹿島は10本、水戸が7本とゴール前のシーンが増えていく。鹿島は、水戸の足が止まり始めた時間帯に立て続けにチャンスを迎えたが、シュートを決めきれなかった。水戸は、鹿島の左サイドに守備の厳しさがないことを見て取った柱谷監督の指示を受け、後半は近藤岳登が何度となく攻め上がる。しかし、ペナルティエリア内でもパスをつなぐなど、シュートに対する思い切りの良さが消えてしまい、せっかくのチャンスも実らずに時間が過ぎていった。
しかし、このまま試合が終わるのかと思われた83分、山村佑樹がパスを受けるおとりの動きで西大伍の裏を取り左サイドを突破する。慌てて対応にきた昌子源もシュートフェイントでかわすと、右足に持ち替えて冷静にファーサイドへ流し込み、足が止まりかけていた時間帯で勝負への執念を見せ同点に追いつくのだった。
いばらきサッカーフェスティバル9回目の開催で、初めて鹿島に負けなかった水戸にとっては、大きな自信を得たことだろう。「今までやってきた試合の中で一番よかった」と抜群のポストプレーを見せた鈴木も、手応えを感じている様子だった。
一方の鹿島は、王者に返り咲く強さを身につけるには、いくつかの課題がありそうだ。ボールを失った後、ファーストディフェンダーとしてすばやくプレスにかかる動きは少なく、さらにジュニーニョと中田浩二が並ぶ左サイドの守備は、ライン際に相手を追い込んでいくセレーゾ監督の狙いを実践するには、少し物足りなかった。前からプレスがかからなければボランチが引き出されてバイタルエリアにスペースができてしまう。攻撃面でもサイドで起点をつくる動きは少なかった。
とはいえ、ダヴィが全力ダッシュで守備ブロックの穴を埋めようとするなど、新監督から求められている動きは、少しずつチームに浸透している。少しでも気を緩めればやられてしまう厳しいリーグであることも、改めて思い知ったはずだ。鹿島にとっても勉強になった試合だった。
以上
2013.02.25 Reported by 田中滋
鹿島の課題を挙げる田中氏のレポートである。
ボールを失った後のファーストディフェンスに問題があるとのこと。
現場は更に詳しく分析しておろう。
課題をクリアし、開幕戦を迎えたい。
また、水戸の選手としては隆行について記述しておる。
J2としては規格外の強さで鹿島の選手と対峙しておった。
特に満男とのマッチアップは見応え十分であり、このシーンを拝めただけでもこの試合の意味があったように思える。
今季の水戸はかなり良いのではなかろうか。
水戸がJ2を席巻するように思える。
J2の試合も注目である。
2月24日(日) 2013Jリーグプレシーズンマッチ
鹿島 2 - 2 水戸 (14:04/カシマ/9,576人)
得点者:17' ダヴィ(鹿島)、30' 橋本晃司(水戸)、41' 大迫勇也(鹿島)、83' 山村佑樹(水戸)
試合の位置づけの違いが結果を微妙に左右した。
「ボールを使ったメニューの回数を考えれば、チームが表現したものは妥当ではないかと思う」
そう言って、一定の評価を示したのは鹿島のトニーニョ セレーゾ監督だ。確かに、90分間すべての時間ではなかったが、選手たちはチームがやろうとするサッカーに前向きに取り組む姿勢を見せていた。試合前、「選手のリアクションを見たい」と話していたとおり、取り組んできた今季のサッカーがどれだけチームに浸透しているか、チェックすることが最大の目的だったことがうかがわれる。
それに対して、よりこの試合に重きを置いていたのが水戸の柱谷哲二監督である。
「もう一度、今日のゲームはやり直すんだ」
練習試合で結果が出なかったことを受け、そう選手にハッパをかけて臨んでいた。終盤、足が止まりかけたところで勝負を諦めることなく、同点に追いついた執念深さは、長く厳しい戦いが待つJ2のリーグ戦において、大きな自信となっただろう。
「選手たちはボールを追うことを止めず、しっかりとボールを奪って前に出て行く、それを90分間続けてやってくれたと思っています。我々にとってはすごく勉強になったゲームだったと思います」
試合後の会見で満足そうな表情を見せていたのも納得のゲーム内容だった。
試合は、攻める鹿島と守る水戸という構図で始まった。水戸はラインを高く設定し、なおかつ中央を固める。鹿島の2トップは大迫勇也とダヴィ。そこに野沢拓也が絡んでくることを考えれば、まず中央を固めるのは当然のことだ。鹿島の攻撃陣もディフェンスラインの裏に抜け出す動きを何度も繰り返したが、強風の影響もあり、なかなか裏のスペースに起点をつくることができない。
しかし、水戸も「選手は鹿島のすごさにびびっていたかな」と柱谷監督が述べたとおり、ボールを奪った後の精度が低かった。パスをつなぐ意識は低く、せっかく奪ってもまたすぐに相手にボールを献上してしまう。すると17分、帰ってきた野沢拓也の精度の高いCKにダヴィが頭で合わせて、鹿島があっさり先制点を奪うのだった。
だが、時間の経過とともに水戸のパスが繋がるようになる。それを引き出したのは古巣との対決となった鈴木隆行。始めは体を張ったポストプレーでボールを引き出し相手のファウルを誘っていたが、徐々にワンタッチではたく回数を上げ、スピーディな攻撃に一役買う。そして30分、大きな展開から橋本晃司の前にぽっかりとシュートコースが空く。少し距離はあったが思い切ってゴールを狙うと、曽ヶ端準が伸ばした手を弾いたボールはふわりとゴールに吸い込まれ、水戸が同点に追いつくことに成功する。
嫌な流れになりかけたが、そこで突き放すところが鹿島らしい。41分、カウンターから左サイドをジュニーニョが突破し、中央へクロスを送ると、ニアサイドに走り込んだ大迫が、本間幸司の鼻先で合わせてゴールに流し込む。前半のうちに水戸を突き放した。
前半は、お互いにシュートは3本ずつという静かな展開だったが、後半になると鹿島は10本、水戸が7本とゴール前のシーンが増えていく。鹿島は、水戸の足が止まり始めた時間帯に立て続けにチャンスを迎えたが、シュートを決めきれなかった。水戸は、鹿島の左サイドに守備の厳しさがないことを見て取った柱谷監督の指示を受け、後半は近藤岳登が何度となく攻め上がる。しかし、ペナルティエリア内でもパスをつなぐなど、シュートに対する思い切りの良さが消えてしまい、せっかくのチャンスも実らずに時間が過ぎていった。
しかし、このまま試合が終わるのかと思われた83分、山村佑樹がパスを受けるおとりの動きで西大伍の裏を取り左サイドを突破する。慌てて対応にきた昌子源もシュートフェイントでかわすと、右足に持ち替えて冷静にファーサイドへ流し込み、足が止まりかけていた時間帯で勝負への執念を見せ同点に追いつくのだった。
いばらきサッカーフェスティバル9回目の開催で、初めて鹿島に負けなかった水戸にとっては、大きな自信を得たことだろう。「今までやってきた試合の中で一番よかった」と抜群のポストプレーを見せた鈴木も、手応えを感じている様子だった。
一方の鹿島は、王者に返り咲く強さを身につけるには、いくつかの課題がありそうだ。ボールを失った後、ファーストディフェンダーとしてすばやくプレスにかかる動きは少なく、さらにジュニーニョと中田浩二が並ぶ左サイドの守備は、ライン際に相手を追い込んでいくセレーゾ監督の狙いを実践するには、少し物足りなかった。前からプレスがかからなければボランチが引き出されてバイタルエリアにスペースができてしまう。攻撃面でもサイドで起点をつくる動きは少なかった。
とはいえ、ダヴィが全力ダッシュで守備ブロックの穴を埋めようとするなど、新監督から求められている動きは、少しずつチームに浸透している。少しでも気を緩めればやられてしまう厳しいリーグであることも、改めて思い知ったはずだ。鹿島にとっても勉強になった試合だった。
以上
2013.02.25 Reported by 田中滋
鹿島の課題を挙げる田中氏のレポートである。
ボールを失った後のファーストディフェンスに問題があるとのこと。
現場は更に詳しく分析しておろう。
課題をクリアし、開幕戦を迎えたい。
また、水戸の選手としては隆行について記述しておる。
J2としては規格外の強さで鹿島の選手と対峙しておった。
特に満男とのマッチアップは見応え十分であり、このシーンを拝めただけでもこの試合の意味があったように思える。
今季の水戸はかなり良いのではなかろうか。
水戸がJ2を席巻するように思える。
J2の試合も注目である。
セレッソ・新井場、開幕戦欠場へ
C大阪新加入のDF新井場、開幕戦欠場へ
C大阪は24日、鹿島から新加入のDF新井場徹(33)が3月2日の新潟との開幕戦(長居)を欠場することが決定的となった。21日に宮崎合宿を終え、この日から大阪市内での練習を再開したが、キャンプ中に左太もも裏を痛めていた新井場は姿を見せなかった。レビークルピ監督は「大きなけがではないが、開幕は間違いなく出られない」と話しており、出番は3月9日甲府戦以降となりそうだ。
[2013年2月25日6時57分 紙面から]
左太股裏を痛めたセレッソの新井場である。
この負傷で開幕戦は欠場とのこと。
これは心配である。
とはいえ、セレッソの監督は大きな怪我では無いとコメントしており、第2節以降には出場しよう。
今季はリーグ戦だけで無くナビスコ杯に於いても同組になっており、セレッソとの対戦は数多い。
是非とも元気な新井場と戦い、そして勝利を掴みたい。
新井場の完治の報を持っておる。
C大阪は24日、鹿島から新加入のDF新井場徹(33)が3月2日の新潟との開幕戦(長居)を欠場することが決定的となった。21日に宮崎合宿を終え、この日から大阪市内での練習を再開したが、キャンプ中に左太もも裏を痛めていた新井場は姿を見せなかった。レビークルピ監督は「大きなけがではないが、開幕は間違いなく出られない」と話しており、出番は3月9日甲府戦以降となりそうだ。
[2013年2月25日6時57分 紙面から]
左太股裏を痛めたセレッソの新井場である。
この負傷で開幕戦は欠場とのこと。
これは心配である。
とはいえ、セレッソの監督は大きな怪我では無いとコメントしており、第2節以降には出場しよう。
今季はリーグ戦だけで無くナビスコ杯に於いても同組になっており、セレッソとの対戦は数多い。
是非とも元気な新井場と戦い、そして勝利を掴みたい。
新井場の完治の報を持っておる。
栃木・當間、堅守を牽引
2013シーズン戦力補強診断J2編 〜栃木SC〜
フットボールチャンネルでは開幕に向けて、J2各クラブの補強動向を診断していく。今季の目標に向けて、効果的な補強を行うことができたクラブはどこなのか。今回は、5シーズン目を迎える松田監督率いる、栃木SCを占う。
2013年02月24日
text by 編集部 photo Kenzaburo Matsuoka
中位の壁を破る戦力を確保 昇格のダークホース的存在
2年連続でJ2の中位の壁を破れなかった栃木。だが今季は昇格に手が届きそうな栃木の歴代最高の戦力を手に入れた。
守備についてはディフェンスマスター松田浩監督が指揮5年目とあって問題はない。昨季はやや失点数が増えたものの、チームを攻撃的に移行させる過渡期の現象であって気にするほどのものでもなかった。今季も手堅い守備組織をつくりあげるだろう。
補強のポイントは昨季やや爆発力に欠けた仕上げの部分。一昨季のリカルド・ロボのようなインパクトを前線ももたらすこと。そのタレントとして迎え入れられたのが、札幌で活躍した近藤、町田をエース格として牽引した勝又、そして、オーストリア1部レッドブル・ザルツブルグで10番を背負ったクリスティアーノという面々。昨季終盤から徐々にチームにフィットし始めたサビアはエース格に成長する可能性も十分だ。
J2中位のチームらしく過去2年の得失点は±0を前後している。昇格するためには+20の得失点は必要なだけに、昨季から得点力+10、失点数-10という数字が一つの目安だろう。守備面の堅調さは計算できるだけに、攻撃面での成長が望めれば、昇格プレーオフ、うまくいけば自動昇格もありうるダークホース的存在だ。
2013シーズン 戦力の入れ替え
IN OUT
三都主アレサンドロ〔完全移籍/名古屋〕 河原和寿〔完全移籍/愛媛〕
近藤祐介〔完全移籍/札幌〕 鈴木修人〔完全移籍/北九州〕
榎本達也〔完全移籍/徳島〕 武田博行〔完全移籍/北九州〕
中野洋司〔完全移籍/横浜FC〕 柳川雅樹〔完全移籍/鳥取〕
勝又慶典〔完全移籍/町田〕 荒堀謙次〔完全移籍/湘南〕
クリスティアーノ〔期限付き移籍/レッドブル・ザルツブルグ(オーストリア)〕 宇佐美宏和〔完全移籍/湘南〕
原田圭輔〔期限付き移籍/仙台〕 ユデヒョン〔期限付き移籍/町田〕
西岡大輝〔期限付き移籍/広島〕 田中雄大〔期限付き移籍期間満了/川崎〕
湯澤洋介〔新加入/駒澤大学〕 棗佑喜〔期限付き移籍期間満了/川崎〕
- 佐々木竜太〔期限付き移籍期間満了/鹿島〕
- 臼井幸平〔引退〕
補強面と総合力それぞれの診断結果

まず何よりキャプテンとして絶対的な存在感を発揮するパウリーニョが残留したことが大きい。彼の存在の有無でチームの戦闘値はガラリと変わる。オフに触手を伸ばした他クラブもあったようだが、クラブが残留させることに成功した。また、昨季はFKやスルーパスで攻撃のタクトを揮ったクラッキ菊岡も残留。武田や宇佐美は退団したものの、主力の流出は最低限に抑えた。
その上で、昨季パワー不足を露呈した攻撃面に着手。重戦車のようなパワフルなドリブルが売りの近藤、背後への抜け出しが絶品の勝又、技術ありスピードありパワーありと三拍子揃ったクリスティアーノが前線に加入したことで昨季とは迫力が異なる。
また、武田が退団したGKには横浜Fや神戸で経験十分の榎本が加入。さらに名古屋からは三都主アレサンドロも加わり、タフな昇格争いを戦うための経験値も上昇した。J参入5年目で本気でJ1昇格を狙える陣容は整った。


栃木SC・2013シーズン予想フォーメーション
16日に行われたプレシーズンマッチ川崎フロンターレ戦では、相手がキャンプから戻ってきたばかりの悪コンディションという事実は割り引くとしても、J1相手にほぼ決定機すら作らせないという仕上がり具合。変わらず守備は手堅い。
一方、この試合のゴールはサビアのPK2ゴールに終わり、流れから得点は奪えなかったものの、PK2ゴールはいずれもクリスティアーノが加わった右サイドから。今季の右サイドのスピードとパワーは大きなポイントだ。
そして中央に君臨する闘将パウリーニョはJ2でも屈指の存在。中央でのボール奪取力で圧倒的な存在感を放っており、この日スタジアムに居合わせた観客やメディア関係者を何度もうならせていた。今季も彼がチームをリードすることは間違いない。
堅い守備から一気のカウンター、そして昨季から取り組むポゼッションの精度もクリスティアーノの加入でさらに上がっており、ここに菊岡やFW陣がうまく絡めば相手にとっては脅威だ。2年連続でJ2中位の壁に沈んだ栃木だが、三都主や榎本の経験を活かせれば、今季は本気で昇格を狙える、面白い存在になることは間違いない。(※それぞれA〜Eランクで診断)
【了】
昨季同様レギュラーに挙げられる栃木の當間である。
守備の要として堅守を構築してくれるであろう。
今季はJ1昇格も狙える栃木を牽引するのだ。
J1での対戦を期待しておる。
フットボールチャンネルでは開幕に向けて、J2各クラブの補強動向を診断していく。今季の目標に向けて、効果的な補強を行うことができたクラブはどこなのか。今回は、5シーズン目を迎える松田監督率いる、栃木SCを占う。
2013年02月24日
text by 編集部 photo Kenzaburo Matsuoka
中位の壁を破る戦力を確保 昇格のダークホース的存在
2年連続でJ2の中位の壁を破れなかった栃木。だが今季は昇格に手が届きそうな栃木の歴代最高の戦力を手に入れた。
守備についてはディフェンスマスター松田浩監督が指揮5年目とあって問題はない。昨季はやや失点数が増えたものの、チームを攻撃的に移行させる過渡期の現象であって気にするほどのものでもなかった。今季も手堅い守備組織をつくりあげるだろう。
補強のポイントは昨季やや爆発力に欠けた仕上げの部分。一昨季のリカルド・ロボのようなインパクトを前線ももたらすこと。そのタレントとして迎え入れられたのが、札幌で活躍した近藤、町田をエース格として牽引した勝又、そして、オーストリア1部レッドブル・ザルツブルグで10番を背負ったクリスティアーノという面々。昨季終盤から徐々にチームにフィットし始めたサビアはエース格に成長する可能性も十分だ。
J2中位のチームらしく過去2年の得失点は±0を前後している。昇格するためには+20の得失点は必要なだけに、昨季から得点力+10、失点数-10という数字が一つの目安だろう。守備面の堅調さは計算できるだけに、攻撃面での成長が望めれば、昇格プレーオフ、うまくいけば自動昇格もありうるダークホース的存在だ。
2013シーズン 戦力の入れ替え
IN OUT
三都主アレサンドロ〔完全移籍/名古屋〕 河原和寿〔完全移籍/愛媛〕
近藤祐介〔完全移籍/札幌〕 鈴木修人〔完全移籍/北九州〕
榎本達也〔完全移籍/徳島〕 武田博行〔完全移籍/北九州〕
中野洋司〔完全移籍/横浜FC〕 柳川雅樹〔完全移籍/鳥取〕
勝又慶典〔完全移籍/町田〕 荒堀謙次〔完全移籍/湘南〕
クリスティアーノ〔期限付き移籍/レッドブル・ザルツブルグ(オーストリア)〕 宇佐美宏和〔完全移籍/湘南〕
原田圭輔〔期限付き移籍/仙台〕 ユデヒョン〔期限付き移籍/町田〕
西岡大輝〔期限付き移籍/広島〕 田中雄大〔期限付き移籍期間満了/川崎〕
湯澤洋介〔新加入/駒澤大学〕 棗佑喜〔期限付き移籍期間満了/川崎〕
- 佐々木竜太〔期限付き移籍期間満了/鹿島〕
- 臼井幸平〔引退〕
補強面と総合力それぞれの診断結果

まず何よりキャプテンとして絶対的な存在感を発揮するパウリーニョが残留したことが大きい。彼の存在の有無でチームの戦闘値はガラリと変わる。オフに触手を伸ばした他クラブもあったようだが、クラブが残留させることに成功した。また、昨季はFKやスルーパスで攻撃のタクトを揮ったクラッキ菊岡も残留。武田や宇佐美は退団したものの、主力の流出は最低限に抑えた。
その上で、昨季パワー不足を露呈した攻撃面に着手。重戦車のようなパワフルなドリブルが売りの近藤、背後への抜け出しが絶品の勝又、技術ありスピードありパワーありと三拍子揃ったクリスティアーノが前線に加入したことで昨季とは迫力が異なる。
また、武田が退団したGKには横浜Fや神戸で経験十分の榎本が加入。さらに名古屋からは三都主アレサンドロも加わり、タフな昇格争いを戦うための経験値も上昇した。J参入5年目で本気でJ1昇格を狙える陣容は整った。


栃木SC・2013シーズン予想フォーメーション
16日に行われたプレシーズンマッチ川崎フロンターレ戦では、相手がキャンプから戻ってきたばかりの悪コンディションという事実は割り引くとしても、J1相手にほぼ決定機すら作らせないという仕上がり具合。変わらず守備は手堅い。
一方、この試合のゴールはサビアのPK2ゴールに終わり、流れから得点は奪えなかったものの、PK2ゴールはいずれもクリスティアーノが加わった右サイドから。今季の右サイドのスピードとパワーは大きなポイントだ。
そして中央に君臨する闘将パウリーニョはJ2でも屈指の存在。中央でのボール奪取力で圧倒的な存在感を放っており、この日スタジアムに居合わせた観客やメディア関係者を何度もうならせていた。今季も彼がチームをリードすることは間違いない。
堅い守備から一気のカウンター、そして昨季から取り組むポゼッションの精度もクリスティアーノの加入でさらに上がっており、ここに菊岡やFW陣がうまく絡めば相手にとっては脅威だ。2年連続でJ2中位の壁に沈んだ栃木だが、三都主や榎本の経験を活かせれば、今季は本気で昇格を狙える、面白い存在になることは間違いない。(※それぞれA〜Eランクで診断)
【了】
昨季同様レギュラーに挙げられる栃木の當間である。
守備の要として堅守を構築してくれるであろう。
今季はJ1昇格も狙える栃木を牽引するのだ。
J1での対戦を期待しておる。
水戸戦コメント
2013プレシーズンマッチ いばらきサッカーフェスティバル


鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
(ゴールを決めたダヴィ、大迫に関して)非常に良かったと思うし、献身的にチームがやろうとしていることをやっているのが感じられた。何度かフィニッシュにつながった動きもあったので良かったと思う。
サポーターが来てくれるということは分かっていたし、チームを支えてくれていることも分かっていた。皆さんに敬意を表す意味でも、最初の試合としては選手たちの動きは素晴らしかったと思うし、現段階としてやれることを最大限やってくれた。ボールを使ったメニューはまだ数回しかやっていない中、いい動きだった。ただ中を絞る相手に対し、中から攻めることに少し固執してしまったかと思う。もう少しサイドをシンプルに使っても良かったのではないかと思う。
(交代枠が多かったが)ただ闇雲に交代枠を使って、センターバックに対しセンターバック、ボランチに対しボランチというような交代をしても何の意味もない。いい流れでポゼッションしているなら、その流れを壊したくはないし、まだ選手たちの中には私が求めていることを消化し切れていない選手もいる。そういう選手を単純に出場させても仕方がないので、もっとデータをインプットしてから試合に出すようにしたい。
色々なことをまだ修正しなければいけないし、サッカーというのは複雑なもの。選手たちの能力を考えれば、ポゼッションできる選手が多いからその能力を生かしていなければいけない。ただ日本のサッカーはスピードがあるので、それに見合った形に修正していく。ただ選手たちに要求したことに関しては、やろうとする意思が見


【大迫 勇也】
メンバーを固定しないで練習している中でもスムーズに試合に入れたと思う。点を取る事は出来たけど、3点目を取れるチャンスがあった。それを決めていれば、もっと楽なゲームが出来た。
【曽ヶ端 準】
相手のシュートは変化していたと思う。上手くサイドチェンジされて展開されてしまった。紅白戦はやったけど、今日は相手あっての事だし、水戸もアグレッシブに来ていたので、難しい試合ではあったと思う。
2013年02月24日(日)

本日行われたプレシーズンマッチ 水戸戦は2-2のドローに終わりました。
【 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸】トニーニョセレーゾ監督(鹿島)記者会見コメント(13.02.24)
鹿島 2 - 2 水戸 (14:04/カシマ/9,576人)
得点者:17' ダヴィ(鹿島)、30' 橋本晃司(水戸)、41' 大迫勇也(鹿島)、83' 山村佑樹(水戸)
●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:今日、ダヴィ選手と大迫選手がそろい踏みで得点をあげましたが、二人についての評価をお願いします。
「非常に良かったのではないか。献身的に、チームが今やろうとしていることを努力してやろうとしている姿が伝わってきた。また、サイドにボールが入ったとき、FWには常にボックス内に進入しなくてはいけない役割があるのだが、そう言った形でフィニッシュすることができていたのでよかったと思う」
Q:久しぶりのカシマのベンチの座り心地とサポーターの声援についてお願いします。
「サポーターが来てくれることはわかっていた。アントラーズというクラブに対して、多くのサポーターが支えてくれている。チームとしても、今季最初の試合なので素晴らしかったと思う。ボールを使ったメニューも数回しかやっていない。今、現段階でやろうとする姿勢があったと思う。最初の試合としては、今の置かれている状況においては良かったと思う。当然ながら、いい部分もあれば、悪い部分もある。ボールを使った練習を数回しかやっていないので、それは当たり前のことだ。ただ、中央に絞りすぎて中を固める相手に対しては、中、中とありすぎたかな、と思う。もう少しサイドをシンプルに使えばくぐり抜けることが簡単にできた」
Q:交代枠が何人か残っていたと思いますが、使い切れなかったということなのでしょうか?
「単純にチームとしての意思統一ができていないなかで、交代枠があるから選手を代えていくことは考えなかった。センターバックをセンターバックに、ボランチをボランチに代えても、なんのプラスにもならない。あと、今日の場合は、交代する時間も限られているなかで、30分、35分、40分というタイミングで、選手を入れ替えてリズムを失うよりも、チームはしっかりポゼッションができていたし、狙いのところもできるようになっていった。新しい選手は何人かいるが、その選手たちが私が求めているものがわからないままピッチに送り出すよりも、まず練習を積み重ねて意思統一や狙いのところ、つまりデータをインプットしてからピッチに送り出した方が彼らにとっても効果的だ。単純にもっと練習を積んでから送り出したい思いでいる」
Q:先ほど、サイドをシンプルにと仰っていましたが、2点目の展開は仰っている展開と思って良いのでしょうか?
「2点目だけではなく、1点目は野沢選手の出したボールだ。そういった状況を多く使っていかないといけない。もう一つは相手が、戦法としてペナルティ幅ぐらいに人を集めて絞っているのだったら、空いているところはサイドだ。難しい話ではない。単純でシンプルなことだ。そこを使えば相手を横に広げることができる。そうすれば中央が空いてくる。日本の場合は、選手のスピードやアジリティがあるので、中央のラインでも寄せが早い。そこでボールを受けて捌こうとしても難しい。そのため、サイドをシンプルに使えば、今度は中が使えるようになる」
Q:改めて今季の目標とどういう戦いをしたいかお願いします。
「修正しなくてはならないところがたくさんある。ここで述べるとかなり時間がかかる。サッカーは複雑なスポーツだ。ただ、抱えている選手の能力を考えれば、パスワークやポゼッションできる技術の高い選手がそろっている。能力を引き出し合いながら自分たちのサッカーをやらなくてはいけない。日本のサッカーというのはスピーディで展開が早い。ダイナミックさも求められるし、集中力の持続も求められるスタイルになっている。チームとして、少しずつ修正して、それに見合った形に表現できればと思う。あとは自分たちが今日やっていくなかで、選手たちがそれをやろうとした姿勢が感じられたので、明るい一歩を踏み出すことができたと思う。日本の場合は、J1だとうとJ2だろうと、ポジショニングや運動量で頑張るし、チームとして組織として全チームがやろうしている。初めての公式戦と捉えれば、まったく悪くない。ボールを使ったメニューの回数を考えれば、チームが表現したものは妥当ではないかと思う。ただ、簡単なリーグ戦ではないことは確信している」
以上
【 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸】試合終了後の各選手コメント(13.02.24)
●大迫勇也選手(鹿島):
「ダヴィとの関係はあまり考えすぎずにやりました。考えすぎると自分の良いところが消えてしまうから。良い感じでできていると思うので、あとは開幕して二人がどれだけ点を取れるかだと思います。
(ゴールも良い形だったが?)
見てくれててよかった。良いボールを入れてくれた。(みんな)技術が高いんで常にあそこは狙っています。
(ダヴィとは感覚的にやってても合う?)
そうですね。タクさんも入ってくるから、そこはタクさんがコントロールしてくれるんでやりやすいですよ。あとは結果を残すだけですね。開幕戦でしっかり結果が出せるように仕上げます」
●曽ヶ端準選手(鹿島):
「(失点については?)
変化はしてましたけど、あのスピードだったら取らなきゃいけないボールだったと思います。
(フリーにさせてはいけなかったと思いますが?)
うまくサイドチェンジされてからの展開だった。
(芝がすべて入れ替えられたがどうだったか?)
継ぎ目に砂が入っていましたけど、足を取られる選手もいなかった。まだ完全に根付いている感じではなかった。まあ、大きな問題が出るほどではなかったです」
●鈴木隆行選手(水戸):
「今までやってきた試合の中で一番よかった。開幕1週間前でいい結果を出せたことは自信につながる。開幕戦はホーム。『水戸は今年やれる』と思ってもらえるような内容で勝ちたいです」
[ 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸 ]

芝生の全面張り替えが終わったカシマスタジアム。ご覧のように美しいピッチが戻ってきました。
[ 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸 ]

試合前にピッチの状態を確認する青木剛選手と大岩剛コーチ。青木選手は地面の固さなどもチェックしていました。
[PSM]終盤ドローに持ち込まれるも、鹿島・セレーゾ監督「ボールを使ったメニューをまだ数回しかやっていない」
13/2/24 22:04

[2.24 プレシーズンマッチ 鹿島2-2水戸 カシマ]
前半17分に新加入のFWダヴィが先制点。追いつかれて迎えた同41分にはFW大迫勇也が勝ち越し点を奪い、鹿島アントラーズは前半を1点リードで折り返した。
だが後半は追加点を奪うことはできなかった。逆に後半38分、水戸FW山村佑樹に同点弾を奪われた。終盤での同点劇。だがトニーニョ・セレーゾ監督は「現段階でやろうとしていることは出来ていた。良い部分も悪い部分もあったが、ボールを使ったメニューをまだ数回しかやっていないですし」と、この結果を楽観的にとらえた。
しかしプレシーズンマッチとしては後味の悪い結果となってしまったのも事実だ。実際交代枠も2枠しか使わなかった。「CBをCB、ボランチをボランチと代えても意味がない」と強がったが、J2水戸相手に守りきれなかったことには変わりない。
「いろいろ修正しなくてはならないところはあるが、サッカーは複雑なスポーツ。幸いパスワークやポゼッションできる選手がそろっている。チームとして見合ったサッカーが出来るように修正したい」
昨季は20年目にしてクラブ史上初の2桁順位に終わったかつての王者。だがトニーニョ・セレーゾ監督が前回就任した初年度の2000年には、鹿島はJ初の3冠(リーグ、ナビスコ杯、天皇杯)を達成した。復権を目指すシーズン開幕まで残り1週間。帰ってきた名将の手腕に期待したい。
(取材・文 児玉幸洋)
交代枠につて口を開いたトニーニョ・セレーゾ監督である。
単なる同ポジションを置き換えることに意味は無いと言い切っておる。
確かにポゼッションは出来ており、流れは良かった。
ここで、バランスを崩すことを嫌ったことは理解出来よう。
しかしながら、我らとしては新戦力をお披露目して欲しいと思う部分があったことも事実である。
前野やアツ、植田のプレイを確認してみたかった。
とはいえ、指揮官はこの試合を単なるテストマッチとは捉えてなかったということである。
やはり、若き戦力の確認は練習を見学に行くしかあるまい。
それはそれとして、ダヴィと大迫の2TOPが揃って得点を記録したのは良い兆候である。
週末の開幕に向けて問題を修正し鳥栖に挑みたい。
楽しみである。


鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
(ゴールを決めたダヴィ、大迫に関して)非常に良かったと思うし、献身的にチームがやろうとしていることをやっているのが感じられた。何度かフィニッシュにつながった動きもあったので良かったと思う。
サポーターが来てくれるということは分かっていたし、チームを支えてくれていることも分かっていた。皆さんに敬意を表す意味でも、最初の試合としては選手たちの動きは素晴らしかったと思うし、現段階としてやれることを最大限やってくれた。ボールを使ったメニューはまだ数回しかやっていない中、いい動きだった。ただ中を絞る相手に対し、中から攻めることに少し固執してしまったかと思う。もう少しサイドをシンプルに使っても良かったのではないかと思う。
(交代枠が多かったが)ただ闇雲に交代枠を使って、センターバックに対しセンターバック、ボランチに対しボランチというような交代をしても何の意味もない。いい流れでポゼッションしているなら、その流れを壊したくはないし、まだ選手たちの中には私が求めていることを消化し切れていない選手もいる。そういう選手を単純に出場させても仕方がないので、もっとデータをインプットしてから試合に出すようにしたい。
色々なことをまだ修正しなければいけないし、サッカーというのは複雑なもの。選手たちの能力を考えれば、ポゼッションできる選手が多いからその能力を生かしていなければいけない。ただ日本のサッカーはスピードがあるので、それに見合った形に修正していく。ただ選手たちに要求したことに関しては、やろうとする意思が見


【大迫 勇也】
メンバーを固定しないで練習している中でもスムーズに試合に入れたと思う。点を取る事は出来たけど、3点目を取れるチャンスがあった。それを決めていれば、もっと楽なゲームが出来た。
【曽ヶ端 準】
相手のシュートは変化していたと思う。上手くサイドチェンジされて展開されてしまった。紅白戦はやったけど、今日は相手あっての事だし、水戸もアグレッシブに来ていたので、難しい試合ではあったと思う。
2013年02月24日(日)

本日行われたプレシーズンマッチ 水戸戦は2-2のドローに終わりました。
【 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸】トニーニョセレーゾ監督(鹿島)記者会見コメント(13.02.24)
鹿島 2 - 2 水戸 (14:04/カシマ/9,576人)
得点者:17' ダヴィ(鹿島)、30' 橋本晃司(水戸)、41' 大迫勇也(鹿島)、83' 山村佑樹(水戸)
●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:今日、ダヴィ選手と大迫選手がそろい踏みで得点をあげましたが、二人についての評価をお願いします。
「非常に良かったのではないか。献身的に、チームが今やろうとしていることを努力してやろうとしている姿が伝わってきた。また、サイドにボールが入ったとき、FWには常にボックス内に進入しなくてはいけない役割があるのだが、そう言った形でフィニッシュすることができていたのでよかったと思う」
Q:久しぶりのカシマのベンチの座り心地とサポーターの声援についてお願いします。
「サポーターが来てくれることはわかっていた。アントラーズというクラブに対して、多くのサポーターが支えてくれている。チームとしても、今季最初の試合なので素晴らしかったと思う。ボールを使ったメニューも数回しかやっていない。今、現段階でやろうとする姿勢があったと思う。最初の試合としては、今の置かれている状況においては良かったと思う。当然ながら、いい部分もあれば、悪い部分もある。ボールを使った練習を数回しかやっていないので、それは当たり前のことだ。ただ、中央に絞りすぎて中を固める相手に対しては、中、中とありすぎたかな、と思う。もう少しサイドをシンプルに使えばくぐり抜けることが簡単にできた」
Q:交代枠が何人か残っていたと思いますが、使い切れなかったということなのでしょうか?
「単純にチームとしての意思統一ができていないなかで、交代枠があるから選手を代えていくことは考えなかった。センターバックをセンターバックに、ボランチをボランチに代えても、なんのプラスにもならない。あと、今日の場合は、交代する時間も限られているなかで、30分、35分、40分というタイミングで、選手を入れ替えてリズムを失うよりも、チームはしっかりポゼッションができていたし、狙いのところもできるようになっていった。新しい選手は何人かいるが、その選手たちが私が求めているものがわからないままピッチに送り出すよりも、まず練習を積み重ねて意思統一や狙いのところ、つまりデータをインプットしてからピッチに送り出した方が彼らにとっても効果的だ。単純にもっと練習を積んでから送り出したい思いでいる」
Q:先ほど、サイドをシンプルにと仰っていましたが、2点目の展開は仰っている展開と思って良いのでしょうか?
「2点目だけではなく、1点目は野沢選手の出したボールだ。そういった状況を多く使っていかないといけない。もう一つは相手が、戦法としてペナルティ幅ぐらいに人を集めて絞っているのだったら、空いているところはサイドだ。難しい話ではない。単純でシンプルなことだ。そこを使えば相手を横に広げることができる。そうすれば中央が空いてくる。日本の場合は、選手のスピードやアジリティがあるので、中央のラインでも寄せが早い。そこでボールを受けて捌こうとしても難しい。そのため、サイドをシンプルに使えば、今度は中が使えるようになる」
Q:改めて今季の目標とどういう戦いをしたいかお願いします。
「修正しなくてはならないところがたくさんある。ここで述べるとかなり時間がかかる。サッカーは複雑なスポーツだ。ただ、抱えている選手の能力を考えれば、パスワークやポゼッションできる技術の高い選手がそろっている。能力を引き出し合いながら自分たちのサッカーをやらなくてはいけない。日本のサッカーというのはスピーディで展開が早い。ダイナミックさも求められるし、集中力の持続も求められるスタイルになっている。チームとして、少しずつ修正して、それに見合った形に表現できればと思う。あとは自分たちが今日やっていくなかで、選手たちがそれをやろうとした姿勢が感じられたので、明るい一歩を踏み出すことができたと思う。日本の場合は、J1だとうとJ2だろうと、ポジショニングや運動量で頑張るし、チームとして組織として全チームがやろうしている。初めての公式戦と捉えれば、まったく悪くない。ボールを使ったメニューの回数を考えれば、チームが表現したものは妥当ではないかと思う。ただ、簡単なリーグ戦ではないことは確信している」
以上
【 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸】試合終了後の各選手コメント(13.02.24)
●大迫勇也選手(鹿島):
「ダヴィとの関係はあまり考えすぎずにやりました。考えすぎると自分の良いところが消えてしまうから。良い感じでできていると思うので、あとは開幕して二人がどれだけ点を取れるかだと思います。
(ゴールも良い形だったが?)
見てくれててよかった。良いボールを入れてくれた。(みんな)技術が高いんで常にあそこは狙っています。
(ダヴィとは感覚的にやってても合う?)
そうですね。タクさんも入ってくるから、そこはタクさんがコントロールしてくれるんでやりやすいですよ。あとは結果を残すだけですね。開幕戦でしっかり結果が出せるように仕上げます」
●曽ヶ端準選手(鹿島):
「(失点については?)
変化はしてましたけど、あのスピードだったら取らなきゃいけないボールだったと思います。
(フリーにさせてはいけなかったと思いますが?)
うまくサイドチェンジされてからの展開だった。
(芝がすべて入れ替えられたがどうだったか?)
継ぎ目に砂が入っていましたけど、足を取られる選手もいなかった。まだ完全に根付いている感じではなかった。まあ、大きな問題が出るほどではなかったです」
●鈴木隆行選手(水戸):
「今までやってきた試合の中で一番よかった。開幕1週間前でいい結果を出せたことは自信につながる。開幕戦はホーム。『水戸は今年やれる』と思ってもらえるような内容で勝ちたいです」
[ 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸 ]

芝生の全面張り替えが終わったカシマスタジアム。ご覧のように美しいピッチが戻ってきました。
[ 2013Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸 ]

試合前にピッチの状態を確認する青木剛選手と大岩剛コーチ。青木選手は地面の固さなどもチェックしていました。
[PSM]終盤ドローに持ち込まれるも、鹿島・セレーゾ監督「ボールを使ったメニューをまだ数回しかやっていない」
13/2/24 22:04

[2.24 プレシーズンマッチ 鹿島2-2水戸 カシマ]
前半17分に新加入のFWダヴィが先制点。追いつかれて迎えた同41分にはFW大迫勇也が勝ち越し点を奪い、鹿島アントラーズは前半を1点リードで折り返した。
だが後半は追加点を奪うことはできなかった。逆に後半38分、水戸FW山村佑樹に同点弾を奪われた。終盤での同点劇。だがトニーニョ・セレーゾ監督は「現段階でやろうとしていることは出来ていた。良い部分も悪い部分もあったが、ボールを使ったメニューをまだ数回しかやっていないですし」と、この結果を楽観的にとらえた。
しかしプレシーズンマッチとしては後味の悪い結果となってしまったのも事実だ。実際交代枠も2枠しか使わなかった。「CBをCB、ボランチをボランチと代えても意味がない」と強がったが、J2水戸相手に守りきれなかったことには変わりない。
「いろいろ修正しなくてはならないところはあるが、サッカーは複雑なスポーツ。幸いパスワークやポゼッションできる選手がそろっている。チームとして見合ったサッカーが出来るように修正したい」
昨季は20年目にしてクラブ史上初の2桁順位に終わったかつての王者。だがトニーニョ・セレーゾ監督が前回就任した初年度の2000年には、鹿島はJ初の3冠(リーグ、ナビスコ杯、天皇杯)を達成した。復権を目指すシーズン開幕まで残り1週間。帰ってきた名将の手腕に期待したい。
(取材・文 児玉幸洋)
交代枠につて口を開いたトニーニョ・セレーゾ監督である。
単なる同ポジションを置き換えることに意味は無いと言い切っておる。
確かにポゼッションは出来ており、流れは良かった。
ここで、バランスを崩すことを嫌ったことは理解出来よう。
しかしながら、我らとしては新戦力をお披露目して欲しいと思う部分があったことも事実である。
前野やアツ、植田のプレイを確認してみたかった。
とはいえ、指揮官はこの試合を単なるテストマッチとは捉えてなかったということである。
やはり、若き戦力の確認は練習を見学に行くしかあるまい。
それはそれとして、ダヴィと大迫の2TOPが揃って得点を記録したのは良い兆候である。
週末の開幕に向けて問題を修正し鳥栖に挑みたい。
楽しみである。