東福岡高校・小田逸稀くん、楽しみのほうがでかいです
【東福岡】プロ内定の主軸トリオが語り尽くす選手権への想い。連覇への秘策とは?
安藤隆人
2016年12月26日
「残りのひとつは絶対にウチが獲りたい」(小田)

左から、藤川、髙江、小田。東福岡が誇る主軸トリオは卒業後、J1クラブの門を叩く。写真:安藤隆人
昨年度はインターハイで2連覇を果たし、高校選手権優勝と、全国のタイトルを次々と獲得した。強烈なインパクトで高校サッカー界を席巻した“赤い彗星”、東福岡。今年も2冠メンバーが多く残り、全国トップレベルの力を有している。
3連覇が懸かった夏のインターハイこそ昌平に初戦で苦杯を舐めたが、高円宮杯プレミアリーグWESTでは4位に食い込み、3人のプロ内定選手が生み出すなど、開幕目前の選手権でも優勝候補筆頭に推すべき存在だ。
今回は、そのプロ入団内定トリオに集まってもらい、連覇を狙う選手権への意気込みを語ってもらった。MF藤川虎太朗(ジュビロ磐田入団内定)、髙江麗央(ガンバ大阪入団内定)、そしてDF小田逸稀(鹿島アントラーズ入団内定)。プロ挑戦への意気込みも訊く。
―――――――――――◆―――――――――◆――――――――――――
――いよいよ高校生活最後の選手権が迫ってきました。
藤川 東福岡から3人のプロが出て、注目されるなかですし、全国では自分たちが持っているものを最大限に出さないといけない。そこはプレッシャーがあります。
髙江 一人ひとりがチームのためにちゃんと戦えば、結果がついてくると思うので、まずはあまり意識しすぎず、チームのためを考えてプレーをしたいです。
小田 昨年優勝を経験して、もう一度日本一の景色を見たいし、この仲間と見たいと思っています。僕らはあくまでチャレンジャーなので、勇気を持ってやりたいです。
髙江 いまはもう選手権しか見えてないですね。
小田 今年のはじめは3冠を狙っていたのですが、インターハイは市立船橋が優勝して、高円宮杯チャンピオンシップは青森山田が獲った。なので、僕らはチャレンジャーなんです。この気持ちを持って、残りのひとつは絶対にウチが獲りたいと思ってます。
――高校3年間は早く感じましたか? 東福岡で過ごした日々はどのようなものだったのでしょう。
藤川 早かったですね。本当にいろんなことを経験させてもらいました。
小田 3年間で悔しい想いをたくさんしました。東福岡に来なかったらこの悔しさは味わえなかったと思います。1年の頃は選手権メンバーに残れず、昨年はインターハイと選手権で優秀選手に入れなかった。とくに昨年の選手権前は「優秀選手になって高校選抜に入る」のを目標のひとつにしていたので、本当に悔しかったですね。
髙江 僕は1年のときに選手権メンバーに選ばれなくて、プレミアにも関われなかった。2年になってメンバーに入ったけど、途中出場が多くて、選手権も準決勝と決勝に出れませんでした。最初の2年間はめちゃくちゃ悔しかったので、ラスト1年は本当に必死でやりましたね。
藤川 僕も苦しい3年間でした。東福岡は部員がすごく多いし、全国的に良い選手が集まってくるので、ものすごく競争が激しい(編集部・注/今年度の東福岡サッカー部の部員数は320人)。ちょっとでも調子を落としたら、外されてしまう。調子が良い選手がピッチに立てる世界なので、そういうところで春先から思うように調子が上がらず、怪我もして、スタメンで出られなかったり。本当にいろいろ考えました。
――選手権とインターハイで優勝を経験していても、悔しさのほうが大きいのですね。だからこそ、最後の選手権は良い形で終わりたいと。
藤川 そうです、毎試合100㌫で戦いたいです。
髙江 1試合でも多くチームのためにやり切りたい。まずはそこが重要なので、強く意識しています。
小田 まずは各ポジションの選手が与えられた役割をしっかりこなすことが重要だと思います。本当にそうしないと、厳しい戦いになるのは分かっているので。
「後輩たちにとって憧れの先輩になるために」(髙江)

苦楽を共にした仲間たち、そして後を継ぐ後輩たちと戦う最後のビッグステージ。連覇に闘志を燃やす。(C)SOCCER DIGEST
――3人はプロに進みますし、他の3年生も大学などに進みます。みんなバラバラの進路を歩みますね。
小田 今年に入って進路の話が進んできて、「ああ、もうすぐなんだな」と感じますね。とくに今日(12月下旬)はグラウンドでフィジカルトレーニングをするのが最後ですし、学校に行くのも金曜日が最後。寮も昨日退寮したので、そういうのを経験すると実感が湧いてきますよね。
髙江 僕も逸稀と同じタイミングで退寮したのですが、実家に帰ってもまだ退寮した感じがしなくて、学校がもう終わるという実感もないんです。自分がもう来シーズンからテレビで見ていたプロの世界に入るんだ、そこは意識していますが、高校生活が終わるというのはなかなか実感できません。
藤川 僕は荷造りをして、磐田に送ったりもしたので、そういう面では「ああ、プロにもう行くんだな」と思いますね。遠征や選手権を含めて、実家にいるのはもう1週間もないので、「もうすぐだな」と感じてます。
――いまは不安? 楽しみ? どちらが大きいですか?
藤川 楽しみですね。
髙江 楽しみは楽しみでワクワクしますが、不安なところもあります。
小田 僕は多少不安はありますが、楽しみのほうがでかいです。
――最後に、選手権が終わったら東福岡の卒業生になります。これまでの先輩たちを見て、自分はどんな卒業生になりたいですか?
小田 ヒガシの卒業生として、僕は長友佑都選手に憧れてきて、ポジション的(小田は左サイドバック)にも意識してやってきたので、後輩たちにもそう思われるような存在になれたらなと思っています。
髙江 僕も逸稀が言ったように、これからヒガシのサッカー部に入ってくる後輩たちはたくさんいると思うので、その選手たちにとって憧れの先輩になるために、もっと努力していきたいです。
藤川 ふたりが言うように憧れられる選手になりたいです。ひとつ上には中島賢星くん(現横浜F・マリノス)や増山朝陽くん(現ヴィッセル神戸)がいて、高校のときは適わない存在だった。でもプロの世界に入ったら年齢は関係ないので、追い抜くくらいの気持ちでやらなきゃなと思っています。
取材・文・写真:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

左:藤川虎太朗(ふじかわ・こたろう/MF/1998年7月24日生まれ/173cm・60kg)、中央:髙江麗央(たかえ・れお/MF/1998年6月27日生まれ/173cm・62kg)、右:小田逸稀(おだ・いつき/DF/1998年7月16日生まれ/173cm・69kg) 写真:安藤隆人
全国高校サッカー選手権大会開幕を前に座談会に応じた東福岡高校・小田逸稀くんである。
「3年間で悔しい想いをたくさんしました。東福岡に来なかったらこの悔しさは味わえなかったと思います」と語る。
この言葉から、かなりの負けず嫌いであることが垣間見える。
この高校選手権で、それを発散させ、是非とも優勝を掴み取って欲しい。
注目しておる。

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安藤隆人
2016年12月26日
「残りのひとつは絶対にウチが獲りたい」(小田)

左から、藤川、髙江、小田。東福岡が誇る主軸トリオは卒業後、J1クラブの門を叩く。写真:安藤隆人
昨年度はインターハイで2連覇を果たし、高校選手権優勝と、全国のタイトルを次々と獲得した。強烈なインパクトで高校サッカー界を席巻した“赤い彗星”、東福岡。今年も2冠メンバーが多く残り、全国トップレベルの力を有している。
3連覇が懸かった夏のインターハイこそ昌平に初戦で苦杯を舐めたが、高円宮杯プレミアリーグWESTでは4位に食い込み、3人のプロ内定選手が生み出すなど、開幕目前の選手権でも優勝候補筆頭に推すべき存在だ。
今回は、そのプロ入団内定トリオに集まってもらい、連覇を狙う選手権への意気込みを語ってもらった。MF藤川虎太朗(ジュビロ磐田入団内定)、髙江麗央(ガンバ大阪入団内定)、そしてDF小田逸稀(鹿島アントラーズ入団内定)。プロ挑戦への意気込みも訊く。
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――いよいよ高校生活最後の選手権が迫ってきました。
藤川 東福岡から3人のプロが出て、注目されるなかですし、全国では自分たちが持っているものを最大限に出さないといけない。そこはプレッシャーがあります。
髙江 一人ひとりがチームのためにちゃんと戦えば、結果がついてくると思うので、まずはあまり意識しすぎず、チームのためを考えてプレーをしたいです。
小田 昨年優勝を経験して、もう一度日本一の景色を見たいし、この仲間と見たいと思っています。僕らはあくまでチャレンジャーなので、勇気を持ってやりたいです。
髙江 いまはもう選手権しか見えてないですね。
小田 今年のはじめは3冠を狙っていたのですが、インターハイは市立船橋が優勝して、高円宮杯チャンピオンシップは青森山田が獲った。なので、僕らはチャレンジャーなんです。この気持ちを持って、残りのひとつは絶対にウチが獲りたいと思ってます。
――高校3年間は早く感じましたか? 東福岡で過ごした日々はどのようなものだったのでしょう。
藤川 早かったですね。本当にいろんなことを経験させてもらいました。
小田 3年間で悔しい想いをたくさんしました。東福岡に来なかったらこの悔しさは味わえなかったと思います。1年の頃は選手権メンバーに残れず、昨年はインターハイと選手権で優秀選手に入れなかった。とくに昨年の選手権前は「優秀選手になって高校選抜に入る」のを目標のひとつにしていたので、本当に悔しかったですね。
髙江 僕は1年のときに選手権メンバーに選ばれなくて、プレミアにも関われなかった。2年になってメンバーに入ったけど、途中出場が多くて、選手権も準決勝と決勝に出れませんでした。最初の2年間はめちゃくちゃ悔しかったので、ラスト1年は本当に必死でやりましたね。
藤川 僕も苦しい3年間でした。東福岡は部員がすごく多いし、全国的に良い選手が集まってくるので、ものすごく競争が激しい(編集部・注/今年度の東福岡サッカー部の部員数は320人)。ちょっとでも調子を落としたら、外されてしまう。調子が良い選手がピッチに立てる世界なので、そういうところで春先から思うように調子が上がらず、怪我もして、スタメンで出られなかったり。本当にいろいろ考えました。
――選手権とインターハイで優勝を経験していても、悔しさのほうが大きいのですね。だからこそ、最後の選手権は良い形で終わりたいと。
藤川 そうです、毎試合100㌫で戦いたいです。
髙江 1試合でも多くチームのためにやり切りたい。まずはそこが重要なので、強く意識しています。
小田 まずは各ポジションの選手が与えられた役割をしっかりこなすことが重要だと思います。本当にそうしないと、厳しい戦いになるのは分かっているので。
「後輩たちにとって憧れの先輩になるために」(髙江)

苦楽を共にした仲間たち、そして後を継ぐ後輩たちと戦う最後のビッグステージ。連覇に闘志を燃やす。(C)SOCCER DIGEST
――3人はプロに進みますし、他の3年生も大学などに進みます。みんなバラバラの進路を歩みますね。
小田 今年に入って進路の話が進んできて、「ああ、もうすぐなんだな」と感じますね。とくに今日(12月下旬)はグラウンドでフィジカルトレーニングをするのが最後ですし、学校に行くのも金曜日が最後。寮も昨日退寮したので、そういうのを経験すると実感が湧いてきますよね。
髙江 僕も逸稀と同じタイミングで退寮したのですが、実家に帰ってもまだ退寮した感じがしなくて、学校がもう終わるという実感もないんです。自分がもう来シーズンからテレビで見ていたプロの世界に入るんだ、そこは意識していますが、高校生活が終わるというのはなかなか実感できません。
藤川 僕は荷造りをして、磐田に送ったりもしたので、そういう面では「ああ、プロにもう行くんだな」と思いますね。遠征や選手権を含めて、実家にいるのはもう1週間もないので、「もうすぐだな」と感じてます。
――いまは不安? 楽しみ? どちらが大きいですか?
藤川 楽しみですね。
髙江 楽しみは楽しみでワクワクしますが、不安なところもあります。
小田 僕は多少不安はありますが、楽しみのほうがでかいです。
――最後に、選手権が終わったら東福岡の卒業生になります。これまでの先輩たちを見て、自分はどんな卒業生になりたいですか?
小田 ヒガシの卒業生として、僕は長友佑都選手に憧れてきて、ポジション的(小田は左サイドバック)にも意識してやってきたので、後輩たちにもそう思われるような存在になれたらなと思っています。
髙江 僕も逸稀が言ったように、これからヒガシのサッカー部に入ってくる後輩たちはたくさんいると思うので、その選手たちにとって憧れの先輩になるために、もっと努力していきたいです。
藤川 ふたりが言うように憧れられる選手になりたいです。ひとつ上には中島賢星くん(現横浜F・マリノス)や増山朝陽くん(現ヴィッセル神戸)がいて、高校のときは適わない存在だった。でもプロの世界に入ったら年齢は関係ないので、追い抜くくらいの気持ちでやらなきゃなと思っています。
取材・文・写真:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

左:藤川虎太朗(ふじかわ・こたろう/MF/1998年7月24日生まれ/173cm・60kg)、中央:髙江麗央(たかえ・れお/MF/1998年6月27日生まれ/173cm・62kg)、右:小田逸稀(おだ・いつき/DF/1998年7月16日生まれ/173cm・69kg) 写真:安藤隆人
全国高校サッカー選手権大会開幕を前に座談会に応じた東福岡高校・小田逸稀くんである。
「3年間で悔しい想いをたくさんしました。東福岡に来なかったらこの悔しさは味わえなかったと思います」と語る。
この言葉から、かなりの負けず嫌いであることが垣間見える。
この高校選手権で、それを発散させ、是非とも優勝を掴み取って欲しい。
注目しておる。

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