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野沢・ダヴィ、チームを変貌させる「新戦力」

【Jリーグ】名波浩の視点/チームを変貌させる「新戦力」ベスト5
2013.02.27
佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki



巻き返しを狙う鹿島にとって、野沢拓也(写真左)の復帰は大きい。

まもなく開幕するJリーグ。今季も各クラブがさらなる躍進を目指して精力的に戦力補強を行なった。なかでも、周囲の選手に好影響を与え、チームに効果的な”化学反応”をもたらす選手は誰なのか。解説者の名波浩氏が分析する――。

 まずは今季、いい補強ができたチームはどこなのか。トップ3を上げるならば、柏レイソル、浦和レッズ、鹿島アントラーズだろう。
 柏は、昨年の夏に右サイドバックの酒井宏樹がドイツに移籍。彼の穴を埋める人材確保が急務だったが、韓国代表のキム・チャンス(←釜山アイパーク/韓国)を獲得できた。関係者の間でも評価の高い選手で、最大の懸念材料を解消できそうなのが、何より大きい。そのうえで、FWにクレオ(←広州恒大/中国)、DFに鈴木大輔(←アルビレックス新潟)が加入。現場スタッフが欲していた選手をしっかりと得て、チームの上昇度がいちばん見込める。
 同様に、浦和と鹿島も優秀な面々を補強して、チーム強化に成功した。浦和は、あらゆるポジションに即戦力となる選手を加えて、選手層の厚さはリーグ屈指となった。鹿島も、MF野沢拓也(←ヴィッセル神戸)とFWダヴィ(←ヴァンフォーレ甲府)という、願ってもない選手を獲ることができた。とりわけ、複数のチームからオファーがあったと思われるダヴィの獲得には、王座奪還への本気度がうかがえる。

第1位
MF野沢拓也

(ヴィッセル神戸→鹿島アントラーズ)

 各クラブの新戦力を個別に見ていくと、チームを最も飛躍させてくれそうな存在は、鹿島の野沢拓也だろう。彼の復帰は、鹿島にとって本当に大きいと思う。
 第一にセットプレイ。その精度の高さは誰もが認めるところで、これまでも彼の正確なキックから数多くの得点が生まれている。実際、野沢がいた一昨年の鹿島は、53得点中、セットプレイから(3プレイ以内に)生まれたゴールは21点だったが、野沢不在の昨年は50得点中、12点だった(データ提供/データスタジアム(株))。単純に昨年減った得点分が今年上乗せされると考えただけでも、チームにもたらす効果は絶大だ。
 加えて、野沢は攻撃にイマジネーションとスピードを生み出す能力が非常に高い。もちろん昨季も、MFの遠藤康や柴崎岳らがいい働きを見せていたけれども、野沢の意外性、選択肢の多さは、彼らをはるかに凌ぐ。そのうえ、シーズンを通して安定した力を発揮できるのが心強い。まさにボールを安心して預けられる存在で、攻守を結びつける前線への最適なホットラインが築けるだろう。
 野沢が入ることで、周囲の選手の負担が減り、その分新たな良さが生まれる可能性も膨らむ。昨季は2列目でプレイすることが多かった柴崎は、本来のボランチに移ることで違った一面を見せるだろうし、ボランチの小笠原満男にしても野沢にボールを託せばいいから、無理して前にボールを運ぶ必要がなくなって他の部分で余力を使えるようになる。それは、対戦相手にとっては極めてやっかいなことだ。
 そして、いちばん変化しそうなのが、FWの大迫勇也。野沢の加入で「もうひと皮むけてほしい」という願望でもある。大迫は、体が強く、スピードがあって、ゴールバリエーションも豊富。昨季は9ゴールを記録したけれども、15点くらいとってもおかしくない能力を持っている。その力を引き出すには、大迫の動きに気を使ってくれる選手が必要で、その役割を果たせるのが、野沢。彼の最適なお膳立てによって、大迫が一層輝くことを期待したい。

第2位
DF鈴木大輔
(アルビレックス新潟→柏レイソル)
 柏が優勝した一昨年は、DF近藤直也を軸としたセンターバックが充実していて、その強さがチームの勝利に大きく貢献していた。それが昨年は、近藤の負傷などもあって、やや弱体傾向にあったが、鈴木大輔の加入でその不安は完全に払拭された。
 鈴木は、1対1の強さやボールを奪う能力など、センターバックとしてのストロングポイントはもちろんのこと、カバーリングやラインコントロールにも優れている。バランス感覚も持ち合わせているため、人に強く、ハードワークしながら相手FWを抑える近藤との相性も良さそう。鈴木がいれば、近藤の負担も軽減し、より安定した守備網を確立できるのではないか。
 大谷秀和や栗澤僚一らボランチの選手が前からチェックに行くタイプだけに、彼らとの距離間をうまく保つためのすり合わせは必要になるが、五輪代表でも活躍した鈴木は順応するのも早いはず。チームの特徴や約束事などにも、時間をかけずに対応できるだろう。何より、無理なこと、無駄なことをしない選手だから、攻守の役割がはっきりしている柏のサッカーにはすごくフィットすると思う。きちんとボールも蹴れる選手なので、レアンドロ・ドミンゲスや工藤壮人など前線の個性的な選手たちも、鈴木からのパスで生かされるシーンが増えるかもしれない。

第3位
DF森脇良太
(サンフレッチェ広島→浦和レッズ)
 森脇良太の存在が、今季の浦和のサッカーを変えるのは間違いない。特に攻撃面。昨季、浦和の3バックの右には坪井慶介が入っていたが、彼は逆サイドの槙野智章の上がりをうながし、攻撃参加はほとんどしなかった。しかし森脇は、自分の状態やタイミングさえあれば、どんどん仕掛けていくタイプ。森脇がその3バックの右に入れば、攻撃時の厚みは明らかに増し、チームの持ち味とするボールポゼッションや攻撃への比重は、ますます高まっていくだろう。
 もちろん、森脇は周りの状況もきちんと把握できる選手。槙野とうまくバランスを取りながら、無闇に上がることはしないだろう。MF平川忠亮やMF関口訓充ら、前にいるサイドアタッカーの選手との関わりもそつなくこなせるのではないか。
 ただ、気になるのは、槙野と森脇のふたりが同時に上がっていったときの、リスクマネジメント。ボランチの阿部勇樹と鈴木啓太がカバーすることになると思うのだが、彼らがどこまでできるのか。特に、攻守のキーマンである阿部への負担がかかり過ぎるのは、決して得策ではない。その辺りは、勝敗を左右するポイントになると思う。

第4位
FW李 忠成
(サウサンプトン/イングランド→FC東京)
 FC東京にとって、李忠成が加わることはいい刺激になると思う。というのも、最近は周囲とのバランスを考えてプレイするFWが多い中で、彼は「いいボールはオレに寄こせ。オレが決めるから」と常に自らが責任を負うようなストイックなストライカー。そんなJリーガーの中では異色のタイプである李の存在が、わりと気を使う選手が多いFC東京で思わぬ“化学反応”を引き起こしそうだからだ。そしてそれが、いい方向に出るのではないかと思っている。
 シーズン前のテストマッチでは、李のポジションは4−2−3−1布陣の「3」の右サイドに入っていたという。1トップのルーカスがポイントになって、李がその裏を狙うような形になるのだろう。役割としては、日本代表の岡崎慎司のようなイメージで、人を使うのがうまいルーカスと、李のゴールに向かっていく姿勢が見事にはまれば、得点力アップは必至。チームの順位(昨季10位)も大幅に上がるかもしれない。
 また、李が敵DF陣を引きつけることができれば、2列目の石川直宏や東慶悟らにも決定機が巡ってくる。特にサイドから仕掛けていく石川が、李やルーカスに引っ張られた敵の間を抜けていって、そのままシュートというシーンは容易に想像できる。2009年シーズン、石川は15得点を記録したが、今季、同じようなことが起こっても不思議はない。

第5位
FWダヴィ

(ヴァンフォーレ甲府→鹿島アントラーズ)

 昨季はJ2で得点王を獲得し、かつてはコンサドーレ札幌や名古屋グランパスでも活躍したダヴィ。Jリーグのことは知り尽くしていて、以前鹿島で活躍したFWマルキーニョス(現横浜F・マリノス)に似たタイプ。得点感覚に優れ、ひとりでフィニッシュまで持ち込める、まさしく鹿島に合う選手だと思う。
 ゴールに向かって直線的に動ける選手で、鹿島得意のショートカウンターでは彼の持ち味が存分に生かされるはず。また、ダヴィの感覚的なプレイは、コンビを組む大迫とは異なっていて、そのギャップが敵を混乱させそう。ふたりだけでもさまざまな形を生み出すができ、それぞれがふた桁得点を記録するような期待感さえある。
 ここ数年は、新戦力の外国人FWに裏切られ続けた感がある鹿島。やっと期待どおりの結果を残してくれそうな選手と出会えたと言えるかもしれない。

 さて、上記5選手の他にも、FC東京のMF東慶悟(←大宮アルディージャ)をはじめ、浦和のFW興梠慎三(←鹿島アントラーズ)、ジュビロ磐田のDF伊野波雅彦(←ヴィッセル神戸)など、期待の新戦力はまだまだたくさんいる。彼らが新天地でどんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみだ。


周囲の選手に好影響を与え、チームに効果的な”化学反応”をもたらす選手の第1位に野沢、そして第5位にダヴィを挙げる名波である。
野沢の効果の大きな点としてセットプレイについて述べておる。
野沢が在籍した2012年に21得点を記録したセットプレイから生まれたゴールが昨季12得点に減ったことでも野沢の穴は指摘されておった。
単純にこの点だけでも大いなる補強であるが、ボールの出し手が満男と岳に限定されなくなることは注目すべき点となろう。
そして、二列目から効果的なパスが出ることにより、大迫が更なる新化を遂げると確信しておる。
また、ダヴィは昨年のJ2得点王ばかりが話題となっておるが、2008年に於いてJ1得点第2位を記録しておる選手である。
実績は十分と言えよう。
名波によるとマルキーニョスに似たタイプと評しており、鹿島での活躍は保障されたようなもの。
そして、大迫とは持ち味が異なるので、お互いに補完し合うこととなろう。
ダヴィの加入は大迫への影響も大きいと受け取れる。二人の加入で満男が、そして大迫が更なる輝きを魅せることとなる。
多くの評論家が鹿島の優勝を推すのも納得するというもの。
そのプレッシャーの中で一つ一つ勝利を積み重ねて行きたい。
シーズンの最後に多くのタイトルを得、笑顔でオフに入ることを望む。
楽しみなシーズンインである。

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鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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