上昇気流を第2ステージも続けられるかどうかが大いに気になる
17試合通算失点10という強固な守備が勝利の原動力。鹿島ステージ制覇の要因を探る
Text by 元川 悦子

6月25日の2016年J1第1ステージ最終節で、首位・鹿島アントラーズがホームでアビスパ福岡を2-0で下し、順当にステージ制覇を成し遂げた。試合後、石井正忠監督はスタッフと抱き合って歓喜の様子を見せたが、小笠原満男を筆頭に選手たちは淡々とした様子。「年間制覇してこそ、真のタイトル獲得と言える」という厳しい雰囲気がチーム全体に漂っていて、さすがは常勝軍団という立ち振る舞いだった。
開幕からトップを走り続けてきた川崎フロンターレを18日の前節・ヴィッセル神戸戦に勝利した段階で逆転し、今季前半戦の頂点に立った鹿島だが、その原動力となったのは、やはり17試合通算10失点という手堅い守備だろう。最終節・福岡戦も最終ラインのリーダー・昌子源が出場停止で、ブエノと植田直通のセンターバックコンビでのぞんだが、彼らとボランチの小笠原、柴崎岳らを軸に相手の攻撃の軸であるウェリントンを完全に封じ込み、仕事らしい仕事をさせなかった。
そんな安定感を維持できたのも、植田の成長が大きい。1月のAFC・U-23選手権(カタール)でアジア王者の座をつかんで以降、彼のパフォーマンスは自信に満ち溢れていた。昌子も以前「あいつは自分のヘディングがメチャ強いって分かってる分、以前だったら競り合いに負けたらそれを引きずっていた。でも今はいちいちクヨクヨせず、『1回負けてもまた次』って気持ちを切り替えてる。サッカーはすぐ次のボールが来るし、そこでいちいち『ああ~』って思ってたら、自分のプレーの質を下げることになる。そこが一番変わったところかな」と植田の変貌ぶりをこう評したが、その後も成長スピードを早めていった。常勝軍団がタイトルを手にする時には秋田豊(現解説者)、岩政大樹(現岡山)といった守備の大黒柱がいた。植田が先輩たちと同じ存在感を第2ステージも示せれば、鹿島の完全制覇も夢ではないだろう。
総得点の方は29と、川崎の33、サンフレッチェ広島の32より少ない数字だったが、尻上がりに得点が増えていく印象が強まった。そのけん引役はもちろん金崎夢生。1月にいったん退団し、当時のレンタル元だったポルトガル2部のポルティモネンセに復帰。欧州移籍を目指したが、それが実現せず、鹿島に完全移籍することになった。本人は「鹿島の優勝のために全力を尽くす」と話していたが、その言葉通り、ゴールヘの貪欲さを前面に押し出し、J1得点ランキング4位タイの8点を挙げた。彼の能力を考えれば、この数字はまだまだ物足りないが、第2ステージはよりフィニッシュの精度を高めて、年間20点には引き上げてほしいものだ。
金崎のアグレッシブさに触発されたのか、土居聖真、カイオ、鈴木優磨といった若手アタッカーもゴール数を伸ばしていった。特に土居は昨年秋に負った左第2中足骨骨折から復帰したものの、シーズン序盤は本調子ではなかった。イージーな決定機をミスするなど、どこか試合勘が不足している印象が否めなかった。しかし第1ステージ終盤は5月29日のヴァンフォーレ甲府戦の2ゴールを皮切りに、神戸戦、福岡戦とプレッシャーのかかるラスト2連戦で連発。ここ一番の勝負強さを前面に押し出した。宇佐美貴史(G大阪→アウグスブルク)、武藤嘉紀(マインツ)らと同じ92年生まれの逸材がここへきて才能を開花させつつあるのは、鹿島にとっても、日本サッカー界にとっても朗報だ。このまま一気にブレイクしてもらいたい。
福岡戦に先発した杉本太郎、途中出場した永木亮太など、使える選手の幅が広がってきたのも第1ステージに前進した点だろう。杉本は2013年U-17日本代表の頃からエースとして名を馳せていたが、2014年の鹿島入り後は思うように出場機会をつかめずに苦しんだ。が、今季に入ってからは着実に存在感を増し、アタッカー競争に堂々と参戦するようになった。永木にしても湘南ベルマーレから移籍後、まだだだ出場機会が少ないものの、小笠原のバックアップ役としていい味を出している。
このようなメンバーをうまく使いまわしている石井監督の采配力や選手を見極める力の高さも特筆すべき点。昨年7月に就任した時にはトップチームを率いた経験がないことを不安視されていたが、昨年のJリーグヤマザキナビスコカップ、そして今回のステージ制覇でそんな懸念をわずか1年足らずで払拭してしまった。こういった頭脳派監督が出てきたことも常勝軍団の今後にとって大きい。
今季J1に関してはあらゆる面がいい方向に回り、頂点に立った鹿島。その上昇気流を第2ステージも続けられるかどうかが大いに気になる。

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鹿島のステージ優勝について記す元川女史である。
守備面の向上、特に植田の成長について言及しておる。
源のコメントにより、メンタル面、気持ちの切り替えができるようになったところが大きかったことがわかる。
元川女史は、秋田や岩政に比肩する存在感を発揮し出せば、完全制覇も夢ではないと書く。
まさにそうであろう。
源と植田のコンビはJリーグ屈指である。
高さ、強さ、速さを併せ持つCBコンビはそうはおらぬ。
また、攻撃陣に目を向ければ、夢生が牽引しておると記す。
そして、夢生のアグレッシブさに触発されたのか、聖真、カイオ、優磨がゴールを伸ばしたと言う。
特に聖真については、92年生まれのプラチナ世代として一気にブレイクして欲しいとのこと。
攻守が絡み合い、石井監督の采配も冴える。
頭脳は監督と褒め称えておる。
1stステージは、あらゆる面がいい方向に回り、頂点に立った。
このまま突き進みたい。
上昇気流に乗った勢いで完全制覇を目指そうではないか。
期待しておる。

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Text by 元川 悦子

6月25日の2016年J1第1ステージ最終節で、首位・鹿島アントラーズがホームでアビスパ福岡を2-0で下し、順当にステージ制覇を成し遂げた。試合後、石井正忠監督はスタッフと抱き合って歓喜の様子を見せたが、小笠原満男を筆頭に選手たちは淡々とした様子。「年間制覇してこそ、真のタイトル獲得と言える」という厳しい雰囲気がチーム全体に漂っていて、さすがは常勝軍団という立ち振る舞いだった。
開幕からトップを走り続けてきた川崎フロンターレを18日の前節・ヴィッセル神戸戦に勝利した段階で逆転し、今季前半戦の頂点に立った鹿島だが、その原動力となったのは、やはり17試合通算10失点という手堅い守備だろう。最終節・福岡戦も最終ラインのリーダー・昌子源が出場停止で、ブエノと植田直通のセンターバックコンビでのぞんだが、彼らとボランチの小笠原、柴崎岳らを軸に相手の攻撃の軸であるウェリントンを完全に封じ込み、仕事らしい仕事をさせなかった。
そんな安定感を維持できたのも、植田の成長が大きい。1月のAFC・U-23選手権(カタール)でアジア王者の座をつかんで以降、彼のパフォーマンスは自信に満ち溢れていた。昌子も以前「あいつは自分のヘディングがメチャ強いって分かってる分、以前だったら競り合いに負けたらそれを引きずっていた。でも今はいちいちクヨクヨせず、『1回負けてもまた次』って気持ちを切り替えてる。サッカーはすぐ次のボールが来るし、そこでいちいち『ああ~』って思ってたら、自分のプレーの質を下げることになる。そこが一番変わったところかな」と植田の変貌ぶりをこう評したが、その後も成長スピードを早めていった。常勝軍団がタイトルを手にする時には秋田豊(現解説者)、岩政大樹(現岡山)といった守備の大黒柱がいた。植田が先輩たちと同じ存在感を第2ステージも示せれば、鹿島の完全制覇も夢ではないだろう。
総得点の方は29と、川崎の33、サンフレッチェ広島の32より少ない数字だったが、尻上がりに得点が増えていく印象が強まった。そのけん引役はもちろん金崎夢生。1月にいったん退団し、当時のレンタル元だったポルトガル2部のポルティモネンセに復帰。欧州移籍を目指したが、それが実現せず、鹿島に完全移籍することになった。本人は「鹿島の優勝のために全力を尽くす」と話していたが、その言葉通り、ゴールヘの貪欲さを前面に押し出し、J1得点ランキング4位タイの8点を挙げた。彼の能力を考えれば、この数字はまだまだ物足りないが、第2ステージはよりフィニッシュの精度を高めて、年間20点には引き上げてほしいものだ。
金崎のアグレッシブさに触発されたのか、土居聖真、カイオ、鈴木優磨といった若手アタッカーもゴール数を伸ばしていった。特に土居は昨年秋に負った左第2中足骨骨折から復帰したものの、シーズン序盤は本調子ではなかった。イージーな決定機をミスするなど、どこか試合勘が不足している印象が否めなかった。しかし第1ステージ終盤は5月29日のヴァンフォーレ甲府戦の2ゴールを皮切りに、神戸戦、福岡戦とプレッシャーのかかるラスト2連戦で連発。ここ一番の勝負強さを前面に押し出した。宇佐美貴史(G大阪→アウグスブルク)、武藤嘉紀(マインツ)らと同じ92年生まれの逸材がここへきて才能を開花させつつあるのは、鹿島にとっても、日本サッカー界にとっても朗報だ。このまま一気にブレイクしてもらいたい。
福岡戦に先発した杉本太郎、途中出場した永木亮太など、使える選手の幅が広がってきたのも第1ステージに前進した点だろう。杉本は2013年U-17日本代表の頃からエースとして名を馳せていたが、2014年の鹿島入り後は思うように出場機会をつかめずに苦しんだ。が、今季に入ってからは着実に存在感を増し、アタッカー競争に堂々と参戦するようになった。永木にしても湘南ベルマーレから移籍後、まだだだ出場機会が少ないものの、小笠原のバックアップ役としていい味を出している。
このようなメンバーをうまく使いまわしている石井監督の采配力や選手を見極める力の高さも特筆すべき点。昨年7月に就任した時にはトップチームを率いた経験がないことを不安視されていたが、昨年のJリーグヤマザキナビスコカップ、そして今回のステージ制覇でそんな懸念をわずか1年足らずで払拭してしまった。こういった頭脳派監督が出てきたことも常勝軍団の今後にとって大きい。
今季J1に関してはあらゆる面がいい方向に回り、頂点に立った鹿島。その上昇気流を第2ステージも続けられるかどうかが大いに気になる。

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鹿島のステージ優勝について記す元川女史である。
守備面の向上、特に植田の成長について言及しておる。
源のコメントにより、メンタル面、気持ちの切り替えができるようになったところが大きかったことがわかる。
元川女史は、秋田や岩政に比肩する存在感を発揮し出せば、完全制覇も夢ではないと書く。
まさにそうであろう。
源と植田のコンビはJリーグ屈指である。
高さ、強さ、速さを併せ持つCBコンビはそうはおらぬ。
また、攻撃陣に目を向ければ、夢生が牽引しておると記す。
そして、夢生のアグレッシブさに触発されたのか、聖真、カイオ、優磨がゴールを伸ばしたと言う。
特に聖真については、92年生まれのプラチナ世代として一気にブレイクして欲しいとのこと。
攻守が絡み合い、石井監督の采配も冴える。
頭脳は監督と褒め称えておる。
1stステージは、あらゆる面がいい方向に回り、頂点に立った。
このまま突き進みたい。
上昇気流に乗った勢いで完全制覇を目指そうではないか。
期待しておる。

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