日本代表を彩る「センターバック列伝」
世界の舞台で活躍! タイプに変化も…日本代表を彩る「センターバック列伝」
北条聡
2017.8.27 16:00

マルチな才能を発揮しつつある昌子源(写真:getty Images)
高い、強い、速い、巧い――。そんな多士済々の刺客を敵に回し、自軍のゴールを守り抜く。それがサッカーにおけるセンターバックというポジションだ。
もっとも、歴代の日本代表で大きな足跡を残してきた偉才の中にも『万能人』は、めったにいない。多数派は尖った個性で勝負するスペシャリストだろう。従って、代表監督の多くは長所の異なるエキスパートを組み合わせながら、補完関係を築いている。
例えば、1998年のフランスワールドカップでは『巧さ』の際立つリベロの井原正巳が『強さ』の秋田豊と『速さ』の中西永輔を従えて3バックを構成。大国アルゼンチンとの初戦では、秋田が巨砲ガブリエル・バティストゥータに肉弾戦を仕掛け、中西が韋駄天クラウディオ・ロペスを完封し、井原の手練手管が水際でチームの危機を救った。
また、印象深いのは2010年の南アフリカワールドカップでタッグを組んだ中澤佑二(横浜FM)と田中マルクス闘利王(京都)のツインタワーだ。日本史上空前の『高さ』は国際レベルの代物。歴代日本の死角だったロングボールとクロスの対応力に優れ、セットプレーでは貴重な得点源にもなっている。彼らの存在なくして16強入りはなかっただろう。
フランス、南アフリカ両大会のセンターバック陣は、いずれも自陣に引いて守りを固めたときに持ち味が生きた。いわば『籠城戦』仕様の職人だ。逆に最終ラインを高くして守る『野戦』向きではなかった。中西を例外とすれば、敵のカウンターアタックを封じるスピード対応(速さ)に弱みがあったからだ。
従って、センターバック陣のキャラがチームの戦い方にマッチしないと、短所ばかりが顕在してしまう。しかも、現代ではアタック陣の高速化・大型化に拍車がかかり、前線からのプレスも強化され、その圧力をかいくぐって球を逃がす力まで求められるようになった。かつてのようなスペシャリストが生きにくい時代である。
目下、イングランド・プレミアリーグで活躍する吉田麻也(サウサンプトン)は歴代のセンターバックと比べて『高さ・強さ・巧さ』と多方面に融通が利く選手だろう。いや、それでなければ、世界最高峰のリーグに属するクラブに居場所があるはずもない。
だが、その吉田にしてもスピード対応が死角になっている。その意味で期待を集める存在が昌子源(鹿島)だろう。昨年末のFIFAクラブワールドカップで世界の猛者を相手に圧巻の守りを披露。レアル・マドリード(スペイン)との決勝では、当代随一の名手クリスティアーノ・ロナウドとの1対1でも負けなかった。
速さで振り切られる危険が少ない分、敵を近くに置いて守ることができる。だから、縦パスに対する寄せも速い。182センチと大柄ではないが、運動能力の高さを生かして空中戦にも強い。球を奪った後のビルドアップに磨きがかかれば、鬼に金棒だろう。籠城戦でも、野戦でも、等しく戦えるゼネラリストだ。
昌子は代表歴こそ浅いものの、場数を踏めば、日本ディフェンス陣の大黒柱となっていい。かつて日本代表の司令塔として活躍した名波浩(磐田監督)も「現在の日本で最高のセンターバック」と太鼓判を押す。数年後には歴代センターバックの中で最も『万能人』に近づく存在となるのではないか。(文・北条聡)
歴代代表CBについて記すAERA dot.の北条氏である。
元サッカーマガジン編集長の慧眼は素晴らしい。
その北条氏が期待を込める存在として源を挙げる。
「籠城戦でも、野戦でも、等しく戦えるゼネラリスト」と評する。
速さと運動能力を活かした高さを評価する。
また、ジュビロの名波監督をして「現在の日本で最高のセンターバック」と評したコメントを紹介しておる。
この期待を背に源は更に名を上げて行くであろう。
活躍を楽しみにしておる。

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北条聡
2017.8.27 16:00

マルチな才能を発揮しつつある昌子源(写真:getty Images)
高い、強い、速い、巧い――。そんな多士済々の刺客を敵に回し、自軍のゴールを守り抜く。それがサッカーにおけるセンターバックというポジションだ。
もっとも、歴代の日本代表で大きな足跡を残してきた偉才の中にも『万能人』は、めったにいない。多数派は尖った個性で勝負するスペシャリストだろう。従って、代表監督の多くは長所の異なるエキスパートを組み合わせながら、補完関係を築いている。
例えば、1998年のフランスワールドカップでは『巧さ』の際立つリベロの井原正巳が『強さ』の秋田豊と『速さ』の中西永輔を従えて3バックを構成。大国アルゼンチンとの初戦では、秋田が巨砲ガブリエル・バティストゥータに肉弾戦を仕掛け、中西が韋駄天クラウディオ・ロペスを完封し、井原の手練手管が水際でチームの危機を救った。
また、印象深いのは2010年の南アフリカワールドカップでタッグを組んだ中澤佑二(横浜FM)と田中マルクス闘利王(京都)のツインタワーだ。日本史上空前の『高さ』は国際レベルの代物。歴代日本の死角だったロングボールとクロスの対応力に優れ、セットプレーでは貴重な得点源にもなっている。彼らの存在なくして16強入りはなかっただろう。
フランス、南アフリカ両大会のセンターバック陣は、いずれも自陣に引いて守りを固めたときに持ち味が生きた。いわば『籠城戦』仕様の職人だ。逆に最終ラインを高くして守る『野戦』向きではなかった。中西を例外とすれば、敵のカウンターアタックを封じるスピード対応(速さ)に弱みがあったからだ。
従って、センターバック陣のキャラがチームの戦い方にマッチしないと、短所ばかりが顕在してしまう。しかも、現代ではアタック陣の高速化・大型化に拍車がかかり、前線からのプレスも強化され、その圧力をかいくぐって球を逃がす力まで求められるようになった。かつてのようなスペシャリストが生きにくい時代である。
目下、イングランド・プレミアリーグで活躍する吉田麻也(サウサンプトン)は歴代のセンターバックと比べて『高さ・強さ・巧さ』と多方面に融通が利く選手だろう。いや、それでなければ、世界最高峰のリーグに属するクラブに居場所があるはずもない。
だが、その吉田にしてもスピード対応が死角になっている。その意味で期待を集める存在が昌子源(鹿島)だろう。昨年末のFIFAクラブワールドカップで世界の猛者を相手に圧巻の守りを披露。レアル・マドリード(スペイン)との決勝では、当代随一の名手クリスティアーノ・ロナウドとの1対1でも負けなかった。
速さで振り切られる危険が少ない分、敵を近くに置いて守ることができる。だから、縦パスに対する寄せも速い。182センチと大柄ではないが、運動能力の高さを生かして空中戦にも強い。球を奪った後のビルドアップに磨きがかかれば、鬼に金棒だろう。籠城戦でも、野戦でも、等しく戦えるゼネラリストだ。
昌子は代表歴こそ浅いものの、場数を踏めば、日本ディフェンス陣の大黒柱となっていい。かつて日本代表の司令塔として活躍した名波浩(磐田監督)も「現在の日本で最高のセンターバック」と太鼓判を押す。数年後には歴代センターバックの中で最も『万能人』に近づく存在となるのではないか。(文・北条聡)
歴代代表CBについて記すAERA dot.の北条氏である。
元サッカーマガジン編集長の慧眼は素晴らしい。
その北条氏が期待を込める存在として源を挙げる。
「籠城戦でも、野戦でも、等しく戦えるゼネラリスト」と評する。
速さと運動能力を活かした高さを評価する。
また、ジュビロの名波監督をして「現在の日本で最高のセンターバック」と評したコメントを紹介しておる。
この期待を背に源は更に名を上げて行くであろう。
活躍を楽しみにしておる。

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コメントの投稿
特別な存在に
>球を奪った後のビルドアップに磨きがかかれば、鬼に金棒だろう。
やはりここが一番の課題で、本人も自覚している所でしょう。
そして現在もがいている真っ最中。
一時かなり迷走している感がありましたが、
大岩監督の愛ある指摘の後は、しっかり整理されつつあります。
また不安定な時期もあるでしょうが、それを恐れずもっとチャレンジしていって欲しい。
まだまだ小さくまとまって欲しくはないですよ。
岩政+伊野波+山村を体現出来るのは君しかいない。
応援しています。
やはりここが一番の課題で、本人も自覚している所でしょう。
そして現在もがいている真っ最中。
一時かなり迷走している感がありましたが、
大岩監督の愛ある指摘の後は、しっかり整理されつつあります。
また不安定な時期もあるでしょうが、それを恐れずもっとチャレンジしていって欲しい。
まだまだ小さくまとまって欲しくはないですよ。
岩政+伊野波+山村を体現出来るのは君しかいない。
応援しています。