安西幸輝のマルチな才能を磨いた先輩の助言
【鹿島】“一人三役”は当たり前! 安西幸輝のマルチな才能を磨いた先輩の助言
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年02月26日
フル出場した清水との開幕戦は左SB→左MF→右SBでプレー

清水との開幕戦では先発フル出場。3つのポジションをこなしたが、自身のプレーについては「納得していない」と振り返った。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)
分かってはいたことだが、改めてその汎用性の高さに驚かされた。
今季から鹿島の一員になった安西幸輝は、清水との開幕戦では左SBでスタメンを飾る。67分に大岩剛監督は一枚目のカードを切り、左MFの安部裕葵を下げて山本脩斗を投入すると、左SBに山本が入り、空いた左MFには安西が収まった。
さらに指揮官は84分、右SBで先発していた内田篤人とFWのペドロ・ジュニオールをチェンジ。P・ジュニオールは金崎と2トップを組み、それまで前線でプレーしていた鈴木優磨が左MFに。安西は右SBに回った。
左SB→左MF→右SB。清水戦でフル出場した安西は3つのポジションを託され、それぞれで及第点のパフォーマンスを披露してみせた。
「3つのポジションをやって、自分の良さを出せたところもあったけど、もっと精度を高めないといけない部分もあった」
安西自身、複数のポジションをこなせる能力を評価されて、東京Vから鹿島への移籍が実現したことを理解している。だからこそ、「そこをアピールしないと生き残っていけないし、もっと質の高いプレーを自らに要求したい」と真剣な表情を見せる。
清水戦のプレーを振り返れば、「納得していない」と繰り返す。いくつかのクロスを供給し、「良いボールはあったけど、相手ボールにもなった。毎試合、完璧を求めたいんです。どのポジションでも」と一切の妥協を許さない。
いずれせよ、清水戦の起用法を見ても、今の鹿島で安西が重宝されているのは明らかだ。一回の交代で複数のポジションを変える采配に長ける大岩監督からすれば、マルチロールの背番号32は、最後までピッチに残しておきたい選手のひとりでもある。
肝は「その時々で“やってはいけないこと”」

東京Vの下部組織で育ち、2014年にトップ昇格。1年目から41試合に出場するなど、早くからそのポテンシャルの高さを披露した。(C)SOCCER DIGEST
戦術の幅を広げる鹿島のキーパーソン。そう言っても過言ではない。昨季まではJ2でプレーしていたが、今季はJ1でリーグタイトルを義務付けられたチームの主力として、ACLの舞台にも立つ。
「鹿島に移籍すると聞いた時、良いチャレンジだなと思いましたね」
無限の可能性を秘めた22歳の奮闘に、目を細める人物がいる。昨季まで東京Vで安西とチームメイトだった高木純平氏だ。
昨季限りで現役を退いた高木氏は現在、古巣の清水でフロント業務に従事しており、アイスタでの開幕戦後、ふたりが挨拶をかわす場面もあった。
「(高木氏とは)2年間、一緒にやらせてもらって、本当に良い人だし、サッカーが上手くて、サッカーIQもめちゃくちゃ高い」(安西)
現役時代は清水、札幌、山形、東京Vで活躍した高木氏は、左右のサイドハーフ、SB、ボランチなど、安西と同じように複数のポジションをハイレベルにこなすユーティリティプレーヤーだった。それだけに、安西は東京V時代に高木氏に「いろいろ質問した」という。
当時、高木氏は安西にどんなことをレクチャーしたのか。
「いろんなポジションをやる際、『どういうことを意識していますか?』と聞かれたので、『その時々で“やってはいけないこと”』と答えましたね。
例えば、後ろのポジションなら、そこで奪われたら誰もいない状況で攻められてしまうからミスはしないようにするとか、中盤なら、仕掛けなければいけない時もあるけど、つなぐ時は簡単に取られないようにする、とか。そのポジションで一番やってはいけないこと。そこを切り替えて考えるようにしている、と」
サバイバルを勝ち抜き、日の丸を背負う存在に――

今季から鹿島の一員に。右SBの定位置争いでは内田(2番)らライバルは強敵揃いだが、揺るぎない自信を胸にレギュラー定着を目指す。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)
高木氏に言わせれば、「彼は頭が良くて、よく考えている。人懐っこい性格で、アドバイスを聞きに来る。そういうことが自然にできる」とのことだが、「とにかく走れる。そこが強み」と、安西の別のストロングポイントも挙げた。
「一度、『お前、試合中、キツくないの?』って聞いたことがあるんですよ。そうしたら、『たまーにキツい時はありますけど、基本的には、あんまり』って(笑)。それを聞いた時は凄いと思いましたね。無理がきくし、止まらない、常に走っている。そういうのが楽しいんでしょうね」
最近の成長ぶりについては、「仕掛けるのを怖がらなくなった」と印象を述べる。
「去年ぐらいからですかね、ガンガン仕掛けて、思い切りよくシュートを決めるようになった。順調にステップアップしていると思います」
清水戦でも試合の終盤、右サイドから果敢にカットインして、左足でシュートを試みるシーンがあった。結局、敵DFに阻止されてシュートは打ち切れず、「最後の部分がまだまだ甘い」と反省を口にするが、安西らしいワンプレーだった。
高木氏は「個人的には、代表まで行けるんじゃないかと思っている」と期待を寄せている。安西も「もちろん、入りたい」と野望を抱くが、「でも、その前にアントラーズでやるべきことがたくさんある。それを一つひとつクリアしていきたい」と、地に足をつけてさらなる成長を誓う。
鹿島のレギュラーに定着しつつあるが、浮かれた様子はまるでない。だが、自信はある。熾烈なサバイバルで揉まれながら力を付けて、大きな飛躍を遂げたい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
安西幸輝について取材したサッカーダイジェストの広島記者である。
安西を「清水戦の起用法を見ても、今の鹿島で安西が重宝されているのは明らかだ」、「戦術の幅を広げる鹿島のキーパーソン。そう言っても過言ではない」と評す。
大いなる補強であったことが記されておる。
その安西に影響を与えたのが、清水・フロントの高木純平氏である。
現役時代にユーティリティで名を馳せた高木氏は、ヴェルディ時代にそのノウハウを安西にレクチャーしたとのこと。
ここで大きなことは、「彼は頭が良くて、よく考えている。人懐っこい性格で、アドバイスを聞きに来る。そういうことが自然にできる」と高木氏の言う安西のパーソナリティであろう。
更に伸びることが感じ取れる。
安西というサイドプレイヤーは鹿島に推進力を与えよう。
楽しみである。

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2018年02月26日
フル出場した清水との開幕戦は左SB→左MF→右SBでプレー

清水との開幕戦では先発フル出場。3つのポジションをこなしたが、自身のプレーについては「納得していない」と振り返った。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)
分かってはいたことだが、改めてその汎用性の高さに驚かされた。
今季から鹿島の一員になった安西幸輝は、清水との開幕戦では左SBでスタメンを飾る。67分に大岩剛監督は一枚目のカードを切り、左MFの安部裕葵を下げて山本脩斗を投入すると、左SBに山本が入り、空いた左MFには安西が収まった。
さらに指揮官は84分、右SBで先発していた内田篤人とFWのペドロ・ジュニオールをチェンジ。P・ジュニオールは金崎と2トップを組み、それまで前線でプレーしていた鈴木優磨が左MFに。安西は右SBに回った。
左SB→左MF→右SB。清水戦でフル出場した安西は3つのポジションを託され、それぞれで及第点のパフォーマンスを披露してみせた。
「3つのポジションをやって、自分の良さを出せたところもあったけど、もっと精度を高めないといけない部分もあった」
安西自身、複数のポジションをこなせる能力を評価されて、東京Vから鹿島への移籍が実現したことを理解している。だからこそ、「そこをアピールしないと生き残っていけないし、もっと質の高いプレーを自らに要求したい」と真剣な表情を見せる。
清水戦のプレーを振り返れば、「納得していない」と繰り返す。いくつかのクロスを供給し、「良いボールはあったけど、相手ボールにもなった。毎試合、完璧を求めたいんです。どのポジションでも」と一切の妥協を許さない。
いずれせよ、清水戦の起用法を見ても、今の鹿島で安西が重宝されているのは明らかだ。一回の交代で複数のポジションを変える采配に長ける大岩監督からすれば、マルチロールの背番号32は、最後までピッチに残しておきたい選手のひとりでもある。
肝は「その時々で“やってはいけないこと”」

東京Vの下部組織で育ち、2014年にトップ昇格。1年目から41試合に出場するなど、早くからそのポテンシャルの高さを披露した。(C)SOCCER DIGEST
戦術の幅を広げる鹿島のキーパーソン。そう言っても過言ではない。昨季まではJ2でプレーしていたが、今季はJ1でリーグタイトルを義務付けられたチームの主力として、ACLの舞台にも立つ。
「鹿島に移籍すると聞いた時、良いチャレンジだなと思いましたね」
無限の可能性を秘めた22歳の奮闘に、目を細める人物がいる。昨季まで東京Vで安西とチームメイトだった高木純平氏だ。
昨季限りで現役を退いた高木氏は現在、古巣の清水でフロント業務に従事しており、アイスタでの開幕戦後、ふたりが挨拶をかわす場面もあった。
「(高木氏とは)2年間、一緒にやらせてもらって、本当に良い人だし、サッカーが上手くて、サッカーIQもめちゃくちゃ高い」(安西)
現役時代は清水、札幌、山形、東京Vで活躍した高木氏は、左右のサイドハーフ、SB、ボランチなど、安西と同じように複数のポジションをハイレベルにこなすユーティリティプレーヤーだった。それだけに、安西は東京V時代に高木氏に「いろいろ質問した」という。
当時、高木氏は安西にどんなことをレクチャーしたのか。
「いろんなポジションをやる際、『どういうことを意識していますか?』と聞かれたので、『その時々で“やってはいけないこと”』と答えましたね。
例えば、後ろのポジションなら、そこで奪われたら誰もいない状況で攻められてしまうからミスはしないようにするとか、中盤なら、仕掛けなければいけない時もあるけど、つなぐ時は簡単に取られないようにする、とか。そのポジションで一番やってはいけないこと。そこを切り替えて考えるようにしている、と」
サバイバルを勝ち抜き、日の丸を背負う存在に――

今季から鹿島の一員に。右SBの定位置争いでは内田(2番)らライバルは強敵揃いだが、揺るぎない自信を胸にレギュラー定着を目指す。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)
高木氏に言わせれば、「彼は頭が良くて、よく考えている。人懐っこい性格で、アドバイスを聞きに来る。そういうことが自然にできる」とのことだが、「とにかく走れる。そこが強み」と、安西の別のストロングポイントも挙げた。
「一度、『お前、試合中、キツくないの?』って聞いたことがあるんですよ。そうしたら、『たまーにキツい時はありますけど、基本的には、あんまり』って(笑)。それを聞いた時は凄いと思いましたね。無理がきくし、止まらない、常に走っている。そういうのが楽しいんでしょうね」
最近の成長ぶりについては、「仕掛けるのを怖がらなくなった」と印象を述べる。
「去年ぐらいからですかね、ガンガン仕掛けて、思い切りよくシュートを決めるようになった。順調にステップアップしていると思います」
清水戦でも試合の終盤、右サイドから果敢にカットインして、左足でシュートを試みるシーンがあった。結局、敵DFに阻止されてシュートは打ち切れず、「最後の部分がまだまだ甘い」と反省を口にするが、安西らしいワンプレーだった。
高木氏は「個人的には、代表まで行けるんじゃないかと思っている」と期待を寄せている。安西も「もちろん、入りたい」と野望を抱くが、「でも、その前にアントラーズでやるべきことがたくさんある。それを一つひとつクリアしていきたい」と、地に足をつけてさらなる成長を誓う。
鹿島のレギュラーに定着しつつあるが、浮かれた様子はまるでない。だが、自信はある。熾烈なサバイバルで揉まれながら力を付けて、大きな飛躍を遂げたい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
安西幸輝について取材したサッカーダイジェストの広島記者である。
安西を「清水戦の起用法を見ても、今の鹿島で安西が重宝されているのは明らかだ」、「戦術の幅を広げる鹿島のキーパーソン。そう言っても過言ではない」と評す。
大いなる補強であったことが記されておる。
その安西に影響を与えたのが、清水・フロントの高木純平氏である。
現役時代にユーティリティで名を馳せた高木氏は、ヴェルディ時代にそのノウハウを安西にレクチャーしたとのこと。
ここで大きなことは、「彼は頭が良くて、よく考えている。人懐っこい性格で、アドバイスを聞きに来る。そういうことが自然にできる」と高木氏の言う安西のパーソナリティであろう。
更に伸びることが感じ取れる。
安西というサイドプレイヤーは鹿島に推進力を与えよう。
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