fc2ブログ

土居聖真は猛獣になったのか

【コラム】土居聖真は猛獣になったのか。洗練された理想と覚悟

横浜FM戦でペドロに代わって途中出場した土居聖真 [写真]=JL/Getty Images for DAZN

中川文如
朝日新聞。2010、14年W杯、07、15年アジア杯などを現地で取材。ゆるくつぶやいています(ツイッターアカウント:@nakagawafumi)。


 ずっと気になっていた。彼は猛獣になったのだろうか。

 鹿島アントラーズ、土居聖真のことだ。

「もう、猛獣使いになるのはやめた。俺が猛獣になるよ」

 そんな覚悟を聞いたのは、夏の中断期間が明ける前だった。我を貫くのか、組織を回す潤滑油に徹するのか。このさじ加減、FWにとって古今東西に共通のジレンマでもある。万能型の25歳なら、なお悩みは深い。あの時、出番に恵まれずにいた土居は、優しいパスを配る「猛獣使い」から、強引にでも自ら突き進む「猛獣」への変身こそが必要だと感じていた。

 先発の座を奪い返し、秋は深まりつつある。迎えた21日の明治安田生命J1リーグ、横浜F・マリノス戦。ペドロ・ジュニオールの負傷が癒え、金崎夢生の出場停止が解けた。土居は8試合ぶりにベンチでキックオフの笛の音を聞いた。

 立場は盤石ではなかったということか。1-2と劣勢の56分、途中出場の機会が巡ってきた。

 アディショナルタイムを含めて40分間ほどのプレーは「運がなかったかな」。果敢に仕掛け、実を結びかけた局面は確かにあった。瞬時に加速し、ペナルティーエリア内で背後から倒されたかに思えたドリブルはPKならず。左を抜け出してスルーパスを導き、ゴールネットを揺らしたシュートはオフサイドと判定された。

 ただ全体を見渡せば、比重は猛獣使いに傾いていた印象だった。無理もない。猛獣タイプのペドロと金崎が2トップに並ぶと、攻め手は単発で単調に陥る嫌いがある。途中出場の土居が果たすべきは、組み立てとリズムに変化をもたらす動きだった。1タッチパスで展開に抑揚をつける、外に開いて起点になる。つなぎ役を渋くこなし、厚みのある攻撃をお膳立てした。

 つまり、機能してはいた。けれど、夏の覚悟から考えると察してしまう。もっと自分で勝負したかったのではないか。やっぱり、どこかジレンマを抱えたままピッチに立っていたのではないか。試合後、率直に疑問を投げかけた。土居はさばさばと答えた。

「求められている役割は多い。そういうことなんだと思う」

 もちろん、ゴールは取りたい。でも、決して逃げのプレーは選択していない自負がある。「ああいう流れで試合に入れば、ああいう仕事をしなきゃいけない。どうすれば点が入るのか。具体的に考え、頭を使い、周りを見て、相手の逆を突く。絶対、その方が可能性は広がるはず」。苦笑しながらつけ加えた。「時には強引さも必要だけど」

 猛獣か、猛獣使いか。二者択一ではなく、両方とも担えるように。期待値が高いからこそ、そびえる壁。突き抜けてこそ、FWとして次の高みにたどり着ける。

 試合に敗れ、2位の川崎フロンターレが勝ち点2差と迫る。「他のチームの結果に委ねることはしちゃいけない。勝ち続けなければ連覇できないって、最初からわかっているから。個人的にも危機感を持って、やり続けるだけだから」

 理想は研ぎ澄まされていた。あらゆる意味で、土居は腹をくくっている。

文=中川文如


聖真について綴るサッカーキングの中川氏である。
Fマリノス戦を観、感想を述べる。
聖真自身がセビージャ戦後に「もう、猛獣使いになるのはやめた。俺が猛獣になるよ」に語っておった。
その言葉を実践しておるか確認したところである。
この試合に関しては、ジャッジにてPKにならなかったシーンとオフサイドにされたシーンは猛獣であったのではなかろうか。
あの二つがキチンとレフェリングされておれば、この試合のヒーローであり、中川氏も納得のコラムを書けたことであろう。
しかしながら、そうはならなかった。
これもまた歴史である。
そして、このFマリノス戦後に聖真は「求められている役割は多い。そういうことなんだと思う」と口にする。
豊富なアタッカー陣において、FWも2列目もこなしていくこととなろう。
聖真は出来てしまう才能がある。
故に、個人的には器用貧乏にはならないで欲しいと願う。
それはそれとして、シーズンも残りわずかとなった。
聖真がそつなく役割をこなし、勝利に導いてくれると信じる。
期待しておる。

にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村


鹿島アントラーズ ブログランキングへ

コメントの投稿

非公開コメント

レアルのイスコがお手本だ!!
プロフィール

Fundamentalism

Author:Fundamentalism
鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

カレンダー
11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
RSSフィード
リンク