浦和戦コメント・報道
2014Jリーグ ディビジョン1 第17節


鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
・前半の守備のパフォーマンスは、もっと良くすることができたと思う。ただ、経験値というところではやむを得ないところがあるし、19歳と21歳のDFで、興梠選手のような経験値のあるFWを抑えろと言っても難しい部分はある。真ん中に勇敢に出ていくということは、経験があってもできないこともあるから、まだ時間はかかる。ハーフタイムに指示は出して少しは改善されたが、前半は興梠選手のところでボールを収められたり、ダイレクトプレーでサイドから斜めにパスを入れてシャドー2枚やウイングバックがサポートに入る形を抑えきれなかった。それが少し残念だった。1-1というスコアは妥当だと思う。後半は鹿島にとっては良い内容だったが、サイドやペナルティーエリアの横までは行けても、クロスの質を欠いていた。前半で起きていたのは、ダヴィ選手がセンターバックの後ろに入ってしまうこと。ハーフタイムには、ペナルティーマークのあたりに入ってほしいと要求した。そうすればニアでもファーでも、瞬時に入れるようになる。そのポジション取りを要求して、少しは改善できたと思う。
・前後半の消耗度を考えた中で、鹿島のパフォーマンスは戦術的な面を含めて良かったと思う。対戦相手の質や能力を考えれば、すばらしい試合をすることができたと思う。
・今日のレフェリングは非常にすばらしかったと思う。緊迫した試合の中でうまく両チームの選手の感情を平常心に保つことができたのは良かったと思う。
・(杉本を起用した理由は)今いる選手が戦力で、杉本選手はチームのために練習に取り組む意識や犠牲心を持っている。チームが苦しい時にこそ必要なもので、彼はその作業をやり続けている。彼が変わろうとしている、成長しようとしている努力を見ていた。当然ながらまだ足りないところは多くあるが、強い相手に対してどのくらい通用するか、どのようなレベルにあるのかがわかってくる。彼は勇敢に示したと思う。今日のパフォーマンスについては、求めた部分に関しては全力で献身的に勇敢に戦った。評価している。


【柴崎 岳】
横に聖真が見えたけど、思いっきり自分で打とうと思った。高く打つ事を心掛け、ファーでもニアでもどちらでも良かった。ニアで反応できないところもあったと思う。結果は、ショック。勝てる要素があった試合だったので、嬉しさよりも悔しさがある。
【杉本 太郎】
相手が疲れている中でチームのために走って、守備では行く時は強く行く、気持ちの入ったプレーでチームを盛り上げることを考えていた。ナビスコも天皇杯も負けて、リーグしかない。リーグタイトルへの気持ちは強く持っている。このような試合に出場できた事は自信がついた。練習から思いきったプレーが出来ていたと思う。
【本山 雅志】
GKの左足にあたったシュートは、チャンスが少なかっただけに決めなくてはいけなかった。選手たちの気持ちも入っていたし、DFも良く跳ね返していた。ガチガチなゲームになってしまったが、自分たちがボールを保持している時は、落ち着いてボールを回せていたと思う。あとはフィニッシュの精度。勝てたのに残念な試合だった。
2014年07月27日(日)

本日行われたJ1第17節浦和戦は1-1で引き分けに終わりました。
【J1:第17節 浦和 vs 鹿島】トニーニョセレーゾ監督(鹿島)記者会見コメント(14.07.27)
7月27日(日) 2014 J1リーグ戦 第17節
浦和 1 - 1 鹿島 (18:04/埼玉/39,205人)
得点者:20' 興梠慎三(浦和)、30' 柴崎岳(鹿島)
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●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:今日の試合は両方にチャンスがあったが、どうしたら勝ち切れたと思うか?
「前半の守備のパフォーマンスをよくすることはできたと思います。でもやむを得ないところがあって、センターバックの2人は19歳と21歳で経験があまりないので、興梠選手のような経験値の高い選手を抑えるのはなかなか難しい。真ん中に勇敢に出て行くのは経験があっても時々できないことだし、もう少し時間がかかると思います。ハーフタイムに少し指示を出して、少し改善できましたが、前半は興梠選手に収められたり、ダイレクトプレーでいつもやっている、サイドから斜めに入れてシャドー2枚がサポートに入ったり、ウィングバックが入ったりするところで前半は抑えきれませんでした。それは残念でした。
前半は拮抗したなかで1−1というスコアは妥当だったと思います。後半は鹿島の内容が非常によかったと思いますが、サイドの崩しまではいいけどクロスの精度がまだ欠けていたり、前半で起きていたのはダヴィ選手が大外のセンターバックの後ろに入ってしまっていた。ハーフタイムで僕が要求したのはペナルティアークの辺りに入ってくれということでした。そうするとニアでもファーでも対応できるようになってくるので、ポジション取りを要求しました。前半の消耗度、後半の消耗度を考えた上で、アントラーズが見せたパフォーマンスは規律の部分を含めて、よかったと思いますし、特に対戦相手の質、能力を考えると素晴らしい試合ができたと思います」
Q:この緊迫感ある試合で杉本選手を使ったが、評価は?
「今いる選手たちが僕が使えると思う戦力であって、杉本選手はチームのために練習に取り組み、そしてチームの一員になるために練習に取り組む意識を持っている選手です。それは、チームが苦しいときにこそ一番必要なことであって、それを彼がやり続けていることを僕は見ていましたし、彼が変わろうとしている、成長しようとする努力を見ていました。まだ足りないところは多くありますけど、弱い相手に対して活躍するのはどの選手でもできますが、強い選手に対してどれくらいできるかというところで、その選手がどのレベルにあるのかが分かってきます。それを僕は彼らにはずっと言い続けていますし、彼はそれを勇敢に示したと思います。今日のパフォーマンスは、僕が求めたことに関しては全力で犠牲心を持って、勇敢に戦ったと評価しています。
ユースに4人ほど面白い選手がいますが、僕は使いたいのですけど登録上できないと言われているので、もうちょっと待ちたいと思います。若い選手というのは意欲があって、願望があって、ハングリーさがあります。彼らを使って失敗した方が明るい未来になると思います。ベテランや中堅の選手で欲がなくなった者は、前に進むことができなくなりますから、それを失った者を使うよりは、若い選手で戦った方がクラブにとっても、サポーターにとっても明るい未来につながっていくのではないかなと思います。それがチーム再建するための血の部分だと思います」
Q:監督は精神的なものを大事にされているというのはハーフタイムのコメントからも感じられますが、ご自身の経験から世界でそういったものはどれくらい大事なものか語ってください。
「メンタルコンディションは専門分野ではないので知識を持っていませんし、どの効果はよく分かりません。実の息子が10年くらい精神科医に通ってセラピーを受けていますが、いつよくなるのかなという思いでいるので、その意味はサッカーにおいては何も言うことはできません。ただ、選手たちは水曜日、土曜日という試合の流れが当たり前になっていて、水曜に試合をした後に土曜までメンタルトレーナーだったり、精神科医の専門家にメンタルのネガティブな部分をどうにかできるかと言えば、どうかなと思う。もしかしたらそういう専門知識のある方はできるのかもしれませんが、僕自身の経験から言えば、ミスや過去のことを引きずっても、土曜に試合があるので自分で切り替えるしかないし、自分で前に向かっていくしかない。ブラジルで言われていることですが、ボールは止まりません。人生同様、常に生きながら学んでいく。試合中でも、落ち込んでいる間に前に行かれてしまいますし、頭を抱えている選手がいますが、その間にサッカーの人生は進んでいます。自分でどうにかするしかないと思いますし、そういう話を選手たちにしたことがあります。落ち込んでいる暇があったら、次に切り替えた方がいいと思います」
以上
【J1:第17節 浦和 vs 鹿島】試合終了後の各選手コメント(14.07.27)
●柴崎岳選手(鹿島)
「(シュートは)横に人がいるのも見えたけど、相手に付かれていたので、思い切り自分で打とうと思った」
Q:あのコースはGKの苦手とするところだが?
「とりあえず顔の横辺りに高く打とうという意図はあった。ファーでもニアでもよかったけど、あまり反応できないところだったと思う」
Q:引き分けという結果については?
「ショックというか、勝てる要素はある試合だったので。うれしさよりも悔しさの方が勝る3試合だし、大宮戦と今回はセットプレーでやられている。試合前から監督がセットプレーでしっかりと集中して守るようにという指示があったし、練習の中でもセットプレーはある程度時間を割いてやっているなかで、この2試合それでやられているのは、個人個人の意識の改善が必要だと思う。チームとしてセットプレーでの集中力を高めないといけない。セットプレーは一対一だし、うちはマンツーマンでやっているし、ポジション取りだったり、タイミングだったりで負けてはいけない。逆にこちらはああいうセットプレーで決めていないし、やり返すくらいの地力がほしい。これをいい教訓として受け止めないといけない」
[ J1:第17節 浦和 vs 鹿島 ]

先制を許した鹿島は30分、ダヴィのスルーパスに抜け出した柴崎岳がニアサイドに打ち抜き同点ゴールを決めた。しかし引き分けに終わり笑顔なくスタジアムを後にした。
浦和ゴールをこじ開けた鹿島MF柴崎「反応できないところに打てた」
14/7/27 23:04
[7.27 J1第17節 浦和1-1鹿島 埼スタ]

鉄壁の守備を背番号20が打ち破った。相手はJ1新記録の7試合連続完封中の浦和レッズ。序盤からゴールを強襲した鹿島アントラーズだったが、GK西川周作の好セーブに遭ってネットを揺らせない。前半20分にはFW興梠慎三に先制ゴールを奪われて劣勢に立たされたが、嫌な流れをMF柴崎岳が断ち切った。
前半30分、DF植田直通が相手の縦パスをインターセプトすると、柴崎はすぐさま右サイドを駆け上がる。MF土居聖真、FWダヴィを経由したボールをフリーで呼び込むと、西川の動きをしっかりと確認して強烈なシュートをニアサイドに叩き込んだ。7試合無失点という、浦和が築き上げた鉄の壁を打ち砕いた瞬間だった。
「横に(土居)聖真が見えましたが相手につかれていたので、思い切り自分で打とうかなと思いました。とりあえず(GKの)顔の横のあたり、高い位置にシュートを打とうという意図があったので、ニアでもファーでもどちらでも良かったのですが、あまり反応できないところには打てたかなと思います」とゴールシーンを振り返った。
この日は攻撃面だけでなく、守備面でも貢献した。相手2シャドーのMF柏木陽介、MF梅崎司への監視を怠ることなく、自由を奪う。2人に向けて縦パスが配球されるや、鋭い出足で相手の前に体を入れてインターセプトを成功させると、その勢いのまま攻撃に移ってチャンスを生み出した。
しかし、結果的には3試合連続の引き分けに終わり、本人も納得のいかない表情を浮かべた。「ショックというか、どれも勝てる要素のある試合だったと思うので、僕の中では嬉しさよりも悔しさが勝る3試合でした」と語ると、「大宮戦と今日の試合はセットプレーからの失点でやられているので、個人個人の意識の改革が必要だし、チームとしてセットプレー時には集中力を高めないといけない。これを教訓として受け止めないといけません」と個人として、そしてチームとしてさらなる成長を期した。
(取材・文 折戸岳彦)
18歳のJデビュー、鹿島MF杉本「鹿島を背負う責任感が強まった」
14/7/27 23:49
[7.27 J1第17節 浦和1-1鹿島 埼スタ]

18歳の若武者が大きな一歩を踏み出した。第3節以来となるベンチ入りを果たした鹿島アントラーズのMF杉本太郎は、この試合で自分がJリーグデビューする予感があったと語った。「ベンチに入ったことで正直、今日は出れるかなと思っていました。何となく、雰囲気的に」と――。
そして1-1で迎えた後半23分、その予感が的中する。MF豊川雄太に代わり、ピッチに送り出された杉本は念願のJデビューを飾ることとなった。同点で迎えた試合途中での投入となったが、「とりあえず思い切りやれと言われました。思っていたよりも緊張もなかったし、雰囲気にのまれることはなく、思い切ってやれたと思います」。試合後にそう語ったように、18歳ながらも物怖じしない姿勢を見せてピッチ上で存在感を示した。
右サイドハーフのポジションで投入されると、直後の後半24分にはMFカイオのスルーパスを受けて、PA内で積極的な仕掛けを披露。対面するDF槙野智章にも激しく体をぶつけて守備をこなすだけでなく、同32分にはFWダヴィとのパス交換から自身初シュートを放つなど、思い切りの良いプレーで鹿島サポーターを沸かせた。
シュートがジャストミートしなかったこともあり、「自分の中では余裕を持っていましたが、相手のスライディングが視界に入って、それが気になってしまいました。チャンスがあった分、ゴールも決めたかったです」と反省を口にしたが、「でも、いい勉強になりました。試合に出たことで気持ちの余裕も出てきますし、自信もついたと思うので、もっと思い切ったプレーが練習から出せると思います」と、すぐさま視線を上に向けた。
プロデビューを飾ったことで、新たな世界も見えてきたようだ。「今まで思っていた以上の責任感を感じました。これから戦って、鹿島を背負うんだぞという。そういう気持ちがより一層強くなりました」と語るだけでなく、「試合に出たことで満足するわけではありません。自分がチームのために走り、気持ちの入ったプレーを見せて盛り上げていきたいし、もっと前へ、前へという意識を持ってゴールも決められればと思います」と今後に向けて意気込みを示した。1996年生まれの18歳の物語は、まだ始まったばかりだ。
(取材・文 折戸岳彦)
広島柴崎弾で分け「逆転できず残念」監督
<J1:広島1−1甲府>◇第17節◇27日◇Eスタ
広島は甲府に前半21分に先制点を奪われたが、後半40分にMF柴崎晃誠(29)の得点でドローに持ち込んだ。
前半33分には相手FWが退場。数的有利の状況だったが、相手の手堅い守備を崩すことができなかった。
森保一監督(45)は「この試合は相手に先制点を与えると厳しい戦いになると思っていた。終盤に相手が疲れたところで同点、逆転と思っていたが逆転できず残念」と肩を落とした。
[2014年7月27日22時20分]
鹿島・杉本が堂々J1デビュー「雰囲気にのまれなかった」
J1第17節(27日、浦和1−1鹿島、埼玉)鹿島の18歳、杉本が後半23分から右MFでJ1初出場した。4万人近い大観衆にも「思ったほど緊張せず、雰囲気にものまれなかった」と堂々とプレーした。
24分の決定機は槙野の鋭いタックルに阻まれ、32分に放ったシュートは弱く、GK西川に止められた。岐阜・帝京大可児高から今季加入した162センチの技巧派は「試合に出たことで気持ちに余裕が生まれ、自信もついた」と話した。(共同)
代表復帰へ意欲!鹿島・柴崎、チームの無失点記録止めた!

浦和−鹿島 前半、同点ゴールを決めた鹿島・柴崎(右から2人目)=埼玉スタジアム
J1第17節(27日、浦和1−1鹿島、埼玉)鹿島のMF柴崎が浦和の無失点記録を止める同点ゴールを決め、「高く打とうと意識した。(GKが)反応できないところだったと思う」と胸を張った。ブラジルW杯はメンバー入りを期待されながら落選。アギレ・ジャパン入りに向け、「前に入っているとか関係なくなる。個人のパファーマンスも出していきたい」と意欲を語った。
(紙面から)

浦和−鹿島 前半、浦和・柏木(右)と競り合う鹿島・柴崎=埼玉スタジアム

鹿島・小笠原と競り合う浦和・柏木=埼玉スタジアム (撮影・桐山弘太)

浦和と引き分けに終わった鹿島イレブン=埼玉スタジアム
柴崎 冷静弾で浦和止めた!期待のボランチ「ロシアに出たい」
J1第17節 鹿島1―1浦和 (7月27日 埼玉)

<浦和・鹿島>後半、鹿島・柴崎が浦和・青木(手前)と競り合う
Photo By スポニチ
鹿島が首位・浦和の連続無失点試合記録を「7」で止めた。1点を追う前半30分に18年W杯ロシア大会でのメンバー入りが期待されるMF柴崎岳(22)が得点して1―1の引き分けに持ち込んだ。5―1で神戸に圧勝したG大阪はFW宇佐美貴史(22)が2得点と活躍。“プラチナ世代”が大暴れした。2位の鳥栖はアウェーでC大阪を1―0で破り、浦和との勝ち点差を2に縮めた。
アギーレジャパンの“心臓”候補が鉄壁の浦和を止めた。1点を追う前半30分、FWダヴィのスルーパスに右サイドを駆け上がってきたMF柴崎が反応。W杯ブラジル大会に選ばれたGK西川との1対1を制し、浦和の連続無失点記録にピリオドを打った。
「横(ゴール前)に聖真(土居)がいたけどマークに付かれていたので自分で打とうと思った。とりあえず高くて強いシュートを打とうという意図があった」。狙い澄ました一撃はニアを打ち抜く今季3ゴール目。シーズン自己最高記録となる得点で、首位・浦和相手に敵地で勝ち点1を手にする原動力となった。
鹿島だけではなく、アギーレジャパンへの期待も高まる。W杯ブラジル大会に出場したMF遠藤は34歳で、主将のMF長谷部も30歳。4年後を見据えればボランチは血の入れ替えが必要となる。4月の国内組の代表候補合宿に招集されたが吉報は届かず、悔しさは人一倍。だからこそ「今回のW杯を見て思うところはあったし、ロシアは出場したい」と4年後への思いを強めた。
「前に代表に呼ばれていたとかの評価は関係なくなる。これからのパフォーマンスで選ぶだろうし、代表に値するパフォーマンスを示していきたい」。ダヴィに通した前半26分のスルーパスのように、ゲームをつくれるまれな存在であることは間違いない。
そして得点シーンのようにタイミングを見て前線へ飛び出せるのも魅力の一つだ。遠藤のパスセンスと長谷部の機動力を持った柴崎が、新生ジャパンのボランチに名を連ねる可能性は十分にある。

<浦和・鹿島>前半、鹿島・柴崎(右)にゴールを決められる浦和・西川
Photo By スポニチ

<浦和・鹿島>後半、鹿島・柴崎がクロスを上げる
Photo By スポニチ
[ 2014年7月28日 05:30 ]
【鹿島】柴崎の右!浦和ゴール8戦ぶりこじ開けた!アギレ日本主軸へアピール
2014年7月28日6時0分 スポーツ報知

前半30分、同点ゴールを決めた鹿島・柴崎(右から2人目)
◆J1第17節 浦和1―1鹿島(27日・埼玉スタジアム)
日本代表のハビエル・アギレ新監督(55)就任発表からの初戦で、新生ジャパン入りを狙う有望株がアピール合戦を繰り広げた。鹿島はMF柴崎岳(22)が首位・浦和から同点ゴールを決め、1―1と引き分けた。浦和の連続無失点記録を歴代2位の659分で止めた。
ゴールを見ていなかった。1点を追う前半30分。柴崎は右45度からドリブルでエリアに進入し、相手GK西川と1対1を迎えた。ゴール前に味方が走り込んでくる、その方向を見ながら、ゴール右上に突き刺した。「狙い通り? そうですね。(GKの)顔の横だったり、とにかく高く打とうと思った」。高度な技術と、それを実行する自信が詰まったゴールだった。
ブラジルW杯をテレビで見た。4得点を記録するなど国を背負って戦うブラジル代表FWネイマール(22)=バルセロナ=ら同世代が得点するシーンを目にした。特にネイマールとは、09年U―17W杯で対戦した時は「まだ、手が届きそうだった」という。それが、5年を経て「(違う世界に)行っちゃうよね」と印象を持ったという。
5年前に日本代表の10番を背負って、ネイマールと渡り合ったボランチは「焦りもある」と心境を明かした。それでも、「(自分も)そっちの世界にも行かなきゃいけない。追いつけるか? 分からない。でも、やるしかない」と心に決めた。ブラジルW杯のメンバー選考では、最終候補に残りながらも、選出されなかった。その差を「実力不足」と整理。「(18年の)ロシアW杯では出場したい」と走り始めた。
ナイターだったこの日も、前半12分に強烈なミドルシュートを放つなど、気温28度、湿度73%の酷暑の中で、運動量を落とさなかった。「もっともっとチャンスを決められた。勝てなくて悔しい方が強い」。MF遠藤(G大阪)から日本代表ボランチの後継者に指名されるなど、アギレ・ジャパンでも主軸となりうる能力を持つ。世界の最高峰を見ながら、柴崎は尽きることのない向上心を燃やしている。(内田 知宏)
◆柴崎 岳(しばさき・がく)1992年5月28日、青森・野辺地町生まれ。22歳。野辺地小2年でサッカーを始める。青森山田高2年時の09年2月に鹿島入りを決断。当時、Jリーグ史上最速のプロ内定選手となった。12年ナビスコ杯決勝でMVP。同年にJリーグベストヤングプレーヤー賞受賞。Jリーグ通算95試合出場5得点。利き足は右。175センチ、64キロ。家族は両親と兄2人。
柴崎、司令塔はオレ弾!浦和無失点阻む
2014年7月28日

前半、同点ゴールを決め、サポーターの声援にガッツポーズで応える鹿島・柴崎
「J1、浦和1-1鹿島」(27日、埼玉)
鹿島はMF柴崎岳(22)が同点ゴールを挙げ、首位・浦和の連続無失点のJ1記録を7試合で止めた。試合は1‐1で引き分けた。
鹿島のボランチ柴崎が、冷静に日本代表GK西川から得点を奪った。浦和の連続無失点試合を「7」で、連続無失点時間を「659分」で止めた。
0‐1で迎えた前半30分、FWダビからのパスに右サイドを抜け出した。ペナルティーエリア内で西川と1対1の絶好機。中央にいたFW土居に一瞬目線を送りフェイントをかけると、ためらいなく右足を振り抜き、ゴール右上を打ち抜いた。
狙い通りか?との問いには「そうですね」と平然と答えた。「顔の横だったり、とにかく高く打とうと思った。ファーかニアかはどちらでもよかった」と、冷静に振り返った。
22歳にして名門・鹿島の中盤を支え、“ポスト遠藤保仁”の呼び声も高い。W杯ブラジル大会は選外だったが、日本代表のザッケローニ前監督も注目はしていた。
「ロシア(W杯)は出場したい。多分、評価は前に(代表に)入っているとか、いないとか関係ないと思う」と意欲十分。アギーレ新監督へのアピールを続ける。
加入4年目の鹿島MF柴崎岳…漂うリーダーの風格と秘めるポテンシャル

鹿島加入4年目となった柴崎岳 [写真]=Getty Images
浦和レッズのJ1無失点記録に終止符を打ったのは、鹿島アントラーズの柴崎岳の放った豪快な一発だった。
首位との敵地での一戦で、1点ビハインドで迎えた30分。植田直通のパスカットを発端に、土居聖真とダヴィを経由して、ボールは一気にゴール前に。カウンターの流れと並走するかのように、自陣から一気に右サイドを駆け上がった柴崎は、ディフェンスラインを抜け出すと右足を振り抜く。
「横に聖真が見えたが、自分で思い切り打とうと思った。高いところに打とうとして、ファーサイドでもニアサイドでもどちらでも良かった。反応できないところもあったと思う」
ニアサイド上を冷静に打ち抜いたシュートは、日本代表GK西川周作でもさすがになす術なしと言ったところか。得点に絡んだ土居も「理想の形」と誇る一連の流れで、659分もの間無失点だった浦和のゴールをこじ開けた。
普段はクールな柴崎も、ゴール直後に大きなガッツポーズを見せた。しかし、勝ち越し点までは奪えず、3試合連続ドローで首位の浦和との勝ち点差は9のまま。「結果はショック」という言葉通り、試合直後にしゃがみ込んだことも勝ち切れなかった故か。
「勝てる要素があった試合なので、嬉しさよりも悔しさがある」
常勝を義務付けられたクラブの主力らしい言葉が続いたが、プレー面でも完全にリーダーの風格が出てきている。本人は「特別なことはやっていない」と語ったが、約2カ月間の中断期間を経て、下半身を中心にがっしりして逞しさが増したように映る。接触プレーもいとわず、仲間へのコーチングや審判へのコミュニケーションもこれまでよりも積極的な印象を残す。
1−1で迎えた終盤の86分。カウンターから中盤で大きく右サイドの土居に展開すると、ゴール前に突進。ファーサイドで受けたクロスを繊細なワンタッチパスで本山雅志に落とし、決定機も作り出した。最終盤の勝負所でも見せる衰えない走力と高い技術は、観るものを唸らせる。
「中断前と比べると、ある程度走れているなという実感はあるし、このコンディションを維持していきたい」
将来を嘱望され、ルーキーイヤーから出番をつかんだ22歳。ただ、4年目のスケールアップというよりも、むしろ本領発揮という表現の方がしっくりくるから恐ろしい。
浦和の無失点記録を止める一発は、自己新となるシーズン3ゴール目。秘めるポテンシャルも、まだまだ感じさせる。今季はようやく折り返しを迎えただけに、更なるインパクトの期待は高まるばかりだ。
文=小谷紘友
ユースに起用したい選手がいると語るトニーニョ・セレーゾ監督である。
この試合でもルーキーの杉本太郎を送り出し、若手起用に積極的な指揮官と言えよう。
その杉本太郎は、公式戦デビューを振り返り、「今まで思っていた以上の責任感を感じました。これから戦って、鹿島を背負うんだぞという。そういう気持ちがより一層強くなりました」と語る。
将来の鹿島を背負う若者はタイトルへの執念も深く、鹿島らしい選手として成長してくれるであろう。
そして、報道の中心は岳であった。
冷静かつ豪快に同点ゴールを決め、改めて才能の高さを感じさせられた。
ここ3試合、勝ちきれず悔しい思いをしておることが伝えられる。
8月は攻勢をかけ、勝利に導くのだ。
岳の更なる活躍を期待しておる。


鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
・前半の守備のパフォーマンスは、もっと良くすることができたと思う。ただ、経験値というところではやむを得ないところがあるし、19歳と21歳のDFで、興梠選手のような経験値のあるFWを抑えろと言っても難しい部分はある。真ん中に勇敢に出ていくということは、経験があってもできないこともあるから、まだ時間はかかる。ハーフタイムに指示は出して少しは改善されたが、前半は興梠選手のところでボールを収められたり、ダイレクトプレーでサイドから斜めにパスを入れてシャドー2枚やウイングバックがサポートに入る形を抑えきれなかった。それが少し残念だった。1-1というスコアは妥当だと思う。後半は鹿島にとっては良い内容だったが、サイドやペナルティーエリアの横までは行けても、クロスの質を欠いていた。前半で起きていたのは、ダヴィ選手がセンターバックの後ろに入ってしまうこと。ハーフタイムには、ペナルティーマークのあたりに入ってほしいと要求した。そうすればニアでもファーでも、瞬時に入れるようになる。そのポジション取りを要求して、少しは改善できたと思う。
・前後半の消耗度を考えた中で、鹿島のパフォーマンスは戦術的な面を含めて良かったと思う。対戦相手の質や能力を考えれば、すばらしい試合をすることができたと思う。
・今日のレフェリングは非常にすばらしかったと思う。緊迫した試合の中でうまく両チームの選手の感情を平常心に保つことができたのは良かったと思う。
・(杉本を起用した理由は)今いる選手が戦力で、杉本選手はチームのために練習に取り組む意識や犠牲心を持っている。チームが苦しい時にこそ必要なもので、彼はその作業をやり続けている。彼が変わろうとしている、成長しようとしている努力を見ていた。当然ながらまだ足りないところは多くあるが、強い相手に対してどのくらい通用するか、どのようなレベルにあるのかがわかってくる。彼は勇敢に示したと思う。今日のパフォーマンスについては、求めた部分に関しては全力で献身的に勇敢に戦った。評価している。


【柴崎 岳】
横に聖真が見えたけど、思いっきり自分で打とうと思った。高く打つ事を心掛け、ファーでもニアでもどちらでも良かった。ニアで反応できないところもあったと思う。結果は、ショック。勝てる要素があった試合だったので、嬉しさよりも悔しさがある。
【杉本 太郎】
相手が疲れている中でチームのために走って、守備では行く時は強く行く、気持ちの入ったプレーでチームを盛り上げることを考えていた。ナビスコも天皇杯も負けて、リーグしかない。リーグタイトルへの気持ちは強く持っている。このような試合に出場できた事は自信がついた。練習から思いきったプレーが出来ていたと思う。
【本山 雅志】
GKの左足にあたったシュートは、チャンスが少なかっただけに決めなくてはいけなかった。選手たちの気持ちも入っていたし、DFも良く跳ね返していた。ガチガチなゲームになってしまったが、自分たちがボールを保持している時は、落ち着いてボールを回せていたと思う。あとはフィニッシュの精度。勝てたのに残念な試合だった。
2014年07月27日(日)

本日行われたJ1第17節浦和戦は1-1で引き分けに終わりました。
【J1:第17節 浦和 vs 鹿島】トニーニョセレーゾ監督(鹿島)記者会見コメント(14.07.27)
7月27日(日) 2014 J1リーグ戦 第17節
浦和 1 - 1 鹿島 (18:04/埼玉/39,205人)
得点者:20' 興梠慎三(浦和)、30' 柴崎岳(鹿島)
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●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:今日の試合は両方にチャンスがあったが、どうしたら勝ち切れたと思うか?
「前半の守備のパフォーマンスをよくすることはできたと思います。でもやむを得ないところがあって、センターバックの2人は19歳と21歳で経験があまりないので、興梠選手のような経験値の高い選手を抑えるのはなかなか難しい。真ん中に勇敢に出て行くのは経験があっても時々できないことだし、もう少し時間がかかると思います。ハーフタイムに少し指示を出して、少し改善できましたが、前半は興梠選手に収められたり、ダイレクトプレーでいつもやっている、サイドから斜めに入れてシャドー2枚がサポートに入ったり、ウィングバックが入ったりするところで前半は抑えきれませんでした。それは残念でした。
前半は拮抗したなかで1−1というスコアは妥当だったと思います。後半は鹿島の内容が非常によかったと思いますが、サイドの崩しまではいいけどクロスの精度がまだ欠けていたり、前半で起きていたのはダヴィ選手が大外のセンターバックの後ろに入ってしまっていた。ハーフタイムで僕が要求したのはペナルティアークの辺りに入ってくれということでした。そうするとニアでもファーでも対応できるようになってくるので、ポジション取りを要求しました。前半の消耗度、後半の消耗度を考えた上で、アントラーズが見せたパフォーマンスは規律の部分を含めて、よかったと思いますし、特に対戦相手の質、能力を考えると素晴らしい試合ができたと思います」
Q:この緊迫感ある試合で杉本選手を使ったが、評価は?
「今いる選手たちが僕が使えると思う戦力であって、杉本選手はチームのために練習に取り組み、そしてチームの一員になるために練習に取り組む意識を持っている選手です。それは、チームが苦しいときにこそ一番必要なことであって、それを彼がやり続けていることを僕は見ていましたし、彼が変わろうとしている、成長しようとする努力を見ていました。まだ足りないところは多くありますけど、弱い相手に対して活躍するのはどの選手でもできますが、強い選手に対してどれくらいできるかというところで、その選手がどのレベルにあるのかが分かってきます。それを僕は彼らにはずっと言い続けていますし、彼はそれを勇敢に示したと思います。今日のパフォーマンスは、僕が求めたことに関しては全力で犠牲心を持って、勇敢に戦ったと評価しています。
ユースに4人ほど面白い選手がいますが、僕は使いたいのですけど登録上できないと言われているので、もうちょっと待ちたいと思います。若い選手というのは意欲があって、願望があって、ハングリーさがあります。彼らを使って失敗した方が明るい未来になると思います。ベテランや中堅の選手で欲がなくなった者は、前に進むことができなくなりますから、それを失った者を使うよりは、若い選手で戦った方がクラブにとっても、サポーターにとっても明るい未来につながっていくのではないかなと思います。それがチーム再建するための血の部分だと思います」
Q:監督は精神的なものを大事にされているというのはハーフタイムのコメントからも感じられますが、ご自身の経験から世界でそういったものはどれくらい大事なものか語ってください。
「メンタルコンディションは専門分野ではないので知識を持っていませんし、どの効果はよく分かりません。実の息子が10年くらい精神科医に通ってセラピーを受けていますが、いつよくなるのかなという思いでいるので、その意味はサッカーにおいては何も言うことはできません。ただ、選手たちは水曜日、土曜日という試合の流れが当たり前になっていて、水曜に試合をした後に土曜までメンタルトレーナーだったり、精神科医の専門家にメンタルのネガティブな部分をどうにかできるかと言えば、どうかなと思う。もしかしたらそういう専門知識のある方はできるのかもしれませんが、僕自身の経験から言えば、ミスや過去のことを引きずっても、土曜に試合があるので自分で切り替えるしかないし、自分で前に向かっていくしかない。ブラジルで言われていることですが、ボールは止まりません。人生同様、常に生きながら学んでいく。試合中でも、落ち込んでいる間に前に行かれてしまいますし、頭を抱えている選手がいますが、その間にサッカーの人生は進んでいます。自分でどうにかするしかないと思いますし、そういう話を選手たちにしたことがあります。落ち込んでいる暇があったら、次に切り替えた方がいいと思います」
以上
【J1:第17節 浦和 vs 鹿島】試合終了後の各選手コメント(14.07.27)
●柴崎岳選手(鹿島)
「(シュートは)横に人がいるのも見えたけど、相手に付かれていたので、思い切り自分で打とうと思った」
Q:あのコースはGKの苦手とするところだが?
「とりあえず顔の横辺りに高く打とうという意図はあった。ファーでもニアでもよかったけど、あまり反応できないところだったと思う」
Q:引き分けという結果については?
「ショックというか、勝てる要素はある試合だったので。うれしさよりも悔しさの方が勝る3試合だし、大宮戦と今回はセットプレーでやられている。試合前から監督がセットプレーでしっかりと集中して守るようにという指示があったし、練習の中でもセットプレーはある程度時間を割いてやっているなかで、この2試合それでやられているのは、個人個人の意識の改善が必要だと思う。チームとしてセットプレーでの集中力を高めないといけない。セットプレーは一対一だし、うちはマンツーマンでやっているし、ポジション取りだったり、タイミングだったりで負けてはいけない。逆にこちらはああいうセットプレーで決めていないし、やり返すくらいの地力がほしい。これをいい教訓として受け止めないといけない」
[ J1:第17節 浦和 vs 鹿島 ]

先制を許した鹿島は30分、ダヴィのスルーパスに抜け出した柴崎岳がニアサイドに打ち抜き同点ゴールを決めた。しかし引き分けに終わり笑顔なくスタジアムを後にした。
浦和ゴールをこじ開けた鹿島MF柴崎「反応できないところに打てた」
14/7/27 23:04
[7.27 J1第17節 浦和1-1鹿島 埼スタ]

鉄壁の守備を背番号20が打ち破った。相手はJ1新記録の7試合連続完封中の浦和レッズ。序盤からゴールを強襲した鹿島アントラーズだったが、GK西川周作の好セーブに遭ってネットを揺らせない。前半20分にはFW興梠慎三に先制ゴールを奪われて劣勢に立たされたが、嫌な流れをMF柴崎岳が断ち切った。
前半30分、DF植田直通が相手の縦パスをインターセプトすると、柴崎はすぐさま右サイドを駆け上がる。MF土居聖真、FWダヴィを経由したボールをフリーで呼び込むと、西川の動きをしっかりと確認して強烈なシュートをニアサイドに叩き込んだ。7試合無失点という、浦和が築き上げた鉄の壁を打ち砕いた瞬間だった。
「横に(土居)聖真が見えましたが相手につかれていたので、思い切り自分で打とうかなと思いました。とりあえず(GKの)顔の横のあたり、高い位置にシュートを打とうという意図があったので、ニアでもファーでもどちらでも良かったのですが、あまり反応できないところには打てたかなと思います」とゴールシーンを振り返った。
この日は攻撃面だけでなく、守備面でも貢献した。相手2シャドーのMF柏木陽介、MF梅崎司への監視を怠ることなく、自由を奪う。2人に向けて縦パスが配球されるや、鋭い出足で相手の前に体を入れてインターセプトを成功させると、その勢いのまま攻撃に移ってチャンスを生み出した。
しかし、結果的には3試合連続の引き分けに終わり、本人も納得のいかない表情を浮かべた。「ショックというか、どれも勝てる要素のある試合だったと思うので、僕の中では嬉しさよりも悔しさが勝る3試合でした」と語ると、「大宮戦と今日の試合はセットプレーからの失点でやられているので、個人個人の意識の改革が必要だし、チームとしてセットプレー時には集中力を高めないといけない。これを教訓として受け止めないといけません」と個人として、そしてチームとしてさらなる成長を期した。
(取材・文 折戸岳彦)
18歳のJデビュー、鹿島MF杉本「鹿島を背負う責任感が強まった」
14/7/27 23:49
[7.27 J1第17節 浦和1-1鹿島 埼スタ]

18歳の若武者が大きな一歩を踏み出した。第3節以来となるベンチ入りを果たした鹿島アントラーズのMF杉本太郎は、この試合で自分がJリーグデビューする予感があったと語った。「ベンチに入ったことで正直、今日は出れるかなと思っていました。何となく、雰囲気的に」と――。
そして1-1で迎えた後半23分、その予感が的中する。MF豊川雄太に代わり、ピッチに送り出された杉本は念願のJデビューを飾ることとなった。同点で迎えた試合途中での投入となったが、「とりあえず思い切りやれと言われました。思っていたよりも緊張もなかったし、雰囲気にのまれることはなく、思い切ってやれたと思います」。試合後にそう語ったように、18歳ながらも物怖じしない姿勢を見せてピッチ上で存在感を示した。
右サイドハーフのポジションで投入されると、直後の後半24分にはMFカイオのスルーパスを受けて、PA内で積極的な仕掛けを披露。対面するDF槙野智章にも激しく体をぶつけて守備をこなすだけでなく、同32分にはFWダヴィとのパス交換から自身初シュートを放つなど、思い切りの良いプレーで鹿島サポーターを沸かせた。
シュートがジャストミートしなかったこともあり、「自分の中では余裕を持っていましたが、相手のスライディングが視界に入って、それが気になってしまいました。チャンスがあった分、ゴールも決めたかったです」と反省を口にしたが、「でも、いい勉強になりました。試合に出たことで気持ちの余裕も出てきますし、自信もついたと思うので、もっと思い切ったプレーが練習から出せると思います」と、すぐさま視線を上に向けた。
プロデビューを飾ったことで、新たな世界も見えてきたようだ。「今まで思っていた以上の責任感を感じました。これから戦って、鹿島を背負うんだぞという。そういう気持ちがより一層強くなりました」と語るだけでなく、「試合に出たことで満足するわけではありません。自分がチームのために走り、気持ちの入ったプレーを見せて盛り上げていきたいし、もっと前へ、前へという意識を持ってゴールも決められればと思います」と今後に向けて意気込みを示した。1996年生まれの18歳の物語は、まだ始まったばかりだ。
(取材・文 折戸岳彦)
広島柴崎弾で分け「逆転できず残念」監督
<J1:広島1−1甲府>◇第17節◇27日◇Eスタ
広島は甲府に前半21分に先制点を奪われたが、後半40分にMF柴崎晃誠(29)の得点でドローに持ち込んだ。
前半33分には相手FWが退場。数的有利の状況だったが、相手の手堅い守備を崩すことができなかった。
森保一監督(45)は「この試合は相手に先制点を与えると厳しい戦いになると思っていた。終盤に相手が疲れたところで同点、逆転と思っていたが逆転できず残念」と肩を落とした。
[2014年7月27日22時20分]
鹿島・杉本が堂々J1デビュー「雰囲気にのまれなかった」
J1第17節(27日、浦和1−1鹿島、埼玉)鹿島の18歳、杉本が後半23分から右MFでJ1初出場した。4万人近い大観衆にも「思ったほど緊張せず、雰囲気にものまれなかった」と堂々とプレーした。
24分の決定機は槙野の鋭いタックルに阻まれ、32分に放ったシュートは弱く、GK西川に止められた。岐阜・帝京大可児高から今季加入した162センチの技巧派は「試合に出たことで気持ちに余裕が生まれ、自信もついた」と話した。(共同)
代表復帰へ意欲!鹿島・柴崎、チームの無失点記録止めた!

浦和−鹿島 前半、同点ゴールを決めた鹿島・柴崎(右から2人目)=埼玉スタジアム
J1第17節(27日、浦和1−1鹿島、埼玉)鹿島のMF柴崎が浦和の無失点記録を止める同点ゴールを決め、「高く打とうと意識した。(GKが)反応できないところだったと思う」と胸を張った。ブラジルW杯はメンバー入りを期待されながら落選。アギレ・ジャパン入りに向け、「前に入っているとか関係なくなる。個人のパファーマンスも出していきたい」と意欲を語った。
(紙面から)

浦和−鹿島 前半、浦和・柏木(右)と競り合う鹿島・柴崎=埼玉スタジアム

鹿島・小笠原と競り合う浦和・柏木=埼玉スタジアム (撮影・桐山弘太)

浦和と引き分けに終わった鹿島イレブン=埼玉スタジアム
柴崎 冷静弾で浦和止めた!期待のボランチ「ロシアに出たい」
J1第17節 鹿島1―1浦和 (7月27日 埼玉)

<浦和・鹿島>後半、鹿島・柴崎が浦和・青木(手前)と競り合う
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鹿島が首位・浦和の連続無失点試合記録を「7」で止めた。1点を追う前半30分に18年W杯ロシア大会でのメンバー入りが期待されるMF柴崎岳(22)が得点して1―1の引き分けに持ち込んだ。5―1で神戸に圧勝したG大阪はFW宇佐美貴史(22)が2得点と活躍。“プラチナ世代”が大暴れした。2位の鳥栖はアウェーでC大阪を1―0で破り、浦和との勝ち点差を2に縮めた。
アギーレジャパンの“心臓”候補が鉄壁の浦和を止めた。1点を追う前半30分、FWダヴィのスルーパスに右サイドを駆け上がってきたMF柴崎が反応。W杯ブラジル大会に選ばれたGK西川との1対1を制し、浦和の連続無失点記録にピリオドを打った。
「横(ゴール前)に聖真(土居)がいたけどマークに付かれていたので自分で打とうと思った。とりあえず高くて強いシュートを打とうという意図があった」。狙い澄ました一撃はニアを打ち抜く今季3ゴール目。シーズン自己最高記録となる得点で、首位・浦和相手に敵地で勝ち点1を手にする原動力となった。
鹿島だけではなく、アギーレジャパンへの期待も高まる。W杯ブラジル大会に出場したMF遠藤は34歳で、主将のMF長谷部も30歳。4年後を見据えればボランチは血の入れ替えが必要となる。4月の国内組の代表候補合宿に招集されたが吉報は届かず、悔しさは人一倍。だからこそ「今回のW杯を見て思うところはあったし、ロシアは出場したい」と4年後への思いを強めた。
「前に代表に呼ばれていたとかの評価は関係なくなる。これからのパフォーマンスで選ぶだろうし、代表に値するパフォーマンスを示していきたい」。ダヴィに通した前半26分のスルーパスのように、ゲームをつくれるまれな存在であることは間違いない。
そして得点シーンのようにタイミングを見て前線へ飛び出せるのも魅力の一つだ。遠藤のパスセンスと長谷部の機動力を持った柴崎が、新生ジャパンのボランチに名を連ねる可能性は十分にある。

<浦和・鹿島>前半、鹿島・柴崎(右)にゴールを決められる浦和・西川
Photo By スポニチ

<浦和・鹿島>後半、鹿島・柴崎がクロスを上げる
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[ 2014年7月28日 05:30 ]
【鹿島】柴崎の右!浦和ゴール8戦ぶりこじ開けた!アギレ日本主軸へアピール
2014年7月28日6時0分 スポーツ報知

前半30分、同点ゴールを決めた鹿島・柴崎(右から2人目)
◆J1第17節 浦和1―1鹿島(27日・埼玉スタジアム)
日本代表のハビエル・アギレ新監督(55)就任発表からの初戦で、新生ジャパン入りを狙う有望株がアピール合戦を繰り広げた。鹿島はMF柴崎岳(22)が首位・浦和から同点ゴールを決め、1―1と引き分けた。浦和の連続無失点記録を歴代2位の659分で止めた。
ゴールを見ていなかった。1点を追う前半30分。柴崎は右45度からドリブルでエリアに進入し、相手GK西川と1対1を迎えた。ゴール前に味方が走り込んでくる、その方向を見ながら、ゴール右上に突き刺した。「狙い通り? そうですね。(GKの)顔の横だったり、とにかく高く打とうと思った」。高度な技術と、それを実行する自信が詰まったゴールだった。
ブラジルW杯をテレビで見た。4得点を記録するなど国を背負って戦うブラジル代表FWネイマール(22)=バルセロナ=ら同世代が得点するシーンを目にした。特にネイマールとは、09年U―17W杯で対戦した時は「まだ、手が届きそうだった」という。それが、5年を経て「(違う世界に)行っちゃうよね」と印象を持ったという。
5年前に日本代表の10番を背負って、ネイマールと渡り合ったボランチは「焦りもある」と心境を明かした。それでも、「(自分も)そっちの世界にも行かなきゃいけない。追いつけるか? 分からない。でも、やるしかない」と心に決めた。ブラジルW杯のメンバー選考では、最終候補に残りながらも、選出されなかった。その差を「実力不足」と整理。「(18年の)ロシアW杯では出場したい」と走り始めた。
ナイターだったこの日も、前半12分に強烈なミドルシュートを放つなど、気温28度、湿度73%の酷暑の中で、運動量を落とさなかった。「もっともっとチャンスを決められた。勝てなくて悔しい方が強い」。MF遠藤(G大阪)から日本代表ボランチの後継者に指名されるなど、アギレ・ジャパンでも主軸となりうる能力を持つ。世界の最高峰を見ながら、柴崎は尽きることのない向上心を燃やしている。(内田 知宏)
◆柴崎 岳(しばさき・がく)1992年5月28日、青森・野辺地町生まれ。22歳。野辺地小2年でサッカーを始める。青森山田高2年時の09年2月に鹿島入りを決断。当時、Jリーグ史上最速のプロ内定選手となった。12年ナビスコ杯決勝でMVP。同年にJリーグベストヤングプレーヤー賞受賞。Jリーグ通算95試合出場5得点。利き足は右。175センチ、64キロ。家族は両親と兄2人。
柴崎、司令塔はオレ弾!浦和無失点阻む
2014年7月28日

前半、同点ゴールを決め、サポーターの声援にガッツポーズで応える鹿島・柴崎
「J1、浦和1-1鹿島」(27日、埼玉)
鹿島はMF柴崎岳(22)が同点ゴールを挙げ、首位・浦和の連続無失点のJ1記録を7試合で止めた。試合は1‐1で引き分けた。
鹿島のボランチ柴崎が、冷静に日本代表GK西川から得点を奪った。浦和の連続無失点試合を「7」で、連続無失点時間を「659分」で止めた。
0‐1で迎えた前半30分、FWダビからのパスに右サイドを抜け出した。ペナルティーエリア内で西川と1対1の絶好機。中央にいたFW土居に一瞬目線を送りフェイントをかけると、ためらいなく右足を振り抜き、ゴール右上を打ち抜いた。
狙い通りか?との問いには「そうですね」と平然と答えた。「顔の横だったり、とにかく高く打とうと思った。ファーかニアかはどちらでもよかった」と、冷静に振り返った。
22歳にして名門・鹿島の中盤を支え、“ポスト遠藤保仁”の呼び声も高い。W杯ブラジル大会は選外だったが、日本代表のザッケローニ前監督も注目はしていた。
「ロシア(W杯)は出場したい。多分、評価は前に(代表に)入っているとか、いないとか関係ないと思う」と意欲十分。アギーレ新監督へのアピールを続ける。
加入4年目の鹿島MF柴崎岳…漂うリーダーの風格と秘めるポテンシャル

鹿島加入4年目となった柴崎岳 [写真]=Getty Images
浦和レッズのJ1無失点記録に終止符を打ったのは、鹿島アントラーズの柴崎岳の放った豪快な一発だった。
首位との敵地での一戦で、1点ビハインドで迎えた30分。植田直通のパスカットを発端に、土居聖真とダヴィを経由して、ボールは一気にゴール前に。カウンターの流れと並走するかのように、自陣から一気に右サイドを駆け上がった柴崎は、ディフェンスラインを抜け出すと右足を振り抜く。
「横に聖真が見えたが、自分で思い切り打とうと思った。高いところに打とうとして、ファーサイドでもニアサイドでもどちらでも良かった。反応できないところもあったと思う」
ニアサイド上を冷静に打ち抜いたシュートは、日本代表GK西川周作でもさすがになす術なしと言ったところか。得点に絡んだ土居も「理想の形」と誇る一連の流れで、659分もの間無失点だった浦和のゴールをこじ開けた。
普段はクールな柴崎も、ゴール直後に大きなガッツポーズを見せた。しかし、勝ち越し点までは奪えず、3試合連続ドローで首位の浦和との勝ち点差は9のまま。「結果はショック」という言葉通り、試合直後にしゃがみ込んだことも勝ち切れなかった故か。
「勝てる要素があった試合なので、嬉しさよりも悔しさがある」
常勝を義務付けられたクラブの主力らしい言葉が続いたが、プレー面でも完全にリーダーの風格が出てきている。本人は「特別なことはやっていない」と語ったが、約2カ月間の中断期間を経て、下半身を中心にがっしりして逞しさが増したように映る。接触プレーもいとわず、仲間へのコーチングや審判へのコミュニケーションもこれまでよりも積極的な印象を残す。
1−1で迎えた終盤の86分。カウンターから中盤で大きく右サイドの土居に展開すると、ゴール前に突進。ファーサイドで受けたクロスを繊細なワンタッチパスで本山雅志に落とし、決定機も作り出した。最終盤の勝負所でも見せる衰えない走力と高い技術は、観るものを唸らせる。
「中断前と比べると、ある程度走れているなという実感はあるし、このコンディションを維持していきたい」
将来を嘱望され、ルーキーイヤーから出番をつかんだ22歳。ただ、4年目のスケールアップというよりも、むしろ本領発揮という表現の方がしっくりくるから恐ろしい。
浦和の無失点記録を止める一発は、自己新となるシーズン3ゴール目。秘めるポテンシャルも、まだまだ感じさせる。今季はようやく折り返しを迎えただけに、更なるインパクトの期待は高まるばかりだ。
文=小谷紘友
ユースに起用したい選手がいると語るトニーニョ・セレーゾ監督である。
この試合でもルーキーの杉本太郎を送り出し、若手起用に積極的な指揮官と言えよう。
その杉本太郎は、公式戦デビューを振り返り、「今まで思っていた以上の責任感を感じました。これから戦って、鹿島を背負うんだぞという。そういう気持ちがより一層強くなりました」と語る。
将来の鹿島を背負う若者はタイトルへの執念も深く、鹿島らしい選手として成長してくれるであろう。
そして、報道の中心は岳であった。
冷静かつ豪快に同点ゴールを決め、改めて才能の高さを感じさせられた。
ここ3試合、勝ちきれず悔しい思いをしておることが伝えられる。
8月は攻勢をかけ、勝利に導くのだ。
岳の更なる活躍を期待しておる。