外国人獲得選手に浮かぶ鹿島の本気度

狙うは異次元の「軍資金」 Jリーグ、大競争時代
編集委員 武智幸徳
2017/2/15 6:30
日本経済新聞 電子版


 2017年の明治安田生命J1リーグは25日に開幕する。18日には新シーズンの到来を告げる「富士ゼロックス・スーパーカップ」が日産スタジアムで、昨季リーグ王者の鹿島とリーグ2位浦和(鹿島が天皇杯も制したため)の間で争われる。いつになく、選手の移籍が活発に繰り広げられた今シーズンの見どころを探ってみた。

■J1優勝クラブに4年間で18.5億円

 Jリーグ開幕前の恒例イベントであるキックオフカンファレンスで、Jリーグの村井チェアマンは「本格的な大競争時代」の幕開けを高らかに告げた。競争はベテランから若手までの世代間であったり、外国人枠の緩和による日本人選手と外国籍選手のポジション争いであったり、高額化した配分金等を巡るクラブ間の争奪戦であったり、さまざまなフェーズで起こりうるとした。そういう内なる競争がJリーグのガラパゴス化を防ぐのに、有効な手段であることも強調した。

 大競争をあおることになりそうなのが今年から新設される「理念強化配分金」だ。今季からJリーグは動画配信のDAZN(ダ・ゾーン)と組んでJリーグの全試合を生中継するが、その放映権料は10年2100億円とされる。手にする破格の放映権料を原資に、成績優秀なクラブに“軍資金”を手厚く配ることで、クラブや選手のチャレンジ精神にドライブをかけていくわけだ。

 理念強化配分金の対象となるのはJ1の上位4チームだけ。優勝したクラブには翌年10億円、翌々年は4億円、3年目は1億5000万円と、総額15億5000万円が分割で渡される。これとは別にJ1は3億円の優勝賞金があるから、優勝すると18億5000万円の収入がクラブにもたらされることになる。理念強化配分金は2位でも総額7億円、3位は3億5000万円、4位は1億8000万円が支給されるのだから、ありがたい話だろう。

■脱護送船団促すインセンティブ

 これまでもJリーグは各クラブ均等に支給する分配金とは別に、成績や入場者数などに応じてインセンティブが働くようなボーナスを対象クラブに渡してきた。が、その傾斜はなだらかなものだった。それに比べると今回新設される配分金は、まさに「異次元」という感じ。クラブに積極的な投資を促し、結果的にクラブに格差がつくことも恐れない。落後者を出すことを徹底的に避ける護送船団的なやり方から、「行けるクラブはどんどん群れを離れて行ってもいいよ」という方向に完全に舵(かじ)を切った感がある。

 各クラブもそれに素早く呼応するかのように活発な補強に乗り出した。1人の大物が動けば、玉突きを起こすように移籍は連鎖する。誘いに乗って選手が大移動する様は「ゴールドラッシュ」という言葉を想起させた。

 そのトップランナーがFC東京である。「多摩川クラシコ」のライバルである川崎からJリーグ3年連続(13~15年)得点王のFW大久保を獲得。2部に降格した名古屋から元日本代表の快速FW永井、弱点だったGKに鳥栖の日本代表の林、左SBにはオランダのフィテッセから太田が帰参した。働きバチは多いけれど、コントロ―ラーがいなかった中盤にも元広島の才人、高萩(前FCソウル)を手に入れた。

このメンバー、額面どおりに働けば、大変な戦力になるが、既存の選手との歯車がかみ合うまでにある程度の時間はかかるものと思われる。

 昨年の成績から考えれば、通年で最多の勝ち点74を上げた浦和、同72の川崎、同59の鹿島が「3強」を形成するのだろう。

■堅実路線の浦和、川崎はFW小林に期待

 本命浦和の補強は地味だった。期限つき移籍で岡山に出していたリオデジャネイロ五輪代表の矢島、同じく千葉にローンしていた長沢が復帰。湘南から獲得した菊池とともに中盤の補強はこれくらい。攻撃陣は新潟からラファエルシルバ、千葉からオナイウ阿道を獲得した。

 就任6年目のペトロビッチ監督は値の張るビッグネームよりも、15年に仙台から獲得した武藤、16年に京都から獲得した駒井のように、筋のいいタレントを大きく伸ばすことに生きがいを感じているふうでもある。この堅実路線が果たして今季も通用するか。

 川崎は4年連続で得点の稼ぎ頭だった大久保を抜かれた影響がどう出るかが気になる。魅力的な攻撃サッカーをつくりあげた風間監督も名古屋に去った。風間監督の下でずっとコーチを務めた42歳の鬼木監督は監督業初挑戦になる。前任者との比較という雑音に悩まされるのは気の毒である。

 攻撃陣は大宮で復活を遂げた家長、G大阪から阿部、ブラジル人FWを獲得した。昨季のMVPの中村を軸にベースとなるスタイルは確立しているだけにフィニッシュの部分だけが気になる。大久保と並ぶ得点数(15)を昨季挙げた、日本代表FWの小林の独り立ちに期待したいところだろう。


実績のあるレオシルバ(左)が入った鹿島。ACL優勝を狙う陣容を整えた=共同

■外国人獲得選手に浮かぶ鹿島の本気度

 鹿島は外国人選手の取り方に「本気」が透けて見えるようである。GKに韓国から権純泰(前全北)、MFに新潟の大黒柱だったレオシルバ、FWに神戸からペドロジュニオールを持ってきた。昨年末のクラブワールドカップ(W杯)で守護神として大活躍した曽ケ端ではあるが、GKが補強ポイントであることに変わりはなかった。この辺の隙の無い補強はさすが。レオシルバもペドロジュニオールもJリーグでの実績を見れば、「外れ」になることはないだろう。

 クラブW杯で2位になったメンバーからは柴崎がスペインのテネリフェに去ったくらい。国内で19冠も積み上げた鹿島に欠けているのがアジア王者のタイトル。今季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を狙える戦力だろう。ただ、陣容が充実するほどに、選手のやり繰りは難しくなる。出場機会の有無を巡ってチームの内圧が高まるほどに、監督のマネジメントが問われることになる。

 西国の雄、G大阪と広島も虎視眈々(たんたん)とタイトルを狙っている。

 G大阪は大森、阿部といういぶし銀のMFがそれぞれ神戸、川崎に移籍。引き換えに横浜MからCBのファビオ、大宮からトリッキーなドリブルで突破力のある泉沢を獲得した。東国の列強に比べると、やや地味な補強という印象はぬぐえない。

 一方、G大阪のライバルであるC大阪は日本代表MFの清武(前セビリア)を獲得して「あっ」といわせた。清武にとっては古巣であり、周囲とのコンビネーションはすぐに取り戻せるだろう。代表でコンビを組むボランチの山口とのタッグはJ最強かもしれない。清武のパスセンスが前線の柿谷、杉本らの能力を引き出しそうだ。

 実力伯仲のJリーグでは、どこが1部から2部に落ちるか読めない半面、2部から昇格したチームがいきなり1部で優勝争いをしたりする。C大阪の玉田社長は「J1昇格プレーオフに勝って昇格を果たしたクラブは13年から4年連続で最下位になって、1年で2部に舞い戻っている」と話す。C大阪はまずはその不吉なジンクスを打ち破る順位に届くことが先決か。

 C大阪の開幕戦の相手は、横浜Mから中村俊を獲得した磐田が相手。清武、中村俊の日本代表新旧トップ下の華麗なる競演は必見といえよう。

■限られた戦力の有効活用に変化も?

 毎年のように補強のうまさを見せつける広島は、クラブの顔だったFW佐藤が抜けた前線に、柏から米プロリーグに活動の場を広げていた工藤を獲得し周囲を驚かせた。ブラジル2部リーグのセアラ・スポルディングからやって来たMFフェリペの評判も上々。

 昨季終盤、明らかにチームの成長を感じさせた神戸も柏からFW田中、FC東京から中盤も最終ラインもできる高橋ら、バランスの取れた補強をした。名将ネルシーニョ監督も「勝負の年」と思い定めているのではないだろうか。

 大競争時代の始まりが、チームづくりにどう変化をもたらすのかも興味津々だ。日本代表選手が次々に海外に流出する一方、限られた強化費の中では国外からその穴を埋める飛び抜けた戦力を持ってくることは難しく、近年のJリーグは限られた人的資源を有効活用するクラブに凱歌(がいか)が上がってきたように思う。広島、浦和で監督を歴任したペトロビッチ監督はその代表的人物で、3バックと5バックの可変的なシステムの中にうまく選手を溶け込ませ、効率良く試合を回してきた。

 昨季、優勝を逃した浦和ではあるが、最多勝ち点を積み上げたことが示すとおり、ペトロビッチ監督が提示するスタイルとシステムは依然、Jリーグで優位を保っているように思う。それは今季も続くのか。それとも、これまでとは違う要素が出てくるのか。非常に面白いシーズンになりそうである。


2017年シーズンの見所を綴る日経新聞の武智氏である。
鹿島については「外国人選手の取り方に「本気」が透けて見える」と記す。
アジア枠も含めて、助っ人がすべて期待できるシーズンは久しぶりではなかろうか。
ブラジル人3人に実力者が揃うのは、97年・98年のジョルジーニョ・ビスマルク・マジーニョ以来と記憶する。
この戦力にてJリーグを、アジアを席巻しようではないか。
楽しみなシーズンがいよいよ開幕する。

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