今こそ常勝軍団の真価が問われる
【J1 1stステージ第8節 仙台 vs 鹿島 プレビュー】
野沢拓也の古巣対決となる鹿島対仙台戦。
前節黒星の停滞感を抜け出すのはどちらか?
Text by 元川 悦子
J1開幕5試合無敗と絶好のスタートを切った今季のベガルタ仙台と、逆にアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を含めて序盤公式戦6戦未勝利という苦境を強いられた鹿島アントラーズ。だが、4月に入ると仙台はじわじわと下降線を描き始め、鹿島の方は尻上がりに調子を上げた。そんな状況で迎えた4月25日のJ1第1ステージ第7節は、仙台が敵地で松本山雅FCに0−1で苦杯を喫して2連敗。鹿島もホームにヴィッセル神戸を迎えたが、ラストに田中英雄の決勝弾を食らって1−2の黒星となってしまった。
7試合終了時点で、仙台は2勝3分2敗の勝ち点9で9位。鹿島の方は2勝2分3敗の勝ち点8で10位につけている。2ステージ制となった今季J1も中間地点に突入しており、ここで勝つか負けるかで今後の行方が大きく変わる。ゴールデンウイークの連戦後半に弾みをつけるためにも、この直接対決は何としても勝ちを手にしたいところだ。
仙台の前節・松本戦を振り返ってみると、仙台はウイルソンをベンチに置き、金園英学と奥埜博亮をFWに、茂木駿佑と野沢拓也を2列目、ボランチに富田晋伍と梁勇基を配置する攻撃陣でスタート。前半からゲームを支配する時間帯が長かったが、相手の堅守を崩しきれず、ゴールを奪えなかった。そんな後半15分、相手の粘りから岩上祐三に最終ラインのDF陣が振り切られて失点。渡邉晋監督は巻き返しを図るべくウイルソン、蜂須賀孝治、山本大貴といった持ち駒を次々と投入。最後はパワープレーに出て松本ゴールを脅かしたが、最後まで1点が遠かった。
チームの特徴である堅守は大きく崩されたわけではなかっただけに、次のゲームはいかにして点を取るかがポイントと言える。特に気になるのは、FWの構成だ。連敗脱出を図りたい時期ということで、今季4得点を挙げているウイルソンのスタメン起用は必須だろう。そこに奥埜を組み合わせる形が有力視されるが、負傷が癒えて調子を上げつつある山本の起用もあるかもしれない。
このFW陣を生かすためにも、中盤の効果的なお膳立ては必要不可欠。そこで今回、注目されるのは古巣対決となる野沢の存在だ。彼にとって鹿島はサッカー人生のほとんどを過ごした古巣。2012年の1シーズンを神戸でプレーし、昨年8月から仙台に赴いたものの、それ以外のプロキャリアは全て鹿島で蓄積してきた。野沢にしてみれば、トニーニョ・セレーゾ監督の求めるスタイルや小笠原満男、柴崎岳らを軸とした堅実な戦い方を嫌というほど知っているはず。だからこそ、どこを攻略すればいいかも分かるはず。左サイドを主戦場とする創造性豊かな司令塔が主にマッチアップする相手は西大伍。今季の西は好調を維持しているが、守備陣全体を見るとそれほど安定しているとは言えない。老獪な戦術眼で相手の綻びを突くような仕事ぶりを見せられば、チームを救う働きができるだろう。
しかしながら、鹿島側としても野沢の思い通りにプレーさせるわけにはいかない。神戸戦でも2失点と今季J1ではいまだ無失点試合が一度もないがゆえに、今回こそ相手を零封するような手堅い守りが求められる。その前節で昌子源とファン・ソッコのセンターバックコンビで2点を献上したことを踏まえると、今回は昌子と植田直通のコンビに戻す可能性が高い。そしてボランチも負傷明けの小笠原を満を持して先発に復帰させるのではないか。36歳のベテランMFがいれば、どこで行くべきか、引くべきかという読みがより確実になる。鹿島の安定感も確実に高まる。彼らがしっかりと意思統一を図ることで、まずは守備を落ち着けたい。
そのうえで攻撃陣の奮起が期待されるところ。今季、チーム最大の得点源となっている金崎夢生が神戸戦で退場処分を受けたことで今回は出場停止。こうした中、いかにして点を取るかはセレーゾ監督にとっても大きな課題になりそうだ。通常であれば、金崎不在の1トップには高崎寛之が入るのが一般的。その背後を遠藤康、土居聖真、カイオという並びで行くのか、あるいは若い中村充孝、豊川雄太あたりを抜擢するのかは、ここ一両日のコンディション次第だろう。いずれにしても、金崎がいない以上、他の攻撃陣のゴールに対する責任は一段と重くなる。それを1人1人がしっかりと自覚したうえで、勝利を貪欲に狙っていくしかない。
鹿島にしてみれば、この試合後に2日のヴァンフォーレ甲府戦、5日の重要なACL・FCソウル戦を控えている。ACL1次リーグ突破を視野に入れても、ここは連勝で乗り切るしかない。いかにして攻守両面のスイッチを入れるかを真剣に考えていくべき時期に来ている。今こそ常勝軍団の真価が問われる。
仙台vs鹿島について記すJSPORTSの元川女史である。
仙台の野沢との対戦を軸にプレビューしておる。
前節では無念の敗戦を喫したが、鹿島が不調というわけではない。
金崎夢生の出場停止は痛い。
しかしながら、チーム全体で得点奪うスタイルは不変である。
満男の復帰と植田の起用にて勝利を手繰り寄せるのだ。
期待しておる。
野沢拓也の古巣対決となる鹿島対仙台戦。
前節黒星の停滞感を抜け出すのはどちらか?
Text by 元川 悦子
J1開幕5試合無敗と絶好のスタートを切った今季のベガルタ仙台と、逆にアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を含めて序盤公式戦6戦未勝利という苦境を強いられた鹿島アントラーズ。だが、4月に入ると仙台はじわじわと下降線を描き始め、鹿島の方は尻上がりに調子を上げた。そんな状況で迎えた4月25日のJ1第1ステージ第7節は、仙台が敵地で松本山雅FCに0−1で苦杯を喫して2連敗。鹿島もホームにヴィッセル神戸を迎えたが、ラストに田中英雄の決勝弾を食らって1−2の黒星となってしまった。
7試合終了時点で、仙台は2勝3分2敗の勝ち点9で9位。鹿島の方は2勝2分3敗の勝ち点8で10位につけている。2ステージ制となった今季J1も中間地点に突入しており、ここで勝つか負けるかで今後の行方が大きく変わる。ゴールデンウイークの連戦後半に弾みをつけるためにも、この直接対決は何としても勝ちを手にしたいところだ。
仙台の前節・松本戦を振り返ってみると、仙台はウイルソンをベンチに置き、金園英学と奥埜博亮をFWに、茂木駿佑と野沢拓也を2列目、ボランチに富田晋伍と梁勇基を配置する攻撃陣でスタート。前半からゲームを支配する時間帯が長かったが、相手の堅守を崩しきれず、ゴールを奪えなかった。そんな後半15分、相手の粘りから岩上祐三に最終ラインのDF陣が振り切られて失点。渡邉晋監督は巻き返しを図るべくウイルソン、蜂須賀孝治、山本大貴といった持ち駒を次々と投入。最後はパワープレーに出て松本ゴールを脅かしたが、最後まで1点が遠かった。
チームの特徴である堅守は大きく崩されたわけではなかっただけに、次のゲームはいかにして点を取るかがポイントと言える。特に気になるのは、FWの構成だ。連敗脱出を図りたい時期ということで、今季4得点を挙げているウイルソンのスタメン起用は必須だろう。そこに奥埜を組み合わせる形が有力視されるが、負傷が癒えて調子を上げつつある山本の起用もあるかもしれない。
このFW陣を生かすためにも、中盤の効果的なお膳立ては必要不可欠。そこで今回、注目されるのは古巣対決となる野沢の存在だ。彼にとって鹿島はサッカー人生のほとんどを過ごした古巣。2012年の1シーズンを神戸でプレーし、昨年8月から仙台に赴いたものの、それ以外のプロキャリアは全て鹿島で蓄積してきた。野沢にしてみれば、トニーニョ・セレーゾ監督の求めるスタイルや小笠原満男、柴崎岳らを軸とした堅実な戦い方を嫌というほど知っているはず。だからこそ、どこを攻略すればいいかも分かるはず。左サイドを主戦場とする創造性豊かな司令塔が主にマッチアップする相手は西大伍。今季の西は好調を維持しているが、守備陣全体を見るとそれほど安定しているとは言えない。老獪な戦術眼で相手の綻びを突くような仕事ぶりを見せられば、チームを救う働きができるだろう。
しかしながら、鹿島側としても野沢の思い通りにプレーさせるわけにはいかない。神戸戦でも2失点と今季J1ではいまだ無失点試合が一度もないがゆえに、今回こそ相手を零封するような手堅い守りが求められる。その前節で昌子源とファン・ソッコのセンターバックコンビで2点を献上したことを踏まえると、今回は昌子と植田直通のコンビに戻す可能性が高い。そしてボランチも負傷明けの小笠原を満を持して先発に復帰させるのではないか。36歳のベテランMFがいれば、どこで行くべきか、引くべきかという読みがより確実になる。鹿島の安定感も確実に高まる。彼らがしっかりと意思統一を図ることで、まずは守備を落ち着けたい。
そのうえで攻撃陣の奮起が期待されるところ。今季、チーム最大の得点源となっている金崎夢生が神戸戦で退場処分を受けたことで今回は出場停止。こうした中、いかにして点を取るかはセレーゾ監督にとっても大きな課題になりそうだ。通常であれば、金崎不在の1トップには高崎寛之が入るのが一般的。その背後を遠藤康、土居聖真、カイオという並びで行くのか、あるいは若い中村充孝、豊川雄太あたりを抜擢するのかは、ここ一両日のコンディション次第だろう。いずれにしても、金崎がいない以上、他の攻撃陣のゴールに対する責任は一段と重くなる。それを1人1人がしっかりと自覚したうえで、勝利を貪欲に狙っていくしかない。
鹿島にしてみれば、この試合後に2日のヴァンフォーレ甲府戦、5日の重要なACL・FCソウル戦を控えている。ACL1次リーグ突破を視野に入れても、ここは連勝で乗り切るしかない。いかにして攻守両面のスイッチを入れるかを真剣に考えていくべき時期に来ている。今こそ常勝軍団の真価が問われる。
仙台vs鹿島について記すJSPORTSの元川女史である。
仙台の野沢との対戦を軸にプレビューしておる。
前節では無念の敗戦を喫したが、鹿島が不調というわけではない。
金崎夢生の出場停止は痛い。
しかしながら、チーム全体で得点奪うスタイルは不変である。
満男の復帰と植田の起用にて勝利を手繰り寄せるのだ。
期待しておる。