柏戦報道
鹿島悔しいドローで17戦不敗達成/J1

クロスに飛び込んだ鹿島FWマルキーニョス(左)だが柏DFパクがクリア
<J1:鹿島1−1柏>◇第19節◇25日◇カシマ
首位の鹿島が悔しいドローで、17戦連続不敗のJ1記録を更新した。序盤から柏に優勢に試合を進めながら、前半ロスタイムに先制点を献上。後半11分にエースFWマルキーニョス(33)が今季8点目となる同点ゴールを決めたが、1−1の引き分けに終わった。快挙達成も2試合連続ドローという結果と試合内容に、首位独走する王者からは悲愴(ひそう)感すら漂っていた。
まるで敗戦直後のような空気がピッチ上を支配した。試合終了を告げるホイッスルの瞬間、MF小笠原が、DF内田ががっくりと肩を落とした。17戦不敗記録達成の喜びはない。MF青木は「記録をつくっても勝ち点3はもらえないので」と悔しそうに話した。
前半からペースを握りながら攻めきれず、次第にこぼれ球を柏に拾われ始めると、同ロスタイムに先制点を奪われた。DF伊野波が「自分たちが走れなかった。それが一番の問題」と振り返ったように、調子のバロメーターである運動量が決定的に足りなかった。
後半11分にFWマルキーニョスがDF新井場の左からのクロスを頭で合わせ、同点に追いついた。その後も攻勢を仕掛けたが、ゴールは奪えず、2試合連続ドロー。小笠原も「良くないね。悔しいっすね」と言葉少なに立ち去った。
18日の清水戦は2点リードから追いつかれドロー。ミスから失点を喫する内容にオリベイラ監督からは22日のミーティングで「謙虚さを持て」とげきを飛ばされた。それでも結果は好転せず、DF岩政は「今日は清水戦の引き分けより悪い結果だと思う」と険しい表情を浮かべた。
暑さに加え、リーグ戦も中盤を迎え疲労も蓄積している。事実、不敗とはいえ最近4戦のリーグ戦は1勝3分け。運動量の低下も致し方ないが、伊野波は「夏だろうが冬だろうが走れないと、並みのチームになる」。鈴木満強化部長も「1試合で5キロしか走れないチームは勝てない」と厳しかった。
2位浦和が敗れたため、勝ち点差は10に広がった。それでも内田は「引きずらないようにしないと。内容を変えなきゃダメ」と言った。リーグ史上3クラブ目のホーム観客数500万人突破を決め、不敗記録も更新した記録ずくめのこの日を勝利で飾れなかった悔しさを糧に、悲願のリーグ3連覇へ前進するしかない。【菅家大輔】
[2009年7月26日8時42分 紙面から]
鹿島、J新記録17戦連続不敗も浮つきなし
2009.7.26 05:04

同点ゴールを決めて喜ぶマルキーニョス。鹿島17戦不敗の立役者となった(撮影・財満朝則)
J1第19節第1日(25日、鹿島1−1柏、カシマ)首位・鹿島はFWマルキーニョス(33)の同点弾で、柏と1−1のドロー。17試合連続負けなしとし、J1記録を更新した。
気温26.8度、湿度82%の蒸し暑さに鹿島が失速した。前半44分、ホームでは4月の京都戦以来の先制を許す。しかし、完全には崩れないのが首位に君臨するチームの強さだ。後半11分にマルキーニョスが同点ヘッド。17戦連続不敗のJリーグ新記録を達成した。
「勝たなきゃ意味ないよ」。22日の練習中に右足内転筋を痛め、強行出場したDF内田が顔をしかめた。18日の清水戦に続く2戦連続引き分け。DF伊野波は「後ろから見ていて運動量が足りてない。走れていないことが勝てない原因」と危機感を募らせた。
「名誉なことだ」と新記録をたたえたオリベイラ監督と対照的に、選手が納得をしないところが、J初の3連覇を狙うチームの真骨頂だ。93年のJ開幕以来、ホームでのリーグ戦観客数も500万人の大台も突破し、記録ずくめなのに浮ついたところはない。
暫定ながら、2位との勝ち点差は今季最大の10となった。それでも、「(ドローでの)こういう勝ち点1、2差が最後に響いてくる」と内田。見据えるのは不敗記録のさらに先だ。(丸山汎)
鹿島 不満のJ新17戦不敗

<鹿島・柏>チャンスがありながら勝ち越せなかった鹿島イレブンはさえない表情
Photo By スポニチ
【鹿島1−1柏】鹿島が悔しいドローでJ1新記録を樹立した。首位の鹿島は25日にホームで17位の柏と対戦し、1―1で引き分け。後半11分にFWマルキーニョスのゴールで追いついて17試合連続負けなしの新記録を達成したが、ふがいない試合内容にイレブンは不満を爆発させた。浦和が敗れたため2位との勝ち点差は暫定で10に広げたが、後半戦に入って2試合連続ドローと王者は思わぬ足踏みを強いられている。
新記録を樹立しても、鹿島イレブンに笑顔はなかった。「悔しい。連続ドロー?良くないね、また勝てるようにしないと」と小笠原が吐き捨てるように言えば、新井場も「結果には満足していない。誰も納得してない」と厳しい表情だった。
17位の柏を相手に先制を許した。「失点はいらなかったね。(相手の)ゴールキックからだったし、オレが競ればよかった」。右内転筋痛を抱えながら強行先発した内田は右サイドを突破されたことを反省した。だが、失点の原因以上に問題なのが運動量。18日の清水戦でも走ることができず2点のリードを守れなかったが、「前回の引き分けより悪い結果。セカンドボールを拾われる。運動量を上げていかないといけない」と岩政は分析。伊野波も「もっと走らないとダメ。夏だろうが冬だろうが、それをやらないと並のチーム」と同じ問題点を指摘した。
王者のサッカーは「全員守備、全員攻撃」。攻守の切り替えの速さから得点を奪うのが持ち味だ。だが、相手より運動量が劣っては、やりたいことはできない。前の試合から1週間空き、オリヴェイラ監督の“怒りのミーティング”で気の緩みも取り除いていたはずだった。だからこそ2位との勝ち点差が暫定ながら10に広がっても、今後に向けて不安を残した。
17戦連続不敗に関しては「勝たなきゃ意味ないよ。(リーグ戦の)最後の最後で勝ち点1、2が響いてくる」と内田は話す。前半戦17試合で42の勝ち点を積み上げたが、後半戦2試合では勝ち点2。負けない王者の3連覇ロードは、決して楽なものとは言えない。
[ 2009年07月26日 ]
J新記録!17戦無敗もドローに小笠原「全然ダメ」…鹿島

後半11分、同点のヘディングシュートを決める鹿島・マルキーニョス(右奥、左は興梠)
◆J1第19節第1日 鹿島1―1柏(25日・カシマ) 鹿島は柏に1―1で引き分け、連続不敗試合をJリーグ新記録となる17試合に伸ばした。1点を追う後半11分、FWマルキーニョスが同点弾を決め、第3節の広島戦(3月22日)から12勝5分けで126日間負けなしとなった。
記録達成にはふさわしくない顔が並んだ。MF小笠原は「全然ダメ」とぶぜんと引き揚げ、MF青木は「記録を達成したとしても、勝ち点3をプレゼントしてくれるわけじゃない。勝てなくて悔しい」と唇をかみしめる。下位の柏に1―1。試合後の鹿島ロッカールームでは、しばらく誰もびしょぬれのユニホームを脱ごうとしなかった。
DF新井場が救った。1点を追う後半11分。途中出場から3分後だった。左サイド50メートルを全速力で駆け上がり、バンザイしてボールを呼んだ。フリーでボールを受けると、ゴール前のFWマルキーニョスの頭にピンポイントで合わせた。「勝てなかったんだから、得点場面なんてどうでもいい」。怒っていたが、これが不敗の17試合を象徴するシーンでもある。
オリヴェイラ監督は今年2月のミーティングで、テーマを自らとチームに課した。「波のないチームを作る」。07年は3月に5試合、08年は4、5月に7試合勝てない時期があった。そこで立てた監督就任3年目の目標。5つのポジションで3人のチームを組み、「旬」にある選手だけを起用する方法を取った。先発から外れる選手には「力が必要になる時が来る」とささやいた。
鹿島加入後、6年目で初めてポジションを奪われた新井場は「途中だろうが、頭からだろうが、少ないチャンスを生かすしかない」と、30歳にして若手に交じって“旬”になる努力をしてきた。その繰り返しで積み重ねた不敗記録。DF内田が「勝たなきゃ意味がない」と口にする姿勢も、記録の一助だ。ドロー達成で笑顔がなかったが、強さを象徴する記録が歴史に刻まれた。
(2009年7月26日06時01分 スポーツ報知)
笑顔無き新記録である。
我等の思いは記録ではなく勝利にある。
一つ一つの積み重ねが記録となればよい。
連戦が続く中で、」調子を取り戻すことは難しいであろう。
とはいえ、そのタスクをこなしてこその王者である。
我等は勝利に飢えておるのである。

クロスに飛び込んだ鹿島FWマルキーニョス(左)だが柏DFパクがクリア
<J1:鹿島1−1柏>◇第19節◇25日◇カシマ
首位の鹿島が悔しいドローで、17戦連続不敗のJ1記録を更新した。序盤から柏に優勢に試合を進めながら、前半ロスタイムに先制点を献上。後半11分にエースFWマルキーニョス(33)が今季8点目となる同点ゴールを決めたが、1−1の引き分けに終わった。快挙達成も2試合連続ドローという結果と試合内容に、首位独走する王者からは悲愴(ひそう)感すら漂っていた。
まるで敗戦直後のような空気がピッチ上を支配した。試合終了を告げるホイッスルの瞬間、MF小笠原が、DF内田ががっくりと肩を落とした。17戦不敗記録達成の喜びはない。MF青木は「記録をつくっても勝ち点3はもらえないので」と悔しそうに話した。
前半からペースを握りながら攻めきれず、次第にこぼれ球を柏に拾われ始めると、同ロスタイムに先制点を奪われた。DF伊野波が「自分たちが走れなかった。それが一番の問題」と振り返ったように、調子のバロメーターである運動量が決定的に足りなかった。
後半11分にFWマルキーニョスがDF新井場の左からのクロスを頭で合わせ、同点に追いついた。その後も攻勢を仕掛けたが、ゴールは奪えず、2試合連続ドロー。小笠原も「良くないね。悔しいっすね」と言葉少なに立ち去った。
18日の清水戦は2点リードから追いつかれドロー。ミスから失点を喫する内容にオリベイラ監督からは22日のミーティングで「謙虚さを持て」とげきを飛ばされた。それでも結果は好転せず、DF岩政は「今日は清水戦の引き分けより悪い結果だと思う」と険しい表情を浮かべた。
暑さに加え、リーグ戦も中盤を迎え疲労も蓄積している。事実、不敗とはいえ最近4戦のリーグ戦は1勝3分け。運動量の低下も致し方ないが、伊野波は「夏だろうが冬だろうが走れないと、並みのチームになる」。鈴木満強化部長も「1試合で5キロしか走れないチームは勝てない」と厳しかった。
2位浦和が敗れたため、勝ち点差は10に広がった。それでも内田は「引きずらないようにしないと。内容を変えなきゃダメ」と言った。リーグ史上3クラブ目のホーム観客数500万人突破を決め、不敗記録も更新した記録ずくめのこの日を勝利で飾れなかった悔しさを糧に、悲願のリーグ3連覇へ前進するしかない。【菅家大輔】
[2009年7月26日8時42分 紙面から]
鹿島、J新記録17戦連続不敗も浮つきなし
2009.7.26 05:04

同点ゴールを決めて喜ぶマルキーニョス。鹿島17戦不敗の立役者となった(撮影・財満朝則)
J1第19節第1日(25日、鹿島1−1柏、カシマ)首位・鹿島はFWマルキーニョス(33)の同点弾で、柏と1−1のドロー。17試合連続負けなしとし、J1記録を更新した。
気温26.8度、湿度82%の蒸し暑さに鹿島が失速した。前半44分、ホームでは4月の京都戦以来の先制を許す。しかし、完全には崩れないのが首位に君臨するチームの強さだ。後半11分にマルキーニョスが同点ヘッド。17戦連続不敗のJリーグ新記録を達成した。
「勝たなきゃ意味ないよ」。22日の練習中に右足内転筋を痛め、強行出場したDF内田が顔をしかめた。18日の清水戦に続く2戦連続引き分け。DF伊野波は「後ろから見ていて運動量が足りてない。走れていないことが勝てない原因」と危機感を募らせた。
「名誉なことだ」と新記録をたたえたオリベイラ監督と対照的に、選手が納得をしないところが、J初の3連覇を狙うチームの真骨頂だ。93年のJ開幕以来、ホームでのリーグ戦観客数も500万人の大台も突破し、記録ずくめなのに浮ついたところはない。
暫定ながら、2位との勝ち点差は今季最大の10となった。それでも、「(ドローでの)こういう勝ち点1、2差が最後に響いてくる」と内田。見据えるのは不敗記録のさらに先だ。(丸山汎)
鹿島 不満のJ新17戦不敗

<鹿島・柏>チャンスがありながら勝ち越せなかった鹿島イレブンはさえない表情
Photo By スポニチ
【鹿島1−1柏】鹿島が悔しいドローでJ1新記録を樹立した。首位の鹿島は25日にホームで17位の柏と対戦し、1―1で引き分け。後半11分にFWマルキーニョスのゴールで追いついて17試合連続負けなしの新記録を達成したが、ふがいない試合内容にイレブンは不満を爆発させた。浦和が敗れたため2位との勝ち点差は暫定で10に広げたが、後半戦に入って2試合連続ドローと王者は思わぬ足踏みを強いられている。
新記録を樹立しても、鹿島イレブンに笑顔はなかった。「悔しい。連続ドロー?良くないね、また勝てるようにしないと」と小笠原が吐き捨てるように言えば、新井場も「結果には満足していない。誰も納得してない」と厳しい表情だった。
17位の柏を相手に先制を許した。「失点はいらなかったね。(相手の)ゴールキックからだったし、オレが競ればよかった」。右内転筋痛を抱えながら強行先発した内田は右サイドを突破されたことを反省した。だが、失点の原因以上に問題なのが運動量。18日の清水戦でも走ることができず2点のリードを守れなかったが、「前回の引き分けより悪い結果。セカンドボールを拾われる。運動量を上げていかないといけない」と岩政は分析。伊野波も「もっと走らないとダメ。夏だろうが冬だろうが、それをやらないと並のチーム」と同じ問題点を指摘した。
王者のサッカーは「全員守備、全員攻撃」。攻守の切り替えの速さから得点を奪うのが持ち味だ。だが、相手より運動量が劣っては、やりたいことはできない。前の試合から1週間空き、オリヴェイラ監督の“怒りのミーティング”で気の緩みも取り除いていたはずだった。だからこそ2位との勝ち点差が暫定ながら10に広がっても、今後に向けて不安を残した。
17戦連続不敗に関しては「勝たなきゃ意味ないよ。(リーグ戦の)最後の最後で勝ち点1、2が響いてくる」と内田は話す。前半戦17試合で42の勝ち点を積み上げたが、後半戦2試合では勝ち点2。負けない王者の3連覇ロードは、決して楽なものとは言えない。
[ 2009年07月26日 ]
J新記録!17戦無敗もドローに小笠原「全然ダメ」…鹿島

後半11分、同点のヘディングシュートを決める鹿島・マルキーニョス(右奥、左は興梠)
◆J1第19節第1日 鹿島1―1柏(25日・カシマ) 鹿島は柏に1―1で引き分け、連続不敗試合をJリーグ新記録となる17試合に伸ばした。1点を追う後半11分、FWマルキーニョスが同点弾を決め、第3節の広島戦(3月22日)から12勝5分けで126日間負けなしとなった。
記録達成にはふさわしくない顔が並んだ。MF小笠原は「全然ダメ」とぶぜんと引き揚げ、MF青木は「記録を達成したとしても、勝ち点3をプレゼントしてくれるわけじゃない。勝てなくて悔しい」と唇をかみしめる。下位の柏に1―1。試合後の鹿島ロッカールームでは、しばらく誰もびしょぬれのユニホームを脱ごうとしなかった。
DF新井場が救った。1点を追う後半11分。途中出場から3分後だった。左サイド50メートルを全速力で駆け上がり、バンザイしてボールを呼んだ。フリーでボールを受けると、ゴール前のFWマルキーニョスの頭にピンポイントで合わせた。「勝てなかったんだから、得点場面なんてどうでもいい」。怒っていたが、これが不敗の17試合を象徴するシーンでもある。
オリヴェイラ監督は今年2月のミーティングで、テーマを自らとチームに課した。「波のないチームを作る」。07年は3月に5試合、08年は4、5月に7試合勝てない時期があった。そこで立てた監督就任3年目の目標。5つのポジションで3人のチームを組み、「旬」にある選手だけを起用する方法を取った。先発から外れる選手には「力が必要になる時が来る」とささやいた。
鹿島加入後、6年目で初めてポジションを奪われた新井場は「途中だろうが、頭からだろうが、少ないチャンスを生かすしかない」と、30歳にして若手に交じって“旬”になる努力をしてきた。その繰り返しで積み重ねた不敗記録。DF内田が「勝たなきゃ意味がない」と口にする姿勢も、記録の一助だ。ドロー達成で笑顔がなかったが、強さを象徴する記録が歴史に刻まれた。
(2009年7月26日06時01分 スポーツ報知)
笑顔無き新記録である。
我等の思いは記録ではなく勝利にある。
一つ一つの積み重ねが記録となればよい。
連戦が続く中で、」調子を取り戻すことは難しいであろう。
とはいえ、そのタスクをこなしてこその王者である。
我等は勝利に飢えておるのである。