ベテランがチームを支えつつ、若い才能が台頭しつつある名門が、伝統とするカップ戦で強さを発揮するのか
【戸塚啓コラム】立ち止まらない鹿島。成長を続ける常勝軍団の“強さ”とは
2016年12月27日 9時16分 戸塚啓コラム
クラブW杯で準優勝しても、彼らは満たされていない。
12月24日に行なわれた天皇杯準々決勝で、鹿島アントラーズがサンフレッチェ広島を下した。29日に行なわれる準決勝へ進出した。
2016年のJ1リーグは、11月3日に2ndステージが終了した。この時点ですべての公式戦を終えたJ1のチームもあるなかで、鹿島は11月だけで天皇杯とチャンピオンシップ(CS)をさらに3試合消化し、12月も広島戦が6試合目である。
肉体的な消耗もさることながら、CSとクラブW杯という緊張感の高い戦いを終えたばかりである。達成感に満たされてもおかしくない。天皇杯には来季のACL出場権がかかっているが、Jリーグ年間王者の鹿島はすでに2年ぶりの出場を決めている。天皇杯で敗退したとしても、彼らが批判を受けることはないだろう。労いの言葉をかけられるはずである。
それでも、このチームは戦いのエネルギーを枯らさないのだ。常勝チームとしてタイトル獲得を義務づけられている──クラブに息づく遺伝子が、不甲斐ない戦いを許さないのは間違いない。さらに加えて、成長を感じることができているのも大きいだろう。
「鹿島でも、五輪の最終予選でも感じましたが、タイトルを取ることで、ホントに人って変わるんだと実感しています。一つとるとまた取りたい、という意欲が増していきます」
CSもクラブW杯もまだ意識できない今年の春に、植田直通がこんな話をしていた。年間勝点3位からJリーグの頂点に立った彼らは、引き分けでは相手を上回れないCSをくぐり抜けたことで勝負強さに磨きをかけた。リーグ3位でのクラブW杯出場に大きな責任を感じ、浦和や川崎Fへの同情と言うべき遠回しの批判を、結果を残すことで弾き返した。それでも優勝には手が届かなかったことがまた、チームのモチベーションに火をつけている。
勝つことで鹿島が、鹿島の選手が変わってきたことは、スタンドから観ているだけでもはっきりと伝わってくる。いまの彼らは、2ndステージ終了当時とは明らかに違う。同じピッチに立つ選手なら、鹿島の「強さ」をダイレクトに感じていることだろう。
29日の天皇杯準決勝で、鹿島は横浜FMと対戦する。石井正忠監督のチームが、逞しい前進をさらに続けるのか。ベテランがチームを支えつつ、若い才能が台頭しつつある名門が、伝統とするカップ戦で強さを発揮するのか。
対戦相手からすれば、鹿島だけを走らせるわけにはいかない。鹿島を上回るために、これまで以上のパワーを絞り出していくだろう。ひとつのチームの成長が、リーグ全体を高めていくのである。クラブW杯でJリーグ勢過去最高の高みへ鹿島が辿り着いたことで、結果的にリーグ全体が恩恵に授かることができているのだ。17年、18年はUAEがホストを務めるクラブW杯だが、19年以降はまた日本で開催してほしいものである。
戸塚啓
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している
鹿島について取材した戸塚氏である。
「このチームは戦いのエネルギーを枯らさないのだ」「さらに加えて、成長を感じることができているのも大きいだろう」と、CWCを終え、そして天皇杯・広島戦を勝利した鹿島というチームを評す。
このCS、CWC、天皇杯と緊張感の高い試合が続く過密日程にて勝利を積み重ねていることは、確実に選手をチームを成長させておる。
それは、「鹿島でも、五輪の最終予選でも感じましたが、タイトルを取ることで、ホントに人って変わるんだと実感しています。一つとるとまた取りたい、という意欲が増していきます」という植田のコメントからも覗える。
植田は今年の初めに開催されたU-23アジア選手権の優勝にて一回り大きく成長した。
このCWC、天皇杯でも成長を続けておる。
それは、チーム全体にも言えることであろう。
この天皇杯を勝ち抜けば、更にチーム力は上がる。
強い気持ちで優勝を目指す。
楽しみである。

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2016年12月27日 9時16分 戸塚啓コラム
クラブW杯で準優勝しても、彼らは満たされていない。
12月24日に行なわれた天皇杯準々決勝で、鹿島アントラーズがサンフレッチェ広島を下した。29日に行なわれる準決勝へ進出した。
2016年のJ1リーグは、11月3日に2ndステージが終了した。この時点ですべての公式戦を終えたJ1のチームもあるなかで、鹿島は11月だけで天皇杯とチャンピオンシップ(CS)をさらに3試合消化し、12月も広島戦が6試合目である。
肉体的な消耗もさることながら、CSとクラブW杯という緊張感の高い戦いを終えたばかりである。達成感に満たされてもおかしくない。天皇杯には来季のACL出場権がかかっているが、Jリーグ年間王者の鹿島はすでに2年ぶりの出場を決めている。天皇杯で敗退したとしても、彼らが批判を受けることはないだろう。労いの言葉をかけられるはずである。
それでも、このチームは戦いのエネルギーを枯らさないのだ。常勝チームとしてタイトル獲得を義務づけられている──クラブに息づく遺伝子が、不甲斐ない戦いを許さないのは間違いない。さらに加えて、成長を感じることができているのも大きいだろう。
「鹿島でも、五輪の最終予選でも感じましたが、タイトルを取ることで、ホントに人って変わるんだと実感しています。一つとるとまた取りたい、という意欲が増していきます」
CSもクラブW杯もまだ意識できない今年の春に、植田直通がこんな話をしていた。年間勝点3位からJリーグの頂点に立った彼らは、引き分けでは相手を上回れないCSをくぐり抜けたことで勝負強さに磨きをかけた。リーグ3位でのクラブW杯出場に大きな責任を感じ、浦和や川崎Fへの同情と言うべき遠回しの批判を、結果を残すことで弾き返した。それでも優勝には手が届かなかったことがまた、チームのモチベーションに火をつけている。
勝つことで鹿島が、鹿島の選手が変わってきたことは、スタンドから観ているだけでもはっきりと伝わってくる。いまの彼らは、2ndステージ終了当時とは明らかに違う。同じピッチに立つ選手なら、鹿島の「強さ」をダイレクトに感じていることだろう。
29日の天皇杯準決勝で、鹿島は横浜FMと対戦する。石井正忠監督のチームが、逞しい前進をさらに続けるのか。ベテランがチームを支えつつ、若い才能が台頭しつつある名門が、伝統とするカップ戦で強さを発揮するのか。
対戦相手からすれば、鹿島だけを走らせるわけにはいかない。鹿島を上回るために、これまで以上のパワーを絞り出していくだろう。ひとつのチームの成長が、リーグ全体を高めていくのである。クラブW杯でJリーグ勢過去最高の高みへ鹿島が辿り着いたことで、結果的にリーグ全体が恩恵に授かることができているのだ。17年、18年はUAEがホストを務めるクラブW杯だが、19年以降はまた日本で開催してほしいものである。
戸塚啓
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している
鹿島について取材した戸塚氏である。
「このチームは戦いのエネルギーを枯らさないのだ」「さらに加えて、成長を感じることができているのも大きいだろう」と、CWCを終え、そして天皇杯・広島戦を勝利した鹿島というチームを評す。
このCS、CWC、天皇杯と緊張感の高い試合が続く過密日程にて勝利を積み重ねていることは、確実に選手をチームを成長させておる。
それは、「鹿島でも、五輪の最終予選でも感じましたが、タイトルを取ることで、ホントに人って変わるんだと実感しています。一つとるとまた取りたい、という意欲が増していきます」という植田のコメントからも覗える。
植田は今年の初めに開催されたU-23アジア選手権の優勝にて一回り大きく成長した。
このCWC、天皇杯でも成長を続けておる。
それは、チーム全体にも言えることであろう。
この天皇杯を勝ち抜けば、更にチーム力は上がる。
強い気持ちで優勝を目指す。
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