ダヴィ、噂に違わぬ実力
【Jリーグ】王者復活の予感。ダヴィが鹿島をこんなに変えた
2013.03.21
小室 功●文 text by Komuro Isao 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

今季開幕早々、評判どおりの活躍を見せているダヴィ。
2013年シーズン
話題の新戦力FWを診断する(3)
ダヴィ(鹿島アントラーズ)
昨シーズン、ナビスコカップ連覇を果たしたとはいえ、リーグ戦ではクラブ史上ワーストの11位に甘んじた鹿島アントラーズ。今季はその屈辱を晴らすべく、昨季のJ2得点王であるダヴィ(←ヴァンフォーレ甲府)を獲得した。
そして、新戦力の中でもひと際異彩を放っていたダヴィは、「鹿島は歴史と伝統があり、常にタイトルを争っているクラブ。ここでプレイできる幸せを感じているし、やりがいもある。チームに貢献し、大きな成果を上げたい。そして、優勝することしか考えていない!」と所信表明すると、すぐに爆発した。
Jリーグ第2節のベガルタ仙台戦で、2ゴールを記録。多少粗削りな面は見られるものの、「どんな形でもいいから点を取るんだ、という気迫にあふれた、まさに点取り屋」という触れ込みに偽りはなかった。
エネルギッシュにゴールを狙いにいくだけではなく、味方のためにスペースメークしたり、前線から守備に走ったりと、献身的な姿勢が見られ、早くも周囲の信頼を勝ち得た。そんなダヴィの期待に違わぬ活躍ぶりには、首脳陣も目を細めている。
1月下旬、チームに合流したばかりのダヴィはふっくらしていた。明らかにウエイトオーバーで、長距離走では他の選手たちのスピードにまったくついていけなかった。アゴが上がったまま、のそりのそり走る姿に「大丈夫か?」という不安の声が上がっていたが、今ではそれも笑い話だ。
圧巻なのは、2トップでコンビを組む大迫勇也と、MF野沢拓也との連係だ。サガン鳥栖との開幕戦(1−1)の先制ゴールも、3人の絡みから生まれた。前半32分、右CKのチャンスを得ると、野沢からのボールをニアサイドで相手と競り勝ったダヴィがファーサイドへ展開。それを、大迫がボレーで仕留めた。
続く仙台戦(3−2)の決勝ゴールも、3人の絶妙なコンビネーションから生まれた。後半3分、右サイドのスペースで大迫からの縦パスを受けた野沢が、”ここ”というタイミングでグラウンダーのクロスをニアサイドに配球。これにいち早く反応したダヴィが相手DFの前に入り、左足ワンタッチで巧みにボールの角度を変えてゴールに流し込んだ。
パートナーの大迫が言う。
「(ダヴィとは)お互いに声をかけ合いながら、いい関係でプレイできている。ふたりのパス交換からチャンスが作れているし、試合を重ねることで、もっとコンビネーションがよくなっていくんじゃないかな。ダヴィは日本語がわかるから意思疎通も問題ない」
大迫に同調して、ボールを供給する野沢もダヴィのプレイぶりを手放しで称えた。
「(ダヴィは)点を取る能力がとにかく高い。ゴール前にパワーを持って入ってきてくれて、存在感があるので、パスもすごく出しやすい。自分ひとりでやろうとせず、周りをよく見てくれるし、鹿島が目指す流動的なサッカーに合っている」
2トップのダヴィと大迫、そして野沢が織りなす攻撃アクションは、紛れもなく今季の鹿島の目玉だ。そのうえで、周りの選手が彼らに絡むのはもちろんのこと、彼らをおとりにしながら別の選手がゴールに襲いかかれば、チームが掲げる「自在性のあるポゼッションサッカー」の完成も近づくに違いない。
さらにセンターバックの岩政大樹は、守備面での”ダヴィ効果”をあげている。
「ダヴィのように決定力のある選手がいると、僕ら後ろの選手は落ち着いていられるし、多少劣勢になっても我慢できる。『この苦しい時間帯を凌げば、点を取ってくれるだろう』と思いながらプレイできるのは、非常に大きい」
早くも強烈なインパクトを残しているダヴィ。今後、対戦相手が彼に対する包囲網を一層強化してくるのは必至だが、ダヴィにはそれに対抗するだけの気概がある。
「FWは点を取って評価されるポジション。いつも1試合に1点は取るつもりでやっている。そのくらいのプレッシャーを自分自身に与えて、追い込んでやらないといけないと思っている。Jリーグはタフなリーグ。必ずしもそれが実現できるとは限らないけれども、そのための努力は常に惜しまない。目標はもちろん、得点王だ」
8年ぶりに指揮を執るトニーニョ・セレーゾ監督のもと、ダヴィという起爆剤を得た鹿島。サンフレッチェ広島と対戦した第3節は0−0と引き分けて、昨季の5位、2位、1位と対戦した序盤3試合は1勝2分けの勝ち点5で終えた。その数字は、”王者復活”への滑り出しとしては悪くない。
ダヴィ加入の効果を記すSportivaの小室氏である。
ダヴィ本人では無く大迫、野沢、そして岩政のコメントからダヴィのチームへの貢献を綴っておる。
ダヴィの意気込みとトニーニョ・セレーゾ監督の戦術が相乗効果を生み出し勝ち点を積み重ねておる。
シーズン終了後には多くの民に笑顔を与えてくれるであろう。
ダヴィのゴールを毎試合楽しみにしておる。
2013.03.21
小室 功●文 text by Komuro Isao 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

今季開幕早々、評判どおりの活躍を見せているダヴィ。
2013年シーズン
話題の新戦力FWを診断する(3)
ダヴィ(鹿島アントラーズ)
昨シーズン、ナビスコカップ連覇を果たしたとはいえ、リーグ戦ではクラブ史上ワーストの11位に甘んじた鹿島アントラーズ。今季はその屈辱を晴らすべく、昨季のJ2得点王であるダヴィ(←ヴァンフォーレ甲府)を獲得した。
そして、新戦力の中でもひと際異彩を放っていたダヴィは、「鹿島は歴史と伝統があり、常にタイトルを争っているクラブ。ここでプレイできる幸せを感じているし、やりがいもある。チームに貢献し、大きな成果を上げたい。そして、優勝することしか考えていない!」と所信表明すると、すぐに爆発した。
Jリーグ第2節のベガルタ仙台戦で、2ゴールを記録。多少粗削りな面は見られるものの、「どんな形でもいいから点を取るんだ、という気迫にあふれた、まさに点取り屋」という触れ込みに偽りはなかった。
エネルギッシュにゴールを狙いにいくだけではなく、味方のためにスペースメークしたり、前線から守備に走ったりと、献身的な姿勢が見られ、早くも周囲の信頼を勝ち得た。そんなダヴィの期待に違わぬ活躍ぶりには、首脳陣も目を細めている。
1月下旬、チームに合流したばかりのダヴィはふっくらしていた。明らかにウエイトオーバーで、長距離走では他の選手たちのスピードにまったくついていけなかった。アゴが上がったまま、のそりのそり走る姿に「大丈夫か?」という不安の声が上がっていたが、今ではそれも笑い話だ。
圧巻なのは、2トップでコンビを組む大迫勇也と、MF野沢拓也との連係だ。サガン鳥栖との開幕戦(1−1)の先制ゴールも、3人の絡みから生まれた。前半32分、右CKのチャンスを得ると、野沢からのボールをニアサイドで相手と競り勝ったダヴィがファーサイドへ展開。それを、大迫がボレーで仕留めた。
続く仙台戦(3−2)の決勝ゴールも、3人の絶妙なコンビネーションから生まれた。後半3分、右サイドのスペースで大迫からの縦パスを受けた野沢が、”ここ”というタイミングでグラウンダーのクロスをニアサイドに配球。これにいち早く反応したダヴィが相手DFの前に入り、左足ワンタッチで巧みにボールの角度を変えてゴールに流し込んだ。
パートナーの大迫が言う。
「(ダヴィとは)お互いに声をかけ合いながら、いい関係でプレイできている。ふたりのパス交換からチャンスが作れているし、試合を重ねることで、もっとコンビネーションがよくなっていくんじゃないかな。ダヴィは日本語がわかるから意思疎通も問題ない」
大迫に同調して、ボールを供給する野沢もダヴィのプレイぶりを手放しで称えた。
「(ダヴィは)点を取る能力がとにかく高い。ゴール前にパワーを持って入ってきてくれて、存在感があるので、パスもすごく出しやすい。自分ひとりでやろうとせず、周りをよく見てくれるし、鹿島が目指す流動的なサッカーに合っている」
2トップのダヴィと大迫、そして野沢が織りなす攻撃アクションは、紛れもなく今季の鹿島の目玉だ。そのうえで、周りの選手が彼らに絡むのはもちろんのこと、彼らをおとりにしながら別の選手がゴールに襲いかかれば、チームが掲げる「自在性のあるポゼッションサッカー」の完成も近づくに違いない。
さらにセンターバックの岩政大樹は、守備面での”ダヴィ効果”をあげている。
「ダヴィのように決定力のある選手がいると、僕ら後ろの選手は落ち着いていられるし、多少劣勢になっても我慢できる。『この苦しい時間帯を凌げば、点を取ってくれるだろう』と思いながらプレイできるのは、非常に大きい」
早くも強烈なインパクトを残しているダヴィ。今後、対戦相手が彼に対する包囲網を一層強化してくるのは必至だが、ダヴィにはそれに対抗するだけの気概がある。
「FWは点を取って評価されるポジション。いつも1試合に1点は取るつもりでやっている。そのくらいのプレッシャーを自分自身に与えて、追い込んでやらないといけないと思っている。Jリーグはタフなリーグ。必ずしもそれが実現できるとは限らないけれども、そのための努力は常に惜しまない。目標はもちろん、得点王だ」
8年ぶりに指揮を執るトニーニョ・セレーゾ監督のもと、ダヴィという起爆剤を得た鹿島。サンフレッチェ広島と対戦した第3節は0−0と引き分けて、昨季の5位、2位、1位と対戦した序盤3試合は1勝2分けの勝ち点5で終えた。その数字は、”王者復活”への滑り出しとしては悪くない。
ダヴィ加入の効果を記すSportivaの小室氏である。
ダヴィ本人では無く大迫、野沢、そして岩政のコメントからダヴィのチームへの貢献を綴っておる。
ダヴィの意気込みとトニーニョ・セレーゾ監督の戦術が相乗効果を生み出し勝ち点を積み重ねておる。
シーズン終了後には多くの民に笑顔を与えてくれるであろう。
ダヴィのゴールを毎試合楽しみにしておる。