俊輔に授業料を払い、浦和を完封

俊輔に授業料を払い、浦和を完封。
昌子源「この勝利は勝ち点6の価値」

posted2017/05/09 11:00


雪辱に燃える敵地での“ウノゼロ”。昌子らDFにとって会心の90分間だったことは表情を見れば明らかだ。

text by
佐藤俊
Shun Sato

PROFILE
photograph by
Kiichi Matsumoto


 浦和レッズに1-0で勝った瞬間、昌子源は満面の笑みを浮かべてハイタッチをした。

「1失点は覚悟して臨んだ」という難敵相手に完封勝利。優勝を争う上で絶対に落とせない試合で勝ち点3を獲得し、第10節終了時点で首位に躍り出た。

「この浦和戦の勝利は勝ち点6ぐらいの価値がある」

 昌子は、この試合の重要性をそう述べた。

 優勝を争うチームに直接対決で勝つことは、相手にダメージを与えるのはもちろん、終盤戦の最後に利いてくる。この試合が持つ意味をよく理解していた鹿島は、非常に守備の意識が高かった。

 それは、1つの手痛い敗戦があったからだった。

俊輔にスーパーゴールを浴びるなど磐田に3失点。

 4月、鹿島は勝ち負け(3勝2敗)を繰り返し、不安定な戦いが続いた。

 鹿島の強さのひとつは守備の安定感なのだが、それが失われていたのだ。とくに磐田戦はお互いをフォローする意識に欠け、守備が淡泊になっていた。さらにキーマンである中村俊輔をほぼフリーにし、3失点を喫して敗れた。

「あの3失点はセンターバックとしてこたえました。俊輔さんが嫌なポジションに入ってきましたし、“そういうところが危ないんだよ”っていうのを教えてもらったような気がしました」

 守備の基本的なプレーを怠るのはもちろん、相手のキーマンを自由にしてはいけない。当たり前のことをできないと痛い目に合う。それを実感した昌子は磐田戦以降、改めて危険な選手にはしっかりとアプローチし、自由に仕事をさせないことを意識した。

 次の鳥栖戦では昌子のハンドで与えたPKによって1点を取られたが、流れの中ではエースの豊田陽平に仕事をさせず、2-1で勝利した。

シルバ、興梠、武藤の前線トリオに仕事をさせず。

 そして浦和戦でマッチアップしたのは、最も危険な存在となっているラファエル・シルバだった。昨季まで新潟で同僚だったレオ・シルバの助言を受けて、スピードに乗らせる前に潰すことを徹底した。また、サイドで仕掛ける関根貴大は西大伍がしっかりと見て、レオ・シルバが挟みこむなど仕事をまったくさせなかった。試合後、関根は無言でミックスゾーンを通り過ぎていくほど落胆していた。

 サイドからのクロスに対してはしっかりと中で跳ね返し、興梠慎三と武藤雄樹のシャドーに対してはボランチの小笠原満男とレオ・シルバがボールが入った時に厳しくアプローチし、自由にさせなかった。時間が長くなるとその対応にズレが出てきてしまいがちだが、全員が集中して守備をすることができた。

 これこそが9試合24得点とリーグ最多得点を誇る浦和を完封し、勝利することができた大きな要因になった。磐田戦での悪夢の3失点からしっかりと守備を立て直してきたといえよう。

「浦和さんをゼロに抑えられたのは良かった」

 これで鹿島は今シーズン、4試合目の完封勝利を飾った。

「失点ゼロへの意識は、センターバックなのでいつも持っています。ゼロにこだわってやっていかないといけない立場にいるんで今日、浦和さんをゼロに抑えられたのは良かったと思います」

 もちろん良いことばかりではない。

 警戒していたラファエル・シルバには決定的なシュートを放たれた。センターバックコンビを組む植田直通が昌子のポジションをカバーしなかったことが原因だが、そうした幸運にも失点につながらなかったミスを反省点として昌子は受け止めていた。

 それでもこの日は、戦う気持ち、勝ちたい気持ちも浦和を上回っていた。

 レベルが拮抗した相手との試合において、最後に勝敗を分けるものは、よく「勝ちたいという気持ちの差」だと言われる。個人の技術やセンス、戦術などを両チームから差し引いていくと最後に残るのが気持ちになるからだ。

小笠原も金崎も昌子も、強い気持ちを見せきった。

 小笠原は試合前、選手に向かってこう言ったという。

「ここまで来たら勝ちたいという気持ちが強い方が勝つ。その気持ちの強い方にボールがこぼれてくるし、ビッグチャンスを防げる。そして、勝てる」

 昌子はプレー中、その気持ちを感じるシーンがあったという。

 金崎夢生のゴールシーンである。ボールを受けて反転してシュートを放ったが、ブロックに入った森脇良太に当たっていなかったら西川周作がセーブしていただろう。だが、“決めてやる”と思い切って打ったことで森脇にボールが当たり、軌道が変わったことで相手GKの西川も反応できなかった。

「あれは、勝ちたい気持ちが入れたゴールだった。そういう意味では、俺らの方がそれを出せたんじゃないかなと思う」

 また、後半30分には槙野智章のシュートがポストに当たって難を逃れた。これも昌子曰く、勝ちたい気持ちが強く、あきらめずに槙野に寄せた結果、ボールが外に弾かれていったという。強い気持ちが運も引き寄せたのだ。

「日本最強の2チーム」の対戦で勝利したという意味。

 鹿島は、歯車が噛み合うと無類の強さを発揮し、それを持続させていく。

 昨年は浦和とのCS決勝の第2戦で逆転勝ちをして優勝を果たすと、そのままの勢いを保ち、クラブワールドカップで準優勝を果たし、さらに天皇杯を勝ち取った。

 奇しくもまた浦和戦が「鹿島確変」のキッカケになりそうだ。

「試合前にマッチデープログラムを見ていたら浦和の監督さんの言葉で『日本の最強の2チームが当たる試合だ』って書いてあったんです。その通りと選手の自分がいうのもなんやけど、ハイレベルの試合ができたのは良かったと思います。ただ、浦和に勝って次の神戸戦に負けたら今日、勝った意味がなくなる。勝ち点6の価値を活かすには、次勝たないといけないんで切り替えて、また頑張ります」

「今後は聖真、優磨、直が引っ張っていかないと」

 次節、神戸に勝ち、連勝していけばチームの調子はさらに上がるだろう。ただ、今後を見据えた場合、昌子にはすべきことがあるという。

「磐田に負けてダメージがありましたけど、連敗しないというのが鹿島の強さでもあります。それは、いろんな試合を乗り越えてきた満男さんたちがいて引っ張ってくれるからやと思うし、そのおかげでまだ100試合程度しか出ていない自分たちが勢いに乗っていけるけど、今後は俺に限らず、聖真(土居)、優磨(鈴木)、直(植田)とかがチームを引っ張っていかないといけないと思います」

 守備の強さが戻ってきた。また、ここ一番という試合で“勝ちたい”という気持ちもベテランの声を中心に、全員が共有できた。だが、ベテランに頼るだけではなく、若い選手が自立をしていかなければ連覇は難しい。

 勝っても満足しないところがいかにも鹿島らしいが、浦和戦の勝利はそうした様々な「勝つための気づき」を確認することができた。

 それが昌子の言う勝ち点6に値するものでもある。


浦和戦を取材したNumberWebの佐藤氏である。
優勝争いに重要な試合に勝利した鹿島について、源のコメントを中心に綴っておる。
この勝利の伏線はジュビロ戦にあったと述べる。
ジュビロの中村俊輔をフリーにしたことで大敗を喫し、「相手のキーマンを自由にしてはいけない」と改めて肝に銘じた。
そして鳥栖戦では不運なハンドを取られPKによる失点こそしたものの、エースの豊田を植田と完全に封じ込めた。
そして迎えた浦和戦は、強力な攻撃陣を完封し勝利を呼び込んだということになる。
長いリーグ戦、ここの成長がカギとなることが良く伝わってくる。
佐藤氏は、「鹿島は、歯車が噛み合うと無類の強さを発揮し、それを持続させていく」と評する。
それは、鹿島の成長曲線が他の追随を許さないということであろう。
源にスポットを当てておるが、源自身は、「いろんな試合を乗り越えてきた満男さんたちがいて引っ張ってくれるから」と述べた上で、「今後は俺に限らず、聖真(土居)、優磨(鈴木)、直(植田)とかがチームを引っ張っていかないといけないと思います」と語る。
昨季まで若手と呼ばれておった面々が、CSの優勝、CWC準優勝を経て、チームを牽引する立場へ変貌しつつある。
これが鹿島というクラブの持つ伝統であろう。
この浦和戦というビッグマッチに勝利し、チームは股一つ成長した。
この強さを持続させ、タイトルを引き寄せていこうではないか。
期待しておる。


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