電柱でござる
FW田代「電柱ヘッド」で中国へ乗り込む
鹿島の宮崎合宿でヘディングを繰り返す日本代表FW田代(撮影・広重竜太郎)
日本代表FW田代有三(25=鹿島)が秘技「電柱ヘッド」を引っ提げて、東アジア選手権に乗り込む。12日、鹿島の宮崎合宿を離れて、代表合流のために帰京。故障で辞退したFW巻に代わっての追加招集で得たチャンスを、得意の空中戦でものにする。
大会の開催地、中国は4000年の歴史の中で太極拳、酔拳など神秘的な秘技がはぐくまれた国だ。田代にも秘めたる技がある。垂直跳び約80センチで滞空時間の長いヘディングである。中学時代の秘密特訓が原点だ。肉弾戦をシミュレーションした珍トレーニングを自ら考案。実家近くにある電柱に向かって跳び上がり、何度も体をぶつけていた。絶対的な強さを誇る電柱を相手選手に見立てて、対抗するすべを肉体に染み込ませていった。
「どれくらい高く跳べているか、電柱を見ることで目安もつけやすかった」。夜中に特訓を繰り返していると、通行人からは不審がられて「かなり恥ずかしかった」。さすがに今は封印しているが、田代が少年時代に恥もかなぐり捨て、愚直にトレーニングを積んだ土台が、空中戦では日本屈指の強さを誇るFWに成長させた。
北朝鮮を除き、中国、韓国とは対戦経験がある。大学選抜代表としてカタール国際で対戦した韓国とは、昨年まで清水に在籍していたFWチョ・ジェジンに2得点を奪われて敗れた。「中国も韓国もかなり空中戦が強かった」と鮮烈な印象が残っている。そんな相手との再戦に向け、初めてのA代表招集ながら、「やれるだけやってきます」と意気込みは強い。 【広重竜太郎】
[2008年2月13日9時38分 紙面から]
聞いたことのない「電柱ヘッド」。
これほど格好の悪いキャッチフレーズが付けられては田代本人は無念であろう。
しかし、ここは耐え忍ぶところ。
欲しがりません勝つまでは。