JSPORTSコラム、大宮戦
【Jリーグ】大迫勇也と鹿島アントラーズの今後
2010年Jリーグも第3節が終了。J1は3戦目にして全勝がない。清水エスパルス、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズが勝ち点7でトップに並び、横浜F・マリノスら4チームが勝ち点6で追っている。昨季天皇杯王者のガンバ大阪がいまだ勝ちなしというのは予想外だが、今季も終盤まで拮抗した展開になるのは間違いなさそうだ。
そんな中、先週末は大宮アルディージャ対鹿島アントラーズの一戦を見にいった。昨年の対決で鹿島は大宮に1−3で敗れている。しかも今季の大宮は元北朝鮮代表ボランチ・安英学や快速右サイドの杉山新、2008年に大分トリニータでナビスコカップ優勝の原動力となったセンターバック・深谷友基ら効果的な補強をして、昨季よりスケールアップ。開幕のセレッソ大阪戦では3−0と素晴らしいスタートを切っている。エースFWラファエルの離脱は痛いが、張外龍監督の強調する球際の強さ、タイトな守備は確実にチーム全体に浸透しており、J3連覇中の鹿島といえども侮れない相手だった。
案の定、大宮は開始早々から飛ばしてきた。彼らは金澤慎、安英学、橋本早十を3ボランチ気味に配置。鹿島の小笠原満男、中田浩二の両ボランチに激しいプレスをかけ、ボールを持たせないようにした。小笠原のところでタメが作れなくなると、両サイドバックが上がる時間を稼げないし、野沢拓也ら前の選手もサポートのために下がらないといけなくなる。しかもこの日はフェリペガブリエルが開始直後に負傷。若い遠藤康が交代出場した。こうしたアクシデントも鹿島にとっては負担になっただろう。
前半は王者らしからぬリアクションに徹した鹿島。しかし「相手の中盤の人数が多かったんで、ムリに取りに行って向こうに持っていかれるのはよくない。サッカーは90分で考えないといけない」と小笠原満男が話すように、鹿島は計算に基づいた戦い方をしていた。相手ディフェンスラインの裏にロングボールを蹴りこんでいたのもそう。「長いボールを入れられ、スピードのあるマルキや興梠に走られるのは大宮にとって厳しい。それがボディーブローのように効いたと思う。ある意味、シナリオ通りの戦い方だった」と岩政大樹も笑みを見せた。
彼らの思惑通り、後半は鹿島が圧倒し始める。大宮のキャプテン・藤本主税が負傷退場したのも痛かったが、前半飛ばした体力低下は否めなかった。鹿島は興梠慎三、マルキーニョス、野沢が立て続けに決定機を迎えるが決めきれない。
シーズン序盤に2試合連続ドローというのは今後に響く。嫌なムードが漂い始めた時、オリヴェイラ監督が1つの手を打った。2年目の大迫勇也を興梠に代えて投入したのだ。その大迫が出るや否や、マルキーニョスのクロスに飛び込んでファーストタッチでゴールを決めたのだから驚きだ。さすがは将来を嘱望される選手。強烈なインパクトを残したのは間違いない。
昨年正月の高校選手権で大会最多記録の10ゴールを挙げ、鳴り物入りで鹿島に入った大迫。その途端、昨季アジアチャンピオンズリーグ(ACL)上海申花戦で初先発初ゴールを挙げる大物ぶりを見せた。彼の活躍によって興梠はスタメンから外され、代表からも遠ざかることになった。
しかし興梠復調後は徐々に出場時間が減っていった。先発落ちを強いられ、シーズン終盤は田代有三(現山形)にスーパーサブの座さえ奪われた。Jリーグ22試合出場3得点という数字は高卒新人にしては堂々たるものだが、彼の潜在能力と日本サッカーの未来を考えたら十分とは言えなかった。
昨年末にはU−20日韓戦(昌原)、今年1月にはA代表のイエメン戦(サナア)と久しぶりの代表活動に参加したが、試合勘の不足が顕著だった。動き出しの速さ、ポジショニングのうまさ、シュート技術など非凡なセンスを感じさせたが、試合に出続けないとフィジカル面はインターナショナルレベルにならない…。彼を見ていてそんな印象を受けた。
本人も自分の課題を把握していたのだろう。大宮戦後も「ゴールという結果を出さないと出場時間が増えない」としきりに言っていた。マルキーニョスと興梠のいずれかのポジションを奪うには相当な活躍が必要だ。それが分かっているから、満足感を口にしなかったのだ。そういう志の高さを持ち続けていれば、大きな成長が期待できる。
彼の一発で鹿島は勝ち点3を拾い、またも勝負強さを示した。今季は小笠原ら黄金世代の高齢化、昨季抜けたダニーロ、田代らの穴をどう埋めるかなど懸念材料が多かったが、大迫や遠藤が結果を出すなど、若手を使えるメドが立ち始めているようだ。「今年は若い選手たちの目の色が違う」と岩政も話していた。フェリペガブリエルの長期離脱も決まり、選手層が薄くなりがちな今だからこそ、さらなる若い世代の急成長が求められる。それが今後の鹿島の動向を左右するだろう。
元川 悦子 03月22日14:18
悦っちゃんのコラムである。
大宮戦をよく観て書き起こされておる。
大迫の躍動とヤスの活躍が今後の、そして未来の鹿島に関わってくる。
今年の若手の目の色が違うという岩政のコメント通り、今季が来季以降の世代交代のターニングポイントとなってこよう。
ヤスと大迫は結果を出しつつある。
これに船山や小谷野、よよに続いて欲しいところ。
若手の活躍にも目が離せぬ鹿島である。
後藤象二郎は岩崎弥太郎に龍馬暗殺を依頼した。
2010年Jリーグも第3節が終了。J1は3戦目にして全勝がない。清水エスパルス、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズが勝ち点7でトップに並び、横浜F・マリノスら4チームが勝ち点6で追っている。昨季天皇杯王者のガンバ大阪がいまだ勝ちなしというのは予想外だが、今季も終盤まで拮抗した展開になるのは間違いなさそうだ。
そんな中、先週末は大宮アルディージャ対鹿島アントラーズの一戦を見にいった。昨年の対決で鹿島は大宮に1−3で敗れている。しかも今季の大宮は元北朝鮮代表ボランチ・安英学や快速右サイドの杉山新、2008年に大分トリニータでナビスコカップ優勝の原動力となったセンターバック・深谷友基ら効果的な補強をして、昨季よりスケールアップ。開幕のセレッソ大阪戦では3−0と素晴らしいスタートを切っている。エースFWラファエルの離脱は痛いが、張外龍監督の強調する球際の強さ、タイトな守備は確実にチーム全体に浸透しており、J3連覇中の鹿島といえども侮れない相手だった。
案の定、大宮は開始早々から飛ばしてきた。彼らは金澤慎、安英学、橋本早十を3ボランチ気味に配置。鹿島の小笠原満男、中田浩二の両ボランチに激しいプレスをかけ、ボールを持たせないようにした。小笠原のところでタメが作れなくなると、両サイドバックが上がる時間を稼げないし、野沢拓也ら前の選手もサポートのために下がらないといけなくなる。しかもこの日はフェリペガブリエルが開始直後に負傷。若い遠藤康が交代出場した。こうしたアクシデントも鹿島にとっては負担になっただろう。
前半は王者らしからぬリアクションに徹した鹿島。しかし「相手の中盤の人数が多かったんで、ムリに取りに行って向こうに持っていかれるのはよくない。サッカーは90分で考えないといけない」と小笠原満男が話すように、鹿島は計算に基づいた戦い方をしていた。相手ディフェンスラインの裏にロングボールを蹴りこんでいたのもそう。「長いボールを入れられ、スピードのあるマルキや興梠に走られるのは大宮にとって厳しい。それがボディーブローのように効いたと思う。ある意味、シナリオ通りの戦い方だった」と岩政大樹も笑みを見せた。
彼らの思惑通り、後半は鹿島が圧倒し始める。大宮のキャプテン・藤本主税が負傷退場したのも痛かったが、前半飛ばした体力低下は否めなかった。鹿島は興梠慎三、マルキーニョス、野沢が立て続けに決定機を迎えるが決めきれない。
シーズン序盤に2試合連続ドローというのは今後に響く。嫌なムードが漂い始めた時、オリヴェイラ監督が1つの手を打った。2年目の大迫勇也を興梠に代えて投入したのだ。その大迫が出るや否や、マルキーニョスのクロスに飛び込んでファーストタッチでゴールを決めたのだから驚きだ。さすがは将来を嘱望される選手。強烈なインパクトを残したのは間違いない。
昨年正月の高校選手権で大会最多記録の10ゴールを挙げ、鳴り物入りで鹿島に入った大迫。その途端、昨季アジアチャンピオンズリーグ(ACL)上海申花戦で初先発初ゴールを挙げる大物ぶりを見せた。彼の活躍によって興梠はスタメンから外され、代表からも遠ざかることになった。
しかし興梠復調後は徐々に出場時間が減っていった。先発落ちを強いられ、シーズン終盤は田代有三(現山形)にスーパーサブの座さえ奪われた。Jリーグ22試合出場3得点という数字は高卒新人にしては堂々たるものだが、彼の潜在能力と日本サッカーの未来を考えたら十分とは言えなかった。
昨年末にはU−20日韓戦(昌原)、今年1月にはA代表のイエメン戦(サナア)と久しぶりの代表活動に参加したが、試合勘の不足が顕著だった。動き出しの速さ、ポジショニングのうまさ、シュート技術など非凡なセンスを感じさせたが、試合に出続けないとフィジカル面はインターナショナルレベルにならない…。彼を見ていてそんな印象を受けた。
本人も自分の課題を把握していたのだろう。大宮戦後も「ゴールという結果を出さないと出場時間が増えない」としきりに言っていた。マルキーニョスと興梠のいずれかのポジションを奪うには相当な活躍が必要だ。それが分かっているから、満足感を口にしなかったのだ。そういう志の高さを持ち続けていれば、大きな成長が期待できる。
彼の一発で鹿島は勝ち点3を拾い、またも勝負強さを示した。今季は小笠原ら黄金世代の高齢化、昨季抜けたダニーロ、田代らの穴をどう埋めるかなど懸念材料が多かったが、大迫や遠藤が結果を出すなど、若手を使えるメドが立ち始めているようだ。「今年は若い選手たちの目の色が違う」と岩政も話していた。フェリペガブリエルの長期離脱も決まり、選手層が薄くなりがちな今だからこそ、さらなる若い世代の急成長が求められる。それが今後の鹿島の動向を左右するだろう。
元川 悦子 03月22日14:18
悦っちゃんのコラムである。
大宮戦をよく観て書き起こされておる。
大迫の躍動とヤスの活躍が今後の、そして未来の鹿島に関わってくる。
今年の若手の目の色が違うという岩政のコメント通り、今季が来季以降の世代交代のターニングポイントとなってこよう。
ヤスと大迫は結果を出しつつある。
これに船山や小谷野、よよに続いて欲しいところ。
若手の活躍にも目が離せぬ鹿島である。
後藤象二郎は岩崎弥太郎に龍馬暗殺を依頼した。