大岩剛新監督のもとで、リーグ戦4連勝と怒涛のV字回復を遂げた舞台裏

これぞ鹿島の底力。大岩新監督のもとV字回復。昨季の二冠王者、復調の舞台裏
昨シーズンの二冠王者・鹿島アントラーズが復調してきた。首位に立つ柏レイソルのホームに乗り込んだ2日のJ1第17節で、壮絶なゴールの奪い合いの末に3‐2の鮮やかな逆転勝利をゲット。石井正忠前監督の電撃解任から1ヶ月あまり。ヘッドコーチから昇格した大岩剛新監督のもとで、リーグ戦4連勝と怒涛のV字回復を遂げた舞台裏に迫った。(取材・文:藤江直人)

2017年07月04日(Tue)12時12分配信
text by 藤江直人 photo Getty Images


1点ビハインドのハーフタイム。泰然自若としていた大岩監督


鹿島アントラーズの大岩剛監督【写真:Getty Images】

 憎たらしいほどの強さが脈打っていた。敵地を支配する大声援にも動じない。先制を許しても浮き足立たない。そして、最後には笑う。常勝軍団・鹿島アントラーズが完全復活の雄叫びをあげた。

 満員で埋まった日立柏サッカー場で、首位に立つ柏レイソルと対峙した2日のJ1第17節。前半24分にゴールネットを揺らされ、1点のビハインドで迎えたハーフタイム。大岩剛監督は泰然自若としていた。

「失点の場面以外は素晴らしい内容だ。後半も攻守に連動した動きを続けよう」

 果たして、リーグ戦では6試合ぶりに先発したFW金崎夢生が、後半8分に目の覚めるようなミドルシュートを一閃。余韻が残る同11分には、MF永木亮太の直接FKがそのままゴールに吸い込まれる。

 左タッチライン際からファーサイドを狙ったキックは一陣の風に乗って伸び、さらにカーブの軌道を描きながら急降下。日本代表GK中村航輔の判断ミスを誘い、飛び出した頭上を越えていった。

 神懸かり的なスーパーセーブを連発し、8連勝を含めた10戦連続無敗を支えてきた22歳の若き守護神が犯したまさかのミスが、怒涛のように押し寄せるアントラーズのプレッシャーを物語っていた。

 好調を維持するレイソルも、6分後にFWクリスティアーノの一撃で同点に追いつく。ますます白熱する死闘を制したのはアントラーズ。27分にFWペドロ・ジュニオールが決めた勝ち越し弾を守り切った。

 GKクォン・スンテの負傷退場などで、後半アディショナルタイムは6分間が表示された。それでも再度リードを奪われてからは決定機を作れなかった展開に、レイソルの下平隆宏監督は脱帽するしかなかった。

「鹿島アントラーズというクラブの底力を感じたというか。自分たちのペースになりかけたときにファウルをもらうとか、また流れをもっていかれるようなプレーがちょこちょこ出てくる。上手く時間を使われたなかで、なかなか乗っていけない、追いつくパワーを出すところまでもっていけないと感じました」

代表招集から復帰後、昌子が感じた変化


鹿島アントラーズのDF昌子源【写真:Getty Images】

 伝統とも言っていい勝負強さを、これでもかと発揮した末にもぎ取った価値ある白星。これで今シーズン2度目の4連勝をマークしたが、ほんの1ヶ月前はまさに“嵐”の真っただ中にいた。

 広州恒大(中国)に敗れ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)初制覇の悲願を決勝トーナメント1回戦で断たれてから一夜明けた5月31日、石井正忠監督の解任が電撃的に発表された。

 その時点でリーグ戦は7勝5敗と黒星がかさんでいた。ACLもアウェイゴール数で負けるなど、二冠を獲得し、FIFAクラブワールドカップでも準優勝した昨シーズン終盤に見せた勝負強さが消えかけていた。

 ヘッドコーチから昇格した大岩新監督は、石井前監督のもとで培われてきた、チームのベースになる部分は変えないと明言。そのうえで、鼓動を再び強く奏でさせるためのマネジメントをほどこした。

「選手個々の特徴や組み合わせ、起用するポジションによって起こりうる変化といったものを、自分のなかで考えながら選手を選んでいます。それだけではなかなか上手くいかないときもありますけど、自信をもってプレーしなきゃいけない、相手との駆け引きで上回らなきゃいけないとは全員に言っています」

 緊急登板から5日目で迎えた、6月4日のサンフレッチェ広島戦は3‐1で勝利した。前体制下で先発の機会に恵まれなかった両MF、中村充孝の初ゴール、レアンドロの2発で前半のうちに試合を決めた。

 ハリルジャパンに招集され、直後から留守にしたDF昌子源は、シリア代表との国際親善試合、イラク代表とのワールドカップ・アジア最終予選を戦い終えて、再合流したアントラーズに変化を感じたという。

「石井さんのときにあまり出番がなかった選手、名前を挙げればアツ君(中村)やレアンドロの調子がよくて、結果を残せば試合に出る。調子が悪ければ、これも名前を挙げれば(土居)聖真はずっと試合に出ていたけど、柏戦では先発から外れた。チーム内の競争が、ちょっと激しくなったのかなと」

競争意識がより鮮明に。煽られたチームの意識

 新体制になってからのリーグ戦4試合で、中村とレアンドロはすべてに先発している。一方で昨シーズンに8ゴールをあげたFW鈴木優磨は、レイソル戦を含めて3試合連続でピッチに立っていない。

 石井前監督のもとでも、もちろん競争はあった。新体制下でより鮮明に促されたことで、チーム内の意識が煽られた。それは昌子と植田直通のコンビでほぼ不動だった、センターバックにも当てはまる。

 レイソル戦では植田がコンディション不良で、ベンチからも外れた。外国人枠の関係でブエノは起用できない。代役に指名され、及第点のプレーを演じたのはボランチが主戦場の21歳、三竿健斗だった。

「本職ではない(三竿)健斗がセンターバックでいいプレーをすると、僕自身もそうだし、ましてや今日の試合をテレビで見ているかもしれんナオ(植田)もすごい刺激を受けるので」

 昌子が感じる競争意識の高まりは、フォワード陣にも波及している。慢性的な両足首の痛みもあり、途中出場が続いていた金崎が決めたスーパーゴールと、その直後にあげた雄叫びはその象徴と言っていい。

「ああいう姿がスタジアムの雰囲気を変え、チームの勢いを作り出す。あまり褒めるとあれなんですけど、そういった点は彼(金崎)の素晴らしいところだと感じています」

 試合の流れを強引に手繰り寄せたエースの一撃を称賛した大岩監督は、一方で自身の存在がチーム内に化学反応を引き起こす触媒になっていると感じている。

「監督が代わったという刺激が選手の間にあるんでしょうけれども、選手がグラウンドのなかで見せるアグレッシブな姿勢というものは、全員に対して高く評価したいといまは感じています」

“生き物”であるチーム。監督交代というショック療法


鹿島アントラーズのMF永木亮太【写真:Getty Images】

 シーズン途中で指揮官が交代するのは、トニーニョ・セレーゾ元監督が解任された2015年7月以来のこと。相手のミスも手伝い、移籍後初ゴールを決めた永木はチーム内の空気が変わったと言う。

「石井さんを代えてしまったのは、僕たち選手たちの責任でもある。だからこそ、代わった(大岩)剛さんのもとでチームを勝たせたいという気持ちが、選手それぞれにあると思うので。そういう思いがいま、プレーになって表れているんじゃないかと」

 2年前も石井前監督のもとでチームは復調。ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)を制し、3年ぶりとなるタイトル獲得で昨シーズンのJ1年間王者獲得と天皇杯制覇につなげた。

 指揮官更迭というショック療法を契機とする変化を見れば、あらためてチームは“生き物”であることがわかる。今回も自主性を重んじた前任者から、兄貴分的な大岩監督への交代が奏功したと言っていい。

 昌子はアントラーズから唯一、ハリルジャパンに招集されたことを意気に感じるとともに、一抹の心残りも感じていた。国際Aマッチ開催でJ1が中断される期間は、新監督の戦術を浸透させられるからだ。

 ディフェンスリーダーの心中を察したのか。大岩監督はシリア戦を翌日に控えた味の素スタジアムに姿を見せ、昌子に「こっちの心配はせずに、代表に集中してこい」と檄を飛ばしている。

 シリア戦、そして中立地テヘランで行われたイラク戦にともに先発フル出場した昌子は、大岩監督からかけられた言葉に心を奮い立たされたと明かしている。

「ちょっとの間は鹿島のことを忘れるというか。剛さんの言葉を信じて、鹿島のことは置いて、しっかりと代表でプレーしたいという気持ちになりました」

「みんながついていきたくなるような人」

 現役時代はセンターバックとしてプレーした大岩監督は、2003シーズンにジュビロ磐田から加入。2010シーズン限りで引退した後はコーチを務め、米子北高校から加入した昌子を直接指導している。

「剛さんに何度同じことを言われたか。何回同じミスをするねん、何でそこで足を出すねん、と。高校のときにできたことはプロでは通用せんと言われたけど、その通りで歯が立たんかったよね。高校では抑えられていたから、けっこう自信はあったんですけどね」

 大岩コーチの厳しくも愛が込められた檄を糧に、心技体をゼロから鍛え直してきたからこそいまがあると昌子は語ったことがある。たとえば中村も、チームメイトのためにもっと走れと発破をかけられてきた。

 アントラーズ出身の日本代表FW大迫勇也(ケルン)も、シリア戦前日に大岩監督と談笑している。その人柄を熟知するからこそ、アントラーズの再出発へこんな期待を託していた。

「すごく厳しさがあり、優しさもある人だからね。みんながついていきたくなるような人だし、これからがすごく楽しみですよ」

 昨シーズンの陣容に、MFレオ・シルバやペドロ・ジュニオール、クォン・スンテらを補強。戦力的には何ら問題のなかったアントラーズは、ちょっとした袋小路に入りかけていた状態だったと言っていい。

 石井前監督が残した足跡はもちろん評価されるが、忌憚なくものを言い、そのなかに愛情も込める大岩監督が見せる大きな、頼れる背中が選手たちには進むべき羅針盤と映ったのかもしれない。

 休む間もなく、ACLの関係で未消化だったガンバ大阪との第13節が中2日で行われる。万全を期すために、レイソル戦後に左すねと右ふくらはぎを厳重にアイシングしていた昌子はニヤリと笑った。

「ガンバに勝ってから、(過密日程には)文句をめちゃ言います」

 敵地・市立吹田サッカースタジアムでの大一番に勝てば、暫定で上位につけるセレッソ大阪やレイソルを抜き去り、体制下で一気に加速してきたアントラーズの首位ターンが決まる。

(取材・文:藤江直人)

【了】


鹿島について記すフットボールチャンネルの藤江氏である。
監督交代後の快進撃について綴る。
多くのコメントは、これまでたのメディアに登場したものであり、目新しいことはない。
何が変わった、どう変わったかについても、良い答えが出されたわけではないように感じさせる。
個人的には、負傷者が戦列に戻り、助っ人のコンディションが上がった時期と重なったようにも感じさせる。
大岩采配としては、2列目を中に絞らせ、攻撃陣の距離感を変えたことは、大きな変化であったことは事実ではある。
現時点では、攻撃は機能したが、守備に不安が残っておる。
また、緒戦以降の4試合が下位のチームとの対戦であり、復調させるにはもってこいであったことも意図的であったであろう。
それに関しては、トニーニョ・セレーゾから石井さんにバトンタッチした際も岳の復帰と重ねてそうさせた旨を鈴木満常務強化部長の著書「血を繋げる。」に記されておる。
今回も同様に、この下位三連戦に合わせたことは明白である。
それはそれとして、ACL敗退のショックと監督交代を重ねることでチームに衝撃を与えて復調させたことは、一つの手腕であろう。
藤江氏も「指揮官更迭というショック療法を契機とする変化を見れば、あらためてチームは“生き物”であることがわかる」と記す。
この“生き物”を更に昇華させることが、大岩監督に託されたミッションである。
これから、どのようにチームが変化していくのであろうか。
楽しみである。

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我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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