北京国安戦報道
鹿島完封負け決勝Tお預け/アジアCL
北京国安に敗れてグラウンドを後にする小笠原(中央)ら鹿島の選手たち
<アジアCL:北京国安(中国)1−0鹿島>◇1次リーグ◇F組◇23日◇北京
【北京(23日)=広重竜太郎】鹿島がJクラブ史上最速となる4戦目での1次リーグ突破のチャンスを逃した。勝てば決勝トーナメント進出が決まるアウェー北京国安(中国)戦は、前半終了間際に相手FWチアゴに先制弾を許した。DF新井場、MF本山が負傷する中、1点の壁は厚く0−1で完封負けした。勝ち点9で北京国安に並ばれたが、総得失点差で10点差をつけて首位をキープ。優位な状況は変わらないが、決着は最終戦までもつれ込むことになった。
鹿島は最後の一線で踏みとどまった。0−1のリードを許し、2点目を最後まで狙われた。後半38分にはFW楊昊に鋭いボレーシュートを打たれ、肝を冷やした。2点目を奪われれば1次リーグ敗退の危機。0−1のまま終わり、選手は複雑な表情でうなだれた。安堵(あんど)感と失望感。クルンタイバンクが引き分けたため勝てば残り2戦を残して1次リーグ突破が決まっていた。DF岩政は「狙っていたものの中で一番最低限の結果だった」と険しい顔を崩さなかった。
勝てば多くの産物を手に入れられた。残り2試合は消化試合となり、主力選手は5月の公式戦5試合を3試合に減らすことができた。ACLを並行して戦う影響は肉体に現れている。この日もDF新井場が左太もも裏痛を悪化させ、MF本山も左足を打撲して途中交代。今後の負担を軽減させるためにも勝ちたかった。
勝負の行方は最終戦までもつれ込む。優位は変わらない。得失点差も北京国安より10点も多い。だが横浜が04年に残り2戦目で4点の得失点差リードを、2位城南一和の格下相手への15−0圧勝でひっくり返された例もある。小笠原は「(最終戦までの戦いは)最初からそのつもりだった。10点リード? 何があるか分からない」と緊張感を最後まで保つことを誓った。
[2008年4月24日8時45分 紙面から]
鹿島負けた… 厳戒アウェー北京で狂った歯車
北京国安の選手に囲まれながらも突破を試みる興梠(中央)。鹿島は最後まで得点を奪えず、初黒星を喫した(共同)
アジア・チャンピオンズリーグ1次L第4節(北京国安1−0鹿島 23日、中国・北京豊台体育場)F組の鹿島はアウェーで北京国安(中国)と対戦、0−1で敗れた。勝てば1次リーグ突破が決まったが、前半に許した1点を最後まで取り返せず初黒星。通算3勝1敗の勝ち点9で北京国安に並ばれたものの、得失点差で同組首位は守った。
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鹿島がボールをキープした瞬間に、地鳴りのようなブーイングがスタジアムを包む。中国Cリーグで最も熱狂的なサポーターとされる緑のスタンドに気押されたのか、J王者は完全なアウェー戦で痛い初黒星を喫した。
「試合を決定付けるチャンスで決めたか、決めていないか。もう少し違う展開を思い描いていた」とオリベイラ監督は下を向いた。
先に行われた同組の試合で、クルンタイ銀行がナムディンと引き分けた。鹿島は勝ち点3を奪えば、決勝トーナメント進出が決まる。今後の過密日程の負担を軽減するためにも、「絶対に勝ちたい」(FW田代)ところだった。
しかし、気持ちが空回りした。前回対戦した9日はDF内田が第3腰椎横突起を骨折したが、この日も相手の厳しいマークに一触即発のシーンもあった。そして前半終了間際、わずかなすきをついて北京国安はFKからDF裏のスペースにパス。飛び出したFWチアゴが左足シュートを決め、先制点を奪われた。
後半になってもFWマルキーニョスをけがで欠く攻撃陣は、相手ゴールをこじ開けることができない。リーグ戦から3戦連続無得点に終わった。
得失点差は北京国安と『10』差あり、グループ首位は守った。しかし、今後は残り2試合で、下位チームから得点の奪い合いとなる。最終戦まで気を抜けない状況だ。DF岩政は「最低限の結果」と振り返った。
それでも「何があるかわからない。あと2試合、しっかりやりたい」とMF小笠原。FW田代も「アジアで簡単に勝ち抜けるわけじゃないと思った。次のホームでしっかり勝ちたい」と気を引き締めた。J王者はそのプライドを胸に、アジア頂点への歩を進める。
(峯岸弘行)
★鹿島の決勝T進出は
第4節の敗戦によって、次節5月7日のクルンタイ銀行戦(ホーム)で勝っても、決勝トーナメント進出は最終節に持ち越しとなることが決定した。ただ、第4節終了時で2位の北京国安と勝ち点は9で並んだが、得失点差が10上回っているため鹿島の有利は変わらない。
スタジアムで目を光らす警察の特殊部隊。私服警官も多数動員された(共同)
鹿島 疲労困敗…3戦連続ノーゴール
<鹿島・北京国安>前半、競り合う鹿島・小笠原(左)と北京国安・マルティネス。右はダニーロ
Photo By 共同
アジアチャンピオンズリーグ1次リーグF組の鹿島は北京で北京国安(中国)と対戦し、0―1で敗れた。勝てば1次リーグ突破が決まるところだったが、通算3勝1敗の勝ち点9で北京国安に並ばれ、得失点差で辛うじて首位を守った。G組のG大阪は山崎雅人(26)の2得点でメルボルン(オーストラリア)に2―0で快勝し、3勝1分けの勝ち点10で同組首位を守った。メルボルンは同3で1次リーグ敗退。
またしてもゴールは遠かった。勝てば1次リーグ突破が決まるところだったが、0―1で敗れたことで勝負の行方は最終戦まで持ち越し。約1万人の相手サポーターのブーイングが鹿島イレブンに重くのしかかった。
「重要なのはきょう負けたことではなく予選を突破すること。得失点差がウチが13(実際には14)で北京国安が4であることを考えれば、残りの2試合をしっかりと勝つことが大事」とオリヴェイラ監督は努めて冷静に振り返った。
だが、気がかりなのが最近の得点力不足だ。これで公式戦は3戦連続の無得点。リーグ戦では開幕5連勝と最高のスタートを切ったが、過密日程の影響でここ2試合は勝利なし。首位からも陥落した。この日の一戦で予選突破を決めれば、残り2試合は消化試合となりターンオーバー制を導入することも可能だったが、これで5月末まで続く過密日程の緩和は難しくなった。
MF小笠原は「得失点差はあるけど何があるか分からない。いつかは点が入るだろう、ではなくみんなで意識するべき」と危機感も口にした。残り2試合は、絶対に取りこぼせなくなった。
[ 2008年04月24日 ]
鹿島307分無得点!決勝T一転ピンチに…ACL
後半、北京国安MFに倒される鹿島・青木
◆ACL1次リーグ第4戦 ▽F組 北京国安1―0鹿島(23日、北京・豊台スタジアム) 鹿島は23日、北京で北京国安と対戦し、0―1で敗れた。前半44分、リスタートからFWチアゴ(30)に先制点を奪われると、効果的な攻撃が出来ず、無得点。勝てば決勝トーナメント(T)進出だったが、痛恨の初黒星。勝ち点9でF組首位をキープしたものの、2位北京国安と勝ち点差はなく、残り2試合全勝が求められる。
敗れるべくして敗れた。連係ミスから失点すれば、攻撃もゴール前で決定力に泣いた。「チャンスはあった。それを決めていれば違う状況になったかもしれないし、違う結果になったかもしれない」オリヴェイラ監督は、公式戦3試合連続、通算307分ノーゴールのアタッカー陣に悔しさをぶつけた。
アウェー戦の大原則を守れなかった。前半44分、速いリスタートにオフサイドトラップが遅れ、FWチアゴに先制点をたたき込まれた。終了間際にはFW興梠がGKをかわし、FW田代にラストパスを送ったが、シュートを打てない。ミスで失点、チャンスで不発。必然の結果だったが、失点を重ねなかったことが「御の字」と思える展開だった。
完全アウェーだった。現地スポーツ紙「体壇周報」は、鹿島の前日公式練習の時間に触れ、「試合開始時間(現地午後8時)に合わせてやらないのは、日本人は高慢で緊張感がない」とバッシング。また、公安当局は安全を目的に、約100人の日本人サポーターを中国人観客から隔離。警備員1000人以上を配置したが、引き裂かれた日本国旗がピッチに投げ捨てられるなど、スタンドは常軌を逸していた。
勝てば決勝T進出が決まる試合で、痛恨の敗戦。残り2試合で主力を温存するオリヴェイラ監督の構想はもろくも崩れ去った。MF小笠原主将は「最低限」の結果としながらも「みんなが意識して、点を取れるようにやる必要がある」と危機感を募らせた。
残り2試合、取りこぼしは許されない。「これで最終節まで分からなくなった」と田代。順風満帆だったACL制覇への道が一転、険しさを増してきた。
◆鹿島が決勝トーナメントに進出するためには ○…各組1位が進出。順位は〈1〉勝ち点〈2〉直接対決の成績〈3〉得失点差〈4〉総得点の順に決める。鹿島と北京は〈1〉〈2〉とも同じため最終節まで決まらない。鹿島は得失点差で北京に10点差をつけているため、残り2試合勝てば可能性は高い。仮に〈3〉〈4〉も並んだ場合は抽選。3位のクルンタイバンクの可能性はほぼない。
(2008年4月24日06時02分 スポーツ報知)
残り2試合は得失点勝負となるため、ゴール・ショーとなるであろう。
スタジアムでかなり楽しめるであろう。
とはいえ、小笠原主将の申すように、得点を取るプロセスを今一度確認して望むべきである。
向かおう聖地に、そしてヴェトナムに。