強気のラインコントロールを見せた守備陣
鹿島、奇跡の逆転Vなるか。強気のラインコントロールを見せた守備陣。司令塔不在の川崎Fを無力化
現在3位につける鹿島アントラーズが、ホームで川崎フロンターレと対戦した。前回の対戦では完敗を喫したが、今節の川崎Fは中村憲剛が不在。司令塔を欠く相手に対し、鹿島はチーム全体が連動することで自由を奪う。そして、ディフェンス陣のパフォーマンスも光った。
2014年11月23日(日)11時58分配信
text by 青木務 photo Getty Images
前線からのプレスがチームを助ける

最終ラインを束ねる昌子源【写真:Getty Images】
11月22日、14時。埼玉スタジアム2002では浦和レッズとガンバ大阪の直接対決が行われた。8年ぶりの優勝を願う浦和サポーターによるコレオグラフィがスタジアムを彩った。
同時刻、カシマスタジアムでは鹿島アントラーズが川崎フロンターレを迎えた。3位の鹿島にとって、優勝の可能性は決して高くはない。しかし、全くのノーチャンスでないことも確かだ。それは、奇跡の逆転優勝を成し遂げたことのある彼らが最も良く理解している。
勝利を掴むため、この日も真紅のホームチームは序盤からフルパワーで臨んだ。
3週間ぶりのリーグ戦だったが試合の入りは問題なく、最終ラインから丁寧にビルドアップしてくる川崎Fに猛烈なプレスをかける。急先鋒となったのが、赤崎秀平と土居聖真だ。
彼らが追い込むことで相手の選択肢を減らし、パスを出させるとそこには鹿島の選手が狙い澄ましたようにアプローチをかける。川崎Fの攻撃を遅らせたのはもちろん、インターセプトからの速攻も見られた。
前線のプレスに連動することで後方の選手も的を絞ることができる。
遠藤康は「聖真と秀平が前で追いかけてくれたおかげで、自分の行くところがわかりやすかった」と2人を称えた。
そして、この日の鹿島は最終ラインの位置も高く保つことができた。前線の頑張りに応えるように、守備陣も勇気を持って押し上げた。そうすることで全体のラインがコンパクトになり、相手のパスワークを消すことに成功した。
「あまり嘉人さんに効果的なパスは入っていなかったですし、僕たちの組織が今日はすごく良かった」と昌子源は手応えを口にした。
川崎Fは最前線の森島康仁をシンプルに狙ったが、この日の鹿島は冷静に対応した。相手に蹴るしかないという選択をさせたことが大きかった。
前線からのプレスが効いたことで、意図的に森島を狙わせる状況を作り出した。昌子が説明する。
「僕たちからしたら森島くんのキープ力に対抗して、起点を作らせないようなディフェンスができた。パスコースを限定してくれた秀平くんや前の選手が僕たちを楽にしてくれた。感謝したいですね」
ラインをコントロールすることで自分たちが主導権を握る
この日、川崎Fは中村憲剛が不在だった。鹿島にとっては相手がある程度蹴ってくることも予想できていたという。そして、その上で相手の選択肢を限定し、狙い通りにロングボールを蹴らせた。
「今日はディフェンスラインもすごく高かったと思いますし、ペナの中ではほとんど僕たちのラインは作っていなかった。極端に言えば、森島さんをオフサイドポジションに置いておくと言うんですかね。自由に競らせないように」
森島を蚊帳の外に追いやる狙いはもちろん、彼のストロングポイントである高さを警戒したためだ。
「僕たちが下がってしまうと彼の強さが一段と目立ってしまう。ゴールから離れたところでヘディングさせれば得点には結びつかないので、できるだけラインを高くしようというのは話していました。今日も効果的にライン内でオフサイドを取れる場面もありましたし、守備の組織は良かったんじゃないかなと自分で思います」
最終ラインをしっかり押し上げることで守備陣が主導権を握る展開に持って行った。そこには鹿島のセンターバックとして活躍し、現在はコーチを務める大岩剛氏の教えがあった。
「よく大岩コーチに言われているんですけど、相手のアクションに僕たちが合わせるとどうしてもやられてしまう。僕たちのラインがアクションを起こすことで、相手がリアクションになるように動けていたかなと。それは僕だけじゃなくて、青木さん、大伍さん、脩斗くんが率先して声をかけながら。そういう細かいことがいい結果に結びついたんじゃないかなと」
前線がプレスをかけ、中盤がインターセプトを狙い、ディフェンス陣は強気のラインコントロールで相手の攻撃力を削ぎ落とした。
試合終盤に相手のFKが壁に当たって決まるという不運な失点はあったが、鹿島の守備に力強さと安定感が見られたのは間違いない。
これは来シーズン以降にも繋がる――と言いたいところだが、まだ優勝の可能性は消えていない。将来にも繋がるが、今は目の前の戦いに集中することだ。
残り2節、リーグナンバーワンの得点力と成熟を見せる守備を武器に、2007年以来の奇跡を目指す。
【了】

成熟しつつある鹿島の守備に関して綴るフットボールチャンネルの青木氏である。
最前線からのプレスと高いDFライン。
非常に能力の高い選手が、惜しげもなく汗をかくことで構築された堅固な守備は未来を感じさせる。
若きDFリーダーの源が高いラインと強い対人を魅せておることは大きい。
前線の赤?と聖真の労力も見逃せぬ。
青木氏が言うように、来季の明るさ以上に、今季の優勝に向けて力を発揮しておる。
残り二試合、勝利で締め、天命を待とうではないか。
チームを信じておる。
現在3位につける鹿島アントラーズが、ホームで川崎フロンターレと対戦した。前回の対戦では完敗を喫したが、今節の川崎Fは中村憲剛が不在。司令塔を欠く相手に対し、鹿島はチーム全体が連動することで自由を奪う。そして、ディフェンス陣のパフォーマンスも光った。
2014年11月23日(日)11時58分配信
text by 青木務 photo Getty Images
前線からのプレスがチームを助ける

最終ラインを束ねる昌子源【写真:Getty Images】
11月22日、14時。埼玉スタジアム2002では浦和レッズとガンバ大阪の直接対決が行われた。8年ぶりの優勝を願う浦和サポーターによるコレオグラフィがスタジアムを彩った。
同時刻、カシマスタジアムでは鹿島アントラーズが川崎フロンターレを迎えた。3位の鹿島にとって、優勝の可能性は決して高くはない。しかし、全くのノーチャンスでないことも確かだ。それは、奇跡の逆転優勝を成し遂げたことのある彼らが最も良く理解している。
勝利を掴むため、この日も真紅のホームチームは序盤からフルパワーで臨んだ。
3週間ぶりのリーグ戦だったが試合の入りは問題なく、最終ラインから丁寧にビルドアップしてくる川崎Fに猛烈なプレスをかける。急先鋒となったのが、赤崎秀平と土居聖真だ。
彼らが追い込むことで相手の選択肢を減らし、パスを出させるとそこには鹿島の選手が狙い澄ましたようにアプローチをかける。川崎Fの攻撃を遅らせたのはもちろん、インターセプトからの速攻も見られた。
前線のプレスに連動することで後方の選手も的を絞ることができる。
遠藤康は「聖真と秀平が前で追いかけてくれたおかげで、自分の行くところがわかりやすかった」と2人を称えた。
そして、この日の鹿島は最終ラインの位置も高く保つことができた。前線の頑張りに応えるように、守備陣も勇気を持って押し上げた。そうすることで全体のラインがコンパクトになり、相手のパスワークを消すことに成功した。
「あまり嘉人さんに効果的なパスは入っていなかったですし、僕たちの組織が今日はすごく良かった」と昌子源は手応えを口にした。
川崎Fは最前線の森島康仁をシンプルに狙ったが、この日の鹿島は冷静に対応した。相手に蹴るしかないという選択をさせたことが大きかった。
前線からのプレスが効いたことで、意図的に森島を狙わせる状況を作り出した。昌子が説明する。
「僕たちからしたら森島くんのキープ力に対抗して、起点を作らせないようなディフェンスができた。パスコースを限定してくれた秀平くんや前の選手が僕たちを楽にしてくれた。感謝したいですね」
ラインをコントロールすることで自分たちが主導権を握る
この日、川崎Fは中村憲剛が不在だった。鹿島にとっては相手がある程度蹴ってくることも予想できていたという。そして、その上で相手の選択肢を限定し、狙い通りにロングボールを蹴らせた。
「今日はディフェンスラインもすごく高かったと思いますし、ペナの中ではほとんど僕たちのラインは作っていなかった。極端に言えば、森島さんをオフサイドポジションに置いておくと言うんですかね。自由に競らせないように」
森島を蚊帳の外に追いやる狙いはもちろん、彼のストロングポイントである高さを警戒したためだ。
「僕たちが下がってしまうと彼の強さが一段と目立ってしまう。ゴールから離れたところでヘディングさせれば得点には結びつかないので、できるだけラインを高くしようというのは話していました。今日も効果的にライン内でオフサイドを取れる場面もありましたし、守備の組織は良かったんじゃないかなと自分で思います」
最終ラインをしっかり押し上げることで守備陣が主導権を握る展開に持って行った。そこには鹿島のセンターバックとして活躍し、現在はコーチを務める大岩剛氏の教えがあった。
「よく大岩コーチに言われているんですけど、相手のアクションに僕たちが合わせるとどうしてもやられてしまう。僕たちのラインがアクションを起こすことで、相手がリアクションになるように動けていたかなと。それは僕だけじゃなくて、青木さん、大伍さん、脩斗くんが率先して声をかけながら。そういう細かいことがいい結果に結びついたんじゃないかなと」
前線がプレスをかけ、中盤がインターセプトを狙い、ディフェンス陣は強気のラインコントロールで相手の攻撃力を削ぎ落とした。
試合終盤に相手のFKが壁に当たって決まるという不運な失点はあったが、鹿島の守備に力強さと安定感が見られたのは間違いない。
これは来シーズン以降にも繋がる――と言いたいところだが、まだ優勝の可能性は消えていない。将来にも繋がるが、今は目の前の戦いに集中することだ。
残り2節、リーグナンバーワンの得点力と成熟を見せる守備を武器に、2007年以来の奇跡を目指す。
【了】

成熟しつつある鹿島の守備に関して綴るフットボールチャンネルの青木氏である。
最前線からのプレスと高いDFライン。
非常に能力の高い選手が、惜しげもなく汗をかくことで構築された堅固な守備は未来を感じさせる。
若きDFリーダーの源が高いラインと強い対人を魅せておることは大きい。
前線の赤?と聖真の労力も見逃せぬ。
青木氏が言うように、来季の明るさ以上に、今季の優勝に向けて力を発揮しておる。
残り二試合、勝利で締め、天命を待とうではないか。
チームを信じておる。