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杉本太郎くん、予選で敗れた実力者

高校サッカー選手権、予選で敗れた実力者
プロの舞台で活躍を誓うJ内定選手たち

安藤隆人 2013年12月26日 11:30


鹿島に加入する杉本(右)ら予選で敗れたJ内定選手たち。選手権でも活躍が期待されていた注目選手を紹介したい【安藤隆人】

 いよいよ30日に開幕を迎える第92回全国高校サッカー選手権大会。全国の予選を勝ち抜いた48チームによる熱き戦いが繰り広げられるが、残念ながらこの大会にたどり着けぬまま、敗れ去ったチームが数多くある。

 しかも、今大会は例年以上に波乱が起こり、全国各地で実力派ぞろいの強豪チームが予選で敗れ去った。本来ならば、今大会の『優勝候補』や『顔』となるはずだった選手たち。ここでは選手権開幕を前に、敗れ去りしヒーローたちを紹介していこう。

 波乱と言う言葉に飲み込まれた数々のチーム。代表格を挙げるとすれば、前橋育英(群馬)、正智深谷(埼玉)、中京大中京(愛知)、帝京大可児(岐阜)、作陽(岡山)、大津(熊本)だろう。この中でも帝京大可児のFW杉本太郎(鹿島アントラーズ加入内定)、中京大中京のFW宮市剛(湘南ベルマーレ加入内定)、正智深谷のFWオナイウ阿道(ジェフユナイテッド千葉加入内定)、作陽のFW平岡翼(FC東京加入内定)は、ぜひ本大会で見たかったタレントだった。

悔いを残して終わった杉本
 杉本は2012年、アジアサッカー連盟(AFC)U−16選手権(イラン)でMVPに輝き、13年はUAEで開催されたU−17ワールドカップ(W杯)に出場、1ゴールを挙げるなど、日本代表のベスト16進出に貢献。鹿島への加入も決まっており、注目を集める存在だった。しかし、チームは選手権予選の準決勝で、優勝した岐阜工に1−2で敗れた。帝京大可児は8月のインターハイでは全国ベスト8に入っており、県内では敵なしの状態に思われた。だが、「いきなり2点取られて、挽回できなかった」と杉本本人が語るように、前半の早い段階で奪われた2点が重くのしかかり、後半に猛攻を見せるも、杉本が放ったシュートがポストに当たるなど、あと1歩届かなかった。

「負けた直後はもう頭の中が真っ白で、本当に何も考えられなかった……。今年は絶対に出ないといけなかったし、本当に出たかった」(杉本)

 彼には苦い思い出がある。1年生の時にはU−15日本代表に選ばれていたものの、帝京大可児が2年前に選手権に出場した際にはベンチにも入れず。チームメイトの戦う姿をスタンドでメガホンを持ちながら見つめた。2年時にはピッチに立つも、2回戦でその年に優勝した鵬翔(宮崎)にPK負け。この悔しい思いを晴らすために、自身最後の選手権はどうしても立ちたい舞台だった。だが、自らも不発に終わって終戦。試合後に杉本はこう語っている。

「僕はいつも最後は悔いを残して終わる。満足して終わった大会は一つもない。だからこそ、この悔しさはプロで晴らしたい」

 MVPを取ったAFC・U−16選手権。授賞式を終えた彼と会ったが、笑顔が無かった。トロフィーを持って記念撮影には応じてくれたものの、そこでも笑顔はなかった。決勝でウズベキスタンに敗れたショックもあるが、それ以上に決勝で決定的な仕事ができなかった自分がMVPをもらってもいいのかという困惑と疑問が、彼の笑顔を奪っていた。
 U−17W杯でも、敗れたラウンド16のスウェーデン戦で、日本のラストチャンスと言える決定的なシーンを迎えたが、彼の放ったシュートは枠を逸れた。試合後、目に涙をためて、「あれを決めていれば……すみません」と、力なくつぶやいた。

 一見華やかに見えるが、悔いだらけの3年間。この悔しさは本人が語るように、プロの場でぶつけるしかない。

『宮市亮の弟』というプレッシャーとの戦い
 宮市もまた、一見華やかに見えるが、悔いだらけの3年間を送った。入学当初から『宮市亮(アーセナル)の弟』として、ある種異様な注目を集めてきた。拍車をかけたのが、1年生のときに出場した選手権、チームは快進撃を続けベスト8に進出。準々決勝ではその年に準優勝した四日市中央工(三重)にPK戦の末敗戦。彼はこの試合で、1ゴールを記録するも、PKを外して文字通り『悲劇のヒーロー』となった。そこからずっと、彼には『宮市亮の弟』という枕詞がついて回った。

「最初は嫌でしたよ。でも……もう慣れるしかないですよね。気にしないようにしています」。こう話していたのが2年生の春。その年、チームはインターハイも選手権も出場を逃し、全国の舞台には立てずにいた。そして迎えた2013年。インターハイでベスト16に進出し、自身はU−18日本代表に定着、湘南への加入が内定した。プロ入りが決まったことで、彼の中での意識が大きく変わり、成長した姿を見せた。

「もうプロになったら『宮市亮の弟』ではなく、(宮市亮が)『宮市剛の兄』と言われるようにしたい」

 そして迎えた最後の選手権予選。チームは決勝で東海学園(愛知)の前に0−2で敗戦。この試合、彼は相手の徹底したマークに苦しみ、はっきり言って何もできずに終わった。試合後、彼は泣いてはいなかったが、集まって解散式が終わった後、筆者に近づいてきて、こう口を開いた。「すみませんでした……」

 この一言で、彼の抱えていた重圧が計り知れた。この3年間、彼はほかの選手と違うプレッシャーを感じながら戦っていた。最後がこういう形だっただけに、余計に感じてしまったのかもしれない。

「今日ははっきり言ってよくなかった。でも3年間で見せた成長は素晴らしかった。この悔しさはプロで晴らそう」と声を掛けると、「はい」と返事をして歩き出す。そして、泣いてなかったはずの彼はそっと涙をぬぐった。おそらく、悔し涙をずっと我慢していたのだろう。

 プレッシャーを感じ続けた3年間は、宮市に『強さ』を与えた。それを次のステージでぶつけるのみ。彼のこれからの飛躍に大きく期待をしたい。

大事なところで点が取れなかったオナイウ
 オナイウはこの1年間で非常に成長した選手だ。2年時に臨んだ選手権ではまだまだ粗削りだったが、今年に入ると、ゲーム中の存在感が一気に増した。パワフルなシュートだけでなく、広い視野と冷静な判断力から繰り出されるラストパス、ワンタッチプレーは、非常に精度が高くなった。

 それが形となったのが8月のインターハイ。複数のマークに合っても、しっかりと前線でボールを収め、テンポよくボールを配給。時には自ら仕掛けてゴールを射抜くスタイルで圧巻のプレーを見せた。オナイウ率いる正智深谷は、快進撃を続けベスト4に進出。準決勝でも、優勝した市立船橋(千葉)を相手に熱戦を演じ、最後はPK戦で敗れている。

「パスという面では自信がついたが、まだまだ大事なところで点が取れない。大事なところで点が取れる選手になりたい」と、さらなる成長を誓い、挑んだ最後の選手権予選。正智深谷は、優勝候補と目されながら、決勝で伏兵・市立浦和(埼玉)に0−1の敗戦。この試合でオナイウは沈黙、活躍を見せることはできなかった。だが、今年の成長が終わりではなく、オナイウにはまだまだ成長が見込める大きなポテンシャルがある。ぜひ千葉でその才能を開花させ、目標とする「大事なところで点が取れる選手」になってほしい。

Jリーガーも驚くスピードスター・平岡
 平岡はこの年代では圧倒的と言っていい、突出した“スピード”という武器を持つ。ボールを持ったら、“ギュン”と一気にギアを上げ、相手をぶっちぎっていく。1年生の時はただスピードに頼るだけの単調な選手だったが、作陽の3年間で、緩急をつけるハイクオリティーなフットボーラーへと変貌を遂げた。

「自分のスピードをどう生かすのか。周りをうまく生かしながら、自分の特徴を効率よく生かす。より周りを見ながら、状況判断を高めながら、思い切って行くところは思い切って行ける選手になりたい」(平岡)

 2年時に出場した選手権では2回戦の富山第一戦で、試合終了間際に度肝を抜くドリブルからのロングシュートでチームを救うなど、ベスト8進出に大きく貢献した。今年もU−17日本代表候補に選ばれると、プロを相手にした練習試合で、自慢のスピードで何度もぶっちぎり、Jリーガーたちに「異常なくらい速い」と舌を巻かせた。

 平岡はFC東京、浦和レッズ、ジュビロ磐田など数球団の争奪戦の末に、FC東京への加入を決めた。今大会では注目の選手の一人になるはずだったが、選手権予選の決勝で玉野光南(岡山)に敗れ、涙を呑んだ。あの『異常な』スピードが選手権で見られないのは残念だが、プロの舞台で惜しげもなく披露してくれることを期待したい。
次のステージで輝きを見たい
 前橋育英にはU−17日本代表としてW杯を戦ったFWの渡辺凌磨、MF鈴木徳真の2年生コンビのほかにも、多くのタレントがおり、大津には優秀な2年生がいた。この両チームに共通するのが、来年も非常に楽しみなチームであること。彼らには来年の活躍に期待したい。

 他にも横浜F・マリノス入りが内定しているDF北谷史孝、ヴィッセル神戸入りが内定しているFW金容輔(共に大阪、興國)、湘南入りが内定しているDF福岡将太(東京、実践学園)、U−17日本代表のFW瓜生昂勢(福岡、筑陽学園)も活躍が見たかった逸材たちだ。

 そして、これはやむを得ないが、千葉県予選決勝でインターハイ決勝同様に市立船橋に敗れた流通経済大柏。高円宮杯プレミアリーグチャンピオンである彼らが見られないのは、非常にもったいない。アルビレックス新潟への加入が内定しているMF小泉慶、名古屋グランパス入団内定のMF青木亮太はぜひ見たかった逸材だ。

 志半ばで敗れ去りし者たち。彼らにはぜひ用意されている次のステージで光り輝いてほしい。

<了>


高校選手権地区予選敗退した帝京大可児高校の杉本太郎くんが記事になっておる。
この大会だけでなく悔いだらけの三年間と高校生活を振り返っておる。
しかしながら、Jリーグでは名門中の名門である鹿島アントラーズに入団が内定した。
これだけでも大きな成果と言えよう。
来季よりプロに身を投じる杉本太郎くんには大いなる成長と活躍を期待したい。
楽しみな逸材である。

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鹿島愛。
狂おしいほどの愛。
深い愛。
我が鹿島アントラーズが正義の名のもとに勝利を重ねますように。

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