暴言騒動の森脇処分は灰色決着で良かったのか

暴言騒動の森脇処分は灰色決着で良かったのか?
2017.05.10 06:08

 疑わしきは罰せず、という感は拭いえない。埼玉スタジアムで4日に行われたJ1の首位攻防戦、浦和レッズ対鹿島アントラーズで起こった小競り合いのなかで暴言を吐いたレッズのDF森脇良太が9日、Jリーグから2試合の出場停止処分を科された。
 
 対象となるのは、14日のアルビレックス新潟戦(デンカビッグスワン)と20日の清水エスパルス戦(埼玉スタジアム)。処分の通達を受けて、レッズは公式ホームページに淵田敬三代表取締役社長と森脇の謝罪コメントを掲載。さいたま市内のクラブハウスでは森脇本人が取材に応じ、あらためて謝罪している。
 
 問題の騒動が起こったのは、アントラーズの1点リードで迎えた後半33分過ぎだった。レッズ陣内の左コーナーフラッグ付近でボールをキープしようとするアントラーズのMF土居聖真に、レッズのDF槙野智章とFW興梠慎三が激しく体を寄せる。
 
 松尾一主審が土居のファウルを宣告した直後に、興梠が土居を突き飛ばしたことで両チームの選手たちがエキサイト。アントラーズのMFレオ・シルバ、キャプテンのMF小笠原満男、FW金崎夢生、鈴木優磨が興梠に詰め寄るところへ、反対側の右サイドにいた森脇が遅れて駆けつけてきた。
 
 その直後からレオ・シルバと小笠原が突然激昂。一触即発の状態となるなかで小笠原をレッズのGK西川周作が必死に制止し、森脇は味方のDF那須大亮から叱責されるように騒動の輪から引き離された。試合後の取材エリアで、小笠原は掴みかからんとばかりに激怒した理由をこう説明している。

「レッズの森脇選手がウチのレオ・シルバ選手に対して『くせえな、お前』という言葉を発したことが、どうしても許せなくて。立派な言葉の暴力だと思うし、差別ととらえられてもおかしくない」

 続いて姿を現したレオ・シルバも「非常に悲しいこと」と神妙な表情を浮かべたが、森脇本人は差別的な言動は一切していないと全面否定する。もっとも、口論になった際に小笠原のツバが顔にかかったために、頭に血がのぼった末に「口が臭いんだよ」と言い放ったことは認めていた。

 試合を監督するマッチコミッショナーの大澤隆氏は、両チームから事情を聞いたうえで報告書をJリーグに提出。これを受けたJリーグ規律委員会(石井茂巳委員長)が試合映像と合わせて検証し、7日には都内で森脇、小笠原に対して個別にヒアリングを実施していた。

 規律委員会は日本サッカー協会(JFA)の競技及び競技会における懲罰基準に照らして審議を重ね、最終的に森脇の行為が「他の競技者、その他の競技に立ち会っている人々に対する侮辱」に相当すると判断。今回の処分を決めたが、森脇に「臭い」とされた対象が小笠原、レオ・シルバのどちらなのかは特定できなかったという。
 つまり、森脇が「臭い」と言った事実は咎められたものの、小笠原が指摘した「差別」までは確認できなかったことになる。しかし、映像にはレオ・シルバに詰め寄った森脇が右手で鼻と口をふさぐゼスチャーを取ろうとしたところを、背後にいた那須に食い止められる瞬間がはっきりと映っている。

「レッズの選手たちも『あいつ(森脇)はいつもそうだから』というような言い方をしますけど、そういうのは許されちゃいけないことだと思う」

 小笠原はレッズ戦後にこんな指摘もしていたし、実際問題として、森脇に自らのツバがかかるほどの至近距離にいた跡も確認できない。騒動の輪が解けたあとは鈴木や土居が手で鼻と口をふさぐポーズを松尾主審に見せて、差別的な発言があったと訴えていた。

 疑いをもたれる状況がここまでそろっている以上は、たとえば那須や、試合後に小笠原に対して「彼(森脇)はいつも僕に対してそういうことを言う」と、昨シーズンまで4年間プレーしていたアルビレックス時代でも同様の言動が繰り返されていたと明かしたレオ・シルバにも、真相解明のためのヒアリングを実施すべきだったのではないだろうか。

 国際サッカー連盟(FIFA)は2013年5月の総会で、「反人種差別・差別に関する戦い」を決議。加盟する各国協会に対してガイドラインを提示し、これを受けたJFAも同年11月に規定を整備。Jクラブをはじめとする加盟団体に対しても周知徹底させている。

 翌2014年3月8日に埼玉スタジアムで行われたレッズ対サガン鳥栖で、レッズのサポーターグループの一部男性が『JAPANESE ONLY』と書かれた横断幕を、ホーム側のゴール裏スタンドのゲート入り口に、ピッチとは反対方向へ向けて掲出した。

 Jリーグ側は横断幕が「日本人以外お断り」を想起させる、差別的な行為であると認定。けん責と現時点でもJリーグ史上で唯一となる、無観客試合の開催という制裁措置をレッズに課した。不適切な横断幕の掲出を把握しながら撤去できなかったレッズに対しても、村井満チェアマンは「クラブ側も差別的な行為に加担したことになる」と厳しい態度を取っている。

 さらには、2010年5月15日のベガルタ仙台戦で、元北朝鮮代表のMF梁勇基に対して数人のサポーターが人種差別的な発言を行い、けん責と制裁金500万円が科されていることもさかのぼって問題視。こうした体質が改善されなければ勝ち点の減免やJ2への強制降格も視野に入る、とまで村井チェアマンは踏み込んで言及している。

 だからこそ、過去の事例と照らし合わせても、今回の処分決定に至るプロセスには中途半端な思いを禁じえない。スタジアムからの差別撲滅を至上命題として掲げている以上は、騒動を引き起こした真相がわからないままの灰色決着は、日本サッカー界全体のイメージをもダウンさせかねない。

(文責・藤江直人/スポーツライター)


森脇の人種差別発言問題について記すTHE PAGEの藤江氏である。
状況を整理し、見解を述べておる。
サッカーライター界にこのように一石を投じてくれる人物がいることを嬉しく思う。
藤江氏は日本サッカーに愛情を持っておることが伝わってくる。
また、この判定にて、明らかに日本サッカーは世界サッカーから大きく後れを取った。
その事実を多くの民が受け止めねばならぬ。
サッカー後進国とJリーグは世界に自らアピールしてしまったのである。
この後退を取り戻すために、改めて我らが正義を貫かねばならぬ。
藤江氏もそのひとりとなってくれよう。
この件を、悪しき前例として心に刻み込み、前に進みたい。

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この記事を額に入れて浦和のロッカールームにでも飾っておけ!

去年のCWCでJリーグ、並びにアントラーズに興味を抱いて頂いた諸外国の方々に申し訳なく感じる

Jリーグの闇を見た。
これではいつも浦和有利の八百長判定を証明したようなものです。

No title

次の対戦者である新潟さん、所縁の深いレオ・シルバ選手が…
実力者であり人格者である彼を攻撃する真っ赤な嘘チームに制裁を!

勝ち点を与えないことが間接的制裁、そして直接のダメージを与えられるでしょう。

No title

今週末は鹿島と新潟を応援します!

No title

灰色決着に対して溜飲を下げるとまではいかないが
長いものに巻かれる日本のサッカージャーナリズムにも僅かな光を見た

この記事は朝、ネットで読んだんですが、素晴らしいですね。
みんなが思ってる事を言ってくれています。

今回のニュースの一般の人達の書き込みをみると、レッズファンの一部も含め、多くの人がおかしいと言っています。
このことを今回の裁定決定者たちは認識するべきです。
みんなの共感がないことをしていては日本サッカーは衰退します。

差別集団浦和をアルビレックス新潟さんが叩きのめして勝利することを願ってます!!

No title

 Jリーグでの過去の浦和を中心とした差別事件とそれに対するJFAとJリーグの対応・方針を理解するマスコミ関係者ならば、森脇事件のこれまでに公表されている映像等から、最低限でも藤江氏のようなまっとうな考え方には至るものではないでしょうか。
 残念ながら藤江氏の外にまっとうな記事・発言・見解等には接していません。ということは、他のマスコミ関係者は、Jリーグや浦和の機嫌を損ねて取材に差し障ることを避けたいために筆を控えているのでしょうか。それではマスコミ・報道というよりはただの広報マンとしか言えません。忖度したのでしょうね。本日の記事でも何のことかわからない記事がたくさん見受けられます。今回、きちんとしたした記事を書いていないマスコミは、今後サッカーについて云々(「うんぬん」です。「でんでん」ではありません)する資格はありません。我が国のマスコミのレベルがよくわかる森脇事件でした。
 そのような中で、きちんとした記事を発表された藤江氏の見識に心からの敬意を表します。

本当に本当に素晴らしい記事。読んで不覚にも涙が出ました。こんな記者がまだ日本にもいた事に感動。

少なくとも、さすがに次やらかしたら永久追放でしょう。

日刊スポーツの八反誠です

 藤江氏の立派で至極まともな記事を読んだ後に、日刊スポーツの驚愕する記事を見つけてしまいました。
 「取材エリアで処分誘う事象や言葉狩り残念」とのタイトルで書かれたこの記事の後半は、
「差別は絶対に許されない。①今回は差別的な発言ではなかったと結論付けた②言い争いで、2試合の出場停止処分が科された。③この判断は1つの基準として今後、重くのしかかる。
 ピッチは戦いの場で、言葉のやりとりや駆け引きもサッカーの一部。②言った言わないの類いは、試合中にその場で消化すべきだろう。④それを裁くために審判がいる。もちろん越えてはいけない一線はある。⑤今回の騒動で「くさい」は、そう定義付けられた。
 今後、④ピッチでのやりとりを試合後に取材エリアで訴え出て、処分を誘うような事象が出てくるかもしれない。⑥”言葉狩り”のような動きが加速しないかも気になる。⑦小笠原も鹿島も「処分してほしいわけではない」と言っていた。こんな⑧騒動はこれで終わりにしてほしい。」(〇番号はAntが付す)とのこと。
 この記事が何を言いたいのかは、読解力の無い私には今ひとつわかりにくいが、タイトルに「残念」とあることから、小笠原の行為を非難することに主眼があるのだろう。それにしても、突っ込みどころ満載の記事ではないか。〇番号を付けた箇所それぞれが、記述意図が不明、意図的な誤認、取材不足、すり替え、ごまかし、問題軽視、偏見等に満ちており、的外れな内容をとても認めることはできません。
 すべてについて、一々触れないが、少しだけでも言いたい。最初の段落は、差別的な発言ではなかったとの結論であったのに、2試合の出場停止は厳しすぎる、と言いたいのだろうか?仮に八反氏がそう感じたのであれば、少し何故かを考えてみるか、突っ込んだ取材をすれば、すぐに結論がおかしいか、事実に対して処分が甘すぎるということがわかっただろうに。②言い争い・言った言わないの類い、という表現は事の本質が全く理解できていないか、ごまかそうとしているかのどちらかだろう。何故このような事態を招いたかを無視した表現だろう。④それを裁くために審判がいる、という表現に至っては、「八反さんあなたは何を見たの、聴いたの、取材したの?」と言いたくなる。今回は、松尾主審が小笠原らの主張にきちんと対応しなかったためにやむを得ず小笠原が行動したものであり、非難されるべきは松尾主審ですよ。言うまでもなく、松尾氏に限らず日本の審判レベルがあまりにも低すぎることが問題。今回の事態をリーディングケースとして、このあたりを突っ込んで記事にしたら面白いものが書けたでしょうに。⑥言葉狩り、⑧騒動という単語が偏見、決めつけであり、到底納得できない。
 Jリーグや浦和にゴマをするか、忖度してこんな記事を書いたのだろうが、森脇の処分の要求ではなく繰り返される人種差別行動を防ぎたいとして行動した小笠原を非難したこのような記事を掲載する日刊スポーツの猛省を促したい。
 サッカー担当なら、こんな騒動はこれで終わりにしてほしい、などと他人事のような記事を書くのではなく、事実経過・原因と問題点をきちんと書いて、できれば対応策まで提案すべきではないでしょうか。
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鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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