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天才・本山

【Jリーグ】右サイドで奮闘した「10番」・本山雅志
エゴを捨てベテランらしい柔軟性を示した本山

5日のJ1前半戦の天王山・川崎フロンターレ対鹿島アントラーズは実に興味深い一戦だった。前半33分に鹿島不動の右サイドバック・内田篤人が一発退場したことで、面白いものを見る機会に恵まれたのだ。

オズの魔法使いの異名を取る鹿島のオリヴェイラ監督は、内田の穴埋め役を本山雅志に命じた。トルシエ率いるユース代表や五輪代表で左アウトサイドを任されたり、鹿島10冠目のかかる2007年11月の浦和レッズ戦で新井場徹の退場後に左サイドバックを務めた経験はあるが、右サイドバックというのは全く初めて。仮にも、東福岡高時代から華麗なドリブルと創造性を武器に攻撃的MFとして活躍し、鹿島のエースナンバー10を担っている男である。この起用には本人も戸惑ったに違いない。

長年、鹿島のヘッドコーチだった川崎の関塚隆監督も本山のいる左サイドを徹底的に狙うように指示。それまでは中村憲剛と並ぶ2列目にいることが多かった山岸智を左のFWに上げた。「セキさんが『狙え、狙え』というのがよく聞こえた」と本山も苦笑する。が、それでも「モトはディフェンスの仕方もコースの切り方もうまい。モトが入ってどういうことはなかった」と守護神・曽ヶ端準も言うように、彼は体を張り、献身的な守備でチームを支える。キャプテン・小笠原満男も時に下がって右サイドに入り、本山を前線に上げる配慮を見せた。「モトが前へ行ってボール回しに絡んだ方がチャンスになることも多い。そういう時は自分がフォローすればいい。このポジション入れ替えは特に監督の指示じゃなくて、自分たちで判断してやった」と小笠原は言う。こういう自己判断力の高さが鹿島の強さの秘訣だろう。

後半立ち上がりに山岸→ジュニーニョとパスをつながれ、本山のサイドを崩されて鄭大世がフリーでゴール前に飛び込んだビッグチャンスだけは、さすがにヒヤリとしただろうが、これも外れた。運も味方して、本山は右サイドバックを難なくこなし、1−1のドローを陰から演出することができた。

背番号10を背負う自分が右サイドで守備をするなど、数年前の本山だったら納得いかなかっただろう。パウロ・アウトゥオリ監督が率いていた2006年、度重なるケガに悩まされていた彼にインタビューした際も、こんな話をしていたことがある。

「プロになった頃、10年後の自分はもっと楽しくサッカーをやってると思ってましたね。キャプテン翼じゃないけど、どんどんうまくなって、もっとボールがピタピタ止まるのかと。でも実際はそうじゃなかった」と。

10代の頃、将来を嘱望された本山は2002年日韓、2006年ドイツの両ワールドカップメンバーになれず、海外挑戦も叶わなかった。所属する鹿島でもスーパーサブ的な起用が多く、なかなかチームの軸になりきれなかった。99年ワールドユース(ナイジェリア)で準優勝した黄金世代の仲間である小野伸二(ボーフム)や稲本潤一(レンヌ)、高原直泰(浦和)、中田浩二、小笠原(ともに鹿島)らは次々と海を渡り、違った世界に羽ばたいているのに、どうして自分は器用貧乏で終わっているのか…。そんな焦りと不満はつねにあっただろう。

けれども、2007年に就任したオリヴェイラ監督に信頼を寄せられ、Jリーグ2連覇の原動力になったことで、何らかの心境の変化が訪れたようだ。今の本山は自分自身のエゴをかなぐり捨て、チームへの貢献を第一に考えるようになったのだ。

「俺だって今もドリブルで勝負して、強引に前へ出ていきたいよ。ゴールを決めたいって気持ちはいつも持ってる。でもチームが勝たないと何も始まらない。チームが勝つことが自分の一番の評価になるから。陰の動きでバランスを取ったり、守備したり、そういうことがすごく重要だと思えるようになった。今日みたいに突然、右をやれって言われてできるのも、これまでいろんな経験をしてきたから。そういう適応力もサッカー選手は大事だと思うしね。まあ、俺ももう30だから」と本山は清々しく笑った。

この10年間で、現代サッカーは劇的な変化を遂げた。同世代の遠藤保仁(G大阪)も小笠原もみな自分自身を変化させてきた。本山もそう。10年前の彼はカミソリのようなドリブルがウリの選手で、守備の重要性や幅広いプレーなど頭になかっただろう。その後、さまざまな壁にぶつかって悩み、変わらなければこの世界で生き残っていけないことを痛感したのではないか。

サッカー選手に必要な柔軟性と適応力を身につけた今の本山からは、確固たる落ち着きと自信が感じられる。これからもいい歳の取り方をしてほしいものだ。

元川 悦子 07月06日20:18

川崎戦で獅子奮迅の働きをした本山の悦っちゃんコラムである。
天才・本山有ってこそこの引き分けがもたらされたと伝わってくる。
「俺ももう30だから」と申す本山であるが、まだまだ成長しておると言えよう。
これからの10番の輝きにも注目である。

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我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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