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満男の変化

JリーグMVP男が見せた闘志。
小笠原満男は日本代表をどう変える?

二宮寿朗 = 文
「今はとにかくコンディションというか、体づくりですね。合宿に入ってますよ、もう(笑)」

 3年半ぶりに日本代表に復帰した小笠原満男は、寒風吹きすさぶ鹿島アントラーズの練習グラウンドで自主トレの毎日を送っていた。

 ある日の午前中、ミニゲームなどでしっかりと汗を流して「かなり疲れました。午後はどうするか考えます」と言いながら、午後も精力的にグラウンドで走りこんで“2部練習”を敢行。週明けからスタートする代表合宿に向けて準備に抜かりはなかった。いつものポーカーフェイスをやんわりと崩して冗談を交えながら話すその口ぶりからも、静かな意気込みは伝わってきた。

岡田監督はどれほどの覚悟で小笠原を代表招集したのか?

 満を持しての代表復帰である。

 鹿島を3連覇に導き、'09年のJリーグMVPにも輝いた小笠原の名前はこれまでも岡田ジャパンでたびたびリストアップされてきたものの、招集を見送られてきた。鹿島のオズワルド・オリヴェイラ監督が優勝を決めた最終節の会見で「小笠原のような選手が、W杯をテレビで観ている状況になってはいけない」と異例の発言をしたり、元代表監督のフィリップ・トゥルシエも期待する選手として小笠原の名前を挙げるなど“小笠原待望論”は年が明けるころには最高潮に達していた。

 こうした声に応えるように岡田武史監督は1月13日の代表メンバー発表会見でこう述べている。

「(小笠原は)呼んで外して、呼んで外してというのをできる選手ではない」

 これまで招集に踏み切らなかったのは、小笠原を呼ぶならレギュラーで扱う以外にない、との判断があったことを暗に言っている。サブでは使えない扱いにくさがあるということだ。さらに、経験のある国内屈指の司令塔をサブ要員として招集すれば、歪みが生まれてしまう怖れがある。ベンチに置くことで小笠原自身が不満分子になる危険性もあるが、むしろ、小笠原が使われないことを周囲が疑問に感じ、チームの結束力が揺らぐことを懸念した。ジーコジャパンで「国内組」の中心であった小笠原という選手は、チームにそれほどの影響力を与えかねないと指揮官は分析していた。

小笠原のプレーに見えた、ある重要な変化。

 岡田監督は今回の招集を「ある程度計算していた(招集の)タイミング」と話す。

 チームがある程度完成しているこのタイミングならば、小笠原の加入が“劇薬”だったとしても、チームにプラスにはなってもマイナスにはならないと判断したのだろう。

 しかし招集の決め手となったのは、やはり小笠原のなかに見えた変化、ではないだろうか。献身的に走り、守備をいとわない新たなプレースタイルだけでなく、チームを一つにさせる強烈なリーダーシップは、ジーコジャパンのときの小笠原には感じられなかったことだ。小笠原を呼ぶタイミングを待つ一方で、岡田監督はじっくりと時間をかけてこの小笠原の変化を見極めていたような気がしてならない。もはや「呼んで外しては、できない」という思いは指揮官になく、サブに置いたとしてもチームのために働いてくれるという確信を100%得た、というのが指揮官の本音であるように思うのだ。

もっとも大きな転機となった海外移籍とその後のJ復帰。

 小笠原の変化を語るにあたってターニングポイントとなったのが、'07年の鹿島復帰である。

 昨年、3連覇を達成したときに鹿島の鈴木満強化部長はしみじみとこう話したものだ。

「イタリアのメッシーナでは試合に出られなかったりと、辛いことを含めていろいろな経験をしたことが今の小笠原にとってプラスになっている。イタリアに渡る前の小笠原とは明らかに違う。あそこまでチームのために、と言うタイプではなかった。それが今ではリーダーという自覚を持って、鹿島のメンタリティーというものを(内田)篤人ら若い選手にしっかりと伝えている。3連覇において小笠原の働きは大きい」

 ずっと独走状態だった'09年シーズンは夏場から失速して、チームワーストの5連敗を喫した。それでも小笠原は周囲を鼓舞する全力プレーで、「内容は悪くない、大丈夫だ」とチームメイトに下を向かせなかった。鹿島の偉大なリーダーだった秋田豊、本田泰人のようなこの強烈なキャプテンシーが発揮されなければ、3連覇などあり得なかった。

 小笠原は代表に選ばれた際、「自分を出すよりも、チームを考える」とコメントしている。たとえバックアップに回ったとしても、メンバーの一員としてチームを支える覚悟はできている、ということだろう。小笠原が背中を見てきた秋田は、'02年の日韓W杯でサブという立場ながらムードづくりなどでチームの結束に一役買った。小笠原はそのときの秋田と同じ、31歳でW杯を迎える。

2列目で使う? それとも鹿島に倣ってボランチもアリ?

 小笠原についてもう一つ注目されるのが、ポジションである。岡田監督は2列目での起用を明言している。

「ボランチよりも攻撃的ミッドフィルダーとして期待している。今の代表は、攻撃的ミッドフィルダーの層が薄い。本当に頼って使える選手と考えたときに、海外組を除けば意外に薄い。そういうところで小笠原の存在感を出してほしい」

 確かに4−2−2−2システムをとると、中村俊輔、中村憲剛、大久保嘉人、松井大輔、本田圭佑らが攻撃的MFの候補となるが、はっきりと固定されているのは中村俊輔ぐらい。まだまだ新戦力を検討していく余地はあるだろう。

 だが、'07年に鹿島に復帰してからの小笠原はボランチとして新境地を開いてきた。執拗に追いかけてボールを奪う守備力は、鹿島のリーグ最少失点にも貢献している。味方がボールを奪われたら、体を張って守備をするシーンを多く見ることができた。ボランチに必要な、ミスの少なさは顕著で、運動量、球際の強さは申し分ない。そのうえ、「守から攻」に移る際、つなぎ役となって長短の的確なパスで攻撃を組み立て、後方から決定的なパスも繰り出すこともできる。シュート力を含めた攻撃センスは今さら言うまでもない。

 代表には遠藤保仁、長谷部誠が不動のボランチとして君臨している。だが、小笠原もまた運動量、攻守の切り替えの速さなど岡田ジャパンのコンセプトに合うボランチだ。体の強さを武器としており、汗もかける。今の小笠原ならボランチのほうが適役かもしれない。

 果たして3年半前とは違う新しい小笠原が、岡田ジャパンをどうグレードアップさせるのか。JリーグMVP男の加入がチーム全体の底上げにつながることだけは、間違いない。

(更新日:2010年1月24日)

ナンバーのコラムである。
小笠原満男の代表復帰について掘り下げておる。
特に岡田監督が、満男の変化を見極め招集に踏み切ったという下りは納得出来なくもない。
そして、2002年の秋田が如くチームを鼓舞し縁の下の力持ちとして日本代表を支える選手となり得るという見識は合っているように思える。
いずれにせよ、小笠原満男というサッカープレイヤーを南アフリカの地へ連れて行かないという愚策だけは避けて欲しい。
W杯まであと半年。
我等が日本代表に見た一筋の光明が小笠原満男なのである。

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深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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