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鹿島の完成度

【後藤健生コラム】完成度の違いを見せ付けた鹿島アントラーズ
選手は変わっても、不調であっても……

「2点差の、どうしようもない負けゲームを2-2にしたのだから、称賛に値する」

自賛したのだか、あるいは自虐ネタだったのか、鹿島アントラーズとの試合に引き分けた直後にそう語ったのは浦和レッズのペトロヴィッチ監督だった。62分に、守備の組織をズタズタに崩されて、この日絶好調の増田誓志に2点目を決められた浦和。スコアは0-2となり、試合の流れも完全に鹿島アントラーズに握られて、「勝敗は決した」と誰もが思ったことだろう(おそらく、ピッチ上の鹿島の選手たちも!)。

その5分後、交代で入ったばかりの高崎寛之がカウンターからのボールを受けて、思い切ってシュートすると、これが鹿島DFアレックスの足に当たってゴールに吸い込まれて幸運なゴールで1点差。浮き足立った鹿島守備陣を左から強引に突破した、こちらも交代出場のマゾーラが左足で思い切ってキックすると、強烈なシュートがゴールポストとGKの曽ケ端準の間の狭いスペースを破って、アッと言う間に、浦和が同点に追いついてしまったのである。

ともに、交代で入れた選手が得点を決めたのだから、スポーツ新聞的に言えば「ペトロヴィッチ監督の名采配」ということになる。だが、監督本人が自虐的に認めたように、90分を通じてみれば鹿島が完全にコントロールしたゲームだった。浦和は、前節(セレッソ大阪戦)に続いて、「どうしようもない負けゲーム」で勝点1を拾い、こんな内容でも2試合負けずにすんだのだから、まさに称賛するしかない!

鹿島アントラーズの方も、けっして万全の状態ではなかった。この試合の前、6試合を戦った段階で、ともに1勝1分4敗。得失点差の関係で鹿島が15位、浦和が16位。数年前なら優勝を争う好カードだったはずなのに、現段階ではなんと降格圏を争っていたのだ。その鹿島、この日は思い切ってベテラン勢をはずして臨んできた。小笠原満男、本山雅志、中田浩二、新井場徹の「黄金世代」のフィールドプレーヤーが抜け、中心選手の小笠原の代わりには増田誓志が入って、青木剛とのダブルボランチである。だが、青木と増田は縦並び。青木はアンカーに入り、両サイドバック(若い西大伍とアレックス)が攻めあがった場面では、最終ラインに下がってセンターに入る守備的な役割。そして、増田は2列目に上がって、中盤のパス回しに参加する。

一方の浦和は、マルシオ・リシャルデスと柏木陽介の2人をトップ下に置き、守備的なMFの仕事は鈴木啓太1人に任せる布陣。中盤に大きなスペースを作ってしまうため、柏レイソル戦、セレッソ大阪戦と、このところ相手に好きなようにやられてしまうことが多いが、ペトロヴィッチ監督はこの形を崩さない。そして、この日も、野沢拓也と遠藤康に増田が絡む鹿島の2列目に完全にコントロールされてしまったのだ(ちなみに、後半は鈴木を山田暢久に交代させ、柏木を1列下げて、ダブルボランチの形にしたが、柏木に守備的な仕事をさせても意味をなさないような気がした。そして、その後、柏木を退けて、高崎を入れて、ツートップとしたことで同点に追いついたのだが、そんなスクランブルがいつでも功を奏すと期待するわけにはいかないだろう)。

そんなマッチアップの妙もあるが、この日の若い鹿島の強さはチームとして完成していたところにあった(といっても、普段がベテランが多いからそう感じるだけで、鹿島の先発11人の平均年齢は26.00歳で、けっして年齢的には若くないのだが……)守備陣がボールを奪うと、MFやFWがきちんと動いてパスコースを作るから、無駄な時間をかけずにボールを動かすことができる。小笠原に代わって増田が入ったことで、ボールだけでなく、人のダイナミックな動きも絡むようになった。縦への長いパスやサイドチェンジを蹴っても、受け手がきちんと動いているので、正確にボールが渡る。

先制ゴールも、左のアレックスにボールが渡る瞬間に、右サイドバックの西が動き出しており、アレックスからのサイドチェンジを受けた瞬間には、もうフリーになっていた。そして、ゴールライン上から折り返したボールを遠藤がフリーでシュート。跳ね返りを、西が決めた。これに対して、浦和の攻撃にはまったく「組織」というものがない。ボールを受けた選手が、ボールを持ってからコースをさがして、パスを出すまでに時間がかかっているのだから、相手にはすっかり守備の準備ができてしまう。縦へのロングボールも、受け手の準備ができていないところにいきなり蹴り込むだけでは、鹿島のDF陣に簡単に跳ね返されてしまう。あとは、個人的にドリブルで強引に持ち込むだけだ。

選手の顔ぶれは変わっても、しっかりと組織ができていた鹿島と、まるでバラバラのままの浦和。たとえ調子が悪くても、たとえ選手が何人も入れ替わっても、鹿島の選手にはチームのやり方が身についており、守るべき決まり事が存在する。完成度に違いは明らかだった。浦和は、今シーズンになって新監督が来たばかりという事情はあるが、昨シーズン、一昨シーズンと、フォルカー・フィンケという「教師」の下で、苦しみながら、耐え忍びながら身に着けてきたはずのパスをつなぐサッカーが、もうなくなってしまっている。2年間の苦労は、まったく今シーズンに生かされない。

しかし、そんな「どうしようもない試合」でも、かなりの幸運があったにせよ、個人の力で同点に追いついてしまったのも確か。「負けなかったこと」によって、必要な危機意識が遠のいてしまうという危険は感じるものの、同時に「組織なしでもこれだけ戦える」ということで、浦和というチームのポテンシャルが見られたのも確かなのだ。もったいない限りである……


後藤 健生

鹿島の完成度を語る後藤氏のコラムである。
とはいえ、紙面の大半は浦和の未熟さを語っておるだけと言える。
浦和の弱さは昨日今日始まったわけでは無かろう。
上位にいる際も、圧倒的な観客の前でジャッジに迷いを持った審判のメンタルによるものが多かったのでは無かろうか。
この試合については、オリヴェイラ監督が述べておるので割愛するが、2008年のさいスタでの試合では明らかな闘莉王のオフサイドが見逃されて先制点を決められておる。
(イヤーDVDにて確認が可能)
誤審はサッカーにつきものであるが、特定チームに偏っては、勘違いする者も出てこよう。
とはいえ、既に終えてしまった対戦相手に対しては、さほど興味は沸かぬ。
ゴールがラッキーなものであったのか否かではなく、アウェイの地で勝ち点1を得たのみに過ぎぬのである。
次は同じ轍は踏まぬよう、練習に戦術理解に精を出すだけである。
敵は自分のみ。
己に勝って勝利を手にしたい。

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鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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