韓国人記者に聞いた日本の魅力とKリーグの事情

J1に6人、韓国人GKが増えた理由
記者に聞いた日本の魅力とKリーグの事情

キム・ミョンウ
2017年2月15日(水) 13:00


「代表クラス」のGKが6人在籍

 今年のJリーグ移籍市場で、これだけ韓国人GKが大きく話題になったのは初めてかもしれない。

 今季J1でプレーする韓国人GKは、18チーム中6人もいる。川崎フロンターレのチョン・ソンリョン、ヴィッセル神戸のキム・スンギュ、鹿島アントラーズのクォン・スンテ、そして今季J1に昇格したセレッソ大阪のキム・ジンヒョンとアン・ジュンス、コンサドーレ札幌のク・ソンユンがそうだ。

 名前を聞いただけでは、あまりピンと来ない人が多いかもしれないが、韓国の立場からすればちょっとした「事件」に映るかもしれない。

 というのも、彼らはすでに韓国内で「代表クラス」のGKとして認められたプレーヤーだからだ。現韓国代表の正GKが神戸のキム・スンギュであり、そしてそのポジションを争っているのが川崎のチョン・ソンリョン。さらにC大阪のキム・ジンヒョンも代表メンバーに名を連ねている。昨年のリオデジャネイロ五輪でベスト8入りした当時の韓国代表GKが札幌のク・ソンユンだ。

 さらに、鹿島のクォン・スンテも、前所属の全北現代では不動のGKに君臨し、昨季はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇に貢献。2014年から3年連続でKリーグ・クラシック(1部)ベスト11を受賞したほか、ワールドカップ(W杯)ロシア大会・アジア最終予選のメンバー入りを果たしている。

韓国人GKを求める2つの理由

 なぜ、いま韓国人GKがJリーグに大挙、押し寄せているのか――。中央日報のサッカー担当デスク(スポーツ部次長)のソン・ジフン氏がその事情に詳しい。

「韓国人GK移籍ラッシュのきっかけは、C大阪のスカウトが、大学時代のキム・ジンヒョンに約2年間、接触していたことが大きいでしょう。私が彼に聞いた話では、『セレッソがとても熱心に自分のことを見にきてくれていた』と言います。

 そのあともC大阪は、韓国人GK探しに熱心で、現在C大阪のトップチームにいるアン・ジュンスという選手を獲得しています。彼も15年のU−17W杯チリ大会の代表GKとして活躍し、昨年もU−19韓国代表に選ばれています。彼も将来の韓国代表GK候補に間違いありません。

 つまり、09年からC大阪でプレーするキム・ジンヒョンがJリーグで成功を収めたことで、Jリーグの他クラブも韓国人GKに関心を持ち始めたのだと思います」

 確かに、キム・ジンヒョンのあとに続くように韓国人GKがJリーグに移籍しているが、そうした流れがあるのは間違いないようだ。さらにソン氏は、Jリーグが韓国人GKを求める理由は大きく2つあると話す。一つは選手の体格の問題だ。

「J1にいる韓国人GKの平均身長は190センチ近くあります。やはり体格のいいGKが魅力的に映り、試合でも有利であるのは明白でしょう」

 もう一つは「韓国のGKはビルドアップに優れている」という。

「Kリーグでもよく見られる光景なのですが、うしろから選手に檄(げき)を飛ばしながらチームの士気を上げたり、ディフェンスラインをコントロールするような指示がよく聞こえてきます。試合中も強いリーダーシップが発揮されているのだと思います」

 また、ソン氏は川崎のチョン・ソンリョンからこんな話を聞いたという。

「日本はとても住みやすいので、すぐに慣れました。それに試合で後ろから選手に指示を送ると、戦術の理解力がすごく高い。だからこそ、私もスムーズにプレーができています」

 韓国から日本は距離も近くて時差もない。チームへ溶け込むスピードも早いとなれば、韓国人GKが重宝されてもおかしくはない。もちろん、チームが勝つために必要な能力の高さを備えているからというのが、韓国人GK獲得の一番の理由である。

GKが育ちやすいKリーグの環境


鹿島に加入したクォン・スンテ。「こうしたチャンスはなかなか来ない」と移籍を決めた理由を語る【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 だが、韓国人GKがJリーグに移籍する理由には、「韓国側」の事情も大きく起因している。昨年のJ1年間王者への移籍を決めたクォン・スンテは、当時の心境をこう語っていた。

「(17年9月で)33歳という年齢を考えたとき、こうしたチャンスはなかなか来ない。最初で最後の機会と思っている」

 実はこの言葉の裏に、韓国GKのJリーグ移籍事情が見え隠れする。ソン氏が語る。

「Kリーグには、GKのポジションに韓国籍を持たない選手は登録できないという規定があります。GKは無条件に韓国籍所有者だけということになります」

 つまり、外国人GKがプレーできないことから、必然的に韓国人GKの育つ環境が確保できているということになる。なぜKリーグはこのような規定を設けたのか。その背景には当時、多くのクラブが外国人GKを呼び寄せたことが原因と言われている。

 1992年から98年まで、旧ソ連出身のバレリー・コンスタンチノビッチ・サリチェフというGKが一和天馬(現在の城南FC)で7シーズンプレーした。彼についた愛称は“神の手”――。スーパーセーブを連発してピンチを救い、93年から95年までのリーグ3連覇に大きく貢献した。彼の活躍が引き金となり、他クラブが外国人GKを呼び寄せた結果、国内の優秀なGKが試合に出られない状況が続いた。

 そうした状況を懸念したKリーグは、99年に外国人GKの保有及び出場禁止を宣言。それが今も有効なままなのだ。

 余談だが、サリチェフはその後、2000年に韓国籍に帰化してシン・ウィソン(韓国語で“神の手”)と改名し、04年まで安養LGチータース(現在のFCソウル)でプレーした。ちなみにサリチェフのKリーグ8試合連続無失点記録は今でも破られていない

 そうした状況を踏まえて、ソン氏はこう考える。

「韓国内でGKが外国人にポジションを奪われることはなくなり、選手がしっかりと育つ環境ができたのはよいことだとは思います。ただ、体格や実力があったとしても欧州クラブに移籍できるわけでなく、中国にも国内GKしか使えない規定があります。中東クラブも欧州からGKを引っ張ってくる傾向が強い。そうなると必然的に日本が一番の選択肢になりえるわけです」

 前述した鹿島のクォン・スンテが「こうしたチャンスはなかなか来ない」と話しているように、海外移籍のチャンスはめったに訪れないのだ。

KリーグではGKの年俸が低い

 ソン氏はさらに付け加えてこうも指摘する。

「やはりお金の問題が大きい。年俸をたくさんもらえるとなれば、選手の心は動くものです」

 昨年12月、韓国プロサッカー連盟は16年Kリーグ・クラシック(1部)の11クラブと、Kリーグ・チャレンジ(2部)の10クラブの選手の年俸を公開。国内選手のトップ5にGKの名前はなく、名実ともに国内トップクラスと言われていたクォン・スンテでさえも高い年俸ではないことが確認された。ちなみにKリーグ・クラシックの国内選手の年俸1位は全北現代のキム・シンウクで、14億6846万ウォン(約1億4700万円)だった。

「KリーグのGKが移籍でき、より年俸が多くもらえる海外リーグといえばJリーグが唯一。KリーグではFWやMFに比べ、GKは相対的に年俸が低い。Jリーグに行くと、現状の2〜3倍の年俸はもらえるので、クラブのオファーを断るのは難しいでしょう。鹿島のクォン・スンテは、全北現代時代よりも約2倍の7000万円〜1億円はもらっていると推測されます」

 こうした状況から、韓国では国内で育てた優秀なGKの日本への流出が問題視されているとも聞く。とはいえ、優秀なプレーヤーが海を渡り、経験を積むのは、決して悪い話ではない。アジアのレベルを引き上げることにも貢献できるはずだ。Jリーグで戦う多くの韓国人GKの奮闘が、新たな波及効果を生むことを期待したい。


Jリーグに韓国人GKが急増している現状について韓国の中央日報・サッカー担当デスクのソン・ジフン記者に取材を敢行したSportsnaviのキム・ミョンウ氏である。
韓国と近い日本の事情以上にKリーグの状況がこの状況を生んでおる様子。
まず一つ、Kリーグには外国人GKがプレイできない規定があるとのこと。
こうなると、競争原理が薄れ、ある程度の実力を有すると、ポジションが安定することとなろう。
特に鹿島に来たクォン・スンテは、3年連続ベストイレブンに選出され、ACL優勝の実績を誇っておる。
こうなると、ポジションは安泰であり、脅かされる心配はそう無かろう。
トップアスリートとして新たなるチャレンジ精神が芽生えるのも理解できる。
二つ目として、年俸の問題とのこと。
Kリーグでは、フィールドプレイヤーに比べGKは相対的に年俸が低い現実がある模様。
スンテは、鹿島に移籍するにあたって年俸が倍額となったとある。
これは、大きな状況と言えよう。
鹿島としては助っ人として迎え入れる以上、それ相応の金額を用意する。
そして、サッカー選手人生として、初の海外移籍をするスンテとしては、その評価に応じた結果を出してくれよう。
お隣の国の事情により、大きな戦力を得た。
クォン・スンテの類い希な実力と共に、アジアの頂点を目指す。
期待しておる。

にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村


鹿島アントラーズ ブログランキングへ

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Fundamentalism

Author:Fundamentalism
鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
RSSフィード
リンク