“レアル追い詰めた”鹿島監督の組織作り

“レアル追い詰めた”鹿島監督の組織作り1
2017年2月17日 12:30

 様々なジャンルのフロントランナーを招き、キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回は「鹿島アントラーズ」監督・石井正忠氏。「強い鹿島」を復活させた指導方法や「いいチーム」を作るために必要なリーダーシップについて聞いた。


■石井氏の経歴

 1967年生まれの50歳。93年のJリーグ開幕年から鹿島アントラーズの主力として活躍し、元・ブラジル代表のジーコ氏を支えチームを牽引。98年アビスパ福岡に移籍し、そのシーズンに引退。引退後すぐに鹿島のユースチーム・コーチや鹿島アントラーズのフィジカルコーチを務め、2015年7月に監督に就任している。


■激動の1年

――去年12月に行われたクラブワールドカップで、「鹿島アントラーズ」は世界2位という歴史的大健闘をみせました。一方で、去年の8月のスポーツ新聞には「心労で横浜戦不在 鹿島・石井監督退任も」という見出しになることもありました。改めて激動の1年だったのでは。

 そうですね。昨年はファーストステージで優勝して、その後のセカンドステージではなかなか思った成績が出すことができず、そんな中で私自身も一度チームを離れたかたちになりました。しかし、その後、いろいろな方に支えてもらいながら、チャンピオンシップでJリーグのタイトルをとって、その勢いをもってクラブワールドカップ、そして天皇杯のタイトルをとることができました。


――サッカーの名門・鹿島アントラーズですが、近年はタイトルがとれない年もあり、不振にあえいでいたかと思うんですが、石井監督は就任後わずか3か月でJリーグカップでチームを3年ぶりの優勝に導きます。今回は、そういった去年1年のこと、そして、監督に就任されてからの手腕などについて、伺いたいと思います。

“レアル追い詰めた”鹿島監督の組織作り2
2017年2月17日 12:30

 鹿島アントラーズ監督・石井正忠氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは「“強い鹿島”復活のカギはジーコスピリッツだった」。その真意に迫る。


■ジーコに徹底的に教わった

――鹿島を語る上で“ジーコスピリッツ”であったり、“ジーコイズム”というのは欠かせないと思うのですが、改めて石井監督はジーコさんからどういった影響を受けられたんでしょうか。

 プロリーグができて、最初の年にジーコさんはこられたので、「プロの選手はどうあるべきか」というところをまず徹底的に教わりましたね。その中で一番印象に残っている「勝利に対する執着心」という部分は、練習の時から意識するようになりました。


――執着心を意識されて、具体的にトレーニングなどで何か生かそうと思ったことってありますか。

 選手の時もそうだったんですけども、本当に1対1のバトルの部分、試合を想定した中でのトレーニング、その練習の本気さというところを、トレーニングのところからしっかりやっていかなければならないというところは、日々言われていましたし、それを指導者になってからも、またさらに戻そうという形にしていきましたね。


――例えば選手にどう接するとか、どうやって指導するっていう面でエピソードがあったら教えてください。

 まずは、前監督の時には、ケガが心配だったのか、練習中にスライディングをなくして、ケガをなくそうという形があったんですけども、実際の試合の中では当然、相手の選手もスライディングしてくるし、当然ウチの選手もするわけで、それをまた普通に戻そうということで、ゲームの中で起こりうる状況をまずトレーニングでやろうということを言いました。


■「監督と呼ばせなかった」

――選手の自主性を重んじたということも聞きましたが。

 非常に選手の能力がそれぞれ高いものを持っていたので、それを何か出し切れないということをコーチでいたときに感じたので、監督になってからは、まず選手の能力を100%出させるためのトレーニングであったり、そういう言葉をかけて思い切りプレーして欲しいなと、そういう働きかけはしました。


――監督と呼ばせなかったということも聞きましたが、これにはどういう意味があるんでしょうか。

 自然に立場が変わると選手は距離感をとると思うんですけど、そこでコーチ時代と同じように、監督と呼ばずに石井さんと呼んでくれと、もし監督と呼んだら罰金とるよと(笑)。これは冗談ですけど、そういう話もしました。


■若い選手は練習中に話さない

――そこから得られるものって何でしょうか。

 選手のコミュニケーションというのは非常に大事になってると思うので、そこの垣根というか、そういうのを作らずにコーチ時代と同じようにコミュニケーションをとっていきたいなという気持ちで、そういうことをしました。


――若い選手も多い中で、そういったコミュニケーションの大切さというのは大きいですか。

 若い選手というのはなかなか練習中でも言葉を発しませんし、自分の意思というのは、伝えないということが多いんですが、特に今までは、ウチはブラジル人の監督やコーチが多かったので、言葉も通じないというところもありますし、そういった部分で発言するというと、やっぱり自分の言葉に責任を持ちますし、やはり選手のほうから話してもらう、コミュニケーションをとるというのは大事な要素になると思いますね。


――それで自主性が生まれたと。

 そのきっかけのひとつになったと思います。

“レアル追い詰めた”鹿島監督の組織作り3
2017年2月17日 12:30

 「鹿島アントラーズ」監督・石井正忠氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。2つめのキーワードは「3年ぶりの優勝も突然の“現場放棄”。リーダーとしての自信を失った…」。心労などで休養を決めた石井氏。そんな状況から復帰を決心する後押しとなった出来事とは。


■監督になって初めて感じた重圧

――『心労で横浜戦不在。鹿島・石井監督退任も』と、新聞の記事に見出しとしてありました。当時は、監督に対して選手の反抗的な態度というのも注目されましたよね。

 新聞ではけっこう取り上げられていたんですけども、そこの部分ははっきり選手と話してますし、このタイミングではそれは全く関係なかったですね。


――そうしますと、心労の原因というのはどこにあったんですか。

 私が監督になって初めて感じたんですけども、いろんな方面からのプレッシャーがありますし、鹿島アントラーズというクラブは、常にタイトルを求められるクラブなので、その重圧というのは非常に大きかったのかなと思っています。


■一体感がバラバラに

――“ジーコイズム”であったり、ファンの期待というか、求めるものへの応え方といいますか、そういったところも。

 そうですね。非常にそういう期待も大きいですし、あとは、結果が出てなくて、その時にチームの一体感というのが少しバラバラになってきてしまっていて。そこの責任はやはり私自身にあると、自分1人で背負ってしまった部分が大きいんじゃないかなと思います。


――石井さんが先ほどおっしゃっていたように、選手の方との垣根をなくそうという取り組みもされていましたが、それでもコミュニケーションが悪くなってしまいました。その時のチームの状況は、何が原因だったと感じますか。

 それぞれの選手がそれぞれに、チームのために何かしようというのはあったと思うんですね。それが多分、1つの方向ではなくて色んな方向に行ってしまったというのが原因じゃないかなと思うんですね。


■奮い立たせてくれたメッセージ

――そんな中、結果的に試合は休養ということでしたが、どうされていたんでしょうか。

 本当に気持ちが落ち込んでしまっていたので、自分でもわからないぐらいどうすればいいかと迷いましたけども、試合を自宅で見てたんですね。

 それを見ることによって「なんで自分があの場にいないんだ」という思いだとか、テレビの中で活躍している選手だったり周りのスタッフだったり、その姿を見て「またそこに戻りたい」と思ったんです。


――あとは、OBや仲間の方からメッセージもあったようですね。

 はい。そういう報道がされた瞬間から、かなりのメッセージをいただきました。多くの方は励ましのメッセージだったんですけども、その中で特に、同業者である他のチームのコーチ、監督の言葉はすごく響きましたね。


――いったん休養と決められてから、現場から離れて自宅で観戦されて、もう1回頑張ろうと気持ちを切り換えるのは勇気がいると思うんですが、そのターニングポイントは何だったんですか。

 いろんな人からのメッセージの1つに、「この状況から逃げちゃいけない」という言葉があったんですね。何名の方からかいただいたそのメッセージが、1番自分を奮い立たせてくれたんじゃないかなと思います。


――それが1つやはり“復帰”の後押しになった言葉なんですか。

 はい、それは大きかったと思いますね。


■チームに復帰。選手の反応は…

――休養を決めて、試合を1回お休みされたということで、チームに戻るのは気まずくなかったですか。

 気まずいって言い方かどうかわからないですけど、そこはもうなかったですね。自分の中でも「またこのチームで指揮をとりたい。リーダーとしてまたやっていかなきゃいけないんだ」という覚悟はもう決めていたので、そういった気まずさというのはなかったです。


――その時の選手の反応はいかがでしたか。

 それは本当にさまざまです。すぐに受け入れてくれる選手もいましたし、1度退いたので“職場放棄”ととらえた選手もいるでしょうし、そのへんは本当さまざまでしたね。


■リーダーとしてのスタイルに変化

――そんな中、覚悟を持って復帰された後、特に意識してされたことはどういったことでしょうか。

 今まで私のリーダーとしてのスタイルとして、チーム全体を後ろからサポートしていくようなスタンスでした。

 そういうリーダーシップの取り方もあるとは思っていたんですけど、それよりも、このクラブでリーダーとしてやっていくには、自分がやっぱり前に立ってチームを引っ張っていく。あと、しっかり方向性を決めて、そこに向かってチーム全体が一体感を持ってやっていくっていうところを示さなきゃいけないなと思いました。


――それが、さまざまな方向に向き出した選手たちを、同じ方向に向かせるという意味での1つの大きなきっかけとなったんでしょうか。

 そうですね。

“レアル追い詰めた”鹿島監督の組織作り4
2017年2月17日 12:30

 鹿島アントラーズ監督・石井正忠氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「レアルを本気にさせた“鹿島の組織力”、必要なのはトップのハンドルさばき」。アントラーズを飛躍させた監督の言葉とは―


■リーダーが「方向性を示す」

――石井監督は以前から鹿島がタイトルを取れるのは、いい組織だからということをよくおっしゃっていますが、そのいい組織をつくるために必要なことは何でしょうか。

 これは、先ほども言いましたけども、その上に立つ者、リーダーがまず方向性をしっかり示すということだと思いますね。あとは色々な部署で、いろいろな役割があると思うんですけど、そこの役割もひとつの方向に向けていくというところが、組織をつくる上で大事になってくると思っています。


――その一度は違う方向を向きかけたチームを一つの方向に向かせるために、具体的にされたことはあるんですか。

 まずはチームのために、そのクラブのために何をしなければいけないかっていうところを私自身も示しましたし、もう一度選手も考えて欲しいと。そういうことを選手には問いかけましたね。


■試合の前にトロフィーの写真を撮った

――いい組織であっても、本来であれば、とても勝つのが難しいと言われている相手だったと思います。そういう試合の前にどんな言葉をかけられたんですか。

 クラブワールドカップの一番最初のミーティングで言ったと思うんですが、まずは開催国である鹿島アントラーズとそこと対戦するオークランドシティ、この2チームしか4試合することはできないと(※1)。まず、その4試合を戦おうと。その中で最終目的は、4試合勝とうと。そういうのをまず示しました。そして、そのミーティングの最後に、クラブワールドカップのトロフィーを写真に写して、最後はこのトロフィーを取ろうよと。

※1 クラブワールドカップでは、シード枠のあるトーナメント方式が採用されているため、決勝に進むために必要な試合数は、チームによって異なっている。鹿島アントラーズは、この時、優勝するまでに4試合を勝つ必要があった。


――その終着点とか結末というのをまず見せて、そこへ気持ちを高ぶらせていたんですね。さて、実際の試合では、大健闘ではあったのですが、準優勝ということで、試合の後に会見で「悔しい」という石井監督の言葉が印象的だったんですけども、やはり悔しさが残りましたか。

 そうですね。あの瞬間、記者会見の時には、試合でレフェリーのジャッジが、少しいろいろなことがあったので、ジャッジに対しても複雑な思いもありましたし、まずは自分たちの目標を達成できなかったので、悔しさというのも当然ありましたね。


■日本代表の監督は日本人でもいい

――その一方で、Jリーグの力を違う場で見せつけられたのではないかという旨のお話もされていると思うんですが、やはりそこは自信をもたれましたか。

 そうですね。この大会で、決勝に進んだのも初めてですし、アジアのチームがこの決勝に進んだというのも初めてなので、Jリーグの高いレベルというのは、この試合で示せたんじゃないかと思いました。


――ここまでいろんなお話をお伺いしてきたんですが、改めてシーズンの途中で監督を交代されたり、いろいろなことがあった中で、これだけ強いチームができた要因はひと言で言うとなんでしょうか。

 うーん、これは選手の能力はもちろんないとできないことなんですけど、本当にチームがひとつの方向を向いた一体感というのがあったからではないでしょうか。


――今季は最優秀監督賞も受賞されて、“日本人の監督で日本代表に”という話がもしかすると来るかもしれないですが、その場合はどうお考えですか。

 それはそういう話があってから考えたいと思いますけれども(笑)。私自身は、ぜひ僕じゃなくても、現段階でも日本人の監督さんがやられてもいいんじゃないかなというふうには思ってますね。それで日本らしさというのがより発揮できるんじゃないかと思います。

“レアル追い詰めた”鹿島監督の組織作り5
2017年2月17日 12:30

 「鹿島アントラーズ」監督・石井正忠氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。最後のキーワードは「一体感」。石井氏が語る“飛躍のアルゴリズム”とは―


■クラブ全体、そしてサポーターも一体に

――チームプレーとなったら、そういったところが重要になってきますかね。

 そうですね。これはもう現場のスタッフだけではなく、クラブ全体がやっぱり一体感を持たないとできなかったことだと思います。今回、クラブワールドカップという大きな大会で、あそこまで成績を出せたというのはクラブ全体の力だと思います。

 あとはそれに加えて、ファン、サポーター、うちのクラブを取り巻く応援してくださるすべての人たちとの一体感というのもあると思います。


――今年はマークもさらに厳しくなりまして、さらなる一体感というのも必要になってくるのではないですか。アジアチャンピオンズリーグをぜひ勝ち抜いて、もう1度クラブワールドカップへの出場を見たいですよね。鹿島アントラーズの試合は日テレNEWS24でも放送しますので、みんなで応援させていただきたいと思います。


飛躍のアルゴリズムにて特集された石井監督である。
昨季のこと、そして監督就任後の手腕などについて語っておる。
改めて石井さんの指導法が伝えられる。
素晴らしい指揮官と共に、タイトルを目指す。
楽しみである。

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鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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