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熊谷監督、日本の育成界に一石を投じた

【2014Jユースカップ総括】Jユースも高体連もなく… 日本の育成に一石を投じた鹿島ユースの優勝
カテゴリ:高校・ユース
平野貴也
2014年12月25日

「大勢が傾いたベクトルを向いてやっていこうとする風潮がある」と熊谷監督。


10年ぶり3度目の栄冠に輝いた鹿島ユース。泥臭さを前面に出した独自路線を貫いてJユースの頂点に立った。

「異質なJユース」が全国の頂点に立った。多くのJユースが、パス交換を多用して相手にボールを渡さずに攻撃を継続する“ポゼッションスタイル”を志向する一方で、今季のJユースカップで優勝した鹿島ユースは、とにかく泥臭く戦い抜くことに主眼を置いた独特のスタイルで勝ち上がった。

 守備を優先してリスクはあまり負わず、攻撃は速攻が中心。Jユースよりはむしろ、高体連に多く見受けられるスタイルだ。しかし、トップチームで2000年に三冠を達成した黄金期のメンバーである鹿島の熊谷浩二監督は、国内ユース世代の特徴を言い表わした「Jユースのようにパス回しの上手いチーム」と「高体連に多い、ハードワークや球際の強さを強調したチーム」を別物として捉える風潮に対して、こう反論する。

「Jユースと高体連は別物と捉える考え方が多いようだけど、そうは考えない。僕らは僕らの(考え方、スタイル)。そういう色がたくさん出てくれば、日本のサッカーも良くなっていくんじゃないかと思う」と枠に捉われずに、各チームが独自のカラーを打ち出す必要性を訴えた。

 少し鹿島ユースから離れて近年の日本の育成界全体を見渡すと、技術や戦術理解の必要性が強調されてきた時代を経て、今はタフさに欠けると指摘されるようになっている。

 ベスト4に進んだFC東京U-18は、典型的な例だ。昨年は機能的なパスサッカーを志向したが、それだけでは結果が出ず、今季は佐藤一樹監督がハードワークと球際の重要性をつけ加えた。プリンスリーグ関東2位(プレミア参入戦で勝って昇格)、日本クラブユース選手権2位、Jユースカップ4強と無冠ではあったが、安定して国内トップクラスの成績を残した。佐藤監督は、広島ユースが森山佳郎監督(現U-15代表監督)の下で多くのタイトルを獲得した時のコーチだ。

 また、今大会は準々決勝で敗退したが、大分U-18もハードワークをベースとしたポゼッションスタイルを見せていた。


攻撃力に勝るG大阪ユースに対し、鹿島ユースは球際で粘り強く戦った。

 時代の流れは「ハードワークするポゼッション」にバージョンアップしようとしているように見えるが、鹿島ユースの熊谷監督は、全チームが同じ理想を持つこと自体にも疑問を投げかけた。
「本当は個性のある指導者が様々いると思うが、何か大勢が傾いたベクトルを向いてやっていかなければならない(風潮がある)。これだけボールを握って技術的に優れた(若い)年代の選手が増えてきているから、それだけでは向上はないのかなと思う。うちみたいなサッカーがあって、それを打ち崩すという(さらに進化した)ポゼッションが出てくれば、それもまた素晴らしいこと。うちも決して(ユースで)守備だけをやろうというわけではない。様々なことを考えて、今年1年はこのアプローチが良いかなと思ってやってきたけど、トレーニングではもう攻撃に時間を割いている。ただ、子どもたちには『試合は、試合だ』と言っている。トレーニングで積み重ねができた時に、今度は試合に活かしていく。まだ積み重ねは守備のところまでしか行っていないと伝えている。当然、来年以降は攻撃のところも含めてまた身につけなければいけないと思う」

 どのスタイルが正解かという話ではなく、それぞれがスタイルを作ることで、多様性が生まれ、それぞれに対応力が養われていくという考え方だ。

今回の敗戦によってG大阪ユースの攻撃力がさらに引き出されるか。

圧倒的なポゼッションを誇ったG大阪ユースだが、最終局面で決め手を欠いた。来季は攻撃力に、さらに磨きをかけるはず。
 一方、準優勝のG大阪ユースや4強に入った清水ユースは、いわゆる「巧い」チームだった。各選手が多くの選択肢を持つことで機能的にパスを回し、連動して崩していく攻撃が特長だ。より攻撃のクオリティーを高めていく方針で、育成を進めてきたクラブと言える。

 G大阪ユースの梅津博徳監督は、準優勝に終わった大会を振り返ってこう語った。
「ああいうチームに勝てないようでは、日本の未来が心配。崩さなくてもいいけど、点が取れない。やってきたけど出せないというのは、やれていないということ。点を取れるだけ取りたいという考え方は変わらないが、日本全体でどんな選手であってもハードワークは必要。その中で本当のスター選手が出てくればいいが、まだまだやらなくてはいけない。どこの守備も堅くなってきているなか、うちも含めて全体的に攻撃の課題が多いのかなと。もっと攻撃にストロングポイントを置くチームが出てこないとダメなのかなというのが全体のイメージ。個がもっと出てこないとダメだと思う」

 まさに今大会の鹿島ユースによって、G大阪ユースの攻撃力は今後さらに引き上げられていくのかもしれない。

 各クラブが異なる状況に置かれているなかで、同じ理想を(近々に)追求するのは現実的ではない。「ハードワークするポゼッション」は、現在のひとつの指針にはなるが、すべてのクラブが一斉に求める必要はないだろう。

 Jユースでありながら、技術より戦術理解より優先すべきものがあるとハッキリと打ち出し、批判を恐れずに独自路線を貫いた鹿島ユースの優勝と熊谷監督の提言は、日本の育成界に一石を投じたのではないだろうか。

取材・文:平野貴也(フリーライター)




素晴らしいチームを作り優勝した熊谷監督である。
「ああいうチームに勝てないようでは、日本の未来が心配」と言わせしめたことは、最大の賛辞ではなかろうか。
この方向は正解の一つである。
若人たちは、この先にあるものをトップに上がって身に付けるのだ。
期待しておる。

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