水原戦コメント
AFCチャンピオンズリーグ2018 準決勝 第2戦

鹿島アントラーズ:大岩 剛
後半のスタートで2失点したことによって、自分たちの戦い方を苦しくしてしまったと感じている。それでも、選手がピッチの中で慌てずに一つのベクトルで戦い続けた結果が、次のラウンドに進めるということだと思う。選手たちを非常に評価しているし、次に向けてしっかりと準備をしていきたい。
Q.1-3というスコアから盛り返した選手たちの精神力について
A.1-3になった時点でも、私自身は非常に冷静でいられた。チームとしてシーズンを戦ってきた中で、試合の中で起こり得る全ての状況を把握しようと選手たちに訴えかけている。選手たちは慌てることなく、やることを統一して表現してくれた。評価し、信頼している選手たちがまた一回り大きくなったのではないかと感じている。
Q.スンヒョン選手の状態が良くなかったと思うが、交代をしなかった理由は?
A.状態がよくないことは把握していたが、コミュニケーションをとって「まだいける」ということだった。信頼して送り出しているし、この韓国の地での彼の意気込みを踏まえて、信頼してピッチに残すことを決めた。
Q.3失点してしまった理由は
A.後半から相手が長身の選手を投入し、2トップにシンプルにロングボールを放り込んでくる戦術に変えた。そこへ対応しきれない間に2失点してしまった。相手にアジャストすることができなかったため、2失点してしまったと感じている。3失点目にも理由があるが、立ち上がりの2失点が大きかったと思う。ベンチから修正を伝えていたが、なかなか伝わらなかった。
Q.アジア王者という悲願に向けて、そして決勝まで時間があまりないが
A.我々の目標は優勝することで、決勝に進出することではない。ホーム&アウェイの戦いの中でしっかりと勝ち切ることを目標にして準備をしていきたい。決勝までの間にリーグ戦もあるし、タイトなスケジュールの中でいかにコンディションを整えていくかが鍵となる。しっかりと準備をしていきたい。
Q.ホームとアウェイの2試合があった中で、勝負を分けた要因は?
A.第1戦も、自分たちの試合の入り方の悪さから苦しい試合になってしまったが、選手たちが状況を把握する中でやるべきことをしっかりと表現してくれた。今日も後半に逆転された後でも、立ち返る場所、やるべきことがはっきりしたことで同点に追い付くことができたと思う。理由はそこに尽きると思う。選手の一体感が相手を上回ったと思う。

【セルジーニョ】
失点した後も冷静だった。守備陣があれだけ頑張っているのだから、自分は攻撃の選手として点を取らないといけないと思っていた。今日はたまたま、自分が得点する状況になった。誰が点を取っても関係ない。ベンチのメンバー、鹿嶋に残っているメンバーも、チームのために結果を出そうと取り組んでいる。
【鈴木 優磨】
非常に難しい試合だったけど、チームとして戦えた結果がこの(2試合合計での)勝利につながったと思う。1-3の場面でも、あと1点を取れば(2試合合計で)同点になると分かっていたし、あと1点を取れば、その次の1点も取れると信じていた。アントラーズがまだ獲ったことがないACLのタイトルを必ず獲りたい。
【山本 脩斗】
(先制点は)セルジがいいボールをくれて、オフサイドにならずに抜け出すことができた。このような舞台で戦えることは選手としては幸せなこと。2点目、3点目を取られた後は苦しかったけど、もう1点を取れば行けるという話をしていた。そこから落ち着いて試合を運べたと思う。
【西 大伍】
相手の勢いがすごかった。バタバタもしていたけど、相手が上回っていたと思う。1点を取られた時に修正するべきだったけど、その答えがなかなか見つからなかった。3点を取られた後は前から行くという形になった。(得点の場面は)あまり覚えていないけど、点で狙っていた。
【安西 幸輝】
決勝に進むことができてよかった。引かずに点を取りに行くつもりでいて、前半はセットプレーで先制点を取れたけど、後半は相手の勢いがすごかった。集中は全員がしていたと思うけど、3連続失点はなかなかないこと。1点を取れば(2試合合計で)同点だということで、意思疎通はできていた。
【昌子 源】
見ての通り、チームに迷惑をかけてしまった。自分のところからも失点をしているし、迷惑をかけてしまった。後半の入りから3失点をしたことは反省しなければいけない。個人的な反省も多い。
AFCチャンピオンズリーグ 準決勝 第2戦
2018年10月24日(水)19:00KO
水原ワールドカップスタジアム
[ 大岩 剛監督 ]
後半の最初の2失点が自分たちを苦しくしてしまったと思います。これは選手がピッチの中で、それでも慌てず一つのベクトルで戦い続けた結果が、次のラウンドに進めることになったと思います。非常に選手を評価しているし、次に向けてもう一回、しっかり自分たちの準備をしたいと思います。
--1-3から盛り返した選手の精神力をどう評価していますか?
1-3になった時点でも、私自身は非常に冷静でいられました。なぜなら、この試合の前から、この試合の前という意味ではなく、チームとしてシーズンを戦っている中で、ゲームで起こり得るすべての状況を、自分たちでしっかり把握しようと、常に選手に訴えかけています。1-3になったところでも選手は慌てず、しっかり集まって自分たちでやるべきことを統一して、ピッチで表現できました。非常に評価していますし、信頼している選手がまたひと回り、ここで大きくなったのではないかと評価しています。
--後半、3失点してしまった要因をお願いします。
後半から相手が2トップにして、大きい選手を入れてロングボールをシンプルに放り込んでくる戦術に変えました。それに自分たちが対応し切れない間に2失点してしまいました。相手にアジャストすることができなかったことが2失点につながったと感じています。3失点目も当然理由はあるんですが、後半最初の立ち上がりの2失点が非常に大きかったと感じています。修正はベンチから伝えていたんですけど、なかなか伝わり切らなかった印象です。
--初めてのアジア王者への挑戦権を得ました。その悲願に向けての気持ちを聞かせてください。あと、決勝でどういったことが重要になってくるか教えてください。
われわれの目標は優勝することなので、決勝に進出することではありません。しっかりと2試合を勝ち切る、ホーム&アウェイの戦いの中でしっかり勝ち切ることを目標にして準備をしたいと思います。決勝までの間にJリーグもありますし、タイトなスケジュールの中で、自分たちがいかにコンディションを整えていくかがカギになりますので、それに向けて準備をしていきたいと思います。
AFCチャンピオンズリーグ 準決勝 第2戦
2018年10月24日(水)19:00KO
水原ワールドカップスタジアム
FW 9
鈴木 優磨
Yuma SUZUKI
非常に難しい試合でしたけれど、最後になんとかチームとして戦えた結果がこの勝利につながったと思います。
--1-3になったときに選手同士で話し合ったことや、ご自身で考えたことは?
1-3になったときも、みんなであと1点取れば(2戦合計で)同点というのは分かっていたので、みんなで修正して、1点取れれば必ずもう1点取れるとみんなで話していたので、それを信じて、1点を早めに取ることができて、うまく3-3に持っていくことができたと思います。
--ロングボールを収めるのがすごくうまいですが、それはいつもどおりですか?
すごくプレッシャーが速い中で、FWが体を張ってキープするというのはチームの約束事でもありますし、それができればディフェンスラインがすごくラクになると思うので、それがFWの役割だと思います。
--チームメートのクォン スンテに対してすごくブーイングがあったと思います。チームメートでどのような話があったのか教えてください。
スンテは非常に経験がありますし、今日のプレーを見れば分かるとおり強い選手だと思います。第1戦のスンテのプレーは許されることではないと思いますけど、あのプレーを無駄にしない戦いを今日はしようとみんなで話していたので、それができて良かったです。
安西 幸輝 - Koki ANZAI
MF 32
安西 幸輝
Koki ANZAI
ファイナルに進出できて良かった。ホッとしています。引かずに点を取りにいく気持ちでいたので、セットプレーで1点取れたのは良かったんですけど、相手の勢いがすごくて3点取られてしまった。集中はしていたんですけど、相手に3点連続で取られることはなかなかない。でも、3点目を取られたときにみんなで集まって、1点取れば(2戦合計で)同点だからと全員が意思疎通できたので、そこが試合の結果を分けたのかなと思います。興奮しているというよりはホッとした感じ。(クォン)スンテと(チョン)スンヒョンが安心した顔をしていたので、それが良かったです。
昌子 源 - Gen SHOJI
DF 3
昌子 源
Gen SHOJI
個人的にはチームに迷惑をかけてしまった。3カ月休んで(先発は)2試合目。少しフィーリング的にも徐々に徐々には合ってきているけど、決勝までには自分の100%に持っていきたいと思っている。持っていくためにしっかり自分でできることをやっていきたい。
(後半から)9番(パク キドン)が入ってきて(チョン)スンヒョンに言われたのが「ヘディングがめちゃくちゃ強い」ということ。見てもらえば分かるとおり強かった。次は必ずチームの助けになりたい。
大逆転負けの窮地から一転…鹿島、クラブ史上初のACL決勝進出!!
18/10/24 20:51

後半19分、反撃の狼煙をあげるゴールを決めたDF西大伍と祝福するFW鈴木優磨
「そこが勝敗を分けた」鹿島の逆転ファイナルを導いた“優磨発”の緊急円陣
18/10/24 22:49

3失点目の直後、緊急の円陣を組んだ鹿島アントラーズの選手たち
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
「そこが勝敗を分けたかなと思います」(DF安西幸輝)。初のAFCチャンピオンズリーグ決勝を果たした鹿島アントラーズは後半15分、窮地に立たされていた。わずか7分間に3失点を喫し、追いつくにはあと2点が必要な状況。だが、そんな崖っぷちムードを一変させたのはFW鈴木優磨の熱意が導いた“円陣”だった。
「たぶん引きずっているかなという感じで、ちょっと離れたところに立っていたので」(鈴木)。気にかけた相手は「間違いなくリーダー」というDF昌子源。失点に関与した直後とあり、落ち込むそぶりを見せていた26歳に対し、迷わず叱咤の声をかけた。そこから全員での円陣が形成され、チームが落ち着く契機となった。
「『あと1点取れば同点だから』という意思疎通ができた」と振り返ったのは冒頭の所見を述べたサイドハーフの安西。また、最終ラインの選手たちにも大きな効果を及ぼしたようで、DF山本脩斗は「話し合ってから落ち着いて試合を運ぶことができた」と述べ、昌子自身もカバーリングの方法を変えたことを明かした。
勢いを取り戻した鹿島は、失点直後の後半19分にDF西大伍が技ありの追撃ゴールを沈めると、同37分にはMFセルジーニョが劇的な同点ゴール。そのまま合計スコア6-5で上回り、見事にクラブ史上初の決勝進出を決めた。「3失点は反省しないといけないし、個人的にも反省は多い」(昌子)。そんなチームリーダーを助けたのは22歳の若武者ストライカーの機転だった。
(取材・文 竹内達也)
まさに鹿島の救世主…途中加入のセルジーニョ、ACL4戦連発も「信頼してくれるおかげ」
18/10/24 23:10

ACLで4戦連続ゴール中の鹿島アントラーズMFセルジーニョ
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
シーズン途中に加入し、アジアの舞台で4試合出場4ゴール。鹿島アントラーズにとって史上初のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝に導くゴールを決めたMFセルジーニョは、まさに救世主にふさわしい存在だ。しかし、試合後には「チームメートが信頼してくれることが最大の要因」と同僚に感謝し、謙虚に決勝戦への意気込みを口にした。
1995年生まれのセルジーニョは今夏、テクニカルディレクターに就任したジーコ氏の誘いで、ブラジルの名門サントスFCから完全移籍で加入。8月28日のACL準々決勝第1戦の天津権健戦で来日初ゴールを記録すると、そこから4試合連発中。この日は後半39分、落ち着いたトラップからゴールに流し込み、合計スコアを6-5とする“決勝弾”の立役者となった。
「全員で決勝に行くという目的を達成できて喜ばしい」。試合をそう振り返ったブラジル出身の23歳は次々にチームメートへの感謝を述べた。「たまたま自分が得点する形になったけど、誰が取っても関係ない。ベンチに入っていた選手も、鹿嶋に残っている人も、チームのために結果を出そうとしてきている。ただ、前の選手なので僕が決めないといけないとは思っていた」。
4試合連続で得点が取れている要因についても「一番はチームメートが信頼してくれること。そのおかげで落ち着いて、冷静にプレーできている」と謙虚に返答。ペルセポリス(イラン)との決勝戦に向けては「あと2試合でも2点を取って得点王という思いもあるけど、あくまでも自然な状況でそうなればいい。勝たないと意味がないので落ち着いて次の試合に臨みたい」と述べた。
(取材・文 竹内達也)
価値ある追撃ゴールの鹿島DF西大伍、技ありショットは「イメージです」
18/10/24 23:30

チームの追撃を促す2点目を決めた鹿島アントラーズDF西大伍
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
信じられないほどの落ち着きでゴールを射抜いた。鹿島アントラーズDF西大伍は後半19分、MFセルジーニョがフリックした浮き球を見事なトラップで収め、PA右から力を抜いたシュートでファーポスト際にピタリ。DF登録の選手とは思えない“技ありショット”だったが、「イメージです」と事も無げに振り返った。
前半に1点を奪って幸先の良いスタートを切ったものの、後半立ち上がりから3点を取り返される苦しい展開を強いられたこの日の鹿島。「相手が上回っていた。1点目を取られた時に修正すべきだったけど、答えがなかなか見つからなかった」と悔やんだ背番号22は「3点を取られてからようやく前から行けるようになった」とターニングポイントを振り返る。
すると失点から4分後、自らの右足で試合を動かした。右サイドからのロングフィードが左に流れ、MF安西幸輝が右足クロスをゴール前に供給した場面。「人数がいましたし、点は狙っていました」と意気揚々とPA内に攻め込むと、目の前で起動が変わったボールを見事にトラップ。「あれはトラップが素晴らしかった。バウンドしてないから」と自画自賛した。
だが、そこからゴールに至るまでのプレーはインスピレーションで決めたようだ。スライディングをしてきた相手について「なんか転んでましたよね」と振り返れば、シュートの場面は「適当です」と返答。「やっぱりゴール前でスライディングしないほうが良いなと思いました」と最後はディフェンダー目線で締めていた。
(取材・文 竹内達也)
ACL決勝は10万人アウェーも予定…鈴木優磨「たまんないっす」昌子源「人生で一番しんどかった試合」
18/10/24 23:55

敵地でのACL決勝第2戦に闘志を燃やしていた鹿島アントラーズFW鈴木優磨
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
逆転に次ぐ逆転でクラブ史上初のAFCチャンピオンズリーグ(AFC)決勝進出を果たした鹿島アントラーズだが、決勝の相手はイランのペルセポリスに決定している。11月10日にテヘラン行われる第2戦は約10万人の相手サポーターが来場する見込み。まずは同3日にホームでの第1戦を戦うが、選手たちは早くもアウェーゲームを意識しているようだ。
DF昌子源が語ったのは日本代表での経験だった。「人生で一番しんどかった試合」と思い返したのは2017年6月13日、同じテヘランで迎えたロシアW杯アジア最終予選のイラク戦(△1-1)。ここでW杯予選デビューを飾った昌子は「すごく暑いし、湿気がなかったので」とその理由を明かす。
また、イスラム圏ではラマダーン(断食)の季節で、相手選手は水を飲むことができないという情報もあったそうだが、「飲んだらアカンらしいって言ってたのにみんな飲んでた」というエピソードも印象深かった様子。「生死に関わる問題は宗教を超えるんだなと思った」と懐かしそうに振り返った。
一方、ACL準決勝2試合では前線で身体を張るプレーを見せ、「疲れた」と振り返ったFW鈴木優磨は前のめりに向き合っている。ペルセポリス戦について問われるやいなや「イランでやる時は10万人っすよね……」と切り返せば、「たまんないっす」と目を輝かせ、颯爽と取材エリアを後にした。
(取材・文 竹内達也)
鹿島がシーソーゲームを制し、ACL初の決勝進出!! 西が同点弾、セルジーニョが逆転弾!
サッカーダイジェストWeb編集部
2018年10月24日
終盤の82分にセルジーニョが決勝点

2戦合計で同点となるゴールを挙げた西。(C) Getty Images
【鹿島】失点に絡んだ昌子源が猛省。それでも本来の姿を取り戻しつつある
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月24日
「フィーリング的には徐々に合ってきている」

DFとして3失点は悔しい結果だが、完全復活への手応えも掴んだ。(C)Getty Images
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
「見てもらったら分かるとおり、チームに迷惑をかけてしまった」
ACL準決勝第2レグは3-3のドロー決着も、第1レグは3-2と勝利しており、トータルスコア6-5で、鹿島は初のファイナル進出を果たした。
しかし、昌子源は自分のパフォーマンスには納得していない。1-0で迎えた後半、52分、53分、60分と連続失点。2失点目は競り負けてヘディングシュートを許し、3失点目は迫りくる相手を止められなかった。
「3か月休んで、(フル出場が)2試合目で、フィーリング的には徐々に合ってきているけど」
本調子でないことは事実。失点する時間帯では、“らしくない”プレーが目についた。
それでも、無失点に抑えた前半はほぼパーフェクトだった。果敢なシュートブロックを見せ、ラインを的確にコントロールし、質の高いパスも味方に供給した。本人が語るように、少しずつ、本来の「昌子源」に戻りつつあるのだろう。
「決勝までには、自分の100パーセントに持っていきたいと思っている。持っていくために、しっかり自分にできることをやっていきたい」
今の自分に何ができて、何ができないのか。これから何をしていくべきなのか。それを痛感したゲームでもあったが、「しっかり僕がコンディションを上げることが間違いなく必要。それは自分でも感じている」と、来るべきファイナルに向け、完全復活を誓った。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【鹿島】転機となったあの“円陣”は誰の呼びかけで? 何が話し合われたの?
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月25日
自発的に集まり、気持ちをひとつにして、戦術面の修正も図る

3失点目直後の円陣が転機となり、1-3から試合を振り出しに戻して合計スコア6-5とし、決勝へと駒を進めた。(C)Getty Images
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
このままではまずい――そんな想いを選手たちは強く感じ取っていたのだろう。
1点リードで迎えた後半、52分に同点に追いつかれると、その1分後にセットプレーから2点目を奪われ、さらに7分後に3点目を許す。
「全員、集中してはいたと思うんですけど、相手の勢いもあって。ああやって連続で決められるのは、なかなかないこと」と、安西幸輝もあっとういう間の3失点を振り返る。
1-3のままでは、トータルスコア4-5となり、決勝に進むことができない。そこで選手たちは、ゲーム再開のキックオフの前に一度、集まった。
この“円陣”は誰の呼びかけだったのか。
「誰がっていうか、自然と集まって。(三竿)健斗も言うし、俺も言うし、(鈴木)優磨も『来い』って言うし。監督の指示を聞く時間もないから、そうやってピッチの中で(意見を)合わせていかないといけない」(昌子源)
では、そこではどんな話し合いがなされたのか。
「1点取れば(トータルスコア5-5の)同点だからっていうふうに、全員が意思疎通できていた。そこは勝敗を分けたのかなと思います」(安西)
守備の立て直しについても確認し合った。
「この後も(相手の)ロングキックが続くと思うから、ボールホルダーにもっとしっかり寄せようっていう話と、俺らはラインを上げられないから、健斗が俺らのラインに入って、吸収されて、(チョン・)スンヒョンが競った後に、俺と健斗がCBみたいにやるとか、そういうイメージで、セカンドを必ずうちが拾うっていう話もできていた」
その後、時間は約30分残されていたが、守備では致命傷になりかねない4失点目を与えず、攻撃では西大伍、セルジーニョがゴールを決めて、追いついてみせる。これで2戦合計6-5とひっくり返し、そのままタイムアップ。
自発的に集まり、気持ちをひとつにして、戦術面の修正も図れたあの円陣が転機となったのは間違いない。「いろんな選手が、いろんなことを言えるようになってきた」(昌子)チームは、試合を重ねるごとに逞しくなり、力強く初のアジア制覇へと突き進んでいる。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【鹿島】3失点後の“円陣”に、なぜセルジーニョだけが加わらなかったのか?
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月25日
「逆に僕は前の選手として」ゴールに集中していた

1得点・2アシストと、チームの全得点に絡んだセルジーニョ。自身に求められるタスクを完遂した。(C)Getty Images
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
3失点目を喫した直後だった。フィールドプレーヤーが集まり、円陣が組まれる。
前半に幸先良く先制したゲームだったが、後半が始まって間もなく、わずか8分間で3つのゴールを奪われる。このままズルズルと行かないよう、一度、戦術面の確認や、落ち込みそうになる気持ちをお互いに高め合うための行動だったのだろう。
その輪の中にひとりだけ加わらず、センターサークルで試合の再開を待つ選手がいた。
セルジーニョだ。なぜ、自分も一緒になって“話し合い”に参加しなかったのだろうか。
セルジーニョには、セルジーニョなりの考えがあった。
「僕はすごく冷静だったし、落ち着いてもいました。みんなが集まったのは、失点しているので、守備のことに関して修正しようとしていたわけであって。後ろのみんながあれだけ頑張って、なんとかしようとしているんだから、逆に僕は前の選手として、点を決めなければいけないんだっていう気持ちでした」
その言葉どおり、背番号18のブラジリアンは自らに求められる仕事を完遂する。64分、左からのクロスをヘッドで流して西大伍のチーム2点目を演出。さらに82分、鈴木優磨のアシストから右足を思い切り振り抜き、値千金の同点弾を叩き込んだ。
25分には狙いすましたFKで山本脩斗の先制ゴールをお膳立て。1得点・2アシストの活躍ぶり。文字どおり、“救世主”としてのハイパフォーマンスだった。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【鹿島】「2失点に絡んだ張本人」昌子源が、それでも“平気な振り”をした理由
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月25日
DFとして悔しいに決まっているはずだが…

失点に関与した昌子は、「迷惑をかけてしまった」と猛省する一方で、最後まで前を向いてプレーし、チームのファイナル進出に貢献した。(C)SOCCER DIGEST
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
「僕なんて、2失点に絡んだ張本人やけど」
水原三星とのACL準決勝第2レグ、3-3で終わったゲームで、昌子源はふたつの失点に関与した。1-1で迎えた53分、CKの場面で競り負けてヘディングシュートを叩き込まれ、60分には迫りくる相手を止められず、そのままゴールを許した。
自身の失策でチームは苦境に立たされてしまった。それは重々承知しているし、「迷惑をかけてしまった」と猛省する。
それでも、「メンタル的には全然、堪えていなかった」。なぜなら、「何失点も僕が絡んで、そのまま負けたことだって、いっぱいある」からだ。本人にとっては思い出したくもないかもしれないが、その“貴重な経験値”が生きたということなのだろう。
もちろん、失点に関して、感覚が麻痺しているわけでもなければ、責任を感じていないわけでもない。DFとして悔しいに決まっているはずだが、「自分に言い聞かせて、切り替えてやる」「自分なりに冷静にやっていたつもり」と、最後まで前を向いてプレーした。
最終的に、チームは1-3から追いつき、3-2で勝利した第1レグと合わせ、トータルスコア6-5でファイナルに駒を進めることができた。圧巻の粘り強さを見せた第2レグの結果について、昌子は「メンタル的に僕が落ちなかったこと」も、ひとつの要因だったと振り返る。
ともすれば、言い訳がましく聞こえるかもしれない。だが、昌子の本意は断じてそこには、ない。精神的な強さをひけらかそうとしているわけでもない。失点に関与して、ダメージを受けない選手などいない。それでも、落ち込みたくなる気持ちをグッと我慢して、引きずらず、何事もなかったかのように振る舞うのには、理由がある。
失点に絡んでも、踏ん張る。すべてはチームが勝つため

3-2で勝利した第1レグに続き、第2レグも3-3と点の取り合いになったが、2戦合計6-5で初のACL決勝進出を決めた。(C)Getty Images
「チームに伝染しなかったっていうのも、ひとつ(あると思う)」
自分がしょげていれば、チーム全体にネガティブな空気が広がる。悪影響を及ぼすことになる。昌子が一番に危険視しているのは、そこだと思う。だから、いくら失点に絡んでも“平気な振り”をする。踏ん張る。すべては、チームが勝つためだ。
「僕だけでなく、(チョン・)スンヒョンも(クォン・)スンテも良いプレーをしてくれた。誰かが落ち込んでしまうのはいけないと思う」
同僚のCBとGKの奮闘を労う。彼らも守備者として、3失点に大きなダメージを受けたはずだが、下を向かずに戦い抜いた。チョン・スンヒョンは多くのエアバトルを制した。クォン・スンテも失点の数以上のファインセーブを見せた。
「後ろのみんながあれだけ頑張って、なんとかしようとしているんだから、逆に僕は前の選手として、点を決めなければいけないんだっていう気持ちでした」
そう振り返ったセルジーニョは、1得点・2アシストの活躍を披露。誰かの頑張りに、誰かが応える。まさに、チームがひとつになって勝ち取ったファイナル進出だった。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
チョン・スンヒョンについて問われた大岩監督である。
「信頼して送り出しているし、この韓国の地での彼の意気込みを踏まえて、信頼してピッチに残すことを決めた」と答える。
選手と監督の強い信頼関係が見て取れる。
スンヒョンとだけでなく、指揮官と選手が良い関係を築いておることで、この結果を出しておるのだ。
結果の伴わなかった試合でも、信頼関係が揺るがぬ事が大岩監督の手腕とも言い換え得られる。
また、優磨はボールを収めることについて語る。
やはり、最前線でボールをキープしてくれる優磨がおることは、非常に心強い。
エースとして大きく成長しておることがわかる。
優磨と共に頂点へ。
次戦も活躍を期待しておる。

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鹿島アントラーズ:大岩 剛
後半のスタートで2失点したことによって、自分たちの戦い方を苦しくしてしまったと感じている。それでも、選手がピッチの中で慌てずに一つのベクトルで戦い続けた結果が、次のラウンドに進めるということだと思う。選手たちを非常に評価しているし、次に向けてしっかりと準備をしていきたい。
Q.1-3というスコアから盛り返した選手たちの精神力について
A.1-3になった時点でも、私自身は非常に冷静でいられた。チームとしてシーズンを戦ってきた中で、試合の中で起こり得る全ての状況を把握しようと選手たちに訴えかけている。選手たちは慌てることなく、やることを統一して表現してくれた。評価し、信頼している選手たちがまた一回り大きくなったのではないかと感じている。
Q.スンヒョン選手の状態が良くなかったと思うが、交代をしなかった理由は?
A.状態がよくないことは把握していたが、コミュニケーションをとって「まだいける」ということだった。信頼して送り出しているし、この韓国の地での彼の意気込みを踏まえて、信頼してピッチに残すことを決めた。
Q.3失点してしまった理由は
A.後半から相手が長身の選手を投入し、2トップにシンプルにロングボールを放り込んでくる戦術に変えた。そこへ対応しきれない間に2失点してしまった。相手にアジャストすることができなかったため、2失点してしまったと感じている。3失点目にも理由があるが、立ち上がりの2失点が大きかったと思う。ベンチから修正を伝えていたが、なかなか伝わらなかった。
Q.アジア王者という悲願に向けて、そして決勝まで時間があまりないが
A.我々の目標は優勝することで、決勝に進出することではない。ホーム&アウェイの戦いの中でしっかりと勝ち切ることを目標にして準備をしていきたい。決勝までの間にリーグ戦もあるし、タイトなスケジュールの中でいかにコンディションを整えていくかが鍵となる。しっかりと準備をしていきたい。
Q.ホームとアウェイの2試合があった中で、勝負を分けた要因は?
A.第1戦も、自分たちの試合の入り方の悪さから苦しい試合になってしまったが、選手たちが状況を把握する中でやるべきことをしっかりと表現してくれた。今日も後半に逆転された後でも、立ち返る場所、やるべきことがはっきりしたことで同点に追い付くことができたと思う。理由はそこに尽きると思う。選手の一体感が相手を上回ったと思う。

【セルジーニョ】
失点した後も冷静だった。守備陣があれだけ頑張っているのだから、自分は攻撃の選手として点を取らないといけないと思っていた。今日はたまたま、自分が得点する状況になった。誰が点を取っても関係ない。ベンチのメンバー、鹿嶋に残っているメンバーも、チームのために結果を出そうと取り組んでいる。
【鈴木 優磨】
非常に難しい試合だったけど、チームとして戦えた結果がこの(2試合合計での)勝利につながったと思う。1-3の場面でも、あと1点を取れば(2試合合計で)同点になると分かっていたし、あと1点を取れば、その次の1点も取れると信じていた。アントラーズがまだ獲ったことがないACLのタイトルを必ず獲りたい。
【山本 脩斗】
(先制点は)セルジがいいボールをくれて、オフサイドにならずに抜け出すことができた。このような舞台で戦えることは選手としては幸せなこと。2点目、3点目を取られた後は苦しかったけど、もう1点を取れば行けるという話をしていた。そこから落ち着いて試合を運べたと思う。
【西 大伍】
相手の勢いがすごかった。バタバタもしていたけど、相手が上回っていたと思う。1点を取られた時に修正するべきだったけど、その答えがなかなか見つからなかった。3点を取られた後は前から行くという形になった。(得点の場面は)あまり覚えていないけど、点で狙っていた。
【安西 幸輝】
決勝に進むことができてよかった。引かずに点を取りに行くつもりでいて、前半はセットプレーで先制点を取れたけど、後半は相手の勢いがすごかった。集中は全員がしていたと思うけど、3連続失点はなかなかないこと。1点を取れば(2試合合計で)同点だということで、意思疎通はできていた。
【昌子 源】
見ての通り、チームに迷惑をかけてしまった。自分のところからも失点をしているし、迷惑をかけてしまった。後半の入りから3失点をしたことは反省しなければいけない。個人的な反省も多い。
AFCチャンピオンズリーグ 準決勝 第2戦
2018年10月24日(水)19:00KO
水原ワールドカップスタジアム
[ 大岩 剛監督 ]
後半の最初の2失点が自分たちを苦しくしてしまったと思います。これは選手がピッチの中で、それでも慌てず一つのベクトルで戦い続けた結果が、次のラウンドに進めることになったと思います。非常に選手を評価しているし、次に向けてもう一回、しっかり自分たちの準備をしたいと思います。
--1-3から盛り返した選手の精神力をどう評価していますか?
1-3になった時点でも、私自身は非常に冷静でいられました。なぜなら、この試合の前から、この試合の前という意味ではなく、チームとしてシーズンを戦っている中で、ゲームで起こり得るすべての状況を、自分たちでしっかり把握しようと、常に選手に訴えかけています。1-3になったところでも選手は慌てず、しっかり集まって自分たちでやるべきことを統一して、ピッチで表現できました。非常に評価していますし、信頼している選手がまたひと回り、ここで大きくなったのではないかと評価しています。
--後半、3失点してしまった要因をお願いします。
後半から相手が2トップにして、大きい選手を入れてロングボールをシンプルに放り込んでくる戦術に変えました。それに自分たちが対応し切れない間に2失点してしまいました。相手にアジャストすることができなかったことが2失点につながったと感じています。3失点目も当然理由はあるんですが、後半最初の立ち上がりの2失点が非常に大きかったと感じています。修正はベンチから伝えていたんですけど、なかなか伝わり切らなかった印象です。
--初めてのアジア王者への挑戦権を得ました。その悲願に向けての気持ちを聞かせてください。あと、決勝でどういったことが重要になってくるか教えてください。
われわれの目標は優勝することなので、決勝に進出することではありません。しっかりと2試合を勝ち切る、ホーム&アウェイの戦いの中でしっかり勝ち切ることを目標にして準備をしたいと思います。決勝までの間にJリーグもありますし、タイトなスケジュールの中で、自分たちがいかにコンディションを整えていくかがカギになりますので、それに向けて準備をしていきたいと思います。
AFCチャンピオンズリーグ 準決勝 第2戦
2018年10月24日(水)19:00KO
水原ワールドカップスタジアム
FW 9
鈴木 優磨
Yuma SUZUKI
非常に難しい試合でしたけれど、最後になんとかチームとして戦えた結果がこの勝利につながったと思います。
--1-3になったときに選手同士で話し合ったことや、ご自身で考えたことは?
1-3になったときも、みんなであと1点取れば(2戦合計で)同点というのは分かっていたので、みんなで修正して、1点取れれば必ずもう1点取れるとみんなで話していたので、それを信じて、1点を早めに取ることができて、うまく3-3に持っていくことができたと思います。
--ロングボールを収めるのがすごくうまいですが、それはいつもどおりですか?
すごくプレッシャーが速い中で、FWが体を張ってキープするというのはチームの約束事でもありますし、それができればディフェンスラインがすごくラクになると思うので、それがFWの役割だと思います。
--チームメートのクォン スンテに対してすごくブーイングがあったと思います。チームメートでどのような話があったのか教えてください。
スンテは非常に経験がありますし、今日のプレーを見れば分かるとおり強い選手だと思います。第1戦のスンテのプレーは許されることではないと思いますけど、あのプレーを無駄にしない戦いを今日はしようとみんなで話していたので、それができて良かったです。
安西 幸輝 - Koki ANZAI
MF 32
安西 幸輝
Koki ANZAI
ファイナルに進出できて良かった。ホッとしています。引かずに点を取りにいく気持ちでいたので、セットプレーで1点取れたのは良かったんですけど、相手の勢いがすごくて3点取られてしまった。集中はしていたんですけど、相手に3点連続で取られることはなかなかない。でも、3点目を取られたときにみんなで集まって、1点取れば(2戦合計で)同点だからと全員が意思疎通できたので、そこが試合の結果を分けたのかなと思います。興奮しているというよりはホッとした感じ。(クォン)スンテと(チョン)スンヒョンが安心した顔をしていたので、それが良かったです。
昌子 源 - Gen SHOJI
DF 3
昌子 源
Gen SHOJI
個人的にはチームに迷惑をかけてしまった。3カ月休んで(先発は)2試合目。少しフィーリング的にも徐々に徐々には合ってきているけど、決勝までには自分の100%に持っていきたいと思っている。持っていくためにしっかり自分でできることをやっていきたい。
(後半から)9番(パク キドン)が入ってきて(チョン)スンヒョンに言われたのが「ヘディングがめちゃくちゃ強い」ということ。見てもらえば分かるとおり強かった。次は必ずチームの助けになりたい。
大逆転負けの窮地から一転…鹿島、クラブ史上初のACL決勝進出!!
18/10/24 20:51

後半19分、反撃の狼煙をあげるゴールを決めたDF西大伍と祝福するFW鈴木優磨
「そこが勝敗を分けた」鹿島の逆転ファイナルを導いた“優磨発”の緊急円陣
18/10/24 22:49

3失点目の直後、緊急の円陣を組んだ鹿島アントラーズの選手たち
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
「そこが勝敗を分けたかなと思います」(DF安西幸輝)。初のAFCチャンピオンズリーグ決勝を果たした鹿島アントラーズは後半15分、窮地に立たされていた。わずか7分間に3失点を喫し、追いつくにはあと2点が必要な状況。だが、そんな崖っぷちムードを一変させたのはFW鈴木優磨の熱意が導いた“円陣”だった。
「たぶん引きずっているかなという感じで、ちょっと離れたところに立っていたので」(鈴木)。気にかけた相手は「間違いなくリーダー」というDF昌子源。失点に関与した直後とあり、落ち込むそぶりを見せていた26歳に対し、迷わず叱咤の声をかけた。そこから全員での円陣が形成され、チームが落ち着く契機となった。
「『あと1点取れば同点だから』という意思疎通ができた」と振り返ったのは冒頭の所見を述べたサイドハーフの安西。また、最終ラインの選手たちにも大きな効果を及ぼしたようで、DF山本脩斗は「話し合ってから落ち着いて試合を運ぶことができた」と述べ、昌子自身もカバーリングの方法を変えたことを明かした。
勢いを取り戻した鹿島は、失点直後の後半19分にDF西大伍が技ありの追撃ゴールを沈めると、同37分にはMFセルジーニョが劇的な同点ゴール。そのまま合計スコア6-5で上回り、見事にクラブ史上初の決勝進出を決めた。「3失点は反省しないといけないし、個人的にも反省は多い」(昌子)。そんなチームリーダーを助けたのは22歳の若武者ストライカーの機転だった。
(取材・文 竹内達也)
まさに鹿島の救世主…途中加入のセルジーニョ、ACL4戦連発も「信頼してくれるおかげ」
18/10/24 23:10

ACLで4戦連続ゴール中の鹿島アントラーズMFセルジーニョ
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
シーズン途中に加入し、アジアの舞台で4試合出場4ゴール。鹿島アントラーズにとって史上初のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝に導くゴールを決めたMFセルジーニョは、まさに救世主にふさわしい存在だ。しかし、試合後には「チームメートが信頼してくれることが最大の要因」と同僚に感謝し、謙虚に決勝戦への意気込みを口にした。
1995年生まれのセルジーニョは今夏、テクニカルディレクターに就任したジーコ氏の誘いで、ブラジルの名門サントスFCから完全移籍で加入。8月28日のACL準々決勝第1戦の天津権健戦で来日初ゴールを記録すると、そこから4試合連発中。この日は後半39分、落ち着いたトラップからゴールに流し込み、合計スコアを6-5とする“決勝弾”の立役者となった。
「全員で決勝に行くという目的を達成できて喜ばしい」。試合をそう振り返ったブラジル出身の23歳は次々にチームメートへの感謝を述べた。「たまたま自分が得点する形になったけど、誰が取っても関係ない。ベンチに入っていた選手も、鹿嶋に残っている人も、チームのために結果を出そうとしてきている。ただ、前の選手なので僕が決めないといけないとは思っていた」。
4試合連続で得点が取れている要因についても「一番はチームメートが信頼してくれること。そのおかげで落ち着いて、冷静にプレーできている」と謙虚に返答。ペルセポリス(イラン)との決勝戦に向けては「あと2試合でも2点を取って得点王という思いもあるけど、あくまでも自然な状況でそうなればいい。勝たないと意味がないので落ち着いて次の試合に臨みたい」と述べた。
(取材・文 竹内達也)
価値ある追撃ゴールの鹿島DF西大伍、技ありショットは「イメージです」
18/10/24 23:30

チームの追撃を促す2点目を決めた鹿島アントラーズDF西大伍
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
信じられないほどの落ち着きでゴールを射抜いた。鹿島アントラーズDF西大伍は後半19分、MFセルジーニョがフリックした浮き球を見事なトラップで収め、PA右から力を抜いたシュートでファーポスト際にピタリ。DF登録の選手とは思えない“技ありショット”だったが、「イメージです」と事も無げに振り返った。
前半に1点を奪って幸先の良いスタートを切ったものの、後半立ち上がりから3点を取り返される苦しい展開を強いられたこの日の鹿島。「相手が上回っていた。1点目を取られた時に修正すべきだったけど、答えがなかなか見つからなかった」と悔やんだ背番号22は「3点を取られてからようやく前から行けるようになった」とターニングポイントを振り返る。
すると失点から4分後、自らの右足で試合を動かした。右サイドからのロングフィードが左に流れ、MF安西幸輝が右足クロスをゴール前に供給した場面。「人数がいましたし、点は狙っていました」と意気揚々とPA内に攻め込むと、目の前で起動が変わったボールを見事にトラップ。「あれはトラップが素晴らしかった。バウンドしてないから」と自画自賛した。
だが、そこからゴールに至るまでのプレーはインスピレーションで決めたようだ。スライディングをしてきた相手について「なんか転んでましたよね」と振り返れば、シュートの場面は「適当です」と返答。「やっぱりゴール前でスライディングしないほうが良いなと思いました」と最後はディフェンダー目線で締めていた。
(取材・文 竹内達也)
ACL決勝は10万人アウェーも予定…鈴木優磨「たまんないっす」昌子源「人生で一番しんどかった試合」
18/10/24 23:55

敵地でのACL決勝第2戦に闘志を燃やしていた鹿島アントラーズFW鈴木優磨
[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
逆転に次ぐ逆転でクラブ史上初のAFCチャンピオンズリーグ(AFC)決勝進出を果たした鹿島アントラーズだが、決勝の相手はイランのペルセポリスに決定している。11月10日にテヘラン行われる第2戦は約10万人の相手サポーターが来場する見込み。まずは同3日にホームでの第1戦を戦うが、選手たちは早くもアウェーゲームを意識しているようだ。
DF昌子源が語ったのは日本代表での経験だった。「人生で一番しんどかった試合」と思い返したのは2017年6月13日、同じテヘランで迎えたロシアW杯アジア最終予選のイラク戦(△1-1)。ここでW杯予選デビューを飾った昌子は「すごく暑いし、湿気がなかったので」とその理由を明かす。
また、イスラム圏ではラマダーン(断食)の季節で、相手選手は水を飲むことができないという情報もあったそうだが、「飲んだらアカンらしいって言ってたのにみんな飲んでた」というエピソードも印象深かった様子。「生死に関わる問題は宗教を超えるんだなと思った」と懐かしそうに振り返った。
一方、ACL準決勝2試合では前線で身体を張るプレーを見せ、「疲れた」と振り返ったFW鈴木優磨は前のめりに向き合っている。ペルセポリス戦について問われるやいなや「イランでやる時は10万人っすよね……」と切り返せば、「たまんないっす」と目を輝かせ、颯爽と取材エリアを後にした。
(取材・文 竹内達也)
鹿島がシーソーゲームを制し、ACL初の決勝進出!! 西が同点弾、セルジーニョが逆転弾!
サッカーダイジェストWeb編集部
2018年10月24日
終盤の82分にセルジーニョが決勝点

2戦合計で同点となるゴールを挙げた西。(C) Getty Images
【鹿島】失点に絡んだ昌子源が猛省。それでも本来の姿を取り戻しつつある
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月24日
「フィーリング的には徐々に合ってきている」

DFとして3失点は悔しい結果だが、完全復活への手応えも掴んだ。(C)Getty Images
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
「見てもらったら分かるとおり、チームに迷惑をかけてしまった」
ACL準決勝第2レグは3-3のドロー決着も、第1レグは3-2と勝利しており、トータルスコア6-5で、鹿島は初のファイナル進出を果たした。
しかし、昌子源は自分のパフォーマンスには納得していない。1-0で迎えた後半、52分、53分、60分と連続失点。2失点目は競り負けてヘディングシュートを許し、3失点目は迫りくる相手を止められなかった。
「3か月休んで、(フル出場が)2試合目で、フィーリング的には徐々に合ってきているけど」
本調子でないことは事実。失点する時間帯では、“らしくない”プレーが目についた。
それでも、無失点に抑えた前半はほぼパーフェクトだった。果敢なシュートブロックを見せ、ラインを的確にコントロールし、質の高いパスも味方に供給した。本人が語るように、少しずつ、本来の「昌子源」に戻りつつあるのだろう。
「決勝までには、自分の100パーセントに持っていきたいと思っている。持っていくために、しっかり自分にできることをやっていきたい」
今の自分に何ができて、何ができないのか。これから何をしていくべきなのか。それを痛感したゲームでもあったが、「しっかり僕がコンディションを上げることが間違いなく必要。それは自分でも感じている」と、来るべきファイナルに向け、完全復活を誓った。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【鹿島】転機となったあの“円陣”は誰の呼びかけで? 何が話し合われたの?
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月25日
自発的に集まり、気持ちをひとつにして、戦術面の修正も図る

3失点目直後の円陣が転機となり、1-3から試合を振り出しに戻して合計スコア6-5とし、決勝へと駒を進めた。(C)Getty Images
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
このままではまずい――そんな想いを選手たちは強く感じ取っていたのだろう。
1点リードで迎えた後半、52分に同点に追いつかれると、その1分後にセットプレーから2点目を奪われ、さらに7分後に3点目を許す。
「全員、集中してはいたと思うんですけど、相手の勢いもあって。ああやって連続で決められるのは、なかなかないこと」と、安西幸輝もあっとういう間の3失点を振り返る。
1-3のままでは、トータルスコア4-5となり、決勝に進むことができない。そこで選手たちは、ゲーム再開のキックオフの前に一度、集まった。
この“円陣”は誰の呼びかけだったのか。
「誰がっていうか、自然と集まって。(三竿)健斗も言うし、俺も言うし、(鈴木)優磨も『来い』って言うし。監督の指示を聞く時間もないから、そうやってピッチの中で(意見を)合わせていかないといけない」(昌子源)
では、そこではどんな話し合いがなされたのか。
「1点取れば(トータルスコア5-5の)同点だからっていうふうに、全員が意思疎通できていた。そこは勝敗を分けたのかなと思います」(安西)
守備の立て直しについても確認し合った。
「この後も(相手の)ロングキックが続くと思うから、ボールホルダーにもっとしっかり寄せようっていう話と、俺らはラインを上げられないから、健斗が俺らのラインに入って、吸収されて、(チョン・)スンヒョンが競った後に、俺と健斗がCBみたいにやるとか、そういうイメージで、セカンドを必ずうちが拾うっていう話もできていた」
その後、時間は約30分残されていたが、守備では致命傷になりかねない4失点目を与えず、攻撃では西大伍、セルジーニョがゴールを決めて、追いついてみせる。これで2戦合計6-5とひっくり返し、そのままタイムアップ。
自発的に集まり、気持ちをひとつにして、戦術面の修正も図れたあの円陣が転機となったのは間違いない。「いろんな選手が、いろんなことを言えるようになってきた」(昌子)チームは、試合を重ねるごとに逞しくなり、力強く初のアジア制覇へと突き進んでいる。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【鹿島】3失点後の“円陣”に、なぜセルジーニョだけが加わらなかったのか?
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月25日
「逆に僕は前の選手として」ゴールに集中していた

1得点・2アシストと、チームの全得点に絡んだセルジーニョ。自身に求められるタスクを完遂した。(C)Getty Images
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
3失点目を喫した直後だった。フィールドプレーヤーが集まり、円陣が組まれる。
前半に幸先良く先制したゲームだったが、後半が始まって間もなく、わずか8分間で3つのゴールを奪われる。このままズルズルと行かないよう、一度、戦術面の確認や、落ち込みそうになる気持ちをお互いに高め合うための行動だったのだろう。
その輪の中にひとりだけ加わらず、センターサークルで試合の再開を待つ選手がいた。
セルジーニョだ。なぜ、自分も一緒になって“話し合い”に参加しなかったのだろうか。
セルジーニョには、セルジーニョなりの考えがあった。
「僕はすごく冷静だったし、落ち着いてもいました。みんなが集まったのは、失点しているので、守備のことに関して修正しようとしていたわけであって。後ろのみんながあれだけ頑張って、なんとかしようとしているんだから、逆に僕は前の選手として、点を決めなければいけないんだっていう気持ちでした」
その言葉どおり、背番号18のブラジリアンは自らに求められる仕事を完遂する。64分、左からのクロスをヘッドで流して西大伍のチーム2点目を演出。さらに82分、鈴木優磨のアシストから右足を思い切り振り抜き、値千金の同点弾を叩き込んだ。
25分には狙いすましたFKで山本脩斗の先制ゴールをお膳立て。1得点・2アシストの活躍ぶり。文字どおり、“救世主”としてのハイパフォーマンスだった。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【鹿島】「2失点に絡んだ張本人」昌子源が、それでも“平気な振り”をした理由
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2018年10月25日
DFとして悔しいに決まっているはずだが…

失点に関与した昌子は、「迷惑をかけてしまった」と猛省する一方で、最後まで前を向いてプレーし、チームのファイナル進出に貢献した。(C)SOCCER DIGEST
【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
「僕なんて、2失点に絡んだ張本人やけど」
水原三星とのACL準決勝第2レグ、3-3で終わったゲームで、昌子源はふたつの失点に関与した。1-1で迎えた53分、CKの場面で競り負けてヘディングシュートを叩き込まれ、60分には迫りくる相手を止められず、そのままゴールを許した。
自身の失策でチームは苦境に立たされてしまった。それは重々承知しているし、「迷惑をかけてしまった」と猛省する。
それでも、「メンタル的には全然、堪えていなかった」。なぜなら、「何失点も僕が絡んで、そのまま負けたことだって、いっぱいある」からだ。本人にとっては思い出したくもないかもしれないが、その“貴重な経験値”が生きたということなのだろう。
もちろん、失点に関して、感覚が麻痺しているわけでもなければ、責任を感じていないわけでもない。DFとして悔しいに決まっているはずだが、「自分に言い聞かせて、切り替えてやる」「自分なりに冷静にやっていたつもり」と、最後まで前を向いてプレーした。
最終的に、チームは1-3から追いつき、3-2で勝利した第1レグと合わせ、トータルスコア6-5でファイナルに駒を進めることができた。圧巻の粘り強さを見せた第2レグの結果について、昌子は「メンタル的に僕が落ちなかったこと」も、ひとつの要因だったと振り返る。
ともすれば、言い訳がましく聞こえるかもしれない。だが、昌子の本意は断じてそこには、ない。精神的な強さをひけらかそうとしているわけでもない。失点に関与して、ダメージを受けない選手などいない。それでも、落ち込みたくなる気持ちをグッと我慢して、引きずらず、何事もなかったかのように振る舞うのには、理由がある。
失点に絡んでも、踏ん張る。すべてはチームが勝つため

3-2で勝利した第1レグに続き、第2レグも3-3と点の取り合いになったが、2戦合計6-5で初のACL決勝進出を決めた。(C)Getty Images
「チームに伝染しなかったっていうのも、ひとつ(あると思う)」
自分がしょげていれば、チーム全体にネガティブな空気が広がる。悪影響を及ぼすことになる。昌子が一番に危険視しているのは、そこだと思う。だから、いくら失点に絡んでも“平気な振り”をする。踏ん張る。すべては、チームが勝つためだ。
「僕だけでなく、(チョン・)スンヒョンも(クォン・)スンテも良いプレーをしてくれた。誰かが落ち込んでしまうのはいけないと思う」
同僚のCBとGKの奮闘を労う。彼らも守備者として、3失点に大きなダメージを受けたはずだが、下を向かずに戦い抜いた。チョン・スンヒョンは多くのエアバトルを制した。クォン・スンテも失点の数以上のファインセーブを見せた。
「後ろのみんながあれだけ頑張って、なんとかしようとしているんだから、逆に僕は前の選手として、点を決めなければいけないんだっていう気持ちでした」
そう振り返ったセルジーニョは、1得点・2アシストの活躍を披露。誰かの頑張りに、誰かが応える。まさに、チームがひとつになって勝ち取ったファイナル進出だった。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
チョン・スンヒョンについて問われた大岩監督である。
「信頼して送り出しているし、この韓国の地での彼の意気込みを踏まえて、信頼してピッチに残すことを決めた」と答える。
選手と監督の強い信頼関係が見て取れる。
スンヒョンとだけでなく、指揮官と選手が良い関係を築いておることで、この結果を出しておるのだ。
結果の伴わなかった試合でも、信頼関係が揺るがぬ事が大岩監督の手腕とも言い換え得られる。
また、優磨はボールを収めることについて語る。
やはり、最前線でボールをキープしてくれる優磨がおることは、非常に心強い。
エースとして大きく成長しておることがわかる。
優磨と共に頂点へ。
次戦も活躍を期待しておる。

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