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大迫勇也の30日、ケルン躍進を支えた“半端ない存在感”

レギュラーなのに日本代表選外の大迫勇也の30日、ケルン躍進を支えた“半端ない存在感”

好スタートを切った大迫 / Getty Images

河治良幸
2016/10/04 11:30:43

連載企画「河治良幸の真眼 日本人プレーヤー30日の評価」では、欧州で活躍する日本人選手を中心に、毎週1選手をピックアップしていきます。その選手が、現在置かれている状況、何が上手く行っていて、何がダメなのかなど、サッカージャーナリスト河治良幸が鋭く選手の今に切り込みます。

■5試合連続スタメンでケルン躍進に貢献

大迫勇也は“半端ない”存在感で、3勝3分0敗で4位のケルンの躍進に貢献している。今季最初の公式戦となったドイツ杯1回戦のBFCプロイセン戦で2得点を記録した。「ストライカーのポジションでプレーするのが好きなので、快適でした」と語った大迫。ダルムシュタットとのブンデスリーガ開幕戦こそ、2-0とリードした70分からの出場となったものの、直後の代表ウィークにアピールを続けたこともあってか、第2節から10月1日のバイエルン・ミュンヘン戦まで5試合続けてスタメン出場している。

第4節のシャルケ戦と第5節のライプツィヒ戦でスペクタクルな2ゴールを決め、勝利に大きく貢献。ペーター・シュテーガー監督から信頼を得るとともに、現地におけるストライカーとしての価値を高めた。ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選のイラク戦とオーストラリア戦に臨む日本代表に選出されなかったが、ヴァイド・ハリルホジッチ監督は大迫について次のようにコメントした。

「最近はようやく(ゴール)16メートルのところに近づいている様に見える。1年経って、ようやく2点を取ったわけだ」

代表指揮官は大迫が2つのゴールを決める以前に海外組にレターを送っており、そこに彼の名前が入っていなかったことを明かした。パフォーマンスは第2節から目を見張るものがあり、得点の“におい”も漂わせていた。つまりゴールという目に見える結果をリーグ戦で出せていなかっただけなのだ。

■第3節でアシスト、第4節、5節でゴール

第2節のヴォルフスブルク戦は2トップの一角として出場し、大型FWアントニー・モデストの周囲でチャンスの起点を作り、鋭い抜け出しから惜しいシュートも放った。67分に交替するまで決定機の大半に絡んだ。ポジションは2トップだが、シュテーガー監督にはセカンドアタッカーとしての働きを期待されているようだ。この試合でも事実上のトップ下に引いたところから、ワイドに裏を狙うような流れを作ることでゴール前に絡んでいた。

結局、大迫の交替後も得点を奪えなかったケルンはヴォルフスブルクと0-0の引き分けに終わった。しかし、フライブルクをホームに迎えた第3節はセットプレーからモデストのゴールでリードした31分に、ロングボールの競り合いを制したところから、正確なラストパスでMFレオナルド・ビッテンコートのゴールをアシスト。ケルンは3-0で勝利を飾っている。

第4節のシャルケ戦では先制された2分後に同点弾を決めた。チームに良い流れを呼び込む意味でも価値あるゴールだったことに加え、鮮やかなミドルシュートだったこともあり、現地でも大きく紹介された。

左サイドからのクロスをモデストが1タッチで横に落とすと、シャルケのディフェンスラインのやや手前に生じたスペースにポジションを取った大迫は、迷うことなくダイレクトで右足を振り抜いた。まさに弾丸のようなシュートがゴール左隅に突き刺さると、チームメートから手荒い祝福を受けた。すでにカップ戦で2ゴールを決めていたとはいえ、チームにとっても大迫のゴールは、待望だったのだろう。

その後、2点を追加してケルンは3−1で勝利した。モデストによる逆転ゴールでも大迫はクロスに対してエリア内のファーにポジションを取り、センターバックの1人を引き付けている。もしモデストが手前で潰れていれば、外側から大迫が決定的なシュートを放っていたはず。基本的にモデストが最前線、大迫が衛星的に起点を作る関係ではあるが、フィニッシュのシーンでは“2人のストライカー”として良好な関係を作れていることを表していた。

1-1で引き分けた第5節ライプツィヒ戦のゴールはまさに大迫らしい“半端ないゴール”で、抜け出しからシュートまで完璧だった。左サイドでシモン・ツェラーとコンスタンティン・ラウシュが粘り強くつないだボールをやや左にスライドしたポジションで受けると、鋭いターンで背後のマルヴィン・コンパーのマークを振り切り、最後はGKペテル・グラチの頭上を左足で突き破った。正確なフィニッシュもさることながら、オフザボールでゴール前の良い位置に入り込み、味方の好パスを引き出すイメージを明確に思い描くことができた。

2つの見事なゴールの他にもディフェンスラインの背後をタイミング良く突く形から何度も相手ゴールを脅かし、中盤の選手も攻撃の過程で大迫にボールを預けるだけでなく、ラストパスを供給しようという意識が高まっている。大迫への信頼が高まっている証だろう。

■王者バイエルン相手にも大迫らしさで存在感

アウェーで1-1と引き分けた第6節のバイエルン・ミュンヘン戦も得点こそ記録できなかったものの、カウンターからリーグ最強レベルのディフェンスを相手に鋭い動きを繰り返し、何度も危険なシーンを生み出している。

71分にMFサレフ・オズカンのスルーパスに中央を抜け出し、名手マヌエル・ノイアーとの1対1を制してゴールネットを揺らしたが、惜しくもオフサイド。このシーンは日本代表のハリルホジッチ監督が言うところの“オブリック・ランニング”(曲線を描く様にマークを外す動き出しから鋭く裏を突く様な走り)がはまった形だ。

ドイツ王者の肝を冷やしたそのプレーは言うまでもなく素晴らしかったが、より注目したいのが68分のシーンだ。自陣でボールを奪ったところから展開されたボールを左ワイドに流れたモデストが受け、1人マークをかわして中央を走る大迫にパスを通す。ここで一度は前を向いてミドルシュートを狙おうとしたが、バイエルンのDFマッツ・フンメルスがスライディングに来ると、バランスを崩しかけながらもボールをキープし、右スペースの味方につないだ。そしてすぐに立ち上がり、ゴール前にダッシュしたのだ。結局、クロスは防がれたが、現在の大迫を表す象徴的なシーンだった。

前線からの守備や技巧的なチャンスメークで期待されている部分は昨季とあまり変わらない。今年は大迫自身が積極的にゴールを目指す姿勢を押し出していることに加え、サイドハーフや3-5-2のトップ下と違い、ストライカーとしての特性を生かしやすい状況であることが大きく異なる。つまり、ゴール前には基本的に相手センターバックを背負うタイプのモデストしかおらず、空いたスペースを第一に大迫が使えているのだ。

「(大迫が)このように得点を取り続けてくれれば、面白い選手になると思うが、セカンドアタッカーの選手にはなると思う。我々は引きつける役として、FWをワンポイント置いているが、彼はそこもできるかもしれない」

日本代表のハリルホジッチ監督は語る。大迫の基本的な評価に関しては代表監督とケルンのシュテーガー監督で重なる部分がある。大きく違うのは日本代表にモデストはいないということだが、現在の大迫であればセカンドアタッカーか1トップかに関係なく、大事な時にゴール前にいるという特性に変わりはない。残念ながら今回はメンバーに選出されなかったが、クラブに残ることで、クラブでのプレーに専念できるとも言える。しっかりケルンで好調を持続していけば、この先、大迫自身にとっても、日本代表のサポーターにとっても楽しみな“半端ないゴール”を重ねていけるかもしれない。

■大迫勇也 第2節9/10〜第6節10/1

総合評価:7.0
インパクト:8.0
安定感:6.0
貢献度:7.0

文=河治良幸(サッカージャーナリスト)


ケルンの大迫について記す、GOAL.comの河治氏である。
今季、レギュラーポジションを掴むと、攻撃の核として躍動しておる。
また、河治氏は「日本代表のハリルホジッチ監督は語る。大迫の基本的な評価に関しては代表監督とケルンのシュテーガー監督で重なる部分がある」と言う。
高い評価を与えていることが伝わってくる。
もの調子を維持しておれば、日本代表復帰も遠くなかろう。
それを楽しみに、ケルンで活躍する大迫を応援したい。

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