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鹿島の本当の力が試される

選手の成長と激しいポジション争いでチーム力が向上した鹿島。主力3人欠くFC東京戦は、真価が問われる一戦に
2014年08月29日
text by 青木務 photo Getty Images


苦しい展開でも勝ちきれる

 2008年から6年間勝てていなかった日本平でようやく勝利を収めた。


勝負を決めたのは頼れるキャプテン小笠原満男だった【写真:Getty Images】

 前節、鹿島アントラーズはアウェイで清水エスパルスを破り、勝点3を積み上げた。そして、勝っても勝っても4位から動かなかった順位もようやく3位に浮上。首位との勝点差を2に縮めた。

 この試合で勝負を決めたのは頼れるキャプテンだった。1点ビハインドの後半16分、MF小笠原満男がPKを決めて同点とすると、その7分後にも再び小笠原。GKとの駆け引きを制し直接FKを叩き込むと、3-1の逆転勝利の立役者となった。苦しい展開で見せたベテランのパフォーマンス。35歳となった今でも、小笠原は欠くことのできない存在だ。

 清水に逆転勝利を収めた鹿島は、その前の週にはヴァンフォーレ甲府を相手に虎の子の1点を守りきっている。

 20節の甲府戦、鹿島は試合開始19秒で先制に成功した。MF柴崎岳が放った意表を突くロングシュートは、無回転のままGKの手前で軌道を変え、ゴールに突き刺さった。

 前方にはFWダヴィもおり、ドリブルでバイタルエリアまで持ち込んでラストパス、という流れでも決定機にはなっただろう。それでも、背番号20は迷わず右足を振り抜いた。自信がなければできない決断だった。

 柴崎のスーパーゴールがクローズアップされる試合だったが、その後は相手にチャンスを作られたのも事実。フリーでのシュートを許す場面もいくつかあり、GK曽ヶ端準のビッグセーブがなければ完封勝利はできなかっただろう。

 それでも、勝つことができた。盤石の戦いの末の1-0ではなかったのも事実だが、甲府戦の勝利は、若いチームが今後成熟していく上で必要な経験だったはずだ。

 圧倒的な強さを誇示しての勝利は多くないが、今の鹿島は1試合ごとに強さを増している印象すらある。再開後、3試合連続ドローと足踏みが続いたが、その後は4連勝と波に乗っている。甲府戦や清水戦のように、危ないシーンがありながら勝利で終われている。その光景は強い時の鹿島を思わせるものだ。

鹿島の戦術に溶け込んできたダヴィ

 そんな鹿島にあって、移籍2年目のダヴィのパフォーマンスは見逃せない。昨シーズンは大迫勇也(1.FCケルン)がエースとして大活躍したが、ダヴィは加入1年目ということもあってフィットしきれず、持ち味を発揮したとは言えなかった。独善的なプレーも多く、リーグ戦で10得点は挙げたが、チームプレーには課題が残った。

 今年は鹿島の戦術に溶け込んできている。味方にパスを出すべき場面で単独突破を試みたり、強引なシュートを放つ場面は今も確かにある。だが例えば、鹿島のリーグ3連覇に大きく貢献したマルキーニョス(ヴィッセル神戸)も、強引に狙うことは少なくなかった。

 マルキーニョスと昨年のダヴィの違いは、前者は味方を活かすことも心得ていた、ということだ。昨年のダヴィにはそれが欠けていたが、今シーズンは貪欲に得点を奪いにいく姿勢を見せつつ、周囲とのコンビネーションも円滑になっている。

 チームメイトもダヴィの活かし方を掴んでいる様子で、ディフェンスラインの裏にスペースがあれば迷わずダヴィを走らせる。スピード豊かなこのブラジル人ストライカーも、そのパスに対して矢のような飛び出しを見せる。

 ここまでチームトップの9得点を記録しているが、シュート数の多さを考えると物足りなく映るのも事実。だが昨年と違うのは、そのシュートが無闇に放たれた可能性の低いものではなく、チームメイトのお膳立てからフィニッシュに至っているということだ。

 そして、攻撃だけでなく守備でも効いている。前線からのプレスは鬼気迫るものがあり、トップスピードで猛然とボールを追う姿は相手の焦りを誘発し、味方の押し上げも促す。

 夏場の試合を落とすことの多かった鹿島が調子を維持しているのは、前線でダヴィが奮闘していることと無関係ではないはずだ。

 そして、前節を終えてリーグトップの41得点を挙げている鹿島だが、2列目の破壊力も見逃せない。

2列目を筆頭にどのポジションにも競争がある


トニーニョ・セレーゾ監督が若手を積極的に起用しているから【写真:Getty Images】

 MF土居聖真、MFカイオ、MF遠藤康、MF中村充孝、FW豊川雄太の2列目の選手たちはそれぞれが持ち味を発揮し、誰が出ても相手の守備を崩すことができる。4-2-3-1の「3」を巡る争いは激しいものだ。

 カイオはルーキーながらコンスタントに出場機会を得ており、4得点を挙げている。土居もトップ下に定着し、技術の高さを活かした巧みなドリブルが光る。ダヴィとの距離感も良く、ふたりがバイタルエリアにいることは相手にとって脅威だ。

 他のポジションでも高いレベルでの競争が繰り広げられており、選手層はここ数年で最も厚いといえるだろう。

 ポジション争いがあるのはトニーニョ・セレーゾ監督が若手を積極的に起用しているからだ。起用された20歳前後の選手たちも高いパフォーマンスを披露し、指揮官の期待に応えようとしている。

 その中でベテランも腐ることなくチャンスを伺い、甲府戦はDF青木剛がセンターバックで出場し、最終ラインをまとめた。また右サイドバックのDF西大伍は高卒3年目のDF伊東幸敏の負傷で出場機会を得ると、その後スタメンの座を掴む。18節には誰もが絶賛するスーパーボレーも決めてみせた。

 新加入のMFジョルジ・ワグネルも試合出場が可能になった。更なる競争の激化は必至だが、それを勝ち抜いた者がピッチに立つ。シンプルな競争原理の中で着実に力をつけている鹿島が、リーグの主役の座を掴もうとしている。

 そんな中、今節は鹿島にとって試練の一戦となる。DF植田直通、小笠原、遠藤が出場停止で試合に出ることができない。植田は完全に最終ラインのレギュラーに定着し、小笠原は説明不要の大黒柱。遠藤はここ最近、途中出場からリズムを変えて決定的な仕事をしてきた。主力3人を欠く中でFC東京戦に臨むことになる。

 優勝争いを演じるだけのポテンシャルは確かにある。しかし、この事態を乗り越えられなければ、優勝争いを制することはできない。

 8度目のリーグ制覇に向けて、今節は鹿島の本当の力が試される。

【了】




FC東京戦に向けた記事を書いたフットボールチャンネルの青木氏である。
かなり肯定的な記事と言えよう。
主軸3人が出場停止のこの試合、「今節は鹿島の本当の力が試される」と締めるだけの重要なものと言えよう。
多くの民がスタジアムに集い、鹿島を後押しするのだ。
勝利を信じて聖地へ向かおうではないか。
重要な一戦である。

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鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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