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伊藤翔、先陣を切る

伊藤翔にスポットを当てるJ's GOALの田中滋氏である。
「自分が率先して走った。その動きに対してボールが出て来なくても走った」と前節・浦和戦での伊藤翔のプレイを評す。
10月の試合では停滞してたようにも見えた前線に活気を与え、点差以上の内容をもたらせた。
得点は無くとも鹿島のセンターFWのタスクをこなしてくれておる。
明日も最前線にて躍動してくれよう。
楽しみである。

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【鹿島 vs 川崎F】先陣を切る。伊藤翔
2019年11月8日(金)



前節の浦和戦、停滞気味だったチームに一本筋が通った。ボールを受けても困ったように次を探す選手はおらず、たとえパスミスとなっても互いに意図が通じ合っている。ゴールは一つしか奪えなかったが、その違いは歴然としていた。

「もともとやっていたメンツにある程度戻ってきているわけだから、共通理解というか誰がどういう風にプレーしたいというのはわかっているつもり。この間の試合もそうだったけどある程度は形が出せてきているんじゃないかと思いますけどね」

前線に立つ伊藤翔は、そのなかでも自分の役割をしっかりと見つめていた。
「よくなかったときは裏へ走る選手がいなかったり、動きが少ないなかで試合をしてたんで、停滞しているというかノッキングを起こしている感じはありました」

だから、自分が率先して走った。その動きに対してボールが出て来なくても走った。自分が走れば浦和のディフェンスラインを引き連れていける。そこに他の選手が入ってくればシュートチャンスや、相手の守備を崩すことにつながる。
「そこは繰り返しやって、自分がボールを触る回数は多くならないと思っていましたけど、それで、まわりの人たちがシュートチャンスがあったり、うまくボールがまわれば」
そう言い聞かせてチームのために走った。

ここからはすべて負けられない試合が続く。その緊張感は両肩に重くのしかかる。だが、優勝するために鹿島に来たFWはそれを楽しんでいた。
「毎試合、プレッシャーがかかるゲームになるんですけど、そういうなかでサッカーができるのはたのしい。残り試合の結果が人生を分けると言ったら大げさかもしれないけれど、結果は天国と地獄ほどの違いがある」

足の裏の痛みはまだ引かない。しかし、「痛み止めの注射を打てばなんとかなる」と、自身初のリーグタイトル獲得に向けて、伊藤は先陣を切って走る。

文:田中滋(鹿島担当)

明治安田生命J1リーグ 第31節
11月9日(土)14:00KO カシマ
鹿島アントラーズ vs 川崎フロンターレ

鹿島――魂のこもった熱い戦いを期待

「苦手意識は否めないが、この壁を乗り越えれば、優勝の可能性はグッと高まる」と記すサッカーダイジェストのプレビューである。
リーグ戦は4年・7戦勝利無しと全くもって勝てておらぬ。
これは由々しき仕儀である。
とはいえ、この壁を乗り越えぬ限り優勝はない。
三竿の欠場などネガティブな情報も多いが、それをはね除ける力をホームの声援にて与えようではないか。
一致団結し、必ずや勝利を掴み取ろう。
魂を込める熱い試合である。


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【J1展望】鹿島×川崎|激闘必至のビッグマッチ! 近年の戦績では川崎が圧倒的有利だが…
サッカーダイジェスト編集部
2019年11月08日


鹿島――魂のこもった熱い戦いを期待


故障者/鹿島=三竿 川崎=藤嶋、馬渡、中村
出場停止/鹿島=なし 川崎=なし


J1リーグ31節
鹿島アントラーズ―川崎フロンターレ
11月9日(土)/14:00/県立カシマサッカースタジアム

鹿島アントラーズ
今季成績(30節終了時):1位 勝点59 17勝8分5敗 52得点・25失点

【最新チーム事情】
●前節の浦和戦で三竿が足を痛めた様子。今節は欠場が濃厚。
●11月17日のコロンビア戦に挑むU-22代表に町田、上田が選出。

【担当記者の視点】
 前節は浦和に1-0の完封勝利。三竿、L・シルバ、セルジーニョ、伊藤ら負傷者が復帰し、ほぼベストに近いメンバーで難敵をくだした。

 今節の川崎戦は、今季の命運を握る重要なゲームと言っていい。ただリーグ戦では、3-1で勝利した15年8月のゲームを最後に、以降は7戦勝ちなし(3分4敗)と相性が悪い。

 今季のルヴァンカップ準決勝でも苦杯を喫した相手だ。苦手意識は否めないが、この壁を乗り越えれば、優勝の可能性はグッと高まる。魂のこもった熱い戦いを期待したい。

川崎――浦和戦から中3日の厳しい日程

川崎フロンターレ
今季成績(31試合終了時):4位 勝点54 14勝12分5敗 52得点・29失点

【最新チーム事情】
●浦和戦からは中3日。厳しい日程を強いられる。
●ここ2試合は連勝。逆転優勝へ望みをつないだ。
●車屋、大島がA代表、田中がU-22代表に選出。

【担当記者の視点】
 11月5日にはACLのスケジュールの都合上、32節の浦和戦を他チームより先に戦ったが、貴重な勝点3を手にした。同2日の広島戦から連勝を飾り、首位の鹿島との勝点差を5に縮められたのは大きい。もっとも、浦和戦は中2日、そして今回の鹿島戦は中3日でのゲームであり、選手たちのコンディションには不安が残る。

 奇跡の逆転優勝に向けては「僕らは綱渡りで、負ければ終わりという状況」(谷口)だ。鹿島との直接対決を制することができれば、3連覇への可能性を広げられるが、敗れれば、目標をACLの出場権獲得へ下方修正する必要がある。

 また、精神的支柱の中村が広島戦で左膝を負傷し、長期離脱となったのも痛手。ただし「憲剛さんのためにも」とチームは一致団結している。総力戦でアウェーでの一戦をモノにしたい。

内田篤人インタビュー

内田篤人ににインタビューを行ったGOAL.comの飯尾氏である。
篤人の“今”がよくわかる。
意気込みであったり背負っているものであったり、そして考えが伝わってきた。
今季は篤人にかかっておるように感じさせる。
是非ともタイトルを。
期待しておる。

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鹿島が鹿島であるために。内田篤人が語るアントラーズとJリーグの未来/インタビュー
飯尾篤史
最終更新 12:14



 鹿島アントラーズは現在リーグ制覇に最も近い位置にいる。明治安田生命J1リーグ戦残り4節時点で首位に立つ。毎年なんらかのタイトルを獲得している鹿島。「鹿島らしさ」とはよく語られる言葉で、移籍してきた選手はすんなりと「鹿島らしい」選手に変わる。では鹿島はなぜ鹿島であり続けられるのか。内田篤人が語るインタビュー前編。ここにはその強さのヒントがある。【聞き手=飯尾篤史/写真=徳丸篤史】

■優勝争いの中で足りないもの



――次の対戦相手である川崎フロンターレは先月、ルヴァンカップで優勝し、3年連続でタイトルを獲得しました。昨シーズンの開幕前、内田選手は「(前年に)川崎にタイトルの味を覚えさせてしまったのは脅威だ」と話していましたが、その危惧が現実のものになってきましたね。

「タイトルを獲るって、そういうことだと思います。僕が以前、鹿島にいた頃、フロンターレはずっと2位だった。でも、フロンターレのようにチームとしての形があって、選手も揃っているクラブがタイトルを1回獲ると、バババって獲れるようになる。あのとき(17年シーズン)、僕はまだこのチームにいなかったですけど、あのタイトルは鹿島が獲っておかなければならなかった。改めて、そう思いますね」

――内田選手と鹿島にとって、この先もしばらく厄介なライバルになりそうだと。

「Jリーグ全般を見渡しても、フロンターレの戦い方はハッキリしているし、本当に良いゲームをしている印象が強い。そんなチームがタイトルの獲り方を知ってしまったんだから、難しい相手になっていくと思います」

――一方、鹿島もACL、ルヴァンカップと続けざまに敗退したものの、そのショックを引きずらず、ここまでリーグ戦9戦無敗です。そこはさすがだなと。

「これまで鹿島はタイトルをたくさん獲ってきましたけど、落としたタイトルもたくさんある。3冠を達成したのは2000年だけで、それ以外のシーズンは、このタイトルは獲れたけれど、あのタイトルは落とした、という連続なので。もちろん、本気で全部狙ってはいるんです。でも、すべては獲れない。だから、切り替えというものに慣れているはず。

 タイトルを獲れなかったあとの1週間の準備と次の試合がどれだけ大事か、クラブとして分かっている。そこは、剛さん(大岩剛監督)も口酸っぱく言ってますから。獲れなかったことに落ち込むより、リベンジするチャンスがある、という気持ちのほうが強いと思います」

――2016年のリーグタイトルは、チャンピオンシップを制して掴んだものなので、鹿島が純粋にリーグ優勝を果たしたのは、実は3連覇を達成した2009年が最後。つまり今のチームで年間優勝の経験があるのは、曽ヶ端準選手、遠藤康選手、川俣慎一郎選手、内田選手の4人だけです。

「あ、そうなんですか……。僕もドイツにいたので、その間にひとつくらい獲っているイメージがありましたけど、(サンフレッチェ)広島、ガンバ(大阪)、フロンターレ……言われてみると、確かにそうですね」

――数少ないリーグ優勝経験者として、ここから先、何が重要になると思いますか?

「なんだろうな……選手の雰囲気というか、練習や試合中の雰囲気は、もうちょっと欲しいな、と思います」

――もっとピリピリしたほうがいい?

「僕も言葉にはできないですけど、優勝するときの雰囲気には、ちょっと足りていない気がします。もちろん、このままでも優勝できるかもしれないけど、3連覇したときのような雰囲気とは、ちょっと違うかな」

――その雰囲気を作るために、内田選手はここからチームにどんなアプローチをしていこうと考えていますか?

「いや、僕はこれまでと変わらず、やります。それに雰囲気って、一人で作れるものでもないので」

――みんなが感じて、変わっていくというか。

「そうですね、スタジアムの雰囲気とか、試合中の雰囲気というのは。ただ、今はまだ、ちょっと違うな、と感じています」

■鹿島にとって変化のシーズン



――それにしても鹿島は、新しく入った選手が、いつの間にか“鹿島らしい”雰囲気をまとっていますよね。犬飼智也選手、白崎凌兵選手、小泉慶選手、上田綺世選手……。一緒にやっていて、そうした新しいメンバーの成長は、どういう風に感じています?

「もちろん、活躍できる、できない、というのは、その選手の実力やポテンシャルによる部分が大きい。ただ、鹿島は入って来る選手に優しいチーム。プレースタイル、生活面含めて、サポートしてくれますからね、選手やスタッフが。だから、馴染みやすい面はあると思います。

 慶なんて、J2(柏レイソル)で試合に出られていない状況で移籍して来て、パンと入って活躍できている。それは、彼の凄さでもあり、鹿島のいいところでもある。ファミリーとして、サッカーに集中できる環境をみんなで作れるのは、鹿島のひとつの特徴だと思いますけどね」

――小笠原満男さんや中田浩二さんがよく、「何かを教えてもらったわけではない。自分で学んできた」と言っていたので、新しく来た選手に対して優しいというのは、少し意外です。新加入選手に対しても、「自分で見て学べよ」というスタンスだと思っていたので。

「もちろん、手取り足取り教えるなんてことはないですよ。でも、このチームは勝つために何をしたらいいかをまず考える。入って来た選手とのポジション争いに負けないのも大事だけど、入って来た選手がしっかり働けなければ勝てない、ということも分かっている。だから、みんなで手を差しのべる。鹿島に来る選手も、ここで優勝したいと思って入ってくるので、目標はひとつ。そのために何ができるか」

――先日、小池裕太選手にインタビューしたら、内田選手にアドバイスを貰ったと。「闘う姿勢をもっと見せないといけない。自分もそういう見られ方をされて損をしてきた。演技でもいいから、もっと出したほうがいい」と。

「監督の目にどう映るかは、特に最初のうちは大事。裕太は向こう(ベルギー)でも、そこで苦労したみたいだけど、特に外国人監督は、頑張ってます、という姿勢が分かりやすいのが好きですから。裕太はポテンシャルがあるけれど、性格面で損した部分があったと思う。

 そもそも裕太のような飄々とやるタイプが、しっかり戦えるようになったら、みんなに伝播するんですよ。そこは、彼がもう少し年齢を重ねたら、分かることかもしれない。でも、ここに来る選手って、みんな性格がいい。会話をしていても、人として、しっかりした選手が多いな、って感じます」

――そういう選手を、強化部がちゃんとピックアップしているんでしょうね。

「Jリーグが始まって以来、選手選びについては一貫してやってきたんだろうな、って思いますね」

――メンバーが多く変わった、というところで言うと、鹿島にとって今季ほどタイトル獲得が重要になるシーズンはないのではないか、と感じます。小笠原満男という偉大な選手が去り、内田選手を新リーダーに据えて、新たなスタートを切ったシーズンなので。

「そう言えば、クラブの今年のスローガンも、“かわる”だったんですよね。満男さんが引退して、親会社も変わり、移籍に関しても、これまでとは変わりましたよね。僕や満男さん、ヤナギさん(柳沢敦)、浩二さんが海外に行った頃と違って、鹿島で2、3年やって出ていく時代になった。それが、これからのスタンダードになると思います。

 ただ、鹿島は日本のトップチームだと思っているので、ある意味当たり前というか。変な話、鹿島がヨーロッパに選手をバンバン送り出すようでなければ、日本サッカーはダメだとも思っていて」

――日本のトップクラブとしての義務であり、宿命だと。

「そう。満男さんが引退して、夏には主力選手が3人も移籍したシーズンに、それでもタイトルを獲る。これは本当に大事なこと。ここでひとつ獲れたら『さすが鹿島、これだけ変わっても強いんだ』という印象を周りに植え付けられますからね」

■ドイツやスペインを手本にできることはある



――若い選手が次から次へと海外に飛び出していくなかで、いかに戦力を維持し、チームを回していくか。いち選手である内田選手が考えることではないかもしれませんが、ドイツで7年間プレーして、いろいろなクラブを見てきた中で、何かアイディアはありますか?

「まず、そういうことに関して、鹿島はフロントがしっかりしているので、あまり考えたことがない。実際、獲ってくる選手が次々と活躍しますもんね。白崎も、慶も。相馬(勇紀)はちょっとケガをしていますけど、いいモノを持っているし、(上田)綺世だって。だから、そこは選手が口出しすべきではないし、全部任せて、選手はサッカーに集中すべき。で、今回はそういう質問をされたので答えますけど(笑)」

――それを大前提としたうえで(笑)。

「そう(笑)。ドイツで感じたのは、下からバンバン出てくるんですよね。特にシャルケは、ユースがすごく強いんですよ。バイエルンよりも優勝している。U-18、U-19のカテゴリーの監督が素晴らしくて、その監督に大金を払っているらしいです」

――そこにお金を掛けているんですね。

「ユースから上がってきた選手も、パッと思いつくだけでも、ユリアン・ドラクスラー(PSG)、ジョエル・マティプ(リヴァプール)、マヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)、レロイ・サネ(マンチェスター・シティ)……彼らはみんなシャルケのユース出身。もう、毎年バケモノが出てくる感じ。例えば、トップチームの誰かがケガをしたりすると、紅白戦の人数が足りなくなるので、ユースからひとり、ふたり加わるんですけど、モノが違う。それに、1カ月後とかに再びやって来ると、ものすごく成長している」

――ドイツは本当に育成システムがしっかりしているんですね。

「ドイツにおいて、サッカーが最も人気のあるスポーツで、サッカー第一というのも大きいと思いますけどね。あと、お金があるので、他クラブから選手を獲れてしまう。シャルケも、ラウール(・ゴンサレス)や(クラース・ヤン・)フンテラールを獲りましたから」

――Jリーグでは、ヴィッセル神戸がそうしたカラーのクラブになってきました。

「そうですね。神戸みたいな、大枚をはたいて世界の大物選手を獲る、っていうクラブがあってもいいと思います。そのあと、続いてほしいな。いや、大物を獲り続けろという意味じゃなくてね。(アンドレス・)イニエスタや(ルーカス・)ポドルスキから、ヴィッセル神戸だけでなく、Jリーグ全体でしっかり学んで、全体のレベルを上げて、次につなげてほしい。オーストラリア(Aリーグ)も以前、(アレッサンドロ・)デルピエロを獲得したじゃないですか」

――シドニーFCが獲得しましたね。

「でも、一過性のものというか、そのあと、リーグのレベルが上がったわけじゃない。ACLで対戦しても、昔のほうが強かったと感じるくらい。それを日本がやっちゃいけないと思う。せっかく神戸が獲ってくれたんだから、システムにしても運営にしても、彼らから学ぶこと、ドイツやスペインを手本にできることって、たくさんあると思う」

――そうやってJリーグのレベルが上がっていけば、選手たちのレベルも上がり、見る人も楽しめる。

「そうなれば、ヨーロッパのスカウトも、Jリーグをもっと見てくれるようになると思う。僕や(香川)真司がドイツに行った頃は、ドイツでも日本人選手の評価が高かった時期がありましたけど、今は海外移籍の最初のステップがベルギーやオランダ、ポルトガルになってしまった。Jリーグのレベルが上がって、最初からシャルケやドルトムントにいきなり移籍できる流れにまたなれば、面白くなる。そうなったら、僕も『見に行きたい』って思うもん」

――フェルティンス・アレーナにね。そうしたら「ウッシーが戻ってきた!」と、歓迎ムードになるでしょうね。

「そうそう。個人的な想いとしたら、シャルケに誰か日本人が行ってほしい。それが鹿島の選手だったら、なおうれしいですね」

内田篤人はいま、何を思う。葛藤と発見の先に見据える完全復活への道/インタビュー
飯尾篤史



 内田篤人インタビュー後編のテーマは「自分」。首位を走る鹿島アントラーズの中で、周りから期待される役割と、自分が理想とするレベルとの隔たり。試合に絡めなかったもどかしさ。そして、自身の身体との向き合い方。前半だけで交代させられた松本山雅戦の経験を経て、内田篤人を突き動かすものとは?【聞き手=飯尾篤史/写真=徳丸篤史】

■でも、試合に絡まなきゃ



――内田選手自身のことで言うと、昨年の鹿島復帰から、チームメイトにいろいろと話し掛けたり、タッチライン際でチームを鼓舞したりする姿が見られます。これまで縁遠かったキャプテンに今年就任して、新しい自分というか、何か変化を感じるところってありますか。

「チームメイトに対しては去年から言ってきたし、今年も言おうと思っていたんですけど、『キャプテンをやれ』と言われたときから、試合に絡まなきゃダメだな、と。去年はケガをしても言えていた。でも、今年はキャプテンになって、ケガで試合に出ていないのに、周りには言えないなって、より強く思いましたね」

――キャプテンであり、内田篤人であるわけなんだから、大岩剛監督だって、自分のことは棚に上げてでも発言してほしい、と思っているはずですが。

「うん。剛さんも『ケガをしていても言ってくれ。篤人が思う立場もあるだろうけど、そういうのは関係なく、遠慮なく言ってくれ』と。『それも期待して獲得したんだから』と言ってくれましたけど、自分の中では、試合に出てプレーして、こうやってやるんだよ、というのを見せないとダメだな、と思う。なんだかんだ半年休みましたから、本当に歯痒いというか」

――内田選手が抱えるもどかしさは、最近の試合後のコメントにも滲み出ています。前半だけで交代させられた10月18日の松本山雅戦後の「俺が前半45分で代えられるようなプレーをしていたらダメなんだ」とか、10月9日のルヴァンカップ準決勝・川崎フロンターレ戦後の「ベンチの選手として契約しているわけじゃない」とか、「まだ31歳なんだから、もっとこき使ってくれていい」とか。

「これがね、僕が100%、120%の力でバンバン試合をやって、それでも勝てなかったら、『すみません』って謝るしかないんだけど、そういう状況じゃないので。ああ、何やってるんだろうな、っていう気持ちのほうが強いからね。それをチャラにするためではないけど、最終目標に優勝というものがある。悔しい気持ち、モヤモヤした気持ちも含めて、優勝しなきゃいけないな、最終的にはそこだなって」

――もちろん、試合に出場するために努力しつつも、出られない中で、どうチームを勝たせるかということを、日々考えながら、向き合いながら。

「自分のコンディションを100%にする。それが一番チームの助けになると思う。『右サイドバックに内田が入ったら、やっぱりすげぇな』って、『シャルケであれだけやっていたんだから、さすがだわ』って思われるようなプレーをすれば、チームも勝てるはずだから。

 何年か前だったら、『バケモンいるわ』って思わせるプレーができていたはずで。今も身体さえ動けばできる。その身体さえ動けば、っていうのが一番難しい。そこを抱えながらやるのが、なかなか難しいところですけど」

■100%でやると、ケガをしてしまう



――焦って再びケガをしてしまったら、元も子もない。

「そう。100%でバーンとやったら、ケガをしちゃうんですよね。昨年のワールドカップ前もそうだったけど、焦って100%でやって、ケガをする。その繰り返し。でも、今3カ月くらいかな、離脱することなく練習できていて。実はそれって、日本に戻って来てから最長なんですよ。3カ月しかいられてないんだって思われるかもしれないけど、自分の中では、やっと3カ月、離脱しないでやれたなっていう感覚で。

 たしかに『内田、違うな』と思わせるプレーをするなら100%の力でやるべきだと思う。でも、80%に抑えてケガせず、チームにいたいと思う自分もいる。けど、単純に100%で思い切り走りたいっていう衝動もあるし……。ああ、先輩たちも、こんなふうにして引退していったのかな、って思いましたもん。こうやって、なんか身体が違うな、と思いながら引退を決意していったのかなって」

――やっぱり引退という文字が頭をよぎったこともある?

「そりゃありますよ。(シャルケ時代に)2年間もサッカーができなかったんだから」

――今の問題は、やはり(シャルケ時代に大ケガを負った)膝ですか?

「いや、膝は問題ないんですよ。膝じゃなくて筋肉系のケガが多い。まだ31歳ですけど、サッカーをやっていなかった時期に、運動能力が落ちた気がします。例えば、前十字(靭帯)を傷めて8カ月休んだら、完全に戻るまでに1年は掛かる。自分は2年も休んだんだから、戻るのに2年半〜3年くらい掛かるんじゃないか、ってイメージしていて」

――では、今は休んでいた2年間を取り戻しに行っているイメージ?

「という話を、(コーチの)羽田(憲司)さんとしたんですよ。羽田さんもケガが長かったから。羽田さんが教えてくれたのは、『80%でいいからケガをしないように頑張って、長く続けていけば、筋肉も段々強化されて、戻ってくる』ということ。『辛抱強くやろうぜ』と言ってくれて。

 羽田さんとはケガの種類が違うけど、同じように休みが長かった人の意見を聞けて良かった。だから、100%でやりたい気持ちを我慢して、80%でやりながら身体を徐々に戻していきたいと思っているんですけど、優勝争いをする中で、自分も100%でやらないと、と思ってしまうところがある。自分の性格上。そこが難しいところ」

――でも、時間は掛かるけれど、本来の自分に戻るイメージがちゃんと頭の中にあるんですね。

「ありますね。しかも、まだ31歳なので。これが35、36歳だったら難しいのかもしれないけど、31歳なら、もうひと花、ふた花、咲かせられるでしょ、っていう。(フィジカルコーチの)里内(猛)さんも、『もうひと花、やれぃ』と言ってくれているし(笑)。終わるの、早いよって」

■松本戦、前半のみで交代させられる



――ハーフタイムで交代させられた松本戦の前半、僕が見た限りでは、ゲームに変化を付けようとしているようでした。攻撃の起点になったり、サイドを大きく変えたり、縦に仕掛けたり。アクセントを付けようとするチャレンジが伺えて、その中で、ミスもあったけれど、ハーフタイムに下げられるような出来ではないと感じましたが。

「でも、たぶん、それが良くなかったなって。全部自分で何かしてやろう、というのが良くなかった。ボールを全部くれ、と思っていたから。そうじゃなくて、チームの流れ、試合の流れを読みながら、ポイントで違いを見せなければいけなかったなって。その後、剛さんとは特に話はしてないけれど、時間も経って、練習もしっかりやっているし、天皇杯(準々決勝のHonda FC戦)も浦和(レッズ)戦も消化したし、今は『次こそ出たいな』としか思ってないですね。勝とうぜ、頑張ろうぜ、くらいしか」

――ちなみに松本戦では、なぜ、そんなに意気込んでしまったんですか?

「あのスタジアム、ヨーロッパで見ていたときから好きだったんですよね(笑)。それに、相手の監督は(08年北京五輪代表時代の指揮官である)ソリさん(反町康治)だったし。いろいろあって『やってやろう』って。確かに、前半で代わるほど悪かったとは思わないんだけど、試合展開をガラッと変えるには、僕を代えるのはあり。そもそも90分、まだやれていないので、いずれ代えるなら、『ここで代えよう』っていう考えも分かる。理由はひとつじゃないと思います」

――あの試合、前半で代えられたことで、内田選手が何を思ったのか、気になっていました。「このままじゃ終われない」という気持ちがさらに強まったのではないかと。

「まさに、そうですね。シーズンが終わったときに、『あの試合が自分にとってターニングポイントだったな』と思えるように、これからやっていかなきゃいけない。それって、優勝できたときにしか思えないんですよね。優勝したとき、『あれがターニングポイントになって、俺は変われたんだ。剛さん、ありがとう』って言えるようにしないといけない。

 実際、翌日のオフを挟んだあとにリカバー(トレーニング)だったんですけど、ちゃんと練習をやりたいと思って、若手に混ざってやったんですよ。そこで『俺も年を取ったし、練習したいけどケガをしたくないから、いいや』とは思わなかった。そういう気持ちが自分の奥底に、まだあったんだなって感じられたのは良かった」

■若手を見て感じるものがある



――若手に混じって、刺激を受けて。

「最近、若い選手と練習をする機会がどんどん増えていて、本当に楽しいんですよね。あと1、2年、試合で使えるようになると化けるなって感じる選手もいるし、もうちょっと頑張らなきゃダメだなって思う選手もいる。でも、キラキラした目でサッカーをやっているので、かわいいなあ、と思いながら見ています(笑)。

 彼らもだんだん心を開いてくれて、「篤人さん、メシ、連れて行ってくださいよ」と言ってくるようになってきた(笑)。だから今、本当に楽しい。100%でプレーできない、そういうもどかしさを抱えながらやっていますけど、それを含めて楽しいんですよね」

――それも含めて、なんですね。

「そうそう、楽しい。やっぱりドイツにいた頃は、必死だったから。次はドルトムント、次はアーセナルって、中2日、3日で、強い相手とバンバン試合をやっていたから。

 日本に帰って来て、落ち着いて生活もできて、サッカー選手としても、いろんなものが見えるようになって、いろんなことを考えるようになった。シャルケ時代の若手と、鹿島の若手を比べてみたり。当時、今の僕の年齢くらいのシャルケの選手って、こういう気持ちだったんだなとか。僕が高卒で入ってきたとき、剛さんはこういう風に見ててくれたのかなとか、いろいろ感じるものがある。そういうのが楽しくて」

――若い選手に声を掛けるタイミングや、掛け方も考えたり?

「それもありますよね。こいつは、今は試合に出られていないけど、あと2、3年したら出られるようになるから、『頑張れよ』って声を掛けちゃダメだな、ここは自分で踏ん張らなきゃいけない期間だぞ、とか思っていますね。こいつ、ちょっと悩んでいるなとか。そういうのを考えるのも楽しいですね」

――そんな今の内田選手に、もうひとりの内田選手が客観的に声を掛けるとしたら?

「なんだろうな……楽しそうだねえ、昔よりも楽しそうじゃん。でも、もうちょっと頑張って、給料分くらいは働かなきゃダメだよって(笑)」

――アハハ(笑)。では、最後に、今の内田選手にとってのモチベーションは? 鹿島をバイエルン・ミュンヘンのようにリーグで頭抜けた存在にすることなのか。

「うーん……」

――それこそ、小笠原さんのように、39、40歳まで現役を続けることなのか。

「うーん……」

――それとも、右サイドバックをもっと極めたい、もっとサッカーがうまくなりたいという欲があるのか。

「そこは、もうシンプルかも。剛さんとこのチームに恩返しをすること。今は本当に申し訳ないので。このままじゃ終われないから」

――せっかくドイツから迎え入れてくれたから?

「そうですね。ベルリンにいるとき、剛さんから直接電話をもらって、『帰って来てほしいと思っているんだけど、どう?』って。年は親子くらい離れていますけど、剛さんがまだ現役の頃に面倒を見てもらっていますし、本当にふたつ返事で『はい、帰ります』という感じだった。それなのに、去年はほとんど試合に出られなかったし、今年も数えるほど出ていない。

 このままじゃ終われない。このチームを優勝させて、剛さんを胴上げして、今シーズンを締めくくりたい。うん、やっぱり、このままじゃ終われない、っていう気持ちが一番強いかな」

内田篤人主将、長い間獲れていないのでここで一つ獲りたい

川崎戦に向けてコメントを発した内田篤人主将である。
「ホームなので、受け身にはなりたくない」と意気込みを口にする。
攻撃的な川崎に対してアグレッシブに戦い、ホームの勢いにて勝利に向かいたい。
Jリーグ二連覇中のこの王者に勝たねば鹿島の優勝はない。
ホームの地の利を得て勝ち点3を掴み取ろうではないか。
多くのサポーターが集い後押しするのだ。
緊張の走る一戦である。

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本拠で堅首だ!鹿島主将ウッチー 川崎F戦へ闘志「受け身にはなりたくない」
[ 2019年11月8日 05:30 ]

 公式戦3試合ぶりの出場となる鹿島主将のDF内田が、9日の川崎F戦へ「ホームなので、受け身にはなりたくない」と戦い方を描いた。
 現在首位で、残り4試合。前回年間王者となった16年はチャンピオンシップで勝ち上がったため、純粋な「年間勝ち点1位」は3連覇した09年が最後となる。当時在籍して今も残るのは、内田を含めた4人だけ。「長い間獲れていないので、ここで一つ獲りたい」と力を込めた。
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Author:Fundamentalism
鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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