曽ケ端準 J's GOAL11月度MIP
【J1 11月度MIP受賞インタビュー 曽ヶ端準選手(鹿島):自分たちの世代が引っ張る立場になって、つかんだタイトルの意味は大きい! [ J's GOAL ]
今年最後のJ's GOAL月間MIP。J1部門では、悲願の10冠を果たした鹿島アントラーズのGK・曽ヶ端準選手が選出されました。30節の大分戦以降、リーグ戦ラスト5試合のうち4試合が無失点試合と、終盤の9連勝の影には安定した守備陣の存在がありました。J-STATS OPTAでも、11月3試合での曽ヶ端選手のセーブ数は、J1のGKで最高の17本。セーブ率も89.5%と非常に高い数字を残しています。
そんな曽ヶ端選手に、11月の戦い、そして奇跡の逆転優勝について振り返っていただきました。
■やっぱり優勝っていうのは何度味わってもいいもの
Q:ウェブサイトJ's GOALの11月の月間MIPに選ばれました。おめでとうございます。
「みたいですね。そういうのがあることを僕は知らなかったんですが…(笑)」
Q:なるほど(笑)。その11月を振り返ってみると、どうでしたか?
「マリノス戦は非常に厳しい内容の試合だった。マルキー(ニョス)が難しいシュートを決めてくれたりしてリードしましたけど、2点目を決められて、向こうもリスクを負ってイケイケで攻めてきた。その中で流れを呼ぶ自分のプレーがあったのはよかった。レイソル戦はしっかりゼロに抑えて勝てました」
Q:そして最大の正念場である浦和戦。非公開練習を入れるなど、戦う前から普段とは違った雰囲気があったかと思いますけど。
「やってることは特別変わりはなかった。感覚的にもいつも通りでした。違ったのは、雑音が入らなかったことくらいですかね」
Q:前半の入りはどうでしたか?
「前からプレスをかける準備をしてて、流れを見ながら判断することになってたんですけど、実際、最初からプレスに行けて、ウチのリズムで展開できたと思います。危なかったのは、闘莉王のシュートがポストに当たったところ。クロスに対してタク(野沢拓也)がヘディングにいったんだけど触れなくて。でも闘莉王が胸トラップした時のみんなの反応が速かった。僕もシュートコースに入ってました。入っていたらレッズの流れになったのも確か。大きかったと思います」
Q:そんな時、新井場徹選手が退場になってしまいます…。
「ウチの流れだったんで、厳しいなとは思いました。ハーフタイムには監督がフォーメーションをいじるのかと思ったけど、イバ(新井場)のところにそのままモト(本山雅志)が入った。そこから守りだけじゃなくて攻撃にも出ていく狙いでした。モトが狙われる場面もあったけど、センターバックはサイドにつられないようにして、ボランチもカバーに入って。みんな守備の意識が高くて、10人でしたけど、うまく守れましたね。ウチの選手は技術があるんで、1人少なくてもキープしてつないで攻めるシーンも作れましたし」
Q:そして野沢選手のゴールが生まれます。
「拓のシュートがあんなにうまく入るとは思わなかった(笑)。まだ時間もあったし、落ち着いてゼロに抑えて、チャンスがあればもう1点を狙うイメージを持ってました。あの展開になれば、レッズが前に出てくるのは当然。ラインを下げすぎないように、意識してやりました。パワープレーの時間帯は、僕が出れるところは出ようと。(岩政)大樹も(大岩)剛さんも青木(剛)もヘディングに強いからそこを競らせてセカンドボールを拾うとか、そういうことも考えましたね」
Q:ラストの時間帯で、ワシントン選手の鋭いシュートを正面でキャッチしました。
「ちょうどディフェンスの間から抜けてきました。1回弾いて落としたけど、リバウンドも処理できたのでよかったです。みんな『ここで勝点を縮めるぞ』という思いがプレーの1つ1つに出ていましたね」
Q:J-STATS OPTAによると曽ヶ端選手の11月のセーブ率は89.5%にも上ったそうです。
「レッズ戦はそのワシントンのシュート1本くらいですね。マリノス戦の方がシュートが枠に飛んできたっていう印象はあります。まあ、結果的に優勝したのが何よりですけど」
Q:前回の優勝(2002年 ナビスコカップ)から5年もかかりましたけど、チームにとってこのタイトルの意味は?
「優勝を経験してる選手が少なかったし、僕自身も久しぶり。劇的な面もあったし、今まで獲れなかったことも含めて、喜びはすごく大きかった。やっぱり優勝っていうのは何度味わってもいいものですね。出てない選手も今度はグランド上で優勝を味わいたいと思うだろうし、ホントにプラスのことばかりでした」
Q:曽ヶ端選手もチームをリードする立場になりました。優勝も一味違うでしょう?
「前に優勝した時は、本田(泰人)さんとかアキ(秋田豊)さんとか中心選手がいて、引っ張られる形で若い年代のミツ(小笠原満男)とか僕とか(中田)浩二とかがいた。そのアキさんたちの立場に今は自分がいるわけですよね。そういう意味でも、ここで優勝できたのはすごく大きかったと思います」
Q:新聞報道では「小笠原と本山が引っ張った」とされてますが、「同期の曽ヶ端、忘れてないか?」って思いませんか?
「入団した時からそういう扱いなんで、いいです。地味ぃ〜にやってるんで(笑)。まあ、人の評価はいろいろ。自分自身が思ってるのと違うこともある世界ですし、それはそれでいいんじゃないかって感じですけどね。でも同じグランドに立ったら、能活(川口=磐田)さんでも負けたくないし、負けてるとも思ってない。自分自身がしっかりした気持ちを持ってやっていればいいと思ってます」
■来年はリーグ戦、カップ戦、ACLも全部獲りたいです
Q:ここで、ファンの方からの質問をさせてください。まず『グッチさん』他からですが、GKを始めたきっかけは?
「サッカーを始めたのは小学校2年の時。3〜4年生のチームを作る時にちょうどGKがいなくて、僕と1つ上の仲良かった人とで『やらせてください』と言いました。結局、僕が残ったという感じですね」
Q:GKは苦労も多かったでしょう。
「専門的なGK練習は県の選抜に行った中学の途中から。その頃、監督に思い切り蹴られたりってのはありましたけど、特別に練習がきつい感じもなかったです。今は朝寒かったりすると『朝から飛ぶのも嫌だなあ』とか思うこともあります(笑)。だけどフィールドで生きていけるほどの技術がないから、しょうがない。このポジションを選んだから、ここまでやってこれてるわけですしね」
Q:続いて『鹿77さん』他から。曽ヶ端選手は家族思いという印象ですが、休みの日などはどういった家庭サービスをしていますか?
「普通に家族で買い物に行ったりしてます。鹿嶋も僕が小さい頃とは大きく変わりましたね。子育てもやってますよ。でもやっぱりママには叶わないですね。『ママ、ママ』って行っちゃうし。泣いてて無理やり抱っこして余計に嫌われたりとかもあります」
Q:他のGKには勝てても、ママには勝てないということですね。
「ハイ、子供に関しては……(苦笑)」
Q:次は『ひろちんさん』から。GKをやっていて、思い切って前に出る時、怖さはありませんか?
「グランドに立つ時点でしょうがないこと。足の裏を見せて突っ込んでくる選手もいますけど、それでもゴールは守らなきゃいけない。やられたらムカつきますし、やられっぱなしってのは腹が立ちますから、向かっていくこともあります。駆け引きが大事ですね」
Q:『シカテツさん』から。今年は今までよりも安定感がありましたが、何が違ったのでしょうか?
「ケガとうまく付き合うだとか、出始めた頃と今では精神面の落ち着きは全然違うとか。いろんな意味で充実した1年でした」
Q:今季終盤戦では、ただでさえ大きな曽ヶ端選手がさらに大きく見えました。
「ありがとうございます(笑)。そう言ってもらえるとうれしいです」
Q:同じく『シカテツさん』から。個人的な来年への目標を教えてください。
「まず天皇杯。あと3つ勝てば優勝なんで。それとリーグ連覇ですね。来年はACLもあるし、移動による疲労も出てくると思います。今年のレッズを見てれば大変なんだろうなと感じます。コンディションをしっかり整えていくことですね。2000年には3冠を獲ってるチームですし、メンバーは多少代わりましたけど、力はあるから、国内リーグ戦、カップ戦、ACLも全部獲りたいです」
Q:最後に『もりのぶさん』から。今季、チームが一番成長したところはどこですか?
「スタートの頃は結果が出なかったけど、内容的にはよかった。それでも勝てないから『なんでだろう』とは思ってましたね。監督が変わったのもあって、不安定な面があったかもしれない。結果によって気持ちの部分も大きく左右されると思うんです。で、最後の9連勝で落ちついたのはありますね」
Q:今季最大のターニングポイントは?
「チームの調子が上がってきている時に、満男が戻ってきたのが大きかったと思います。フィールドの選手があいつのプレーを見て感じる部分もあったと思いますし、あいつも今まで以上の力を出してた。僕自身もそれを感じることができました。練習からもガツガツガツガツ行ってて、気持ちを感じるプレーが見えたから。それがよかったと思いますね」
今後の一層の活躍を期待しています。ありがとうございました。
以上
これからも地味に活躍をして欲しい。
しかし、いつになったらJ's GOALは誤字を直すのであろうか。